2013年11月24日日曜日

地形段彩図技術

花見川流域の小崖地形 その61

花見川流域の小崖地形(断層地形)を検討するなかで、地形を褶曲変位地形として捉えることが必要であり、活褶曲は2つのプレートが沈み込む運動によって引き起こされていることがわかりました。

2つのプレートが沈み込む運動によって生じた活褶曲の姿を知るためには、花見川流域とその周辺だけの検討では不十分であり、千葉県北部一帯に視野を拡げる必要を感じました。

そこで、千葉県北部の25千分の1地形図24面分の範囲を対象に5mメッシュDEMデータを入手し、GIS上で使えるようにし、広域的な観点から活褶曲の概要を検討することにします。

このシリーズ記事では、もともと柏井小崖(柏井断層)のC地区の検討をしているところで、それを中断している状況になっています。
しかし、広域的な視点から褶曲変位地形について検討しておき、その検討で得られた知識・情報に基づいて再び柏井断層C地区の検討に戻りたいと思います。

活褶曲の検討を行うにあたり、5mメッシュDEMデータを使った地形段彩図を有効活用したいと思っていますので、まず地形段彩図技術について検討します。

次の図はGISソフト(地図太郎PLUS)で初期設定されている色区分に基づく地形段彩図です。参考に花見川流域とこれまでの5メッシュ利用範囲を記入しておきました。

地図太郎PLUSで初期設定されている色区分に基づく地形段彩図
花見川流域と5メッシュのこれまで(2013.11.19まで)の利用範囲を記入

地図太郎PLUSで初期設定されている色区分

地形の高低や水系網の状況などわかりやすくバランスのとれた地形段彩図となっていて、全体の概況を知る上では有効です。

しかし、次のような知りたい事柄(目的)があるので、そうした目的によりあった地形段彩図をいくつか試作してみます。

活褶曲について知りたい事柄
1 活褶曲軸等(活背斜軸、活向斜軸、活断層)の分布
2 活褶曲軸等と水系網発達の関係
3 下総台地西部隆起帯と下総台地東部隆起帯の関係(合部の状況)

地形段彩図 試作1

地形段彩図 試作1の色区分

花見川流域付近の下総上位面の褶曲変位を浮き彫りにするために標高24mから30mまで1m刻みとし、30mから52mまでは2m刻みとしたものです。
下総台地西部隆起帯付近(フィリピン海プレートによる応力場)の検討に有効活用できると思います。

地形段彩図 試作2

地形段彩図 試作2の色区分

標高5mから95mまで5m刻みでつくったものです。
下総台地東部隆起帯付近(太平洋プレートによる応力場?)の検討に有効活用できると思います。

地形段彩図 試作3

地形段彩図 試作3の色区分

作業している時図らずも偶然にできたものです。サイケデリックな模様になっていますが、それだけに水系網の状況がよくわかります。
標高の区分と色との関係を合理的、計画的に思考して地形段彩図をつくることだけが、目的にあった図をつくる方法でないことが判りました。

地形段彩図 試作4

地形段彩図 試作4の色区分

色を多用しないで、色のグラデーションを利用したものです。色数を減らし色のグラデーションを利用すると、詳細な情報が視覚的に欠落してしまい、有用な資料にはならないことが判りました。

地形段彩図 試作5

地形段彩図 試作5の色区分

5m刻みで白色を挿入したものです。等高線的表示になり、接峰面図等のように抽象化した地形の表情が判るかもしれないと目論んで作成しました。しかし、そうした効果はあまりないようです。

この他にも多種の地形段彩図を作成してみました。

結論として、試作123などを検討内容に応じてその都度使い分けることがよいと考えました。

また、「地形段彩図の色区分」(段彩設定ファイル)のライブラリーをつくって、情報を蓄積しておくことが大切であることにも気がつきました。


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