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2024年12月19日木曜日

千葉市人形塚古墳地割線の意味解明学習のまとめ

 Summary of learning to clarify the meaning of the Ningyozuka Kofun land division line in Chiba City


Since autumn, I have been working intensively on learning to clarify the meaning of the Ningyozuka Kofun land division line in Chiba City, and I have finally reached a conclusion and summarized my findings in a learning review.


秋以降、千葉市人形塚古墳地割線の意味解明学習に集中的に取組んできましたが、ようやく結論に達し、その様子を学習感想文としてまとめました。

1 千葉市人形塚古墳地割線の意味解明にチャレンジする

千葉市人形塚古墳地割線の意味解明にチャレンジする

A4、6頁


画像(1頁目)

2 メモ

「千葉市人形塚古墳地割線の意味解明にチャレンジする」は2024年12月17日におゆみ野歴史愛好会で話題提供した時の配布資料です。学習感想文です。

要約

・これまで一部不明だった地割線の計画設計線としての意味が全て判明しました。

・同時に全ての地割線に施工実用性がないことも明らかになりました。

・施工実用性のない地割線を描いた理由は、視葬者(はぶりのつかさ)検査に対応するためだったと解釈しました。

・古墳を巡る内周溝、外周溝には流水が導水・管理され、庭園風景造成が確認できました。

・当時の人形塚古墳プロジェクトのプロセスについて考察しました。



2024年12月15日日曜日

千葉市人形塚古墳地割線の意義

 The significance of the Chiba City Ningyozuka Kofun land division line


It is believed that the Chiba City Ningyozuka Kofun land division line was drawn to pass the size inspection of the kofun by the Haburi no Mikoto, the ritual administrator of the kofun, who was dispatched by the Yamato royal authority.


千葉市人形塚古墳地割線が描かれたのは、ヤマト王権から派遣された古墳儀礼管理者である視葬者(はぶりのみこと)の古墳大きさ検査に合格するためだったと考えます。

1 千葉市人形塚古墳地割線の意義

1-1 地割線の計画設計線としての意味

千葉市人形塚古墳地割線の計画設計線としての意味は全て判明しました。

2024.12.06記事「千葉市人形塚古墳地割線の検討 後円部内円

2024.12.08記事「千葉市人形塚古墳地割線の検討 後円部外円

2024.12.14記事「千葉市人形塚古墳地割線の検討 前方部

同時に全ての地割線に施工実用性がないことも判明しました。

1-2 施工実用性のない地割線が描かれた理由

施工実用性のない地割線(計画設計線)が古墳築造直前に描かれた理由を次のように想定します。

1) 視葬者(はぶりのつかさ)検査に合格するため

 ヤマト王権から派遣される古墳儀礼の統括管理者・機関である視葬者(はぶりのつかさ)は、造成される古墳の大きさが、被葬者に与えられた規格値序列に合致しているかどうか、事前現場検査していたと想定できます。被葬者サイドは墳丘範囲で整地してA~F線を描き、特にF線を描くことで後円部直径の実測ができるようにして準備したと考えます。これが実用性がない地割線を描いたメイン理由と考えます。

2) 段階施工に関する工事関係者共通認識を深めるため

 盛土工事では圧密沈下に伴う変形などに対処するために段階施工することが一般的です。人形塚古墳では土層断面図から2段階施工であったことが想定できます。くびれ部高さ(38.2m)までの盛土(半築古墳)で一旦工事を中断して圧密沈下の収束を数か月以上待ち、盛土安定化を図ったと考えられます。その半築古墳範囲を示すのがA線とC線です。設計・施工管理集団が被葬者サイド(盛土役務実行部隊)に伝えたかった重要情報であると考えます。これが実用性のない地割線を描いたサブ理由と考えます。


地割線の意義

2 地割線意義検討から浮かび上がる古墳関係者

横穴式石室と埴輪を除いた古墳本体の築造に関して、地割線意義検討から次の3者が関係者として浮かび上がりました。

・設計施工管理集団(渡来系専門家集団)

・視葬者(ヤマト王権)

・被葬者一族(盛土実働部隊)


地割線からみた人形塚古墳に関わる主要関係者

3 感想

所領の小さい被葬者(首長)が、望外の前方後円墳築造許可、埴輪使用許可を得て、一世一代のプロジェクトとして人形塚古墳プロジェクトに取り組んだと想像します。被葬者が設計管理集団に地割線描画を依頼し、描画された地割線を視葬者(はぶりのみこと)に見せるだけでなく、近隣の仲間(近隣の首長)にも見せたと想像します。これからつくる古墳について大いに自慢し、自分がヤマト王権と密接にリンクしている様子を人々に印象付けたと想像します。


2024年12月14日土曜日

千葉市人形塚古墳地割線の検討 前方部

 Examination of the Chiba City Ningyozuka Tomb Land Division Lines - Front Part


Of the six Chiba City Ningyozuka Tomb Land Division Lines, four of the front part land division lines were examined, and their significance as planned design lines was clarified. Two of them are shoulder lines of the half-built tomb.


