2024年3月13日水曜日

ケヤキ製の縄文赤色漆塗鉢に感動

Impressed by the Jomon red lacquered bowl made of zelkova


While talking with Shinjiro on Twitter, he showed me a photo of a panel of a red lacquer bowl made of zelkova with a handle (Oyabe City,Sakuramachi Site). It has a similar shape to a modern soup cup. It's very rare for me. The Jomon tableware has a nice texture on the lips. I was impressed when I saw this tableware for the first time.


Twitter伸二郎さんとお話しているなかで、伸二郎さんからケヤキ製の握り手付き赤色漆鉢(小矢部市桜町遺跡)のパネル写真を見せていただきました。現代スープカップと似た形状です。自分にはとても珍しく、口当たりのよい縄文食器をはじめて見て感動しました。

1 握手付赤色漆塗鉢(小矢部市桜町遺跡)


握手付赤色漆塗鉢(小矢部市桜町遺跡) Twitter伸二郎さん撮影パネル写真

2 発掘調査報告書掲載情報

全国遺跡報告総覧から次の発掘調査報告書をダウンロードして、詳細情報を入手しました。


桜町遺跡発掘調査報告書(木製品・繊維製品・植物編)


握手付赤色漆塗鉢(小矢部市桜町遺跡)の4面写真


握手付赤色漆塗鉢(小矢部市桜町遺跡)の4面図


握手付赤色漆塗鉢(小矢部市桜町遺跡)の詳細情報

3 感想

Twitter伸二郎さん提供パネル写真を見た時、自分は唇を直接あてがう様子を想像できる木製容器をはじめて見たと直観し、感動を深めました。木製スプーンや木製柄杓のようなものは見たことがありますが、鉢形木製容器を見た記憶は定かでなく、握り手付きははじめてです。自宅にある現代スープカップと形状がよく似ています。


現代スープカップ

縄文人が食事をする時、このような木製容器に鍋料理をよそって、食べていたのだと思います。土製鍋(深鉢)は残るけれども、それ以上に沢山つくられた木製食器はほとんど消滅し、超例外的に残存した例が、この小矢部市桜町遺跡出土握手付赤色漆塗鉢だと考えます。

Twitter伸二郎さんの情報発信に感謝します。


2024年3月11日月曜日

貝塚の3Dグリッド別遺物数分布のイメージ表現例

 Image representation example of the distribution of the number of artifacts by 3D grid in a shell mound


I created an image representation example of the distribution of the number of artifacts by 3D grid, targeting a narrow test area of the shell layer on the north slope of Ariyoshi Kita Shell Mound. The purpose of this work is to confirm the method for counting the number of artifacts by 3D grid, and to create the first example of the distribution of the number of artifacts by 3D grid.


有吉北貝塚北斜面貝層の狭いテスト範囲を対象に、3Dグリッド別遺物数分布のイメージ表現例を作成しました。この作業の目的は、3Dグリッド別遺物数のカウント方法を確認するとともに、3Dグリッド別遺物数分布表現の最初の一例を作成することです。

1 3Dグリッド別遺物数のカウント

発掘調査報告書で設定された調査グリッド※(平面グリッド、2m×2m)のうち、遺物出土平面グリッドは141あります。この遺物出土平面グリッドに係る遺物出土3Dグリッドは346あります。

※発掘調査報告書での「メッシュ」をこの作業では「グリッド」に置き換えています。3Dモデルにおける別の意味のメッシュと区別するためです。

遺物出土数は全部で約63000あります。

遺物台帳電子化作業では、次のように平面グリッド別に遺物名称や出土標高をExcelで整理しています。


遺物台帳電子化(Excel画面)

平面グリッド別に標高2m区切りで遺物数をカウントすることは、少ないデータならば、Excelでデータを標高順に並べてカウントすればすぐできます。しかし、今回のプロジェクトではデータが膨大であり、到底Excel手作業ではできません。そこで、Pythonスクリプトによるカウント方法構築を試みました。その結果、今は不十分ですが、今後、Pythonスクリプトで作業効率化が図れる見込みを得ることができました。その様子をメモします。

