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2026年8月3日月曜日

自然言語による土器の電子補修

 Digital Restoration of Earthenware Using Natural Language


I attempted the digital restoration of earthenware using natural language, aided by a custom AI assistant I built for Blender. Although it was a rudimentary example, I was thrilled to successfully restore the pottery digitally using nothing but natural language.


自作のBlender専用AIアシスタントを使って、自然言語で土器の電子補修を試みました。原初的な事例とはいえ自然言語だけで土器電子補修できたので感動しました。

1 欠損のある土器


欠損のある土器

2 Blender専用AIアシスタントによる電子補修(初回)

2-1 初回プロンプト

「選択オブジェクトは土器の縁が一部欠けたものです。この土器の縁を、推定される元の形状に、geometry nodesを使って電子補修してください。」

2-2 初回プロンプトに対するChatGPTの作業方針

「選択中の土器メッシュから、上端付近の頂点を抽出し、世界Z軸上向き・円形リムという前提で円中心/半径を推定します。角度分布の最大欠損区間を「欠け」とみなし、その弧に沿った補修用Curveを作成し、Geometry Nodesで円形断面をスイープして電子補修片を生成します。元メッシュは破壊せず、補修片は別オブジェクトとして作成・親子付けします。  

前提:土器は概ね水平な円形リムで、欠損は上端頂点の角度的な空白として検出できるものとします。次の改良候補は、手動で欠損角度を指定するUI、楕円リム対応、断面形状の非円形化、元メッシュとのブレンド/厚み補修です。」

2-3 初回プロンプトに対する電子補修結果


初回プロンプトに対する電子補修結果

口縁部がつながれただけで、欠損は補修されていません。

3 Blender専用AIアシスタントによる電子補修(第2回)

3-1 第2回プロンプト

「土器口縁部だけがつながりましたが、その下の欠損部も埋めてください。」

3-2 第2回プロンプトに対するChatGPTの作業方針

「前回は「上端リム弧のチューブ」だけを生成していたため、口縁の下に続く欠損面が残りました。今回は同じ目的を維持し、選択土器メッシュの上端から欠損角度を推定し、その左右の残存壁面から半径プロファイルを拾って、口縁直下まで含む曲面パッチを追加生成します。  

構造:推定欠損弧のリム補修Curve+その下の四角面グリッドWall Patch Mesh+表示用Geometry Nodes(Set Material)+任意編集しやすいSolidifyモディファイアです。元の土器は変更しません。  

前提:土器は概ね世界Z上向き、口縁は円形に近いものとして推定します。下端は欠損角度内に既存頂点が戻る位置を自動探索し、見つからない場合は高さの約45%まで補修します。次の改良候補は、欠損角度と補修深さの手動指定、楕円口縁対応、内外面二重壁の精密化です。」

3-3 第2回プロンプトに対する電子補修結果


第2回プロンプトに対する電子補修結果(ソリッド)


第2回プロンプトに対する電子補修結果(ワイヤフレーム)


第2回プロンプトに対する電子補修結果(マテリアルプレビュー)

基本的な意味での電子補修が実現しました。

4 感想・メモ

原初的な事例とはいえ自然言語だけで土器電子補修できたので感動しました。

初回プロンプトに対して、ChatGPTはgeometry nodesを利用してオブジェクトを作成しました。

第2回プロンプトに対して、ChatGPTは操作をBlenderPythonスクリプトで直接行い、geometry nodesは使いませんでした。

5 Blender専用AIアシスタント

自作Blenderアドオンです。このアドオンは、Blenderの中でChatGPT5.5モデルとユーザー(自分)のコミュニケーションに基づいて、各種操作を実行するためのBlenderPythonスクリプトを生成します。


2025年11月25日火曜日

骨と土器の密集域

 Bone and Pottery Concentrations


The bone and pottery concentrations in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound are displayed simultaneously in a 3D viewport. The concentrations are distinct, as if they were living separately. I hypothesize that this represents differences in behavior within the shell layer after disposal. Such visualization has not been done in Japan before.


