2016年10月26日水曜日

上谷遺跡 土坑底から壁にへばりついていたのは草のカヤ

2016.09.22記事「上谷遺跡 カヤ実貯蔵用土坑」及び2016.10.23記事「上谷遺跡 鉄滓が出土している燈明皿多出土坑」で検討したD268土坑のカヤ材については常緑高木のカヤ(榧)であると想定してきました。

しかし、八千代市立郷土博物館からのアドバイス等により草本のカヤ(イネ科のススキ、チガヤ、アシ、ヨシ等)のことである可能性が有力になりましたので記事にして報告します。

1 八千代市立郷土博物館からのアドバイス

10月始めに八千代市立郷土博物館にD268土坑出土カヤが草のカヤか、常緑高木のカヤか質問させていだだきました。

昨日、八千代市立郷土博物館からアドバイスをいただき、D268土坑のカヤは草のカヤの可能性が高いとのことでした。より正確には解像度の高い写真を探して確認していただけるとのことでした。

2 報告書写真の拡大

このアドバイスをいただき、報告書の写真の判断ができないと思い込んでいるだけではなく、自分自身が積極的に写真を拡大して確認してみることが可能であることに気が付きました。

次の報告書写真を拡大してみました。

発掘調査報告書のD268土坑写真
(文中の番号D269は報告書の過誤)

Photoshopで写真を拡大すると、ストロー状の材が丸い束になっている様子が写っていることが判明しました。

上谷遺跡 D268土坑底の写真

この写真から、D268土坑の底から壁にかけて炭化したカヤ材が貼り付くように出土しているという記述のカヤ材が草本のカヤであることがほぼ確実になりました。

ススキやアシなどを束ねてそれを土坑の底から壁にかけて敷きつめた様子が浮き彫りになりました。

同時に常緑高木のカヤ実の処理機能という想定は棄却されました。

常緑高木のカヤと草本のカヤでは土坑の利用についてその解釈が大きく異なってきます。

上記記事の訂正は別途行います。

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