ラベル 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2020年1月26日日曜日

加曽利博E式企画展後半展示土器の3Dモデル作成

縄文土器学習 323

加曽利貝塚博物館で現在開催されている企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」(2019.11.16~2020.03.01)の後半で新たに展示された7土器(全て佐倉市分)について観察記録3Dモデルを作成しました。
これで企画展の全土器45点について観察記録3Dモデルを作成できました。

企画展の後半新規展示土器

企画展展示土器の観察記録3Dモデル掲載サイト

後半新規展示土器の観察記録3Dモデルサムネール

企画展会場のコの字型ガラス張りショーケースにおける3Dモデル作成用撮影は、丸1年間断続的に行いましたのでだいぶ慣れてきました。
どの位置からどの程度枚数を撮影すればどのようなレベルの3Dモデルができるかわかってきました。
ショーケースの端にある土器は撮影枚数が少なくなるので質が落ちます。
またショーケースの奥の背後面近くに置かれた土器も難が生まれやすくなります。
最も難が少ないのはショーケース中央位置付近でかつガラス面そばの土器です。
昨年企画展では最初10枚程度の撮影で3Dモデルを作り出しましたが、現在は1土器につき80~90枚程度撮影します。ファインダーを覗かないでカメラを手で高く持ち上げた位置からの撮影も行います。

カメラ配置の例 88枚撮影の例

2020年1月13日月曜日

注口土器の獣皮を使った蓋掛け

縄文土器学習 311

加曽利貝塚博物館で現在開催されている企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」(2019.11.16~2020.03.01)で展示されている注口土器に関する展示パネル写真(真上からの写真)をみていると鍔部あるい口縁部の形状と小孔の間に関係があるように想像しましたので、メモしておきます。

加曽利貝塚博物館企画展展示パネル

1 佐倉市六崎貴舟台遺跡第10次 注口土器
小孔を拡大すると次のように孔の下に「受け」があります。

佐倉市六崎貴舟台遺跡第10次 注口土器の小孔の様子
この孔に紐を通したというより、棒を通して「受け」を機能に活用したと想像します。
また展示パネルの上から写真では口縁部に円形の溝(凹み)があります。ここに何かはさんでいたと想像してもおかしくありません。
このような想像をさらに発展させて、次のような蓋システムを想像しました。

獣皮と蓋を使って密閉性を高めた注口土器(想像)
写真は加曽利貝塚博物館企画展展示パネルから引用
小孔は蝶番機構の一部であったと思考した想像です。
注口部があるのですから、完全な密閉をもとめたのではないとおもいます。ただ、企画展展示のように蓋を置いておくだけでは収まりが全然悪く、満足できなかったのだと思います。
超貴重な酒、あるいは秘伝の覚醒作用煎じ液を入れた容器ですから丁寧な扱いをしていたと思います。

2 成田市キサキ遺跡 鍔付注口土器

鍔付注口土器の獣皮を使った蓋掛け(想像)
写真は加曽利貝塚博物館企画展展示パネルから引用
獣皮で開口部を覆い、4本の紐で縛って蓋掛けをしたのだと思います。さらにこの上に土製や竹木製の蓋を置き、太い紐で把手についている孔を利用して縛ったのかもしれません。

2020年1月12日日曜日

加曽利博E式企画展展示注口土器の観察

縄文土器学習 310

加曽利貝塚博物館で現在開催されている企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」(2019.11.16~2020.03.01)で展示されている注口土器6点(佐倉市3点、成田市3点)を会場現場で心ゆくまでじっくり比較観察しました。雨天夕方に訪れたとき、丸々2時間自分以外は誰一人来場者はいませんでした。