千葉市人形塚古墳地割線6本のうち、前方部地割線4本について検討し、計画設計線としての意味が判明しました。うち2本は半築古墳の肩線です。

1 地割線の呼称


地割線の呼称

2 前方部地割線の観察

古墳築造前の整地面に描かれた地割線を発掘時古墳3Dモデルに投影して観察しました。


発掘時古墳3Dモデルに投影した地割線 左側


発掘時古墳3Dモデルに投影した地割線 右側

この観察により、A~D線の計画設計線としての意味が次の通り判明しました。

2-1 A線とC線

地割線の内、A線とC線は発掘時古墳3Dモデルで上段斜面途中の標高38.2m付近に位置します。

この標高38.2mは後円部と前方部の境のくびれ部の高さに該当します。

そして、このくびれ部の高さで盛土が一度整地的平面を形成したことが土層断面の考察(発掘調査報告書の考察)から判明しています。

盛土施工では盛土の圧密沈下による変形や災害を防止するため、一般に段階施工が行われます。つまりある程度盛土した時点で、盛土を休止し、盛土の圧密沈下を待ち、ある程度圧密沈下が促進したところで次の盛土を行うことが一般的です。こうした盛土施工技術から、人形塚古墳でも一気呵成に古墳築造がおこなわれたのではなく、段階施工され、それは2段階であり、その高度が38.2mであったことが考えられます。つまり、A線とC線は半築古墳の肩線を表示していると考えることができます。


半築古墳の肩線にA線、C線が対応する様子


A線、C線の高さ

2-2 B線

B線は前方部頂部(天端)の左肩線と考えることができます。


B線が前方部頂部(天端)左肩線である様子を示す立体図 垂直比率:×3.0

2-3 D線

D線は古墳右にだけ存在する上部テラス(37.5m)の肩線です。


D線が上部テラス肩線を示す様子

3 メモ

前方部4本の地割線の計画設計線としての意味が全て判明しました。

A線とC線は左右対応する線で、古墳に投影すると墳丘上段斜面途中に位置するためその意味がこれまで不明でした。しかし、半築古墳(盛土段階施工における盛土休止状態の古墳)という概念導入によりその意味が解明できました。

B線が前方部頂部(天端)の左肩線である可能性はすでに論文「沼澤豊「千葉市人形塚古墳のいわゆる地割線について」(研究連絡誌、2008)」で触れられています。(しかし、結論としてA~C線は何らかの計画設計線であるという表現でまとめられています。)

D線がテラス肩線である可能性もすでに沼澤論文で触れられています。今回の3Dモデルによる検討で、D線は古墳右にだけしか存在しない上部テラスの肩線であることが判明しました。右側にだけ上部テラスが設けられたのは埴輪展示のスペクタクル観を醸し出すための特別の工夫であると考えることができます。形象埴輪は古墳右側のテラス、上部テラス、前方部頂部に展示されています。

なお、前方部の地割線も盛土が始まると全て埋もれてしまいます。従って施工実用性はありません。地割線の意味は後円部、前方部含めて、全て計画設計線ですが、全ての線に施工実用性がないことがわかりました。


2024年12月8日日曜日

千葉市人形塚古墳地割線の検討 後円部外円

 Examination of the land division lines of Ningyozuka Kofun in Chiba City - Outer circle of the rear mound


Of the six land division lines of Ningyozuka Kofun in Chiba City, I have examined the outer circle of the rear mound. The land division lines are unrelated to the shape of the mound at that point and have no practical use for construction. The assumed outer circle is the boundary line of the mound, but it was found that it was not drawn as a land division line.


