2011年6月17日金曜日

下志津射場図 3 10秒4の補正(GIS取込の実際)

宇那谷川流域紀行13 下志津射場図 3 10秒4の補正(GIS取込の実際)

1 前報訂正
 前報の「下志津射場図 2 GIS取込技法」の最後に次の文章がありますが、間違っていましたので訂正します。


なお、今回の作業には関係ありませんが、大正7年以前の地形図は、記載されている経度情報に10秒4の補正を加えて、正しい日本測地系のデータを得る必要があります。
(このブログの作業で使っている旧版1万分の1地形図は大正6年測量であるために、経度10秒4の補正をして正しい日本測地系のデータを得、それを世界測地系データに変換してGIS取込に利用しました。)


なお、下志津射場図は昭和15年3月修正となっていますが、経緯度情報は大正7年以前の測量成果をそのまま利用しています。そのため、このブログの作業で使っている旧版1万分の1地形図(大正6年測量)と同様に、経度10秒4の補正をして正しい日本測地系のデータを得、それを世界測地系データに変換してGIS取込に利用しました。

 下志津射場図の基図は野戦砲兵学校が製作したもので、陸地測量部発行地形図ではありません。従って陸地測量部地形図のような経度の修正は行わなかったものと考えられます。
 また、下志津射場図掲載の緯度情報が1箇所間違っています。35度42分であるべきところが36度42分になっています。この間違いは大正15年版にも、昭和15年版にも同じ箇所にあり途中修正されていません。このことから、演習活動では緯度経度情報は重要なものではなかったと考えられます。
 なお下志津射場図の基図は旧版1万分の1地形図(大正6年測量)を編集したものと考えられます。

            10秒4の補正をしなかった場合のずれ(花見川のずれが確認できます)

●10秒4の補正とは
1892年(明治25年)に陸地測量部が日本経緯度原点を告示し、以後これに基づいて地図測量が実施されました。その後の調査で経度について10秒4.05の誤差が認められ、1918年(大正7年)9月に日本経緯度原点の経度が変更されました。従って、大正7年9月以前発行の地形図は図郭に10秒405の誤差があります。大正7年9月発行以降の地形図は、図郭の経度に10秒4の端数を記入して対応し、昭和30年代頃までは続きました。

            10秒4の端数のある地形図(昭和37年発行)

2 GIS取込の実際
 次に示す画像は緯度経度情報に経度10秒4の補正をして日本測地系データを得、それを世界測地系データに変換してその通りにGISに貼り付けた画像です。GISに正確に取り込んである旧版1万分の1地形図や現代情報とずれがあります。

            緯度経度を使って貼り付けときの誤差

 この誤差はおそらく下志津射場図図郭外整飾部の緯度経度位置が正確でないことに由来しているものと考えられます。(緯度経度情報は使わないから飾りとして大雑把に書き込み、だからミスも訂正されないでいつまでも残ったという状況だと思います。)
 一方上図から下志津射場図の左辺は旧版1万分の1地形図の図郭線であることがわかりました。

 そこで、後は手仕事で微調整移動して、下志津射場図をGISの中で各種誤差が最小になるように位置を決めました。結果としてかなり満足のいくGIS貼り付けが出来ました。

            微調整後

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