次の図に示したように、花見川(法律的な名称は「印旛放水路(下流部)」)沿いに河岸段丘地形がありますので考察します。
河岸段丘の位置
基図はDMデータ(千葉市、八千代市提供)
この部分の地形を、入手したての航空レーザ測量による5mメッシュを使って3D表示すると、次のようになります。
横戸河岸段丘の3D表示
地図太郎PLUSで地形段彩図(10m~25m間を1m刻み、陰影をつける)作成
地形段彩図をカシミール3Dで3D表示(高さ強調10倍)
河岸段丘の上に天保期堀割普請の捨土の土手が乗っているため、これまでここに河岸段丘地形があることに気がついた人はいませんでした。
江戸時代の3回の堀割普請の印象が強いため、花見川は「歴史」対象であり、「地学」対象として見た人はほとんどいなかったので、しかたがありません。
また、地図が間違っているため(千葉市DMデータ、国土地理院1万分の1地形図等)、現地に行かない限り専門家でも河岸段丘地形の存在に気がつかなかったのは当然といえば当然です。
地形断面は次のようになります。
地形断面位置
地形断面 A-B
カシミール3Dの断面図機能で作成
(5mメッシュは0.1m単位のデータですが、カシミール3Dの断面図作成機能は1m単位であり、5mメッシュの情報を使い切った断面図になっていません。)
地形断面 C-D
地形断面図から判るように河岸段丘地形の地形面標高は約17mです。
現場を歩くと確かに樹林(雑木林)により地形の把握が妨げられます。
次の写真は河岸段丘面から普請土手をみた写真です。比高が約5mあるところです。
普請土手
次の写真は普請土手から河岸段丘面とその背後の段丘崖を見た写真です。
肉眼でははっきりわかる地形が、樹林に邪魔されて写真や動画では十分に捉えることができません。
普請土手背後の河岸段丘平坦面と段丘崖
この河岸段丘の露頭が花見川谷壁斜面(断面A-Bとの交点)で見つかりましたので、次の記事で報告します。
また、利根川水系手賀沼・印旛沼・根子名川圏域河川整備計画で、わざわざ「印旛放水路(下流部)は印旛沼開発事業により下総台地を開削して作られた人工河川です」と定義づけられたこの「人工河川」になぜ河岸段丘があるのか、その不思議について順次検討したいとおもいます。
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