1 平面グリッド別標高データのExcelsheet格納

今回は手作業となりました。

遺物台帳データを分析するためには平面グリッド別にExcelsheetに格納することが大切であることが判りました。これからの電子化作業は平面グリッド別にExcelsheetに行います。

既に電子化したExcelファイルについては、データを平面グリッド別にExcelsheetに分けるPythonスクリプトを作成して対応することにします。

2 Excelsheet別(平面グリッド別)遺物標高データのcsvファイル出力

新たに作成したPythonスクリプトにより、Excelファイルに存在する多数のsheet別データを一括で多数のcsvファイルに出力しました。

3 平面グリッド別遺物標高データを2m区切りで集計する

新たに作成したPythonスクリプト(度数分析スクリプト)により、2で作成したcsvファイルについて、標高2m区切りで遺物数を集計し、ファイルに出力しました。(平面グリッド別標高2m区切別遺物数)

4 3で作成したデータに位置座標を付与する

3で作成したデータ(平面グリッド別標高2m区切別遺物数)に別に作成してある3Dグリッド位置座標を対応させ、付与しました。

この作業は今回手作業になりました。今後Pythonスクリプトにより自動化する予定です。


3Dグリッド別遺物数

2 3Dグリッド別遺物数分布の表現例

有吉北貝塚北斜面貝層の狭いテスト範囲を対象に、3Dグリッド別遺物数分布の表現例(3Dモデル)を作成しました。球体と3Dグリッド枠のプロットはBlenderPythonスクリプトで行いました。

貝塚の3Dグリッド別遺物数分布のイメージ表現例(3Dモデル)

3Dグリッド(2m×2m×2m)出土遺物数の多寡を4段階に分級して、球体大きさで表現している。


3Dモデル画像


3Dモデル動画


テスト範囲の場所

なお、今回は遺物数を4段階に分級して段階毎に球体の大きさを変えて表現したものです。分級方法と球体の大きさの対応は任意に行いました。


遺物数の分級と球体の大きさ

3 感想

3-1 Pythonスクリプト作成について

遺物台帳63000遺物の分析にはPythonスクリプトが必須です。Excel手作業では埒がまったくあきませんが、Pythonスクリプト利用により驚くほど作業が効率化します。Pythonスクリプト無しの活動は考えられません。

しかし、Pythonに関する基礎知識が虚弱なため、見よう見まねでPythonスクリプトを作成しています。Pythonスクリプト作成には長時間を要しています。

現状では次のようなプロセスでPythonスクリプトを作成しています。

実現したい機能について最初はweb検索や図書から情報収集し、試行錯誤を重ねてPythonスクリプトができればラッキーです。

web検索や図書で機能実現ができない場合はChatGPTに支援を求めます。実現したい機能を簡潔に言葉で表現できればChatGPTが問題の多くを解決してくれます。ChatGPTを最後の切り札として利用しています。

3-2 貝塚の3Dグリッド別遺物数分布のイメージ表現例(3Dモデル)について

今回は3Dグリッド出土遺物数を分級して球体の大きさでイメージ表現しました。この方法の場合、今後、分級の仕方、球体(あるいは別のオブジェクト)の大きさの対応について検討が必要です。遺物数分布をより直観的に認識できる表現とする必要があります。また球体を大きさだけでなく色分けすればより判りやすい3D分布モデルになるかもしれません。

別の表現方法として、遺物数と同じ数の小オブジェクトを3Dグリッド内に均等に配置する(あるいはランダムに配置する)方法も今後テストしてみることにします。小オブジェクトの多寡が密度をイメージできれば面白いモデルになります。


2024年3月5日火曜日

加曽利EⅢ式土器(025)(香取市多田遺跡)観察記録3Dモデル

 Kasori EIII style pottery (025)(Katori City,Tada Site) Observation record 3D model


I created a Observation record 3D model of Kasori EIII style pottery (025), which is on display at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "That's also E... Sotobo Area Edition". 

This pottery is a design filling type pottery with alternating spiral patterns on the rim and body.


