縄文土器学習 311
加曽利貝塚博物館で現在開催されている企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」(2019.11.16~2020.03.01)で展示されている注口土器に関する展示パネル写真(真上からの写真)をみていると鍔部あるい口縁部の形状と小孔の間に関係があるように想像しましたので、メモしておきます。
加曽利貝塚博物館企画展展示パネル
1 佐倉市六崎貴舟台遺跡第10次 注口土器
小孔を拡大すると次のように孔の下に「受け」があります。
佐倉市六崎貴舟台遺跡第10次 注口土器の小孔の様子
この孔に紐を通したというより、棒を通して「受け」を機能に活用したと想像します。
また展示パネルの上から写真では口縁部に円形の溝(凹み)があります。ここに何かはさんでいたと想像してもおかしくありません。
このような想像をさらに発展させて、次のような蓋システムを想像しました。
獣皮と蓋を使って密閉性を高めた注口土器(想像)
写真は加曽利貝塚博物館企画展展示パネルから引用
小孔は蝶番機構の一部であったと思考した想像です。
注口部があるのですから、完全な密閉をもとめたのではないとおもいます。ただ、企画展展示のように蓋を置いておくだけでは収まりが全然悪く、満足できなかったのだと思います。
超貴重な酒、あるいは秘伝の覚醒作用煎じ液を入れた容器ですから丁寧な扱いをしていたと思います。
2 成田市キサキ遺跡 鍔付注口土器
鍔付注口土器の獣皮を使った蓋掛け(想像)
写真は加曽利貝塚博物館企画展展示パネルから引用
獣皮で開口部を覆い、4本の紐で縛って蓋掛けをしたのだと思います。さらにこの上に土製や竹木製の蓋を置き、太い紐で把手についている孔を利用して縛ったのかもしれません。
2020年1月13日月曜日
2020年1月12日日曜日
加曽利博E式企画展展示注口土器の観察
縄文土器学習 310
加曽利貝塚博物館で現在開催されている企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」(2019.11.16~2020.03.01)で展示されている注口土器6点(佐倉市3点、成田市3点)を会場現場で心ゆくまでじっくり比較観察しました。雨天夕方に訪れたとき、丸々2時間自分以外は誰一人来場者はいませんでした。
1 注口土器の展示
佐倉市分注口土器展示
成田市分注口土器展示
注口土器に関して次の説明パネルが掲載されていて、学習のよい導きになります。
注口土器説明パネル
2 観察
・6点の注口土器のうち1点(加曽利EⅣ式瓢箪型注口土器(後期称名寺式期)(成田市長田雉ヶ原遺跡))だけは模様がありませんが、他の5点は微隆起線による模様と、瓢箪型という器形が類似しています。
・細い棒を差し込んで開けた小孔が口縁付近にあるものが2点あり、パネルで説明されています。その2点をみるとともに注口部脇に小孔があいています。
加曽利EⅣ式瓢箪型注口土器及び蓋(佐倉市六崎貴舟台遺跡第10次)の注口部付近の様子
以下佐倉市企8土器と略称します。
加曽利EⅣ式有孔鍔付注口土器(成田市キサキ遺跡)の注口部付近の様子
以下成田市企31土器と略称します。
3 小孔付注口土器に関する考察と空想
・2つの注口土器に開いている小孔は酒造土器(大型の鍔付有孔土器)のガス抜き小孔を模したデザイン上の要素で、それが酒器であることを表現しているのではないかと想像します。
・小孔には必ず微隆起線が伴います。小孔と微隆起線模様はセットになっている考えて間違いありません。
・小孔だけでなく、大きな穴も対象とすると、5点の土器全てが小孔・穴と微隆起線が関連して、セットになっています。
・瓢箪製の酒器(容器)が土器とは別に存在し、その瓢箪を持ち歩くために紐を使っていて、その模様を瓢箪型注口土器に取り入れたように空想します。
・佐倉市企8土器は小孔が目、注口部が口に対応する獣面のようなイメージを受けます。この土器を作成した縄文人が「多義的」「重想的」観点から獣面をつくったという可能性があり、メモしておく価値はあると思います。
・小林達雄編「総覧縄文土器」の注口土器の章には要旨次のような記述があります。
「注口部の先端が摩滅しているものがあり、直接口をつけた行為が想定され、女性は男性器から出る「酒」を飲むことにより男女が結合して新しい命を育む祭祀用の土器とした用法に結び付く。」
この記述はあくまでも想像としての記述ですが、注口土器に女性が直接口をつけて、酒を回し飲みしていたというショッキングな情報です。
・時代は違いますが、次の土器には睾丸を連想させる玉が注口部下に2つ付いていて、上記女性回し飲み説を裏付けるような気になります。
安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)
2019.08.24記事「安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)の観察」参照
・注口土器の注口部が男性器を表現していると考え、その根元に二つの「玉」があるものまで実在することから、加曽利博E式企画展展示の2つの小孔付き土器も同じく、注口部近くの孔に紐を通して、その紐の下に2つの「玉」を下げていたのかもしれません。
……………………………………………………………………
縄文土器の学習が進むにしたがって、生殖にかかわる生々しい様子がたびたび出てくるようになりました。自分はこのような状況をほとんど予期していませんでした。いまさら引き下がるわけにはいきません。
加曽利貝塚博物館で現在開催されている企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」(2019.11.16~2020.03.01)で展示されている注口土器6点(佐倉市3点、成田市3点)を会場現場で心ゆくまでじっくり比較観察しました。雨天夕方に訪れたとき、丸々2時間自分以外は誰一人来場者はいませんでした。
1 注口土器の展示
佐倉市分注口土器展示
成田市分注口土器展示
注口土器に関して次の説明パネルが掲載されていて、学習のよい導きになります。
注口土器説明パネル
2 観察
・6点の注口土器のうち1点(加曽利EⅣ式瓢箪型注口土器(後期称名寺式期)(成田市長田雉ヶ原遺跡))だけは模様がありませんが、他の5点は微隆起線による模様と、瓢箪型という器形が類似しています。
