2024年11月21日木曜日

3枚の空中写真から千葉市人形塚古墳の近原形3Dモデル作成に成功

 A 3D model of the near-original form of Ningyozuka Tomb in Chiba City was successfully created from three aerial photographs.


A 3D model of the near-original form of Ningyozuka Tomb in Chiba City was successfully created from three aerial photographs taken during excavation. It is now possible to observe the near-original form in detail as a three-dimensional object, which cannot be grasped from contour line data.


千葉市人形塚古墳の発掘時空中写真3枚から近原形3Dモデル作成に成功しました。等高線資料では把握できない詳細な近原形を立体物として観察できるようになりました。

1 千葉市人形塚古墳 近原形3Dモデル

千葉市人形塚古墳 近原形3Dモデル

発掘時空中写真(1987年撮影)3枚からフォトグラメトリソフト3DF Zephyrで3Dモデル化

空中写真は千葉県教育委員会所蔵


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 感想

たった3枚の発掘時撮影空中写真から造形破綻が感じられない3Dモデル作成に成功しました。私にとって驚愕すべき体験となりました。

3枚の発掘時撮影空中写真は、古墳から表土・流土を除去した段階での写真であり、古墳の近原形写真であると言えます。従って、作成した3Dモデルは近原形3Dモデルと表記しました。

空中写真は千葉県教育委員会所蔵資料であり、千葉県教育委員会の許可を得て複製し、利用しました。

多数枚空中写真から作成する場合と比べて、今回作成3Dモデルの厳密な精度は落ちるかもしれません。今後検証が必要です。しかし、等高線資料だけから古墳の原形復元・検討をする状況と比べると、3Dモデル観察ができることは情報量が飛躍的に増え、画期的な出来事であると考えます。

3Dモデルを使った詳しい古墳検討は引き続き行います。

3枚の写真から3Dモデル作成に成功した技術的方法は、失敗を繰り返すなかで偶然見つけました。追って記事で説明します。


2024年11月17日日曜日

有吉北貝塚北斜面貝層遺物データベース(最初バージョン)の完成

 Completion of the first version of the Ariyoshi Kita Shell Mound North Slope Shell Layer Relic Database


The first version of the Ariyoshi Kita Shell Mound North Slope Shell Layer Relic Database based on the relic register and excavation survey report has been completed. The database is stored in postgreSQL and has 64096 records. I plan to develop it into a detailed 3D database in the future.


遺物台帳及び発掘調査報告書をベースとする有吉北貝塚北斜面貝層の遺物データベースの最初バージョンが完成しました。postgreSQLに格納したデータベースで、レコード数は64096です。今後精細な3Dデータベースに発展させる予定です。

1 有吉北貝塚北斜面貝層遺物データベース(最初バージョン)の様子


メインテーブルをpostgreSQL(pgAdmin4)に表示した様子


メインテーブルをファイル出力してExcelで表示した様子

2 有吉北貝塚北斜面貝層遺物データベース(最初バージョン)の概要


有吉北貝塚北斜面貝層遺物データベース(最初バージョン)の概要

遺物台帳データ(遺物コード数64096)と発掘調査報告書掲載遺物リスト(遺物項目数33、レコード数3032)を遺物コードで関連付けたデータベースです。

遺物台帳データと発掘調査報告書掲載情報を関連付けて分析することが可能なデータベースとなっています。複数の遺物種別の関連などの分析にも使えます。

データベースの列(項目)にはグリッド(2m×2m)と標高がありますから、簡易的な3D空間分析にも対応できます。

データベースはメインテーブルとサブテーブル(派生テーブルを含めて現状で83)から構成されています。メインテーブルには遺物台帳から取得したデータ全部と、発掘調査報告書から取得したデータのうち、遺物コードに対応する遺物数を掲載しています。サブテーブルは発掘調査報告書掲載遺物種別の詳細リスト(一部)や作業派生テーブルです。

3 遺物分類

遺物台帳の「名称」情報から簡易的に次の遺物分類を行っています。

1 土器・土製品

2 石器・石

3 骨角歯牙製品

4 貝製品

5 骨・歯(魚類を除く)