千葉市人形塚古墳地割線6本のうち、後円部外円について検討しました。出土地割線はその箇所の墳丘形状とは無関係で、施工実用性はありません。想定される外円は墳丘境界線ですが、それは地割線として描かれなかったことが判明しました。

1 地割線の呼称


地割線の呼称

2 整地面範囲の詳細検討

次の3資料を対照させながら詳細に検討し、整地面の分布について検討しました。


地割線出土空中写真

左は生の地割線出土状況、右は地割線を現場で塗色した状況

千葉県教育委員会所蔵


墳丘出土空中写真(表土流土を除去した古墳写真)

地割線を投影描画している 千葉県教育委員会所蔵


土層断面図 発掘調査報告書掲載

その結果、次の整地面分布を作成することができました。


整地面分布図

3 メモ

整地面(地割線が描かれた、古墳築造直前の人工造成面)は旧地表面の上に約10cmの黒土を盛土して造成されています。この整地面は墳丘形状でつくられたことが整地面分布図から判明しました。

広い整地面がつくられ、その場所に地割線外円(F線)が全部描かれ、その地割線を手がかりにして掘削し、墳丘形状に仕上げたのではないのです。

設計図にある外円情報を基に整地面を造成し、地割線は墳丘形状に無関係な部分だけ描いたのです。

この事実から、発掘調査報告書、沼澤論文で指摘する地割線外円(F線)の施工実用性の論拠は完全に崩れます。

逆に墳丘形状に無関係な地割線外円(F線…下図の実線部分)をわざわざ描いた理由を見つける必要があり、重要な検討になります。その場の墳丘造成に無関係な設計線(外円の一部)を描いた特段の理由を説明しなければなりません。


地割線の立体分布

2024年12月6日金曜日

千葉市人形塚古墳地割線の検討 後円部内円

 Examination of the land division lines of Ningyozuka Kofun in Chiba City - Inner circle of the rear mound


Of the six land division lines of Ningyozuka Kofun in Chiba City, I have examined the inner circle of the rear mound. As described in the excavation report, it is a line at the foot of the upper part of the mound (a line at the end of the mound), but it has been found that it is not practical for construction.


千葉市人形塚古墳地割線6本のうち、後円部内円について検討しました。墳丘上段裾線(法尻線)であることは発掘調査報告書に記述されている通りですが、施工実用性がないことが判明しました。

1 地割線の分布


地割線の分布(整地面から出土した地割線を発掘時空中写真に投影表示した分布図)
(地割線は墳丘を全て除去した後に出現した古墳時代整地面から出土しています)
空中写真は千葉県教育委員会所蔵

地割線にA~Eの呼称を付けました。E線が後円部内円地割線です。

2 地割線の立体表示

これまでの検討で、後円部地割線が指示する高さは次の通り基準単位(24等分値)毎に理解できます。(人形塚古墳の基準単位(24等分値)は約1.03m)


後円部高さの模式的理解

この理解に基づいて地割線を3D空間のなかで表示すると次のようになります。


地割線の立体表示 空中写真は千葉県教育委員会所蔵

3 内円地割線(E線)の意味

内円地割線が墳丘上段裾線(法尻線)を示す設計線であることは既に発掘調査報告書、沼澤論文で指摘されています。

墳丘上段裾線(法尻線)は次の図の通り破壊されにくい特性があり、実際にその特性の通り築造時の姿形状で出土したことはとても重要な情報です。その高さ(37.2m)が地割線が指示する高さ検討の出発つ点となる最重要情報です。


墳丘上段裾線(法尻線)の特性

4 内円地割線(E線)の施工実用性

E線が描かれている整地面の高さは36.5mです。そしてE線が指示している高さは37.2mです。次の図に説明する通り、整地面に描かれたE線を使って上段墳丘盛土工事を開始することはできません。墳丘盛土斜面勾配は2割5分であり、盛土工事を開始するためには1.75m離れた場所に別の盛土開始線を描かなければなりません。


E線に施工実用性がない説明図

整地面に描かれてE線は設計線ですが、施工実用性の無い線であることが判明しました。

発掘調査報告書、沼澤論文ではともにE線を施工実用線としています。立体空間での検討が不足していたようです。

2024年10月23日水曜日

千葉市人形塚古墳 地割線の第2意義

 The second significance of the land division lines at Ningyozuka Tomb in Chiba City


Among the land division lines at Ningyozuka Tomb in Chiba City, there are some that have no practical use. I believe that this was necessary to pass the on-site inspection of the tomb construction conducted by the undertakers (Haburi no Tsukasa), the overall administrator and organization of the tomb rituals dispatched by the Yamato royal authority.


