1月に入ってから鳴神山遺跡の出土物の年代別分布図及び墨書土器の年代別分布図を対照させて、そこから有用な情報を引き出しています。
発掘調査報告書や既発表の論文等には出土物と墨書土器文字との対応を分析した記述は見当たりませんので、素人の趣味活動とはいえ、意味が少しはあるかもしれないと考えています。
2016.01.25記事「鳴神山遺跡 紡錘車出土と「依」集団との関係」では、記事作成後、その内容を別の視点で検証するとどうやら仮説したことに妥当性が低いと感じるようになりました。
早速記事の訂正を行いました。
この記事を訂正する中で感じたことがあります。
出土物と墨書土器文字の年代別分布図を対照して、イメージ的に重なるとか重ならないとか、定性的に検討しているのですが、それでは見落としがあるかもしれないと感じるようになったのです。
過去の自分の経験から、このような情報の重ね合わせをする場合、誰の目でみても確かに重なっている(対応している)という判断が付くような情報が結局は有用な情報となります。
一方、高度な統計的分析的手法でわずかの対応関係(重なり)を証明してみても、それが誰から見ても一目でわかるものでなければ、結局はあまり有用に使われないことが多いと感じています。
しかし、現状の検討では、あまりにも大ざっぱすぎて、誰でも判るような明瞭な重なりや関係を十分に把握していないと感じます。貴重なデータを雑な分析で浪費していて、もったいないと感じるようになったのです。
苦労して閲覧して収集した発掘調査報告書の情報をデータベース化して、それをGISにプロットしたのですから、もう少し深めた統計的分析的な処理をすればもっといろいろなことが判るにちがいないという気がしてきました。検討意欲が出てきたということです。
遺構(竪穴住居、ただし年代データがあるのはサンプル183遺構)別出土物、墨書土器データがGISデータベース化されているのですから、それをもう少し有効活用することにします。
現在は次の2つのGISデータベースを作っていて、それを別々に利用しています。
出土物データベース
墨書土器データベース
これまでは、GISにプロットするに際しては、それぞれ特定項目ごとにデータを絞って、墨書土器の場合にはさらにレコードを竪穴住居別に直して、csvファイル出力していたのです。
今後は、墨書土器データベースのレコードを竪穴住居別に変換して出土物データベースと結合して1つのファイルにします。
出土物と墨書土器情報が1つの竪穴住居別レコードとなったファイルを利用して、これまでできなかった次のような分析を行うことにします。
例
●紡錘車出土遺構から出土する墨書文字
●鉄鏃出土遺構から出土する墨書文字
●文字「依」出土遺構から出土する他の墨書文字
…
統計的及びGIS空間的に検討できる項目が広がります。
なお、現在進めている分析は年代データのある183竪穴住居を対象としています。
このサンプル以外の竪穴住居及び他の遺構(溝、土坑、掘立柱建物等)のデータは出土物及び墨書土器とも含まれていません。
サンプルだけの検討で鳴神山遺跡の特性が浮き彫りになると考えています。
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