6 貝

7 魚骨・鱗

8 炭化物

9 化石等

10 人骨

11 砂塊

12 その他

20 不明

30 貝層サンプル

4 土器・土製品分類

遺物台帳の情報から土器・土製品について、次の簡易分類をしています。

●土器・土製品分類1

1…土器

2…土製品

●土器・土製品分類2

1…(土器)土器

2…(土器)口縁部

3…(土器)底部

4…(土器)把手

11…(土製品)土錘

12…(土製品)円盤

13…(土製品)耳飾

14…(土製品)11、12、13以外の土製品

●土器・土製品分類3

1…朱塗

2…非朱塗

5 グリッド移動

発掘調査の過程で遺物のグリッド所属を変更(隣のグリッドに移動)しているものがありますので、その情報を項目としています。

●グリッド 移動コード

0…はみ出し移動なし

1…はみ出し移動前

2…はみ出し移動後

6 今後のデータベース発展

今後次の情報を付加してデータベースを発展させる予定です。

6-1 貝層情報の評価分級

セクション図の貝層分類及び各遺物に付加された貝層分類を検討して、貝塚全体の検討に使える貝層評価分級が可能であるか、検討します。現状では隣接セクション図間であっても貝層分類表現が統一されていないようです。

現場で表現された貝層分類を北斜面貝層全体で統一できれば(貝層評価分級ができれば)貝層と遺物の関係分析が可能になります。

6-2 土器番号と遺物番号の対応調査

土器型式が分類されている土器現物を構成する破片の遺物コードを調査する予定です。この調査により数千の遺物コードと土器型式が関連付けられます。したがって、北斜面貝層空間に時間スケール(土器型式)が持ち込まれ、貝層や遺物の投棄・移動の順序が明確になります。

6-3 遺物分布図から遺物座標(X座標、Y座標)を計測する調査

遺物分布図(2m×2mグリッド毎に作成されている)から遺物座標(X座標、Y座標)を計測し、全遺物コードの精細な平面座標を取得します。すでに標高(Z座標)は取得してあるので、これにより、遺物データベースが名実ともに3Dデータベースとして使えるようになります。

7 感想

6万遺物を扱うデータベースはExcelなど表計算ソフトでは効率性の観点からとても扱いきれません。今回はデータベースソフトpostgreSQL(GUIはpgAdmin4)を使いました。テーブル操作は全てクエリで行いますが、複雑なクエリは全てChatGPTに指南してもらっています。ChatGPTが懇切丁寧にクエリ作成を手伝ってくれていることがなければ、このデータベース作成活動はおぼつかないものになってしまいます。


2024年11月15日金曜日

web検索からChatGPTへ

 From web searches to ChatGPT


ChatGPT is becoming indispensable for creating BlenderPython scripts and postgreSQL queries in my hobby activities, so I made a note of the current situation. I'm very interested to see in what areas of my hobby activities ChatGPT will be used in the future.


趣味活動におけるBlenderPythonスクリプト作成やpostgreSQLクエリ作成で、ChatGPT利用が不可欠になってきていますので、現状をメモしました。今後自分の趣味活動のどのような領域にChatGPT利用が広がるか興味津々です。


1 趣味活動におけるChatGPTの有効利用例

趣味活動(考古学習など)において次の分野のChatGPT利用が特段に有効で、かつ不可欠となっています。

1-1 BlenderPythonスクリプト作成

例えばBlenderで次のような立体グラフを作成する場合、データ(数量と座標値)があれば専用BlenderPythonスクリプトで一瞬で描画できます。


Blender画面

このBlenderPythonスクリプトを自力で作成する実務能力は残念ですが、現在の自分にありません。しかし、ChatGPTに支援を求めて完成しました。これまでに作成したBlenderPythonスクリプトは数十になり、整理してその都度活用しています。

1-2 Excel操作Pythonスクリプト作成

Excelファイルやcsvファイルを操作するPythonスクリプトをChatGPT支援で多量に作成しています。Excel操作すると複雑で手間のかかる作業もPythonスクリプトを使えば、一瞬でできる場合が多いことに気が付きました。

