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2026年4月9日木曜日

6断面分層記載の検討

 Examination of the Description of Six Cross-Sectional Layers

Regarding Section 6 of the shell midden on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, we examined the shell fragmentation rate, major shell species, and shell midden color from the detailed description in the excavation report. There are areas where shell middens with a low shell fragmentation rate are concentrated.

有吉北貝塚北斜面貝層6断面について、発掘調査報告書の詳細記述のうち、貝殻破砕率、主要貝種、貝層色について把握し、検討しました。貝殻破砕率が小さい貝層が集中しているところがあります。

1 6断面貝殻破砕率


6断面貝殻破砕率

Aの領域は貝殻破砕率の値が大きいものが多くなっています。一方、Bの領域は貝殻破砕率が小さいものが多くなっています。

高濃度流(貝殻泥流)が斜面からガリー谷底に流れる様子をイメージすると、高濃度流(貝殻泥流)の先端部にゆくほど大きな物質が集まる(ソートされる)という特性と、この結果は整合します。

投棄された貝殻にはハマグリやイボキサゴの貝殻だけでなく、イボキサゴの人工的破砕物が混じり、それらが高濃度流で運ばれるなかで、貝殻の破壊も進みますが、堆積した結果をみると、運ばれた物質の大きさでソートされて堆積するので、斜面では貝殻破砕率が大きく、斜面下部(ガリー谷底)では貝殻破砕率が小さく観察されると考えます。

Cでは破砕率が大きくなっていますが、この堆積物の下部は水平堆積していて、Bなどと較べると勢いの弱い高濃度流の堆積物(高濃度流の先端から離れた場所の堆積物)であると考えます。

2 主要貝種


主要貝種

ハマグリが主要な貝層 4

イボキサゴが主要な貝層 3

ハマグリとイボキサゴが主要な貝層 6

という結果になりました。

断面中央部で純貝層と貝層(混土率20%未満)の主要貝種がイボキサゴとなっています。この貝層を含む高濃度流(貝殻泥流)の全体の主要貝種がイボキサゴであるのか、それとも、この断面から離れると、ハマグリやハマグリ・イボキサゴに変化するのか、その立体空間における変化が判れば、このデータの解釈が出来るようになります。現状では、6断面から下流(高濃度流の先端方向)にいくと、イボキサゴからイボキサゴ・ハマグリへ、さらに行くとハマグリへと変化すると予想します。

3 貝層の色


貝層・土層砂層の色

全体に貝層・土層砂層に色は暗褐色が多くなっています。谷底の2つの貝層が黒褐色になっていますが、堆積環境(地下水の影響)によるものであるかどうか、興味が湧きます。

4 メモ

高濃度流(貝殻泥流)の特性として、結果として物質が大きさでソートされて堆積すると想定しています。その想定が真であるかどうか理論的・実験的検討が必要です。同時に、堆積物ソートの実体を把握することを資料調査(発掘調査報告書データ解析)で進めています。


2026年4月8日水曜日

6断面の分層詳細把握とブロック区分

 Detailed Understanding of the Layer Division and Block Classification of 6 Cross-Sections


Regarding the six cross-sections of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, I created layer division diagrams based on the detailed descriptions in the excavation report. Based on these diagrams, I performed block classification to examine the developmental stages. I felt that the cross-sectional structure had become clearly visible.


有吉北貝塚北斜面貝層6断面について、発掘調査報告書の詳細記述による分層区分図を作成しました。この分層区分図に基づき、発達段階を検討するためのブロック区分を行いました。断面構造があぶり出てきたという感想を持ちました。

1 6断面の分層詳細把握

6断面に関する発掘調査報告書の詳細記述に基づき、分層区分図を作成しました。同じものは発掘調査報告書に掲載されていますが、適切でない箇所が幾つかあるので、今回作成したものがより正確です。また分層名称が判りづらいので、平易な名称に変更しました。


有吉北貝塚北斜面貝層 6断面

2 貝層ブロック区分

上記断面図に密集土器分布をプロットするとともに、貝層ブロック区分を行いました。


貝層ブロック区分と密集土器分布

各ブロックに仮番号1~7を与え、ブロックの発達順番を予察的にイメージしてみました。

ブロック1~3の発達は1→2→3の順番で間違いありません。

ブロック4~7の発達は4→5→6→7の順番で間違いないと考えます。

ブロック5はブロック1と2を切っています。

ブロック6はブロック3を切っています。

このような状況から次のような発達をイメージしました。詳細の正確性は現状では思考対象外です。

1ブロック(ガリー斜面崩落物)の堆積

2ブロック(貝層)、4ブロック(貝層)の堆積(4ブロックはもともと2ブロックの一部であったものが、ブロック5の貝殻泥流で浸食され分離したものと推察します。)

3ブロック(貝層)と5ブロック(貝層)の堆積(3ブロックと5ブロックはもともと連続する貝殻泥流であったものが、ブロック6の貝殻泥流で浸食分断されたものと推察します。)

6ブロック(貝層)の堆積(下位の堆積物を浸食して堆積したと考えます。)