加曽利貝塚博物館企画展「あれもE... 外房地域編」で展示されている加曽利EⅢ式土器(025)の観察記録3Dモデルを作成しました。

この土器は、口縁部と胴部の渦巻文が交互に配置される意匠充填系土器です。

1 加曽利EⅢ式土器(025)(香取市多田遺跡)観察記録3Dモデル

加曽利EⅢ式土器(025)(香取市多田遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和5年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器 -外房地域編-」

撮影月日:2024.01.20


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.517 processing 145 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 展示説明

「025の意匠充填系土器は、隆線と充填縄文で描かれる口縁部と胴部の渦巻文がくびれを境に交互に配置され、上下入組む形で連携しています。」


2024年3月3日日曜日

加曽利EⅠ式土器(006)(銚子市粟島台遺跡)観察記録3Dモデル

 Kasori EI style pottery (006)(Choshi City,Awashimadai Site) Observation record 3D model


I created a Observation record 3D model of Kasori EI style pottery (006), which is on display at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "That's also E... Sotobo Area Edition". 

In the exhibition explanation, the three-unit handle (with the upper part missing) is called a "bridge-like handle" because of its three-dimensional structure. The "bridge-like handle" is the main element of the Daigi 8a style.


加曽利貝塚博物館企画展「あれもE... 外房地域編」で展示されている加曽利EⅠ式土器(006)の観察記録3Dモデルを作成しました。

展示説明では、3単位の把手(上部欠損)について、その立体構造から「橋状把手」と呼んでいます。「橋状把手」は大木8a式の主な要素です。

1 加曽利EⅠ式土器(006)(銚子市粟島台遺跡)観察記録3Dモデル

加曽利EⅠ式土器(006)(銚子市粟島台遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和5年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器 -外房地域編-」

撮影月日:2024.01.20


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.517 processing 146 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 展示説明

「大木式の影響

加曽利EⅠ式は、大木8a式の器形や文様構成の影響を強く受けて成立しますが、それ以外の要素も時折、付帯的に現れます。

006の土器は、口縁部に3単位の把手が付き、単位の間を繋ぐ2本の隆線が立体的な構造を作り出しています。この構造が橋のようにみえることから「橋状構造」と呼ばれるこの把手は、大木8a式の主な要素です。」

4 メモ

006土器を上からオルソ投影画像でみると、口唇部の形状がおむすび型をしています。土器をつくるときに、3単位把手作成に意識のほとんどを集中したために、本来円形になるところがおむすび型になったのだと想像します。


オルソ投影画像 上から

3単位把手の上部が同じようにきれいに除去されていて、土器は底部以外は割れ目の少ない完形で出土しているようです。土器の生命ともいえる把手上部の除去は特段の意味のある行為だったに違いありません。

3単位把手の上部は欠損部状況から中空の丸穴があった構造のようです。

2本隆線で表現されるクランク文は、変形S字状文の連続で生まれた文様と理解します。S字状文を臍帯に起源を持つ紐帯文様と空想していますので、クランク文は人の命の連続性、継続性の抽象表現だと想像します。

2024年3月2日土曜日

2024年2月ブログ活動のふりかえり

 February 2024 blog activity review


I looked back on the February 2024 activities of my blog  'Walking along the Hanami River Basin '.

The three main activities in February 2024 were creating a 3D model of Kasori E-style pottery, inputting the register of shell layer artifacts on the north slope of Ariyoshi Kita Shell Mound, and learning BlenderPython.


ブログ「花見川流域を歩く」の2024年2月活動をふりかえりました。

2024年2月活動の主なものは、加曽利E式土器3Dモデル作成、有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳入力作業、BlenderPython学習の3つとなりました。

1 ブログ「花見川流域を歩く」

・2024年2月の記事数は15です。

・加曽利E式土器3Dモデル作成記事をメインに、有吉北貝塚北斜面貝層の3Dグリッドカバーに関する記事、BlenderPython学習記事などを書きました。

2 ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」

・早朝散歩記事3編を書きました。

3 2024年2月活動の特徴

・2月の活動は、有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳入力作業をメインに進めました。当初は入力作業日誌を頻繁に記事にして情報発信することを考えましたが、あまり面白い記事にならないことが判ったので、活動日誌的情報発信の頻度は低め、記事作成に割くパワーを入力作業そのものに注力することにしました。従って2月記事数は低調になりましたが、遺物台帳入力作業は進展しました。