有吉北貝塚北斜面貝層の骨と土器の密集域を同時に3Dビューポートに表示しました。まるで棲み分けているように密集域が異なります。投棄後の貝層中における挙動の違いが表現されていると仮説しています。このような可視化はこれまでに本邦ではありません。

1 骨と土器の密集域

骨と土器の密集域

黄色は骨の密集域

赤色は土器の密集域

密集域とは「標準偏差による最近隣距離4区分の区分1」

有吉北貝塚北斜面貝層

3DF Zephyr v8.031でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像

2 骨と土器の密集域資料


骨と土器の密集域資料

3 メモ

有吉北貝塚北斜面貝層の骨と土器の密集域を同時に3Dビューポートに表示しました。まるで棲み分けているように密集域が異なります。投棄後の貝層中における挙動の違いが表現されていると仮説しています。

骨は小さく、斜面貝層中のクリープ(葡行)による移動が少ないのに対して、土器は大きく、斜面貝層中のクリープ(葡行)移動距離が長く、斜面下部まで達したものが多かったと推測します。

仮説の当否は別にして、骨と土器密集域の対比的表現という可視化はこれまでに本邦ではありません。


2025年11月24日月曜日

土器 標準偏差による最近隣距離4区分

 Pottery: Four Nearest Neighbor Distance Categories Based on Standard Deviation


I examined pottery's nearest neighbor distances based on the standard deviation. Looking at the cross section, there are slightly denser clusters (yellow) near dense clusters (red), and together they are more prevalent at the bottom of the slope. On a frictional slope, I assume that creep forces acted more strongly on heavier pottery, causing it to move more rapidly downslope than bones and other objects.


土器の標準偏差による最近隣距離4区分を観察しました。断面で見ると、密集(赤)の近くにやや密集(黄色)が存在して、合わせると、斜面下部に多くなっています。摩擦のある斜面では重量が重い土器に葡行営力がより強く作用し、骨などよりも斜面移動が激しかったと想定します。

1 土器の4区分結果

1-1 土器 標準偏差による最近隣距離4区分 区分1(密集)


土器 標準偏差による最近隣距離4区分 区分1(密集)

0.007~0.098m

1-2 土器 標準偏差による最近隣距離4区分 区分2(やや密集)


土器 標準偏差による最近隣距離4区分 区分2(やや密集)

0.098~0.160m

1-3 土器 標準偏差による最近隣距離4区分 区分3(やや散在)


土器 標準偏差による最近隣距離4区分 区分3(やや散在)

0.160~0.258m

1-4 土器 標準偏差による最近隣距離4区分 区分4(散在)


土器 標準偏差による最近隣距離4区分 区分4(散在)

0.258~1.847m

1-5 観察

土器の密集域のまわりにやや密集域、そのまわりにやや散在域、さらにそのまわりに散在域が分布します。土器の密集域が斜面下部のガリー流路沿いに集中していることが特徴です。

安息角に近い斜面では大きな土器に葡行営力がより強く作用し、骨などよりも斜面移動が激しかったと想定します。

2 土器 標準偏差による最近隣距離4区分の谷中断面

土器 標準偏差による最近隣距離4区分の谷中断面

土器 標準偏差による最近隣距離4区分 区分1(密集)3Dモデルに谷中部の断面を追記


谷中部断面


谷中断面の位置

有吉北貝塚北斜面貝層

3DF Zephyr v8.031でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像

3 考察

他の遺物と同様に土器の投棄のともなう斜面移動を次図のように想定しました。


考察

土器は斜面における重力・葡行移動とガリー流路における稀で強い流水移動の2つの移動種類により移動していたと想定します。

2025年11月17日月曜日

土器の最近隣距離分布観察

 Observing the Distribution of Nearest Neighbor Distances for Pottery


I observed the 3D distribution of nearest neighbor distances for 17,481 pottery artifacts excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. I created a distribution map by dividing the nearest neighbor distances between pottery artifacts into four sections using minimum, maximum, average, and standard deviation. From the pottery distribution, I observed four shell layer stratigraphic units and three distinct pottery concentrations.


有吉北貝塚北斜面貝層の出土土器17481件の最近隣距離3D分布を観察しました。分布図を土器間の最近隣距離を最小値、最大値、平均値、標準偏差を利用して4区分して作成しました。土器分布から貝層層位4単位と3ヶ所の顕著な土器集中が観察できました。

1 土器 最近隣距離3D分布

1-1 土器 最近隣距離0.007~0.098m


土器 最近隣距離0.007~0.098m

1-2 土器 最近隣距離0.007~0.098m、0.098~0.160m


土器 最近隣距離0.007~0.098m、0.098~0.160m

1-3 土器 最近隣距離0.007~0.098m、0.098~0.160m、0.160~0.258m


土器 最近隣距離0.007~0.098m、0.098~0.160m、0.160~0.258m

1-4 土器 最近隣距離0.007~0.098m、0.098~0.160m、0.160~0.258m、0.258~1.847m


土器 最近隣距離0.007~0.098m、0.098~0.160m、0.160~0.258m、0.258~1.847m

2 メモ

2-1 土器分布からみた貝層層位想定

4枚の土器分布図を観察して、土器分布の成層の様子から貝層層位を想定できました。下から、基底層、中層、上層、最上層に大別しました。精細にみればさらに細分できますが、北斜面貝層全体を概観する上で4層区分がふさわしいと考えました。