1 注口土器の展示

佐倉市分注口土器展示

成田市分注口土器展示

注口土器に関して次の説明パネルが掲載されていて、学習のよい導きになります。

注口土器説明パネル

2 観察
・6点の注口土器のうち1点(加曽利EⅣ式瓢箪型注口土器(後期称名寺式期)(成田市長田雉ヶ原遺跡))だけは模様がありませんが、他の5点は微隆起線による模様と、瓢箪型という器形が類似しています。
・細い棒を差し込んで開けた小孔が口縁付近にあるものが2点あり、パネルで説明されています。その2点をみるとともに注口部脇に小孔があいています。

加曽利EⅣ式瓢箪型注口土器及び蓋(佐倉市六崎貴舟台遺跡第10次)の注口部付近の様子
以下佐倉市企8土器と略称します。

加曽利EⅣ式有孔鍔付注口土器(成田市キサキ遺跡)の注口部付近の様子
以下成田市企31土器と略称します。

3 小孔付注口土器に関する考察と空想
・2つの注口土器に開いている小孔は酒造土器(大型の鍔付有孔土器)のガス抜き小孔を模したデザイン上の要素で、それが酒器であることを表現しているのではないかと想像します。
・小孔には必ず微隆起線が伴います。小孔と微隆起線模様はセットになっている考えて間違いありません。
・小孔だけでなく、大きな穴も対象とすると、5点の土器全てが小孔・穴と微隆起線が関連して、セットになっています。
・瓢箪製の酒器(容器)が土器とは別に存在し、その瓢箪を持ち歩くために紐を使っていて、その模様を瓢箪型注口土器に取り入れたように空想します。
・佐倉市企8土器は小孔が目、注口部が口に対応する獣面のようなイメージを受けます。この土器を作成した縄文人が「多義的」「重想的」観点から獣面をつくったという可能性があり、メモしておく価値はあると思います。
・小林達雄編「総覧縄文土器」の注口土器の章には要旨次のような記述があります。
「注口部の先端が摩滅しているものがあり、直接口をつけた行為が想定され、女性は男性器から出る「酒」を飲むことにより男女が結合して新しい命を育む祭祀用の土器とした用法に結び付く。」
この記述はあくまでも想像としての記述ですが、注口土器に女性が直接口をつけて、酒を回し飲みしていたというショッキングな情報です。
・時代は違いますが、次の土器には睾丸を連想させる玉が注口部下に2つ付いていて、上記女性回し飲み説を裏付けるような気になります。

安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)
2019.08.24記事「安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)の観察」参照

・注口土器の注口部が男性器を表現していると考え、その根元に二つの「玉」があるものまで実在することから、加曽利博E式企画展展示の2つの小孔付き土器も同じく、注口部近くの孔に紐を通して、その紐の下に2つの「玉」を下げていたのかもしれません。

……………………………………………………………………
縄文土器の学習が進むにしたがって、生殖にかかわる生々しい様子がたびたび出てくるようになりました。自分はこのような状況をほとんど予期していませんでした。いまさら引き下がるわけにはいきません。

2020年1月10日金曜日

加曽利博E式企画展の酒々井町分6土器の3Dモデル作成

縄文土器学習 309

加曽利貝塚博物館で現在開催されている企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」(2019.11.16~2020.03.01)で展示されている酒々井町分6土器について観察記録3Dモデルを作成しました。
これで企画展の前半展示土器37点全てについて観察記録3Dモデルを作成できました。

企画展の酒々井町分展示の様子

企画展展示土器の観察記録3Dモデル掲載サイト
https://sketchfab.com/arakiminoru/models
酒々井町分6土器観察記録3Dモデルのサムネール