・細い棒を差し込んで開けた小孔が口縁付近にあるものが2点あり、パネルで説明されています。その2点をみるとともに注口部脇に小孔があいています。
加曽利EⅣ式瓢箪型注口土器及び蓋(佐倉市六崎貴舟台遺跡第10次)の注口部付近の様子
以下佐倉市企8土器と略称します。
加曽利EⅣ式有孔鍔付注口土器(成田市キサキ遺跡)の注口部付近の様子
以下成田市企31土器と略称します。
3 小孔付注口土器に関する考察と空想
・2つの注口土器に開いている小孔は酒造土器(大型の鍔付有孔土器)のガス抜き小孔を模したデザイン上の要素で、それが酒器であることを表現しているのではないかと想像します。
・小孔には必ず微隆起線が伴います。小孔と微隆起線模様はセットになっている考えて間違いありません。
・小孔だけでなく、大きな穴も対象とすると、5点の土器全てが小孔・穴と微隆起線が関連して、セットになっています。
・瓢箪製の酒器(容器)が土器とは別に存在し、その瓢箪を持ち歩くために紐を使っていて、その模様を瓢箪型注口土器に取り入れたように空想します。
・佐倉市企8土器は小孔が目、注口部が口に対応する獣面のようなイメージを受けます。この土器を作成した縄文人が「多義的」「重想的」観点から獣面をつくったという可能性があり、メモしておく価値はあると思います。
・小林達雄編「総覧縄文土器」の注口土器の章には要旨次のような記述があります。
「注口部の先端が摩滅しているものがあり、直接口をつけた行為が想定され、女性は男性器から出る「酒」を飲むことにより男女が結合して新しい命を育む祭祀用の土器とした用法に結び付く。」
この記述はあくまでも想像としての記述ですが、注口土器に女性が直接口をつけて、酒を回し飲みしていたというショッキングな情報です。
・時代は違いますが、次の土器には睾丸を連想させる玉が注口部下に2つ付いていて、上記女性回し飲み説を裏付けるような気になります。
安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)
2019.08.24記事「安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)の観察」参照
・注口土器の注口部が男性器を表現していると考え、その根元に二つの「玉」があるものまで実在することから、加曽利博E式企画展展示の2つの小孔付き土器も同じく、注口部近くの孔に紐を通して、その紐の下に2つの「玉」を下げていたのかもしれません。
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縄文土器の学習が進むにしたがって、生殖にかかわる生々しい様子がたびたび出てくるようになりました。自分はこのような状況をほとんど予期していませんでした。いまさら引き下がるわけにはいきません。
2019年8月20日火曜日
我孫子市教育委員会ロビー展示縄文土器
縄文土器学習 240
我孫子市湖北郷土資料室展示縄文土器を閲覧し(2019.08.15記事「我孫子市湖北郷土資料室観覧」)、その関連資料を入手するために我孫子市教育委員会を訪問し、資料を入手しました。
帰りがけ、ロビーをふと見るとなんと縄文土器が展示されています。先日電話で担当の方から我孫子市で縄文土器展示は湖北郷土資料室のみであると教えていただいたばかりですから驚きです。
担当の方も当たり前すぎる職場内の展示であり、眼中になかったのだと思います。
我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器
我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器
我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器
我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器
我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器
下ヶ戸(さげと)貝塚出土の縄文後期晩期の土器7点、復元土器1点、ミミズク形土偶1点他の展示で、自分にとっては興味深いものばかりです。
注口土器2点の展示があり、うち1点はその復元土器も展示されています。注口部下に玉2点が付いていて意味深長です。
形状自体が四角の椀も展示されていて、珍しいものだと思います。
入手資料にもこれらの出土物の詳しい記載があり格好の学習資料になります。
全点について3Dモデル作成用写真撮影を行いましたが、ショーケース光反射が極めて強く、3Dモデルが作成できるかどうかは不明です。
8月20日のラッキーな出来事その1となりました。ラッキーな出来事その2は別記事に書きます。
我孫子市湖北郷土資料室展示縄文土器を閲覧し(2019.08.15記事「我孫子市湖北郷土資料室観覧」)、その関連資料を入手するために我孫子市教育委員会を訪問し、資料を入手しました。
帰りがけ、ロビーをふと見るとなんと縄文土器が展示されています。先日電話で担当の方から我孫子市で縄文土器展示は湖北郷土資料室のみであると教えていただいたばかりですから驚きです。
担当の方も当たり前すぎる職場内の展示であり、眼中になかったのだと思います。
我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器
我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器
我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器
我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器
我孫子市教育委員会ロビー展示 下ヶ戸貝塚出土縄文土器
下ヶ戸(さげと)貝塚出土の縄文後期晩期の土器7点、復元土器1点、ミミズク形土偶1点他の展示で、自分にとっては興味深いものばかりです。
注口土器2点の展示があり、うち1点はその復元土器も展示されています。注口部下に玉2点が付いていて意味深長です。
形状自体が四角の椀も展示されていて、珍しいものだと思います。
入手資料にもこれらの出土物の詳しい記載があり格好の学習資料になります。
