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2024年6月10日月曜日

加曽利E式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

 3D model of observation record of Kasori E-type pottery (Chiba city,Kasori shell mounds)


I created a 3D model of the observation record of Kasori E-type pottery (Chiba city,Kasori shell mounds) that is exhibited at the Kasori Shell Mound Museum's 2023 excavation survey report exhibition. The spiral pattern drawn on the rim is a symbol shared by the Jomon people in the Kasori E-type pottery area. I would like to know the meaning of the spiral pattern. Has anyone figured it out?


加曽利貝塚博物館の令和5年度発掘調査速報展に展示されている加曽利E式土器(千葉市加曽利貝塚)の観察記録3Dモデルを作成しました。口縁部に描かれる渦巻文は加曽利E式土器圏縄文人が共有するシンボルです。渦巻文の意味を知りたいです。どなたかが解明しているのでしょうか?


1 加曽利E式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

加曽利E式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

縄文時代中期後葉

北貝塚38号土坑出土

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和5年度発掘調査速報展

撮影月日:2024.05.28


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.529 processing 93 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ・感想

3-1 加曽利貝塚北貝塚における土器型式例出土位置

展示では北貝塚における主要土器型式例の出土地図が表示されていて、北貝塚の発達史、利用史に対する興味が掻き立てられる仕掛けになっています。


加曽利貝塚北貝塚における土器型式例出土位置

3-2 渦巻文の意味


渦巻文

口縁部に描かれる渦巻文は加曽利E式土器圏縄文人が共有するシンボルです。渦巻文の意味を知りたいです。どなたかが解明しているのでしょうか?


2024年4月7日日曜日

埋め甕(加曽利E式土器)(駒ケ根市的場・門前遺跡)観察記録3Dモデル

 Burial jar (Kasori E-style pottery) (Komagane City,Matoba/Monzen site) Observation record 3D model


I had fun creating a 3D model of a burial jar (Kasori E-style pottery) that is on display at the “Collection Exhibition” currently being held at the Komagane City Museum. It's strange to see Kasori E-style pottery in Komagane, a place far away from Shimousa, because it gives me a nostalgic feeling.


駒ケ根市立博物館で開催中の「館収蔵品展」に展示されている埋め甕(加曽利E式土器)の観察記録3Dモデルを作成して楽しみました。下総から遠く離れた駒ケ根の地で加曽利E式土器を見ると、懐かしさを感じるので不思議です。

1 埋め甕(加曽利E式土器)(駒ケ根市的場・門前遺跡)観察記録3Dモデル

埋め甕(加曽利E式土器)(駒ケ根市的場・門前遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代中期後葉

撮影場所:駒ケ根市立博物館2024年「館収蔵品展」

撮影月日:2024.03.28


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.517 processing 93 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ


発掘調査報告書掲載実測図

発掘調査報告書実測図表題は「第101図 的場第33号住居址覆土下層出土土器(但し、6は覆土層に正立して出土」となっているので、この土器が覆土層から正立して出土した埋め甕であることが確認できます。

この土器には磨消懸垂文があるので、加曽利EⅡ式土器であると考えます。

4 感想

毎日加曽利E式土器の学習をしているので、加曽利E式土器には十分に馴れています。しかし、下総から遠く離れた駒ケ根の地で、加曽利E式土器を見ると「懐かしさ」の感情が生まれるので不思議です。この土器は1関東から運ばれてきたものでしょうか、それとも2関東からやってきた人が駒ケ根で作成したものでしょうか。あるいは3駒ケ根在住縄文人が運ばれてきた見本品を見て作成したものでしょうか。理由は意識化できませんが、1のような直観がします。


2022年5月23日月曜日

加曽利E式土器 対向系横位連携弧線文土器 外

 Kasori E type pottery     Facing system horizontal cooperation arc line pottery, etc.