遺物台帳電子化区域(2024.02.29)


遺物台帳電子化割合(2024.02.29)

・入力作業を進行させる中で、遺物台帳入力だけでも、2m×2m×2mの3Dグリッドならば得られる情報を3Dモデル化できることに気が付き、遺物台帳電子化後の情報表示・分析の枠組みとして、2m×2m×2mの3Dグリッドカバーを作成しました。


有吉北貝塚北斜面貝層の3Dグリッドカバー

・加曽利貝塚博物館「あれもE・・・」企画展展示の加曽利E式土器3Dモデル作成は遺物台帳入力作業の合間に行いました。北斜面貝層出土土器は加曽利E式土器がメインであり、将来的には北斜面貝層台帳入力作業と加曽利E式土器学習が合流することになります。将来のその合流が楽しみです。今はまだ別々の活動になっています。

・自分にとってのBlenderPython学習に最適と感じられる図書を偶然に見つけ、BlenderPython学習が自然発生的に始まりました。BlenderPython活用なくして北斜面貝層分析活動はあり得ないので、学習に熱が入ります。(今はChatGPT支援でBlenderPythonを有効活用していて、とても役立っているのですが、BlenderPythonのイロハを十分に理解しているわけではありません。)

4 2024年3月活動の展望

・2月に引き続き、有吉北貝塚北斜面貝層遺物台帳入力作業をメインに活動します。入力作業が進展するならば、たとえブログ記事数が減少しても、それは甘受することにします。

・加曽利E式土器3Dモデル作成はまだ材料ストックがあるので進めます。

・顔面付釣手形土器等のフォトグラメトリ用撮影を行う機会がありましたので、3Dモデル作成を楽しむことにします。

・BlenderPython学習をコンスタントに進めることにします。

参考

ブログ「花見川流域を歩く」2024年2月記事 〇は閲覧の多いもの

ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」


2024年2月 Sketchfabに投稿した3Dモデル


2024年2月 YouTubeに投稿した3Dモデル


2024年2月 ブログ「花見川流域を歩く」投稿記事に掲載した画像


2024年2月27日火曜日

加曽利EⅠ式土器(091)(東金市・大網白里市養安寺遺跡)観察記録3Dモデル

 Kasori EI style pottery (091)(Togane City/Oami Shirasato City,Yoanji Site) Observation record 3D model


I created a Observation record 3D model of Kasori EI style pottery (091), which is on display at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "That's also E... Sotobo Area Edition". 

I was fascinated by the cross-shaped spines on the edge of the pottery mouth.


加曽利貝塚博物館企画展「あれもE... 外房地域編」で展示されている加曽利EⅠ式土器(091)の観察記録3Dモデルを作成しました。口縁部の十字に発達した棘に見とれてしまいました。

1 加曽利EⅠ式土器(091)(東金市・大網白里市養安寺遺跡)観察記録3Dモデル

加曽利EⅠ式土器(091)(東金市・大網白里市養安寺遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和5年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器 -外房地域編-」

撮影月日:2024.01.20


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.517 processing 116 images


3Dモデル画像


3Dモデル動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 展示説明

「斉一性のなかの揺らぎ

加曽利EⅠ式土器には、明確に区画される口縁部に集約する文様というルールの中で、時期的な変化とバリエーションがみられます。

091は、EⅠ式古段階に属する土器で、口縁をめぐる交互刺突文や十字の剣先文に揺籃期の土器群の要素がみられます。」


2024年2月26日月曜日

変容した勝坂式土器(052)(横芝光町東長山野遺跡)観察記録3Dモデル

 Transformed Katsusaka style pottery (052) (Yokoshibahikari Town,Higashinagayamano Site) Observation record 3D model


I created a Observation record 3D model of Transformed Katsusaka style pottery (052), which is on display at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "That's also E... Sotobo Area Edition". 