7ブロック(貝層)の堆積

まとめると順番に次のようになります。

・1ブロック崩落層堆積

・もともと連続していた2ブロックと4ブロックからなる貝殻泥流堆積

・もともと連続していた3ブロックと5ブロックからなる貝殻泥流堆積

・6ブロック貝殻泥流堆積

・7ブロック貝殻泥流堆積

土器型式との対応は次のようになります。

・1ブロック崩落層堆積→現状でデータなし

・もともと連続していた2ブロックと4ブロックからなる貝殻泥流堆積→現状でデータなし

・もともと連続していた3ブロックと5ブロックからなる貝殻泥流堆積→加曽利EⅡ中

・6ブロック貝殻泥流堆積→加曽利EⅡ中・加曽利EⅡ中~新・加曽利EⅡ新

・7ブロック貝殻泥流堆積→現状でデータなし

土器型式からみて、3・5ブロックと6ブロックに時間差はほとんどないような印象を受けます。

下位の地層を浸食するという点で、3・5ブロックと6ブロックの貝殻泥流が顕著です。その二つが顕著な密集土器を伴います。

なお、5と6の貝種はイボキサゴがメインとなっています。なぜイボキサゴであるのか、今後検討を続けます。

3 感想

発掘調査報告書の詳細記述を読み直し、Illustratorによる手作業で分層区分図を作成してみると、発掘調査報告書掲載分層図と異なる箇所がかなりあり、問題意識を深めることができました。また、密集土器分布図と発掘状況写真と分層区分図を一緒に検討することにより、さらに問題意識を深めることができました。断面構造があぶり出てきたという感想を持ちました。


2026年2月12日木曜日

5断面と6断面の貝層区分対比作業

 Comparison of Shell Layer Classifications between Sections 5 and 6


For the shell layer on the northern slope of the Ariyoshikita Shell Mound, the proposed shell layer classification from Section 6 was projected onto Section 5. The natural cliff is divided into two stages, revealing the characteristics of gully erosion. The shell layer blocks in the collapsed layer are remnants of a shell layer that was already present at the time of gully erosion.


有吉北貝塚北斜面貝層について、6断面貝層区分案を5断面に対比投影しました。地山急崖が2段階になっていて、ガリー侵食の特徴が観察できます。崩落層中の貝層ブロックはガリー侵食時点に既に存在していた貝層の残滓です。

1 6断面と5断面の貝層区分対比結果


6断面と5断面の貝層区分対比結果


5断面の貝層区分

7断面貝層区分案を6断面に対比投影しました。手がかりは貝層全体構造の対応関係、分層記載、縦断図(17断面、1断面)による接合関係などです。

分層記載がほとんどないので、貝層区分作業における思考は虚弱です。

2 5断面-17断面-6断面の空間位置関係


5断面-17断面-6断面の空間位置関係

3 メモ

地山急崖が2段階になっています。下の急崖が比高2m強、上の急崖が比高3m以上です。侵食急崖に段差ができる現象はガリー侵食の顕著な特徴です。

崩落層中に貝層ブロックが記入されています。この貝層ブロックの存在から、ガリー侵食時点において既に貝層が斜面上方に存在していたことが判ります。即ち、ガリー侵食前からこの付近に貝層が存在していたことが判明します。崩落層から出土する土器の型式が判れば、ガリー侵食がいつ頃生起した現象であるか判る可能性があります。ガリー侵食は集落住民が貝塚を形成した後、生起した現象になります。集落住民の活動(集落周辺の荒蕪地化など)がガリー侵食の引き金になったのかなど、興味が深まります。


崩落層中の貝層ブロック


2026年2月11日水曜日

6断面と7断面の貝層区分対比作業

 Comparison of Shell Layer Classifications between Sections 6 and 7


For the shell layer on the northern slope of the Ariyoshikita Shell Mound, the proposed shell layer classification for Section 7 was projected onto Section 6. The shell layer on the slope has been largely replaced by older shell layers compared to the downstream section.


有吉北貝塚北斜面貝層について、7断面貝層区分案を6断面に対比投影しました。斜面の貝層は、下流の断面と較べるとほとんどが古い貝層に置き換わっています。

1 12断面~7断面貝層区分の再検討


12断面~7断面貝層区分の再検討作業資料

12断面~7断面貝層区分を再検討し、9断面、8断面、7断面について貝層区分を修正変更しました。

以下の検討は7断面の新しい貝層区分結果に基づきます。

2 7断面と6断面の貝層区分対比結果


7断面と6断面の貝層区分対比結果


6断面の貝層区分

7断面貝層区分案を6断面に対比投影しました。手がかりは貝層全体構造の対応関係、分層記載、縦断図(17断面、1断面)による接合関係などです。

3 6断面-17断面-7断面の空間位置関係


6断面-17断面-7断面の空間位置関係

4 メモ

12断面~10断面付近はガリー流路の堆積区間で流路性堆積貝層の発達がよいため、それとの位置関係で斜面貝層の対比作業が楽です。また断面写真を参考に貝層の色がキーとなります。しかし、9断面~6断面は流路性堆積貝層の発達が悪いため、それとの位置関係でおこなう対比作業の根拠が薄弱になっています。断面写真もありません。

当面、不確か感が背景に漂う作業となり苦しいですが、5断面~2断面まで通しで同じ対比作業を進めて、最初の貝層全体の比作業成果(たたき台)をつくります。その後次の作業を踏まえて、たたき台の精緻化作業をおこなうこととします。

・貝層区分縦断図を作成し、横断図(現在作業している断面図)との関係を検討する。

・ガリー本流流路の区間別浸食堆積特性を検討する。

・分層層相データ(分層記載データ)について検討する。(対比作業のキーとなる情報があるか、再検討する。)

・土器型式3D分布データが貝層対比作業のキーとなるか、検討する。

・遺物3Dモデル分布データが貝層対比作業のキーとなるか、検討する。

・剥ぎ取り断面の貝殻方向分析をおこない、貝層形成モデルを作成して、それが貝層対比作業にどのように役立つか検討する。