Of the 22 Kasori E-type pottery, I observed the facing system horizontal cooperative arc line pottery and others. The observation was performed by arranging the 3D model front ortho-projection image and the pattern diagram developed by GigaMesh Software Framework side by side.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE…」展示土器のうち対向系横位連携弧線文土器外について、3Dモデル正面オルソ投影画像とGigaMesh Software Frameworkで展開して作成した文様図を並べてみました。

1 対向系横位連携弧線文土器外の集成


対向系横位連携弧線文土器外

各土器画像資料の左は3Dモデル正面オルソ投影画像、右はGigaMesh Software Frameworkで展開した図に縄文施文域を緑色に塗色した画像です。


参考 22土器の中での対向系横位連携弧線文土器外の位置

2 加曽利EⅢ式の対向系横位連携弧線文土器


加曽利EⅢ式深鉢(No.25)(千葉市中薙遺跡)

土器の括れた部分で弧線文が上下で対向します。2つの弧線文の対向位置は全て同じ方向に微妙にずれます。

3 加曽利EⅣ式の対向系横位連携弧線文土器


加曽利EⅣ式深鉢(No.36)(千葉市餅ヶ崎遺跡)

上下の弧線文の数が異なります。2つの弧線文の対向位置は微妙にずれますが、そのずれる方向はバラバラのようです。上下弧線文の先端を微妙にずらして表現する行為は、縄文人世界観と関連しているものと想像します。

4 加曽利EⅤ式の全面縄文土器


加曽利EⅤ式深鉢(No.15)(千葉市上谷津第2遺跡)

全面縄文としていて、文様を施文することがない製品であり、簡易的な用途に使われたと想像します。少なくとも「心を込めた調理」をする土器とくらべたら、ランクの低い活動用道具だと考えます。なお、土器展示正面下部だけ縄文のすり減りが激しくなっています。この土器を利用する際にどこかを「正面」として認識していて、炉との位置関係がいつも同じだったので、特定場所のすり減りが激しかったのだと想像します。

5 加曽利EⅤ式の区画文土器


加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.21)(千葉市すすき山遺跡)

4つ並んだ区画文のうち左から2番目が意匠充填系土器の円文、その両側が逆三角形文のように感じることができます。この土器は意匠充填系土器の流れに位置付けることができるのかもしれません。

6 加曽利EⅤ式の両耳壺


加曽利EⅤ式両耳壺(No.2)(千葉市愛生遺跡)

沈線で描かれた模様が噴水を表現する記号(水瓶であることを示す記号)であると考えました。


愛生遺跡出土両耳壺模様の解釈

7 称名寺式のJ字文

7-1 称名寺式土器(千葉市内野第1遺跡)


称名寺式土器(千葉市内野第1遺跡)

7-2 称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)


称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)

8 称名寺式の波状文


称名寺Ⅰ式深鉢(千葉市加曽利南貝塚)

9 メモ

今回作成した3Dモデルで対向系横位連携弧線文土器の例は結果として2つだけとなりました。展示土器に対向系横位連携弧線文土器が少なかったようです。加曽利EⅣ式期とその前後において、対向系横位連携弧線文土器、入組系横位連携弧線文土器、意匠充填系土器の出土量の割合がどのようになるのか、空間的(地理的)分布はどうなのかなどの基本的情報を残念ながら自分は知りません。今年度加曽利貝塚博物館の「あれもE…」企画展に向けて学習を深めて行きたいと思います。


2022年5月22日日曜日

加曽利E式土器 入組系横位連携弧線文土器

 Kasori E type pottery  Horizontal cooperation arc line pottery


Of the 22 Kasori E type pottery, I arranged a 3D model front ortho-projection image and a pattern diagram developed with the GigaMesh Software Framework to give an overview of the transition of the intricate horizontal cooperation arc line pottery. There is an example of the pattern reversal transcription of the horizontal cooperation arc line pattern of the enrollment system in the Syomoji type pottery.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE…」展示土器のうち入組系横位連携弧線文土器について、3Dモデル正面オルソ投影画像とGigaMesh Software Frameworkで展開して作成した文様図を並べてその変遷を概観しました。称名寺式土器に入組系横位連携弧線文の文様反転転写の例があります。

1 入組系横位連携弧線文土器の集成


入組系横位連携弧線文土器

各土器画像資料の左は3Dモデル正面オルソ投影画像、右はGigaMesh Software Frameworkで展開した図に縄文施文域を緑色に塗色した画像です。


参考 22土器の中での入組系横位連携弧線文土器の位置

2 加曽利EⅣ式の入組系横位連携弧線文土器

2-1 加曽利EⅣ式深鉢(No.30)(千葉市餅ヶ崎遺跡)


加曽利EⅣ式深鉢(No.30)(千葉市餅ヶ崎遺跡)

波頂部に対応した場所に胴部全体に細長い弧線文が描かれます。弧線文の間には胴部上部に逆三角形状の文様が描かれます。

2-2 加曽利EⅣ式深鉢(千葉市加曽利貝塚)


加曽利EⅣ式深鉢(千葉市加曽利貝塚)