千葉市人形塚古墳地割線の中に実用性がない地割線があります。それはヤマト王権から派遣される古墳儀礼の統括管理者・機関である、視葬者(はぶりのつかさ)が行う古墳築造現場検査に合格するために、必要だったからと考えました。

1 千葉市人形塚古墳の地割線

千葉市人形塚古墳の地割線は、旧地表面に古墳外形の形状範囲で厚さ30cm程度の黒土盛土をして整地し、その整地面に描かれています。


地割線を描くために整地盛土した範囲と地割線

ベース写真は発掘調査報告書から引用

描かれた地割線は後円部では地割線内円e、前方部では地割線外円fと地割線a、b、c、dです。地割線の意義は次のとおり仮説しています。


模式断面図と地割線の位置

これらの地割線は地割線外円fを除いて、これからの古墳築造のために必要な実用的設計線です。しかし、地割線外円fはこれからの古墳築造には不用の線です。対応する造形上の傾斜変換線等がありません。

地割線外円fが示す円形は古墳の大きさを示す最も基本的な設計諸元です。しかしこの設計諸元は古墳外形として盛土整地面造成で使われていて、盛土整地面に描く必要はありません。一言でいえば、地割線外円fは実用性が全くない線です。(なお、地割線外円fと地割線bの交点は前方部墳丘天端の傾斜変換点になるので、重要です。しかし、その交点は地割線外円fを描かなくても得られる情報ですから、わざわざ地割線外円を描く必要はありません。)

2 千葉市人形塚古墳地割線の第2意義

千葉市人形塚古墳地割線に造形上必要性のない線がふくまれている理由を次のように考えました。

2-1 視葬者(はぶりのつかさ)(視喪者)による古墳大きさ検査に必要な情報であるため

古墳の大きさはヤマト王権が埋葬者の貢献度等を考慮してランク付して、最終的に決定されます。千葉市人形塚古墳の大きさ(後円部直径)は径18歩(24.7m)の規格値であると考えられています。(沼澤豊「千葉市人形塚古墳のいわゆる地割線について」(研究連絡誌、2008)による)

視葬者(はぶりのつかさ)(視喪者)[ヤマト王権から派遣される古墳儀礼の統括管理者・機関]あるいはその下部地方機関は、千葉市人形塚古墳の大きさが設定したランクの規格どおりであるか検査していることは間違いありません。書類検査だけでなく現場でその大きさを検査しているに違いありません。古墳外形を盛土整地して、そのうえに地割線を描いた段階で、検査を受ければ、視葬者に古墳の大きさや特徴を詳しく説明することができます。その際、後円部地割線外円を描いておけば、それが古墳直径を示す円の一部であり、検査で距離測定する場合にとても好都合です。後円部地割線外円を描いて置かなければ、現場でこれが古墳直径ですとわかりやすく説明することが困難です。

つまり、地割線外円fは築造工事には不用ですが、ヤマト王権の検査に合格するためには、必須の地割線であったと考えます。

2-2 地鎮祭に参加する要人に現場で古墳特性を理解してもらうため

古墳築造の地鎮祭が地割線が描かれた段階で行われた可能性があります。古墳外形がつくられ、設計主要線が地割線として描かれた段階で工事の成功や安全を祈願して地鎮祭を行い、その後本格的盛土工事に突入したと考えます。その際、地割線外円fを描いておけば、古墳設計概要を参加要人に理解してもらいやすくなります。散供場所の説明もしやすくなります。


地鎮祭の散供場所(空想)

3 感想

地割線の工事のための実用機能を第1意義、視葬者検査に対応するためなどの説明機能を第2意義としました。第2意義のために実用機能のない地割線を描いていることから、また、実用上必要な地割線が全部描かれていないことから、第2意義の役割が考える以上に大きかった可能性があります。



2024年10月18日金曜日

千葉市人形塚古墳の後円部地割線の意味検討

 Examining the meaning of the land division line of the circular rear mound of Ningyozuka Tomb in Chiba City


Based on the theory of Yutaka Numazawa, it was found that the outer circle of the land division line is the setting line for the size of the Tomb (circular rear mound), and the inner circle of the land division line indicates the base line of the second stage of the mound. The land division line is drawn on the old ground surface and indicates a different height shape.


