2022年3月20日日曜日

加曽利貝塚博物館の土偶研究講座の聴講

 Attendance at a research course on clay figurines at the Kasori Shellmound Museum


On March 19, 2022, I attended the Kasori Shellmound Museum research course "Knowing Jomon-Introducing clay figurines in Chiba City-" (Lecturer: Kasori Shellmound Museum, Dr. Wataru Nagahara). Fortunately, this is a course that I was able to participate in by lottery. So far, many clay figurines such as creating 3D models have appeared, and it was a very interesting course. I was surprised at the information that one of the figurines excavated from Kasori Shellmound was contrasted with the "Masked Goddess".


2022年3月19日に令和3年度加曽利貝塚博物館研究講座「縄文を知る -千葉市内の土偶を紹介します-」(講師:加曽利貝塚博物館 長原 亘先生)を聴講しました。

コロナ感染防止のために参加者を絞って開かれた講座で、自分は運よく抽選に当たったので参加できたのでした。

講演内容は自分の興味を強く刺激する話題が多く、とても参考になりました。特に自分がこれまでに3Dモデルを作成して観察した土偶についてあらためてその意義について考えさせられるものが多くありました。


講演の様子

1 講演の内容

ア 土偶とは?

・縄文時代に創られた土人形

・土偶の大まかな流れ

ア-1 “土偶”の字義は?

・粘土で作られた人形の神像

ア-2 土偶の種類

・製作技法や素材による分類

・特徴的な装飾や形状による分類

ア-3 各期の土偶

イ 土偶の型式編年とは?

・全国土偶型式編年表(原田案)

・発生期の土偶

・中期の土偶

・後・晩期の土偶

・山形土偶の系列

・みみずく土偶の変遷

・千葉市における土偶の変遷

イ-1 土偶をめぐる様々な説

イ-2 土偶はみんな同じ?

・土偶の本質は、さまざまなのでは?

ウ 千葉市の土偶を紹介します

・内野第1遺跡の土偶の意義

・土偶の研究方法とは?

・山形土偶

・みみずく土偶

・中空土偶

・土偶の接合関係に意味はあるのか?

・内野第1遺跡の土偶の在り方は?

・まとめ


講演資料表紙(土偶写真豊富な全カラー16ページ資料)

以下、自分が特段に持った興味・感想をメモします。(順不同)

2 土偶には様々な原理があるという考え

講演では長原先生が「土偶には様々な原理があり、単一の用途・目的でつくられたものではない」という考え方を述べられたと理解しました。その考えに共鳴しました。趣旨の異なる土人形を「土偶」という言葉(概念)でくくってしまっているため、その言葉に縛られてしまい、異なる趣旨を見分けることが出来ないでいるという研究現状認識です。

3 加曽利貝塚出土円錐形土偶について


縄文後期初頭円錐形土偶(加曽利貝塚北貝塚) 加曽利貝塚博物館常設展展示

この土偶が発掘後30年位経ってからの出土物再整理で「発見」されたというエピソードを聞くことができました。この土偶の意義について、とても強い興味が再び湧きおこりました。


講座における説明風景

参考 3Dモデル掲載記事 2020.06.19記事「円錐形土偶の乳房間縦沈線の意義

4 加曽利貝塚出土土偶と「仮面の女神」土偶との類似性

昨年加曽利貝塚から出土した逆三角形顔の土偶と国宝土偶「仮面の女神」との類似性が指摘されました。驚くべき情報です。講演を聞きながら心臓がバクバクしてしまいました。チャンスがあれば逆三角形顔の加曽利貝塚出土土偶の3Dモデルをつくりたいものです。


講座における加曽利貝塚出土土偶と国宝土偶「仮面の女神」との類似性指摘


加曽利貝塚出土土偶(2022.02.19 千葉市生涯学習センターロビー展示で撮影)


加曽利貝塚出土土偶(2022.02.19 千葉市生涯学習センターロビー展示で撮影)

参考 仮面の女神3Dモデル掲載記事 2020.03.20記事「国宝土偶「仮面の女神」注記付き3Dモデルと想像的解釈

5 内野第1遺跡土偶の分布研究

内野第1遺跡から土偶が395点出土していて、数は千葉市内1位、千葉県内2位、全国的に見ても有数(100点以上出土遺跡全国で20弱)です。この多数土偶の分布分析が行われていて、その一端が講演で紹介されました。とても興味が湧く研究です。その論文を入手できればぜひとも学習してみたいものです。


講座における内野第1遺跡土偶分布説明の様子

6 子和清水遺跡出土土偶が肩パット土偶に対比される

千葉市子和清水遺跡は趣味活動を始めた11年前に興味を持った遺跡で、遺跡の地形にも興味を持ち、またその出土物を千葉市埋蔵文化財調査センターで閲覧したことがある遺跡です。多数のブログ記事を書きました。その子和清水遺跡から土偶が出土していて、それが肩パット土偶であるというのですから驚きです。興味が深まりドキドキしてしまいました。


講座における子和清水遺跡出土土偶と肩パット土偶説明の様子


子和清水遺跡出土土偶実測図

子和清水遺跡発掘調査報告書から引用

参考 2011.09.13記事「子和清水遺跡の出土物閲覧1

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