30番土器と同じパターンの文様をしています。土器器形は一見して口縁部波状突起はみられませんが、よく見ると4つの小突起が平滑な口縁部に付いています。入組系横位連携弧線文という文様を描くためには、例え平滑な口縁部であっても、小突起は必須要件だったようです。

2-3 加曽利EⅣ式深鉢(No.27)(千葉市餅ヶ崎遺跡)


加曽利EⅣ式深鉢(No.27)(千葉市餅ヶ崎遺跡)

この土器も30番土器と同じパターンの文様をしています。

3 加曽利EⅤ式の入組系横位連携弧線文土器

3-1 加曽利EⅤ式深鉢(No.39)(千葉市六通貝塚)


加曽利EⅤ式深鉢(No.39)(千葉市六通貝塚)

30番土器のパターンに胴部下部弧線文が追加されたパターンになっています。

3-2 加曽利EⅤ式深鉢(No.34)(千葉市餅ヶ崎遺跡)


加曽利EⅤ式深鉢(No.34)(千葉市餅ヶ崎遺跡)

30番土器と同じパターンの文様です。

3-3 加曽利EⅤ式深鉢(No.19)(千葉市上谷津第2遺跡)


加曽利EⅤ式深鉢(No.19)(千葉市上谷津第2遺跡)

30番土器と同じパターンの文様です。

4 称名寺式の入組系横位連携弧線文土器


称名寺Ⅰ式深鉢(No.11)(千葉市海老遺跡)

39番土器にみられる文様パターンを反転させた文様を描いています。


入組系横位連携弧線文の反転の様子

5 感想

胴部上下にわたる弧線文が小突起に対応し、逆三角形文様がその間を埋めることから、弧線文がメインのテーマ、逆三角形文は埋め草としての補助テーマと考えます。

入組系横位連携弧線文土器の文様変異の幅はあまりみられません。加曽利EⅣ式頃の定番文様の1つだったようです。この文様に対応した縄文人の観念(イメージとか物語とか)が存在していたに違いありません。それは意匠充填系土器や対向系横位連携弧線文土器に対応する観念とは異なっていたことは間違いありません。


2022年5月21日土曜日

加曽利E式土器 意匠充填系土器

 Kasori E type pottery  Design filling type pottery


Of the 22 pottery observed, the transition of the design filling pottery was reviewed by arranging the 3D model front ortho-projection image and the pattern diagram developed by the GigaMesh Software Framework. It seems that the vortex shape of the main theme changes to a circular shape or a spindle shape.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE…」展示土器のうち意匠充填系土器について、3Dモデル正面オルソ投影画像とGigaMesh Software Frameworkで展開して作成した文様図を並べてその変遷を概観しました。メインテーマの渦形が円形や紡錘形に変化するようです。

1 意匠充填系土器の集成


意匠充填系土器

各土器画像資料の左は3Dモデル正面オルソ投影画像、右はGigaMesh Software Frameworkで展開した図に縄文施文域を緑色に塗色した画像です。


参考 22土器の中での意匠充填系土器の位置

2 加曽利EⅢ式の意匠充填系土器

2-1 加曽利EⅢ式深鉢(No.26)(千葉市芳賀輪遺跡)


加曽利EⅢ式深鉢(No.26)(千葉市芳賀輪遺跡)

大きな渦巻が上段に、下段に細長い楕円が縄文で描かれます。上段で渦巻のパターンに含まれない細長い逆三角形状の縄文施文域が存在しますが、それはこの土器の正面(などの特定位置)を示す意味のある文様だと想像します。(土器全体を観察できて、またおこげなどの様子を観察できれば、この仮説に関する資料が得られると考えます。)

2-2 加曽利EⅢ式深鉢(千葉市加曽利貝塚)


加曽利EⅢ式深鉢(千葉市加曽利貝塚)

渦巻は波頂部に対応していて、上段だけではなく下段にまで続きます。

3 加曽利EⅣ式の意匠充填系土器


加曽利EⅣ深鉢(No.35)(千葉市餅ヶ崎遺跡)

波頂部に対応して上段に大きな楕円が描かれていて特徴的な図柄となっています。球抱文土器とも言われる文様で加曽利EⅣ期の特徴のようです。「加納実(1994):加曽利貝塚EⅢ・Ⅳ式土器の系統分析、貝塚博物館紀要21」では玉抱文土器について次のように記述しています。