沼澤豊氏の古墳設計原理復元理論に基づいて検討し、地割線外円はヤマト王権から指定された古墳大きさ(後円部円形)を設定する基準線分であり、地割線内円は第2段墳丘の裾線(法尻線)を示していることがわかりました。地割線は旧地表面に描かれ、別の高さの形状を指示しています。

1 千葉市人形塚古墳の地割線


千葉市人形塚古墳から検出された地割線(空中写真) 発掘調査報告書から引用


千葉市人形塚古墳から検出された地割線(等高線図投影図) 発掘調査報告書から引用

2 地割線検討の前提と学習のポイント

沼澤豊著「千葉市人形塚古墳のいわゆる地割線について」(千葉県教育振興財団文化財センター 研究連絡誌、 2008)で記述されている、沼澤豊氏が解明した「24等分値古墳設計原理」とも呼べる設計原理復元理論を大前提とします。そして、それを人形塚古墳に適用して分析した地割線分析結果(上記論文内容)を検討の基本とします。

ただし、上記論文を3Dモデルを使って詳細に検証すると、細部で異なる見方が可能であるので、その部分(沼澤豊氏が見落とした点など)を学習の主なポイントとします。

3 後円部地割線の意味検討

以下の記述の主部は次の記事を集成要約したものです。

2024.10.12記事「沼澤豊「千葉市人形塚古墳のいわゆる地割線について」学習

2024.10.14記事「沼澤豊氏が作成した千葉市人形塚古墳の設計原理復元図に感銘を受ける

2024.10.14記事「千葉市人形塚古墳の高さ基準及び地割線が平面設計図であること

3-1 沼澤豊氏作成人形塚古墳企画図(設計原理復元図)


沼澤豊氏作成人形塚古墳企画図(設計原理復元図)

この図は沼澤豊氏作成人形塚古墳企画図に上記論文における説明を書き込んだものです。

地割線外円の直径を24単位に設定すると、地割線内円は14単位ピタリになることなどが示されています。

この沼澤豊氏作成人形塚古墳企画図(設計原理復元図)に基づいて、以下の検討を進めます。

3-2 地割線内円について

3-2-1 地割線内円が示すものと高さ

地割線内円は後円部墳丘第2段斜面の裾線(法尻線)を示しています。


地割線内円が墳丘第2段斜面の裾線を示す3Dモデル画像


地割線内円が墳丘第2段斜面の裾線を示す平面図

内円の高さは37.2mと読みとることができます。設計上内円は高さ37.2m等値線として理念されていたと考えます。

3-2-2 地割線内円の高さの重大意義

墳丘第2段斜面の裾線は次の模式図に示すとおり、埋没することはあっても、削られる可能性はほとんどない地形です。つまり、墳丘第2段の裾線は築造時形状を保っていると考えられます。


墳丘第2段の裾線が築造時形状を保っている理由

このことから、墳丘第2段斜面の裾線の高さ37.2mは、古墳設計時高さ基準点から数えて整数倍の単位(1単位=24等分値=0.75歩=1.0275m≒約1.03m)が位置していたと考えられます。この情報は人形塚古墳を復元する上で重大な情報です。つまり、37.2mを起点にして上と下にそれぞれ1単位(1.03m)の整数倍に設計上の区切りがある可能を想定できるからです。

3-2-3 地割線外円が示すもの

地割線外円はヤマト王権から指示された古墳の大きさ、つまり後円部直径を決定する古墳築造者にとって最も基本となる重大な基準円周線分です。後円部直径を18歩≒24.7mに設定されていると捉え、それを24単位に区分すると、古墳形状諸元のほとんどの長さや幅を1単位の整数倍あるいは0.5単位の整数倍で把握できます。横穴式石室の玄室は丁度地割線外円内に収まっています。

沼澤理論に従い、地割線外円は内円より1単位下の36.2mに設定された等値線として、設計上は理念されていたと考えられます。実際の等高線図との関係では横穴式石室付近などで地割線外円が36.2mに一致します。

地割線外円は後円部直径を定める基準線であり、地形上は周溝の底から立ち上がる第1段階斜面の途中に位置し、地割線内円のように地形の変換線を意味していません。

しかし、よく観察すると、地割線外円より周溝側斜面は急であり、テラス側斜面は緩となっています。おそらく、地割線外円を意識して斜面勾配を変化させ、後円部直径を風景的にもわかるように築造されたものと推察します。


沼澤豊氏作成人形塚古墳企画図

3-2-4 地割線外円が旧地表面の掘込み開始線という説について

上記論文では地割線外円を「周溝掘り込み線」を示すとしています。これは旧地表面(高さ36.5m)に描かれた地割線外円から周溝を掘り始めたとい意味に解釈できます。しかし、沼澤理論から見ると、旧地表面(高さ36.5m)に描かれた地割線外円は高さ36.2mを意味しています。つまり、旧地表面に描かれた地割線外円を掘り込み開始線にしているわけではありません。