1-3 postgreSQLクエリ作成

postgreSQLでデータベースを操作するクエリをChatGPT支援で作成しています。

1-4 Windowsのエクスプローラー操作Pythonスクリプト

エクスプローラーに大量のフォルダーを作成したり、ファイルを生成配置したりするなどのPythonスクリプトをChatGPT支援で作成して必要に応じて活用しています。

1-5 自作計測ツールPythonスクリプト

自作座標読み取りツールPythonスクリプトをChatGPT支援で作成して活用しています。やりたいことをChatGPTに相談すれば、その回答がPythonスクリプトで帰ってくるので、便利さを実感しています。

1-6 OCR

発掘調査報告書の数値表などの画像をChatGPTでテキストに変換できるので、多用しています。列数の多い巨大数値表は誤謬が多いですが、列数の少ない表(画像)は行数が多くても精度がとてもよく、コピペできるテキストでアウトプットされるので、とても使い勝手がよいです。有吉北貝塚北斜面貝層の遺物リスト作成で大いに役立ちました。

1-7 画像の説明

遺物画像や考古学切手画像の説明をChatGPTで得ることができます。西欧文化にかかる画像はChatGPTは説明が得意です。

2 その他のChatGPT利用例

次のような例でChatGPTを利用したことがあります。各例は技術的に驚異的とも言えるものですが、自分の活動に照らすと、あまり魅力的なモノではありません。

2-1 文章や書類の要約

文章やリスト、書類の要約が「素晴らしい」出来ばえでできますが、自分の活動ではその技術を利用する場面がありません。表題づくりなども出来ばえはとても良いですが、自分は利用する気持になりません。

2-2 画像の生成・創作

画像の生成や創作はとても素晴らしく、驚愕すべき技術進歩です、考古学切手をChatGPT支援で自作して記事にしたこともあります。しかし、画像生成・創作は自分の興味外です。

2-3 翻訳

ChatGPTで翻訳を試しましたが、Google Translateの方が使い勝手がよいです。

3 自分にとってのChatGPT利用の妙味

自分にとってChatGPTはパソコン操作技術の家庭教師役になっています。この家庭教師は気兼ねしなくてすむので、とても使い勝手がよいです。相手が人間なら、「こんな質問したら恥ずかしい」というような感情が生まれる場面もあり得ますが、相手が人工知能ですから遠慮は無用です。また、ChatGPTから回答を得て、それを検討して、再質問することもありますが、いくら時間を待たせても同一日なら問題ありません。

ChatGPTを使っていて、最も良かったと思うのは、自分の勘違いに気づくような回答がChatGPTから多いことです。ChatGPTは回答本論だけでなく、説明的情報を加えてくることも多いので、助かります。web検索で判らないことを調べると、自分が勘違いしていると、どこまでも判らないことが多いのですが、ChatGPTはこれが少ないです。

4 これからのChatGPT活用法

自分にとって、これからのChatGPTを次のような場面で活用を試して、よければ意欲的に活用していくことにします。

4-1 画像分析技術の指南

例えば、人形塚古墳空中写真で「地割線」が目視で観察できますが、この地割線の抽出方法をChatGPTに相談してその技術的方法(例 Photoshopでの分析技法)を得ることができるのか、試してみることにします。もし、これがうまくゆけば、ChatGPTの活用分野が急拡大します。つまり、自分がやりたいことの方法を教えてもらうことができるのです。

4-2 BlenderGISの有効活用法指南

BlenderGISの有効活用法をまだよく知りません。BlenderとGISが統合しているのですから、驚異的な活用がありうると期待します。

4-3 2種ソフトの連携利用法指南

IllustratorとBlender、IllustratorとQGIS、postgreSQLとBlender、postgreSQLとQGISなどの連携利用法をChatGPTから引き出したいと思います。



フェルガナ盆地

 Fergana Basin


I enjoyed the Fergana Basin edition of "Travels in Uzbekistan" (serialized in the magazine "Geography") by Keiji Nakaie et al., and took notes on my impressions. The Fergana Basin is not a tourist destination, and the travelogue gives a glimpse into the real state of Uzbekistan.