展示土器のうち「加曽利EⅢ式深鉢(酒々井町墨木戸遺跡)企33」は印旛地域特有で加曽利貝塚からの出土はないといわれる意匠充填系土器のようです。

加曽利EⅢ式深鉢(酒々井町墨木戸遺跡)企33展示の様子

加曽利EⅢ式深鉢(酒々井町墨木戸遺跡)企33の3Dモデルオルソグラフィック投影画像

●これからの加曽利E式土器学習
企画展前半展示土器37点の3Dモデルを作成できましたので、E式土器の本格学習の準備ができました。本当の細部や微妙な表面テクスチャは企画展に足を運んで現物を観察することが必要です。しかし、それ以外の器形、模様等のほとんどの学習ポイント、興味ポイントは3Dモデルで観察可能です。
この企画展の学習を会場で配布されているパンフレットと関連講演会聴講により進めることにします。
パンフレットを利用して次の項目を学習することにします。
1 印旛地域の加曽利E式土器の特徴
印旛地域では加曽利EⅢ式が多く、千葉市域では加曽利EⅡ式が多いという現象の解釈。
印旛地域の加曽利EⅢ式期以降は小規模な集落が増加するという傾向の把握とその意義の考察。
「東北系の大木式や中部系の曽利式の要素を含んだ土器」とはどれを指すのか、その確認。
2 炉に埋設された土器
炉体土器(7点)の詳細な観察。
土器埋設炉の学習。
3 注口土器
展示注口土器6点を比較して、学習します。1点を除いて微隆起線による渦巻文様がありますが、微隆起線と把手や鍔等の大小孔が連動していて興味が深まっています。微隆起線と大小の孔のセットが別に実在した道具(瓢箪酒入れ?)の特徴を表現しているのではないかと空想していて、その考察を深めたいと思います。
4 土器の胎土
土器の胎土に違いを展示会場現物観察、撮影写真観察、3Dモデル観察でどのようになるのか、3つの観察方法を比べながら考察することにします。
5 加曽利貝塚出土土器との違い
キャリパー形土器と意匠充填系土器の違いなどについて学習を深めることにします。

企画展パンフレット表紙




2020年1月9日木曜日

加曽利博E式企画展の成田市分8土器の3Dモデル作成

縄文土器学習 308

加曽利貝塚博物館で現在開催されている企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」(2019.11.16~2020.03.01)で展示されている成田市分8土器について観察記録3Dモデルを作成しました。

企画展の成田市分展示の様子

企画展展示土器の観察記録3Dモデル掲載サイト
https://sketchfab.com/arakiminoru/models

成田市分8土器観察記録3Dモデルのサムネール

ショーケース奥に置かれている加曽利EⅢ式深鉢(成田市長田雉子ヶ原遺跡)は企画展パンフレットに意匠充填系深鉢として紹介されているものです。

加曽利EⅢ式深鉢(成田市長田雉子ヶ原遺跡)企25 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」
撮影月日:2019.11.19
整理番号:企25
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 39 images

展示の様子

3Dモデルのオルソグラフィック投影画像


2020年1月8日水曜日

加曽利博E式企画展の印西市四街道市分10土器の3Dモデル作成

縄文土器学習 307

加曽利貝塚博物館で現在開催されている企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」(2019.11.16~2020.03.01)で展示されている印西市四街道市分10土器について観察記録3Dモデルを作成しました。

企画展の印西市四街道市分展示の様子

企画展展示土器の観察記録3Dモデル掲載サイト
https://sketchfab.com/arakiminoru/models
印西市四街道市分10土器観察記録3Dモデルのサムネール

他の方に見せるための作品としての3Dモデルを作成するという観点からみれば満足は出来ません。しかし、土器学習初心者である自分のために観察用記録としてつくるという意味では大いに意義のあるものができていると考えます。大いに満足できるレベルです。

なお、ガラス面に隣ショーケースの蛍光灯が反射し、それが実像を結んでしまったところがあります。

撮影写真の1例

ガラス面に反射した蛍光灯が実像を結んでしまった素3Dモデル

上記素3Dモデルから作成した土器のオルソグラフィック投影画像
ガラス面反射光が3Dモデルに悪さをしても、多くの場合それは像の一部に対する悪さです。ガラス面反射という劣悪条件の下でも、学習目的の3Dモデル作成はその意義があると感じています。