断面からみた、旧地表面に描かれた地割線外円を掘り込み開始線にしていない様子

上図で示す通り、地割線内円も旧地表面(高さ36.5m)に描かれていますが、その線が意味する高さは37.2mです。

つまり、旧地表面に描かれた地割線は、旧地表面の高さとは異なる高さで設定されていて、旧地表面における掘削開始線や盛土開始線を表現したものではありません。旧地表面をカンバスに平面設計図が描かれているのです。

従って、上記論文の説(地割線外円は「周溝掘り込み線」を示すという説)は否定されます。

なお、このように考えると、旧地表面に描かれた地割線位置を掘削や盛土の後に別の高さで復元できる測量技術が存在していたことになります。沼澤理論の帰結として、旧地表面に刻まれた地割線位置を掘削や盛土の後に別の高さで復元できる測量技術の存在を仮説せざるをえなくなります。

3-2-5 古墳設計における高さ基準点の想定

地割線内円(高さ37.2m)から1単位下がると地割線外円の高さ(36.2m)になります。さらに1単位下がると、その高さ35.2mは横穴式石室の羨道部敷石の付近になります。羨道部敷石のどれかがこの古墳設計高さ基準点だったのかもしれません。


横穴式石室の断面と高さ


2024年10月14日月曜日

千葉市人形塚古墳の高さ基準及び地割線が平面設計図であること

 The height standard and land division line of Ningyozuka Tomb in Chiba City are the plan design drawing


Based on Numazawa theory, I thought that the paving stones of the passageway of the horizontal stone chamber of Ningyozuka Tomb in Chiba City may be the height standard for the construction of the tomb. I also thought that the land division line is a plan design drawn on a canvas of the old ground surface, and is not the start line of embankment or excavation on the old ground surface.


千葉市人形塚古墳の横穴式石室の羨道敷石が古墳築造の高さ基準かもしれないと、沼澤理論から考えました。また地割線は旧地表をカンバスに描かれた平面設計図であり、旧地表面における盛土開始線や掘削開始線ではないと考えました。

1 千葉市人形塚古墳の高さ基準


後円部地割線内円と外円の高さ

後円部地割線内円は墳丘第2段斜面裾線を、地割線外円は周溝の掘り込み開始線を表現しています。その高さは37.2mと36.2mで、沼澤豊氏理論に基づく1単位(1.03m)丁度です。

さらに1単位下(35.2m)が横穴式石室の羨道部の基礎高さ(敷石の下面付近)に一致します。


横穴式石室の断面と高さ

作業上の誤差を勘案すると、横穴式石室羨道部の敷石がこの古墳の高さ基準だったのかもしれません。

沼澤論文では施工基準面を地割線がかかれた旧地表(36.5m)としています。しかし、この高さを基準にすると、1単位上は37.5mとなり、理論上1単位上にあるべき地割線内円の高さ(第2段斜面の裾線の高さ…36.2m)と合わなくなります。また、次の検討のとおり、旧地表面の地割線は盛土開始線や掘削開始線ではないので、旧地表面を施工基準面と捉えることはできません。

2 地割線が平面設計図であること


旧地表面に描かれた地割線は平面設計図であること

上図に示した通り、後円部では旧地表面に描かれた地割線は平面設計図です。地割線を盛土開始線や掘削開始線として描いたものではありません。

この検討から、旧地表面は単なる平面設計図を表現するカンバスであり、施工基準面ではないことがわかります。

同時に、地割線位置を盛土や掘削した後に別の高さで復元できる測量技術が存在していたことがわかります。

沼澤論文では前方部直線状地割線を計画線と認識しています。それにもかかわらず、地割線は直ぐに盛土で埋まってしまうので実用性はなく、作業員説明用等の意義を論じています。

私は前方部地割線も後円部と同様に平面設計図であると考えます。地割線に高さ情報を加味して古墳立体形状創出に使っていたと考えます。描かれた地割線は埋まる前に、別メディアに記録され、盛土後、測量技術により盛土面に地割線が復元投影されて使われたと考えます。今後検討を深めることにします。発掘調査報告書には掲載されていない、古墳築造時の工事・測量に関わる新たな現場データも入手できそうです。