中家惠二ほか「ウズベキスタン紀行」(雑誌「地理」連載記事)のフェルガナ盆地編を楽しみ、感想をメモしました。フェルガナ盆地は観光地ではなく、紀行文からウズベキスタンの本当の様子が伝わってきます。

以下、次の連載記事の感想です。

第11回「フェルガナ盆地 前編」(雑誌「地理」2024.10)

第12回・最終回「フェルガナ盆地 後編」(雑誌「地理」2024.11)

1 フェルガナ盆地


フェルガナ盆地の周辺

「フェルガナ盆地 前編」(雑誌「地理」2024.10)から引用


Google earth pro画面

フェルガナ盆地はウズベキスタンの東端に位置している盆地で、扇状地や断層地形など地形の見本市のような場所です。

フェルガナ盆地は日本からの通常観光旅行コースには入っていません。私も訪問していません。従って、以下の訪問記録は私にとって特段に興味深いものです。

2 日本語学校

訪問団一行が民間の日本語学校「NORIKO学級」を訪問した様子が書かれていて、興味を深めます。民間NPOによる日ウズ交流の一つの成果のようです。70人の若者が寄宿生活を送り日本語を学んでいるそうです。授業料は無料で、日本人教師もボランティアです。

ウズベキスタンの観光地には日本語を話す案内者や施設関係者が多くいますが、その多くがこのような民間学校で日本語を習得しているようです。

3 焼き物工房

フェルガナ郷土史博物館の観覧記と鮮やかな青(リシタンブルー)が特徴のリシタン陶器工房訪問記が書かれています。工房はよくある観光客向けコースを備えた場所のようですが、そこでの一行の活動が一挙手一投足まで詳しく書かれていて、工房訪問の臨場感が伝わってきます。


リシタンブルーのコバルト皿

「フェルガナ盆地 前編」(雑誌「地理」2024.10)から引用

4 織物工房

マルギランのシルク工場見学記がかかれています。一行の見学の様子が詳細のかかれていて、自分がまるで工場の見学コースにいるような錯覚すら覚えます。

5 ラグマン

麺料理ラグマン(ラグメン、ラグ麺)の由来とそのバラエティーある味の特徴について、詳しく記述されています。この文章を読んでいて、空腹だったこともあり、無性に塩ラーメンが食べたくなりました。写真でみると、ラグマンは見かけはラーメンというより、皿うどんやスパゲッティーに近いようです。

6 おわりに

中家惠二ほか「ウズベキスタン紀行」(雑誌「地理」連載記事)の感想ブログ記事を9月から11月までに、この記事を含めて8編書き、楽しませていただきました。「ウズベキスタン紀行」はとても充実していて、面白い著作でした。ウズベキスタンの現代世情を知る上で、価値ある事典的著作です。

この著作を贈っていただいたシルクロード旅行家中家惠二さんに感謝します。

なお、ブログ記事は読後感記事を装っていますが、半分は自分のウズベキスタン旅行思い出し記事であり、著者の皆さんには大変失礼だったかもしれないので、お詫びします。


2024年11月10日日曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 軽石製品分布

 Distribution of pumice products in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound


I created a document on the distribution of pumice products in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound. It seems that pumice products were always kept with holes drilled through them and tied to clothing with string, and used to polish things. They are distributed in the valley head and downstream.


有吉北貝塚北斜面貝層の軽石製品分布資料を作成しました。軽石製品は穴を開けて紐を通して服などに結びつけて常備し、モノの研磨に使ったようです。分布は谷頭部と下流部に分かれます。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 軽石製品分布

有吉北貝塚北斜面貝層 軽石製品分布

データ:発掘調査報告書

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

2-1 軽石製品


軽石製品

発掘調査報告書から引用

軽石製品は穴を開けて紐を通して服などに結びつけて常備し、モノの研磨に使ったようです。

2-2 分布

下記のゾーン区分図(感想図)に照らすと、軽石製品は谷頭ゾーンと下流ゾーンとガリー流路ゾーンに多く、中流ゾーンに少なく、北斜面貝層における平均的な遺物分布のように感じます。


有吉北貝塚北斜面貝層のゾーン区分と遺物移動の様子(感想図)

2024.11.06記事「有吉北貝塚北斜面貝層のゾーン区分と遺物移動の様子(感想図)





2024年11月9日土曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 石製品分布

 Distribution of stone products in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound


I created a document on the distribution of stone products in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound. The distribution of three stone products determined to be ornamental items originated from dumping (burial) at the head of the valley, which is interesting because it differs from the distribution of shell ornaments.