The handle structure and pattern of 052 pottery are very similar to 085 pottery, which used to be a fantasy of a woman's desire to pass on the baton of life.


加曽利貝塚博物館企画展「あれもE... 外房地域編」で展示されている変容した勝坂式土器(052)の観察記録3Dモデルを作成しました。052土器は、以前、女性の「命のバトンをつなぐ願望」を超妄想した085土器と把手構成や文様が酷似しています。

1 変容した勝坂式土器(052)(横芝光町東長山野遺跡)観察記録3Dモデル

変容した勝坂式土器(052)(横芝光町東長山野遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和5年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器 -外房地域編-」

撮影月日:2024.01.20


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.517 processing 148 images


3Dモデル画像


3Dモデル動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 把手構成と文様構成が085土器と酷似

052土器は085土器と把手構成、口縁部文様構成、胴部文様が酷似していることに気が付きました。


把手構成、口縁部文様構成、胴部文様が酷似した052土器と085土器


052土器と085土器の把手と口縁部文様の対応

085土器の把手文様について、以前次のような超妄想をメモしました。

2024.01.04記事「変容した勝坂式土器(085)(東金市・大網白里市養安寺遺跡) 観察記録3Dモデル


把手(突起)の繰り返し、口縁部文様の繰り返しに関する超妄想

085土器に関する超妄想は052土器に当てはめて考えることも可能です。この超妄想の確からしさの度合いが何かの弾みで確かめられたら(仮に全くトンチンカンな妄想であったことが確認できたとしても)、楽しい出来事になり、土器学習が加速します。


2024年2月25日日曜日

有吉北貝塚北斜面貝層の3Dグリッドカバー作成

 Creating a 3D grid cover for the shell layer on the north slope of Ariyoshi Kita Shell Mound


I created a 3D grid cover for the shell layer on the north slope of Ariyoshi Kita Shell Mound. The area where shellfish layers and artifacts are abundant is covered with 346 2m x 2m x 2m 3D grids. This 3D grid cover will be used for simple 3D display and simple 3D analysis of artifact ledger data until the 3D coordinates of the 63,000 artifacts are organized.


有吉北貝塚北斜面貝層の3Dグリッドカバーを作成しました。貝層及び遺物多出堆積域を346コの2m×2m×2mの3Dグリッドでカバーしたものです。この3Dグリッドカバーは63000遺物3D座標の整理が終わるまでの間、遺物台帳データの簡易3D表示、簡易3D分析に使います。

1 有吉北貝塚北斜面貝層の3Dグリッドカバー

有吉北貝塚北斜面貝層の3Dグリッドカバー

【表示情報】

1 3Dグリッドカバー

貝層及び遺物多出堆積域を346グリッドでカバーする

3Dグリッドのサイズは2m×2m×2m

3Dグリッド表示線の断面は1㎝×1㎝の方形

2 貝層断面図

3 土器破片分布

土器破片(636)出土座標を30㎝×30㎝×30㎝CUBE中心位置で表示

空色…早期土器、前期土器

黄色…阿玉台式土器

赤色…中峠式土器、加曽利EⅠ式土器、加曽利EⅡ式土器、連弧文土器、加曽利EⅢ式土器

4 ガリー侵食地形崖頂線

5 スケール


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像(中空立方体配置の様子)


3Dモデルの動画

2 メモ

3Dグリッド(2m×2m×2mの中空立方体)は次の手順で作成しました。

・Blenderで1㎝×1㎝×2mの棒をCUBEから作成する。

・その棒の面を細分化、三角面化、UV展開してさらにテクスチャ貼り付けする。

・その棒を12本つくり、立方体の形に組立てる。

・アドオンbool toolで全部を結合して、中空立方体(メッシュオブジェクト)を作成する。

なお、作成した中空立方体の原点をジオメトリに移動してobjファイルに保存しても、このファイルを再びBlenderに読み込むと原点がジオメトリ外のあらぬ場所に変化してしまう不都合(恐らくBlenderのバグ)に遭遇しました。この不都合をFacebook公開グループの「Blenderユーザー助け合い所」に入会して質問したところ、その対処法を葛西薫様より教えて頂きました。葛西薫様に感謝する次第です。

