縄文土器学習 244
我孫子市教育委員会1階ロビーに展示されている下ヶ戸貝塚出土安行3a式重心下方偏球形注口土器を写真で詳しく観察しました。
現物及び復元物が展示されていて、その3Dモデルを作成しましたが、ショーケースガラス面反射が強すぎてまともな3Dモデルは出来ませんでした。
参考 安行3a式重心下方偏球形注口土器 下ヶ戸貝塚 現物・復元展示風景3Dモデル
参考 安行3a式重心下方偏球形注口土器(復元) 下ヶ戸貝塚 観察記録3Dモデル
1 特徴
この土器について「我孫子市史 原始・古代・中世編」ではつぎのように記述しています。
図4は晩期の安行Ⅲa式の土器で、胴部は下方に重心を持つ扁球形で、円文を中心に、三叉文と横向きのS字状文を連続的に組み合わせた玉抱三叉文を連続し一周させている。口縁部には透孔のある山形の蓋の残存が見られ、胴部外面にわずかに朱が残っており、本来は器形、色彩とも豪華な土器であったと考えられる。
図4 「我孫子市史 原始・古代・中世編」から引用
次の写真の中央部付近に小さな赤い斑点がいくつか見えますが、それが朱の跡かもしれません。
安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)
注口部直下には2つの装飾溝のある玉が付いています。
安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)
安行3a式重心下方偏球形注口土器(下ヶ戸貝塚)
2 感想
注口土器は酒を注ぐ土器で祭祀(酒宴)で使われたと考えます。その器の注口部のデザインは直立した陰茎と2つの睾丸を表現していると推定します。この時代の縄文人の関心が生殖にあり、その関心をはばかることなく表現する社会であったと想像します。
白濁したどぶろくを注いで飲むという祭祀行為(酒宴行為…社会的に新たな絆をつくり深める活動)と生殖活動における精液射出とその結果による妊娠(新生命誕生)をアナロジカルに考えていたのかもしれません。
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