有吉北貝塚北斜面貝層の石製品分布資料を作成しました。石製品のうち装飾品と判定されたもの3点の分布は谷頭部投棄(埋納)起源であり、貝製装飾品分布と異なるので、興味が生まれます。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 石製品分布

有吉北貝塚北斜面貝層 石製品分布

データ:発掘調査報告書

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

2-1 石製品


石製品の例

発掘調査報告書では石製品として主に石棒、装飾品を扱っています。

2-2 分布

石製品のうち装飾品と判定されたもの3点の分布は谷頭部投棄(埋納)起源であり、貝製装飾品分布(ガリー谷下流部に密集)と異なるので、興味が生まれます。石製品全体でみても、貝製装飾品にみられるような顕著は下流密集分布は見られません。


石製品と貝製装飾品の分布


2024年11月7日木曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 石皿分布

 Ariyoshikita Shell Mound North Slope Shell Layer Stone Plate Distribution


I created a data set on the distribution of stone plates in the shell layer on the north slope of the Ariyoshikita Shell Mound. The distribution of stone plates (all fragments) is clearly different from the distribution of grinding stones, which is interesting. Tools that are inseparable from the lives of the Jomon people show a different distribution pattern when buried.


有吉北貝塚北斜面貝層の石皿分布資料を作成しました。石皿(全て破片)の分布は磨石類分布と明らかに異なり興味を持ちます。縄文人生活では不可分の道具が、埋没モードでは異なる分布様相を呈します。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 石皿分布

有吉北貝塚北斜面貝層 石皿分布

データ:発掘調査報告書

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

2-1 石皿


石皿の例(北斜面貝層出土以外も含まれています)

発掘調査報告書から引用

2-2 分布

石皿と磨石類はペアで利用されていたと考えることができます。食生活の必需品です。しかし、埋没モードでは異なる分布様相を呈します。


石皿分布と磨石類分布

有吉北貝塚北斜面貝層 磨石類分布

有吉北貝塚北斜面貝層 磨石類分布

 Distribution of grinding stones in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound


I created a data set on the distribution of grinding stones in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound. The distribution of grinding stones peaks near the head of the valley, and is similar to the distribution of scattered human bones. Is this false likeness? The distribution of grinding stones is clearly different from the distribution of chipped stone axes, which are the same stone product.


有吉北貝塚北斜面貝層の磨石類分布資料を作成しました。磨石類分布は谷頭部付近にピークがあり、散乱人骨分布と似ています。他人の空似でしょうか。磨石類分布は同じ石製品である打製石斧の分布とは明らかに異なります。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 磨石類分布

有吉北貝塚北斜面貝層 磨石類分布

データ:発掘調査報告書

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

2-1 磨石類


磨石類例(北斜面貝層出土以外のものを含む)

発掘調査報告書から引用

2-2 分布の特徴

磨石類分布は谷頭部付近にピークがあり、散乱人骨分布と似ています。他人の空似でしょうか。磨石類分布は同じ石製品である打製石斧の分布とは明らかに異なります。磨石類が埋葬に関係しているかどうか予断を排して今後の検討課題とします。


参考 散乱人骨分布

有吉北貝塚北斜面貝層 散乱人骨分布


参考 打製石斧分布

有吉北貝塚北斜面貝層 打製石斧分布

2024年11月6日水曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 磨製石斧分布

 Distribution of polished stone axes in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound


I created a document on the distribution of polished stone axes in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound. Although the number of polished stone axes excavated is smaller than that of chipped stone axes, I confirmed that the distribution is similar.