感想
昨年のE式企画展(千葉市編)は加曽利E式土器のⅠ→Ⅳの変遷がテーマであり、展示土器の観覧の仕方が明確でした。
ところが今年は印西地域の自治体別の主な加曽利E式土器展示というテーマになっています。観覧者としては展示されている土器の何処をどのように観察したらよいか明確ではありません。加曽利貝塚と周辺遺跡の土器に精通した専門家の方でないとなぜその土器が展示されているのかわからないような印象をうけます。つまり難解で高度な展示になっています。
展示土器が単に〇〇遺跡から加曽利E式土器が出土したという証拠としての興味で展示されているのか、それともその土器の器形や模様で特筆すべきものがあるのか、それをぜひとも知りたいと思います。
展示土器一つ一つの魅力をぜひとも知りたいと思います。
そのために3Dモデルをいじくりまわして観察を深め、自分なりに展示土器を理解し、その結果をいつかガイドの方にぶつけてみようと思います。
またせっかくですから関連遺跡の学習も並行してすることにします。

2020年1月6日月曜日

加曽利博あれもE企画展の佐倉市13土器の3Dモデル作成

縄文土器学習 305

加曽利貝塚博物館で現在開催されている企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」(2019.11.16~2020.03.01)では自治体別(佐倉市、印西市四街道市、成田市、酒々井町)に加曽利E式土器が展示されています。そのうち企画展前半の佐倉市分13土器について観察記録3Dモデルを作成しました。

企画展の佐倉市分展示(前半)の様子

企画展展示土器の観察記録3Dモデル掲載サイト
https://sketchfab.com/arakiminoru/models

佐倉市分13土器観察記録3Dモデルのサムネール

撮影はガラスのあるショーケース越しに撮影したものであるため、ガラスのない展示と比べると3Dモデルの質には限界があります。またショーケースの端におかれた土器は視線が届く範囲が限られますので、3Dモデルにできる範囲も極限されます。また、ショーケース空間が限られているため、土器と土器の間が狭いので、視線が届かず(視線入射角が極端に小さくなり)観察や3Dモデル作成に影響が出ています。

カメラ配置の例

素3Dモデルの例
素3Dモデルから対象土器を切り抜いて観察記録3Dモデルを作成しています。

観察記録3Dモデルから作成したオルソグラフィック画像の例
(加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市内田端山越遺跡)企2 観察記録3Dモデル)

感想
・加曽利EⅡ式期が縄文社会の人口急増期ですが、ここに展示された土器は多くが加曽利EⅢ式とEⅣ式です。佐倉市は鹿島川流域から印旛沼にかけて広がっています。加曽利貝塚をはじめとする東京湾岸地域における顕著な加曽利EⅡ式期の発展ピークの印象を展示から受けることはできません。これは東京湾岸地域と佐倉市など鹿島川流域とでは社会消長の様相が異なるからであると想定できます。以前から、加曽利EⅡ式期の人口急増は東京湾岸の貝塚ゾーンを軸としていて、その後の顕著な衰退期には鹿島川流域方面に人口(集落)が散らばったと考えていますが、それが展示に表現されていることになります。
・昨年の企画展(千葉市編)の展示土器と比べると完形のものが少なく、断片的な資料が多くなっています。土器のつくりも貧弱(雑?)であるような印象を受けます。展示は典型例を表示しようしていると考えられますから、佐倉市出土E式土器の復元があまり芳しくないということは重要な情報であると考えます。加曽利E式土器が出土する遺跡があまり勢いがない(集落が小さい、短期間だけ営まれた)ため、母数が少ない証拠です。
・最近学習した長野県八ヶ岳付近や飯田市付近の土器模様と比べると、加曽利E式土器の模様は大変定型的です。土器模様に物語(活動、情念)を投影しているという感想を持つことはほとんどできません。
・個別土器の観察と考察は別に行います。