全点について3Dモデル作成用写真撮影を行いましたが、ショーケース光反射が極めて強く、3Dモデルが作成できるかどうかは不明です。
8月20日のラッキーな出来事その1となりました。ラッキーな出来事その2は別記事に書きます。
2019年7月3日水曜日
堀之内式土器 観察記録3Dモデル その2
縄文土器学習 172
2019.07.03記事「堀之内式土器 観察記録3Dモデル その1」のつづきです。
1 3点の注口土器
市立市川考古博物館の堀之内式土器展示コーナー11点の中に3点の注口土器が含まれています。
堀之内1式注口土器(4) 株木東遺跡
堀之内2式注口土器(5) 株木東遺跡
堀之内2式注口土器(8) 堀之内貝塚
4と8の注口土器は両手で注ぐことを前提とした2つの把手を用意していて、丁寧に容器内液体を注ぐ道具であったことがわかります。
5も大きな把手は飾りであり、その基部の2つの孔に指を入れて両手で液体を注いだのではないかと想像します。大きな把手にはそこを持てるだけの強度を最初から期待していないと考えます。5の2つの渦は蛇のしっぽをその両側に蛇の頭があるように見えます。
2 堀之内2式注口土器(8) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
深鉢土器の文様とも似る注口土器(8)の観察記録3Dモデルを掲載します。
堀之内2式注口土器(8) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
撮影場所:市立市川考古博物館
撮影月日:2019.05.24
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市立市川考古博物館における堀之内式土器の展示
堀之内式土器展示コーナーには11点の土器が展示されています。
これらの土器は次のリストリンク先で観察記録3Dモデルを掲載しています。
堀之内1式深鉢形土器(複製)(1) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(2) 曽谷貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(3) 曽谷貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内1式注口土器(4) 株木東遺跡 観察記録3Dモデル
堀之内2式注口土器(5) 株木東遺跡 観察記録3Dモデル
堀之内2式浅鉢形土器(6) 株木東遺跡 観察記録3Dモデル
堀之内2式浅鉢形土器(7) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式注口土器(8) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(9) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(10) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式広口深鉢形土器(11) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
2019.07.03記事「堀之内式土器 観察記録3Dモデル その1」のつづきです。
1 3点の注口土器
市立市川考古博物館の堀之内式土器展示コーナー11点の中に3点の注口土器が含まれています。
堀之内1式注口土器(4) 株木東遺跡
堀之内2式注口土器(5) 株木東遺跡
堀之内2式注口土器(8) 堀之内貝塚
4と8の注口土器は両手で注ぐことを前提とした2つの把手を用意していて、丁寧に容器内液体を注ぐ道具であったことがわかります。
5も大きな把手は飾りであり、その基部の2つの孔に指を入れて両手で液体を注いだのではないかと想像します。大きな把手にはそこを持てるだけの強度を最初から期待していないと考えます。5の2つの渦は蛇のしっぽをその両側に蛇の頭があるように見えます。
2 堀之内2式注口土器(8) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
深鉢土器の文様とも似る注口土器(8)の観察記録3Dモデルを掲載します。
堀之内2式注口土器(8) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
撮影場所:市立市川考古博物館
撮影月日:2019.05.24
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市立市川考古博物館における堀之内式土器の展示
堀之内式土器展示コーナーには11点の土器が展示されています。
これらの土器は次のリストリンク先で観察記録3Dモデルを掲載しています。
堀之内1式深鉢形土器(複製)(1) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(2) 曽谷貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(3) 曽谷貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内1式注口土器(4) 株木東遺跡 観察記録3Dモデル
堀之内2式注口土器(5) 株木東遺跡 観察記録3Dモデル
堀之内2式浅鉢形土器(6) 株木東遺跡 観察記録3Dモデル
堀之内2式浅鉢形土器(7) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式注口土器(8) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(9) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式深鉢形土器(10) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
堀之内2式広口深鉢形土器(11) 堀之内貝塚 観察記録3Dモデル
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