土器分布からみて貝層層位想定、顕著な土器集中

2-2 顕著な土器集中

顕著な土器集中が3ヶ所見つかりました。土器集中1は発掘調査報告書で詳しく記述されています。土器集中2と3は発掘調査報告書では記述されていません。

3ヶ所の土器集中ともにBlender3Dビューポートでよく観察して、いずれもガリー水流で運ばれてきて、その場が最終堆積場所になったと考えると合理的であると感じました。3ヶ所の土器集中は層位が異なりますから、顕著な土器堆積現象(大きな出水による土器運搬堆積)は3回あったことになります。発掘調査報告書で記述されている土器集中はその最初の事象です。


2022年11月28日月曜日

とうとう縄文人が土器をばら撒いた証拠を見つける

 Evidence found that Jomon people scattered pottery


In the 3D distribution of pottery in the north slope shell layer of Ariyoshi Kita Shell Midden, I finally found evidence that the Jomon people scattered pottery. This ended my confusion. I presume that it was scattered by "wishing".


有吉北貝塚北斜面貝層土器3D分布で、とうとう縄文人が土器をばら撒いた証拠を見つけました。自分自身の迷いはこれで終わりました。「願掛け」でばら撒いたと推測します。

1 395土器(加曽利EⅢ式有孔鍔付土器)破片分布3Dモデル

有吉北貝塚北斜面貝層 395土器(加曽利EⅢ式有孔鍔付土器)破片分布3Dモデル


接合復元された395土器(加曽利EⅢ式有孔鍔付土器)

紫色立方体…土器破片(全ての土器破片を一律30㎝×30㎝×30㎝で表現)

緑色曲面…貝層中の貝層-土層境界面

白色線…地形断面線(2m間隔)、地形境界

垂直:水平=1:1

395 pottery (Kasori EIII type pottery with perforated collar) Fragment distribution 3D model

North Slope Shell Layer of Ariyoshi Kita Shell Mound

395 pottery (Kasori EIII type pottery with perforated collar) Fragment distribution 3D model

395 restored pottery jointed (Kasori EIII type pottery with perforated collar)

Purple cube: pottery fragment (all pottery fragments are uniformly expressed in 30 cm x 30 cm x 30 cm)

Green curved surface: Shell layer-soil layer interface in the shell layer

White line: terrain cross-section line (2m interval), terrain boundary

vertical:horizontal=1:1


395土器(加曽利EⅢ式有孔鍔付土器)破片分布3Dモデル画像


395土器(加曽利EⅢ式有孔鍔付土器)破片分布3Dモデル動画

2 395土器3D分布の解釈


395土器3D分布の解釈

ア 1は土層に、2は貝層に存在するので、流水の営力で上流から1→2のように分布したことは否定される。

イ 9・10・11は貝層に、12は土層に存在するので、流水営力で9・10・11→12のように分布したことは否定される。なお、12は9・10・11より高度が高い。

ウ 7で土器が破壊され、その破片が重力や流水営力で落下移動したと考えると1・2・3・12などは場所が離れているので、その分布を説明できない。

エ ア・イ・ウから395土器破片分布は、縄文人が土器破片をバラバラの場所に投棄して歩いたと考えざるを得ない。

395土器3D分布は縄文人が廃用土器を破壊してばら撒いて歩いた確実な証拠であると考え、別の考え(※)に迷うことから解放されることになりました。

※「土器がある場所で破壊され、その破片が重力や流水営力で自然拡散して分布した」など。

3 廃用土器の破壊ばら撒き活動の意味

廃用土器の破壊ばら撒き活動の意味は「願掛け」(祈願活動)であったと推測します。奈良平安時代の墨書土器破壊投棄活動や現代に伝わる各地「かわらけ投げ」は縄文人の廃用土器破壊ばら撒き活動にそのルーツを有すると考えます。

不用になった土器はそのまま放置遺棄するのではなく、破壊して投棄することが早期以来縄文人の一般活動様式であるように想像します。いわゆる土器塚はその活動跡と考えます。

一般に破壊ばら撒き活動は土器だけでなく、土偶でも顕著だと言えます。

4 参考 395土器オリジナル分布情報(追記20221129)


395土器の分布(平面図)