中空立方体は事前に作成した346グリッド座標に貼り付けました。貼り付けはChatGPT支援で作成したBlenderPythonスクリプトで行いました。

3 用語「3Dグリッド」について

このブログでは、これまで2m×2m×2mの3D方形区を3Dメッシュと呼んできましたが、本記事から変更して、3Dグリッドと呼ぶことにします。Blenderでメッシュオブジェクトなどの用語があり、メッシュという言葉をオブジェクトを覆う三角網として使っています。このメッシュオブジェクトなどの造形用語法と3Dメッシュという空間調査用語法が重なってしまい、混乱してしまうことを避けるために、これからは3D方形区を3Dグリッドと呼びます。


変容した勝坂式土器等5点 展示状況素3Dモデル

 5 transformed Katsusaka-style pottery, etc. Exhibition status 3D model


I created 3D model of the 5 transformed Katsusaka-style pottery, etc. on display at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition  "That's also E... Sotobo Area Edition". 

Pottery 052, which was excavated from the same dwelling at the Higashi-Nagayamano site, is similar to the Katsusaka style because of its trident pattern, while pottery 054 is of the Nakabyo type because of its spiral ridges.

加曽利貝塚博物館企画展「あれもE... 外房地域編」で展示されている変容した勝坂式土器等5点の展示状況素3Dモデルを作成しました。

東長山野遺跡の同一住居から出土した052土器は三叉文があることから勝坂式に近く、054土器は渦巻隆線の特徴から中峠式類型となります。

1 変容した勝坂式土器等5点 展示状況素3Dモデル

変容した勝坂式土器等5点 展示状況素3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和5年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器 -外房地域編-」

撮影月日:2024.01.20


展示の様子

展示土器のキャプション

068 大木式の要素を持つ関東地方の土器(東金市羽戸遺跡)

053 中峠類型(横芝光町東長山野遺跡)

073 変容した勝坂式土器(東金市羽戸遺跡)

052 変容した勝坂式土器(横芝光町東長山野遺跡)

054 中峠類型(横芝光町東長山野遺跡)

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.517 processing 148 images


3Dモデル画像


3Dモデル動画

2 展示説明

「東長山野遺跡16号住居

054の土器は、口縁部に連続する弧状と渦巻の隆線のモチーフを持ち、隙間を集合沈線で埋めている、中峠6次1住型の範疇に含めることができる土器です。

052の土器は、連続弧状隆線に刻み目を持ち、隙間を埋める文様には三叉文がみられることから、054の土器や羽戸遺跡113号住居の例よりも勝坂式に近い要素を持っています。」




2024年2月20日火曜日

中峠類型(066)(東金市羽戸遺跡)観察記録3Dモデル

 Nakabyo type pottery (066) (Togane City,Hado Site) Observation record 3D model


I created an Observation record 3D model of Nakabyo type pottery (066) , which is on display at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "That's also E... Sotobo Area Edition".

The handle of this pottery has a shape unique to the Atamadai style, but it is interesting because it has a spiral design instead of a hollow round hole.


加曽利貝塚博物館企画展「あれもE... 外房地域編」で展示されている中峠類型(066)の観察記録3Dモデルを作成しました。

この土器の把手は阿玉台式特有の形ですが、中空丸穴の代わりに渦巻施文となっていておもしろいです。

1 中峠類型(066)(東金市羽戸遺跡)観察記録3Dモデル

中峠類型(066)(東金市羽戸遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和5年度企画展「あれもEこれもE加曽利E式土器 -外房地域編-」

撮影月日:2024.01.20


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.517 processing 137 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ

展示説明

「066の土器は、幅の狭い口縁部文様帯と刺突文からなる中峠類型の文様構成がみられますが、口縁部の平らな山形把手とそれを覆う縄文は阿玉台式の要素が、胴部の渦巻文の配置には大木8a式の要素がみられます。」