有吉北貝塚北斜面貝層の磨製石斧分布資料を作成しました。磨製石斧出土数は打製石斧より少ないですが、分布の様子は似通っていることを確認しました。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 磨製石斧分布

有吉北貝塚北斜面貝層 磨製石斧分布

データ:発掘調査報告書

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

2-1 磨製石斧


磨製石斧例(北斜面貝層以外出土を含む) 発掘調査報告書から引用

2-2 分布


有吉北貝塚北斜面貝層の打製石斧分布と磨製石斧分布

磨製石斧出土数(57)は打製石斧(151)より少ないですが、分布の様子は似通っていることを確認しました。


有吉北貝塚北斜面貝層のゾーン区分と遺物移動の様子(感想図)

 Ariyoshikita Shell Mound North Slope Shell Layer Zone Division and Relic Movement (Impression Diagram)


I have compiled an impression diagram of the distribution of relics in the Ariyoshikita Shell Mound North Slope Shell Layer, showing the zone division by function and the movement of relics. These impressions are based on the examination of the distribution of relics in the north slope shell layer over the past few years. I will use these impressions (problem awareness) as a springboard to accelerate my learning.


有吉北貝塚北斜面貝層の遺物分布について、機能によるゾーン区分と遺物移動の様子を感想図としてまとめて見ました。過去数年間の北斜面貝層遺物分布検討に基づく感想です。この感想(問題意識)を踏み台にして学習を加速することにします。

1 有吉北貝塚北斜面貝層のゾーン区分と遺物移動の様子(感想図)


有吉北貝塚北斜面貝層のゾーン区分と遺物移動の様子(感想図)


有吉北貝塚北斜面貝層のゾーン区分と遺物移動の様子(感想図)

2 メモ

2-1 4ゾーン区分

ガリー侵食で形成された急斜面に遺物が投棄、埋納され、人骨が埋葬されたと考えられます。急斜面ですから、遺物は重力と流水の営力で下流に移動します。急斜面における投棄・埋納・埋葬が行われたゾーンを3つに区分しました。

投棄・埋納・埋葬された遺物は間欠的に発生する流水(イメージ:年に1~2回、あるいは数年に1回の大雨で生じる強いガリー水流)で下流にガリー流路に沿って移動します。この流路空間を独立した4番目のゾーンとして考えます。

谷頭ゾーンで投棄された土器片がガリー流路の最下流まで運ばれていることは既に確認してあります。

2-2 谷頭ゾーン

ガリー流路谷頭部に位置していて、遺物投棄・遺物埋納・人骨埋葬が活発に行われ、遺物出土量が特段に多いゾーンです。

2-3 中流ゾーン

尾根によりガリー流路が狭窄した部分の直下域で、遺物投棄量は少なく、埋納や埋葬は顕著ではありません。北斜面貝層ではあまり利用されていないゾーンです。そのため中流ゾーン地先のガリー流路空間では遺物出土量が減少します。

2-4 下流ゾーン

遺物の投棄、埋納が行われていますが、人骨埋葬はほとんど観察できません(散乱人骨出土が低調)。

下流ゾーンには急斜面だけでなく、平坦面が存在していた時期があり、儀礼空間として使われていた可能性が濃厚です。(上流から流されてきたのでなく、この場に埋納されたと想定できる)イモガイ製腰飾などが出土しています。

2-5 ガリー流路ゾーン

間欠的水流により上流から運ばれてきた遺物が出土します。有吉北貝塚出土の最大級土器294番(加曽利EⅡ式土器土器)は谷頭ゾーンから流路ゾーン最下流まで連続的に分布します。また、ガリー流路ゾーンの下流部では、古い土器が出土する層位の方が新土器が出土する層位より上位に位置していて、見かけ上、逆転現象を呈します。これは、時間の経過のなかで、谷頭ゾーンの浸食により古い土器片が流され、下流で新しい土器片堆積層の上に堆積した結果であり、ガリー流路縦断形が平滑化しているなかで生まれた現象であると理解できます。