「玉抱文土器群の成立は、弧線文が横位連携効果を有しており、球状意匠が充填されるものの、アクセント部の描出に乏しいことから、横位連携弧線文土器の影響を強く受けた意匠充填系土器群(紡錘状の円形意匠を有する土器群)であるとおもわれる。」

4 加曽利EⅤ式の意匠充填系土器

4-1 加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.28)(千葉市餅ヶ崎遺跡)


加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.28)(千葉市餅ヶ崎遺跡)

玉抱の意匠充填系土器として把握できると考えます。加曽利EⅣ深鉢(No.35)(千葉市餅ヶ崎遺跡)の文様の下段を反転させた文様です。


No.35土器とNo.28土器の文様反転関係

4-2 加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.29)(千葉市餅ヶ崎遺跡)


加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.29)(千葉市餅ヶ崎遺跡)

玉抱の意匠充填系土器です。細長い楕円となった玉が波頂部と波底部に配置されています。

4-3 加曽利EⅤ式・称名寺式深鉢(No.37)(千葉市餅ヶ崎遺跡)


加曽利EⅤ式・称名寺式深鉢(No.37)(千葉市餅ヶ崎遺跡)

波頂部に小さな紡錘が描かれているので、意匠充填系土器とも言えると考えました。この土器は全面縄文施文の上に多数の沈線を描いていて、土器づくり初心者が練習で沈線を描いた土器(練習台)と想像しました。


参考 展示資料

5 称名寺式の意匠充填系土器


称名寺Ⅰ式深鉢(No.3)(千葉市愛生遺跡)

中空の大きな紡錘が波頂部に対応して描かれていますが、意匠充填系土器の流れのデザインであると考えました。

6 感想

意匠充填系土器という観点で3Dモデル資料をみてみると、メインテーマとなるデザインが渦巻→円形→紡錘と変化しているようにみえます。今後観察資料を増やして、このような理解でよいか気長に検証していくことにします。


2022年5月20日金曜日

加曽利E式土器 文様

 Kasori E type pottery pattern


The 3D model of 22 Kasori E type pottery was developed with GigaMesh Software Framework and painted in a pattern. Looking at the thumbnail collection, I am curious about why multiple patterns coexist. Is the difference in pattern the difference in origin?


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE…」展示土器のうち3Dモデルを作成した22器について、GigaMesh Software Frameworkで展開して、文様に色塗りした画像のサムにネイル集を作成しました。この資料を見て思い浮かぶ感想をメモしました。

1 GigaMesh Software Frameworkによる3Dモデル展開と文様塗色 画像サムネイル


GigaMesh Software Frameworkによる3Dモデル展開と文様塗色 画像サムネイル

縄文施文域を緑透過色で表現しています。塗色していないものが1点、塗色の色使いが少し異なるものが1点ありますので、今後追補作業をすることにします。

画像サムネイルの順番は次の資料と同じです。


加曽利E式土器型式大きさ文様

2 文様に関する感想

2-1 意匠充填系土器について

・意匠充填系土器の文様の最大の特徴は大きな渦巻文やそれに通じる大きな円文や楕円文のようです。

・意匠充填系土器が4つの型式で出現するので加曽利E式期から称名寺式期まで継続して使われた基本的な文様であることが判ります。意匠充填系土器の文様が変異変化したと考えられるものが加曽利EⅤ式、称名寺式に出現するのでこの文様は加曽利E式期を生き延び、称名寺式の文様に自らを変化させながら同化していった(影響を与えた)と考えることができます。

・意匠充填系土器がA(容量特大)、C(容量中)で出現するので、特大土器に特徴的な文様であるという考えは成り立たないようです。つまりどのような用途の土器にも使われて汎用性のある文様であると考えることができそうです。

・意匠充填系土器には器形が口がすぼまったもの(キャリパー形)が多いので、器形と文様の相関がありそうです。器形-文様のセットが存在するとすれば、そのセットはどうしてできたのか(どのような事象と相関しているのか)興味が湧きます。

2-2 入組系横位連携弧線文土器について

・入組系横位連携弧線文土器が3つの型式で出現します。加曽利EⅢ式期にもこの文様はありますから、意匠充填系土器と同じように加曽利E式期から称名寺式期まで継続して使われた基本的な文様であることがわかります。

・入組系横位連携弧線文土器がA(容量特大)、B(容量大)、C(容量中)、D(容量小)で出現します。このことから、入組系横位連携弧線文土器は土器のある大きさに限定されない文様であることが判ります。

・称名寺式期に入組系横位連携弧線文のデザインをあしらったデザインがみられ、注目できます。文様そのものを描いたというよりも、立体空間の中で入組系横位連携弧線文土器を客観視した時にみることができる意匠(例えば画像に焼き付けた時の意匠)が描かれています。

・入組系横位連携弧線文土器は器形がラッパ形(非キャリパー形)のものばかりであり、文様と器形の相関がありそうです。

2-3 対向系横位連携弧線文土器について

・対向系横位連携弧線文土器は加曽利EⅢ式とEⅣ式に出現します。EⅤ式と称名寺式に出現しないのは展示物選定の際の事情によるたまたまのことなのか、文様としての盛衰に関係するのか、興味が湧きます。

2-4 その他

・意匠充填系とJ字文が同時に描かれる土器があり、同時期同空間同一人が異なる文様を描いていて、使っていたことがわかります。

・両耳壺の文様は一般的文様ではなく、湧泉記号(用途を特定する記号)を描いていると考えます。

2-5 妄想

以前大膳野南貝塚発掘調査報告書を詳しく分析学習した時、前期後葉集落のことですが、浮島式土器が優勢の竪穴住居と諸磯式土器が優勢の竪穴住居、浮島式土器と諸磯式土器が半々に出土する竪穴住居がありました。その解釈として、浮島式土器を使う数家族、諸磯土器を使う数家族、婚姻により双方の土器を使う数家族が一つの集落を形成していると考えました。その時、土器型式と出自は密接に関連している可能性を学びました。

この過去の学習を踏まえると、意匠充填系土器を使う系統の家系、入組系横位連携弧線文土器を使う系統の家系など系統の違う(出自の違う)家系が複数存在していて、それらが相互に婚姻関係をもって地域社会が成り立っていた可能性を考えることができるかもしれません。複数並立して存在する土器文様はそれをつくる家族の出自に関連しているのかもしれません。


2022年5月19日木曜日

加曽利E式土器 型式・大きさ・文様

 Kasori E type pottery   type, size, pattern


For the 22 Kasori E type pottery, I have created a document that displays the data of the height and capacity of the pottery by type and also supports the pattern classification. And I wrote down the impressions that came to me. There are three main patterns.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE…」展示土器のうち3Dモデルを作成した22器について、器高・容量のデータを型式別に分けて表示し、同時に文様分類も対応させた資料をつくり、浮かぶ感想をメモしました。

1 加曽利E式土器型式大きさ文様


加曽利E式土器型式大きさ文様

土器の大きさ(器高・容量)から土器が4つに分類できることを想定しましたが、その分類と型式(時期)との関係はサンプル数が少ないので統計的な意味を汲み取ることは到底むりだと考えました。

ところが、文様データを加えると、文様と型式あるいは大きさとの関係について興味をそそる情報がいくつも浮かび上がってきました。この記事で基本的な文様について確認します。

2 文様分類資料

次の資料に基づいて、文様を分類することにします。


意匠充填系土器


横位連携弧線文土器

3 主な文様

主な文様3つについて代表事例を見てみます。

3-1 意匠充填系土器


加曽利EⅣ式深鉢(No.35)(千葉市餅ヶ崎遺跡)3Dモデル正面オルソ投影


加曽利EⅣ式深鉢(No.35)(千葉市餅ヶ崎遺跡)GigaMesh Software Frameworkによる展開と文様塗色

意匠充填系土器が6つ(関連文様含む)あります。

3-2 入組系横位連携弧線文土器


加曽利EⅤ式深鉢(No.39)(千葉市餅ヶ崎遺跡)3Dモデル正面オルソ投影


加曽利EⅤ式深鉢(No.39)(千葉市餅ヶ崎遺跡)GigaMesh Software Frameworkによる展開と文様塗色

入組系横位連携弧線文土器が7つ(関連文様含む)あります。

3-3 対向系横位連携弧線文土器


加曽利EⅣ式深鉢(No.36)(千葉市餅ヶ崎遺跡)3Dモデル正面オルソ投影


加曽利EⅣ式深鉢(No.36)(千葉市餅ヶ崎遺跡)GigaMesh Software Frameworkによる展開と文様塗色

対向系横位連携弧線文土器が2つあります。

3-4 その他

3-1~3-3以外の文様として、全面縄文、区画文、波状文、J字文、湧泉記号があります。

文様と大きさ(器高・容量)、型式の関係等について次の記事で検討します。