2016年12月13日火曜日

上谷遺跡 覆土層タイプと焼却跡のクロス集計

上谷遺跡竪穴住居について覆土層タイプと焼却跡について把握してきましたので、そのクロス集計を行ってみました。

結果は次の通りです。

上谷遺跡 竪穴住居 覆土層タイプ別焼土・炭化材観察状況

この結果を%で示すと次のようになります。

上谷遺跡 竪穴住居 覆土層別焼土・炭化材観察の割合

これらのグラフから、あくまでも統計的な意味ですが、次のことが把握できます。

●自然堆積タイプ、自然堆積後人為堆積タイプの竪穴住居には焼土・炭化材が観察されるものが少ない。

自然堆積タイプとは「穴」として放置され、自然の成り行きで埋まっていった竪穴住居のことです。

そして、自然堆積タイプの数が竪穴住居のなかでは最も多くなっています。

この結果から、大半の竪穴住居は廃絶後木材の焼却行為はなく、「穴」のまま放置されたということがいえそうです。

●人為堆積タイプ、人為堆積後自然堆積タイプには焼土・炭化材が観察されるものが多い。

人為堆積タイプとは廃絶直後に「穴」を埋め立てたものです。

このタイプでは覆土層中から焼土や炭化材がしばしば観察されるということです。

竪穴住居廃絶後の「穴」を埋めるという積極的土木行為と、木材を焼却するという象徴的行為(おそらく祭祀)が結びついているということがよみ取れます。

人為堆積後自然堆積タイプとは「穴」を全て埋めつくすのではなく、半分程度埋め、その後は自然堆積に任せるタイプです。

このタイプでは床上に焼土や炭化材が観察されるものが多くなっています。

このタイプも竪穴住居廃絶後の「穴」を埋めるという積極的土木行為と、木材を焼却するという象徴的行為(おそらく祭祀)が結びついています。

覆土層タイプと焼却跡有無との間には統計的な相関があることがわかりました。

次以降の記事では竪穴住居を次のように類型区分して、それぞれの特性(遺物出土状況等)について検討をすすめたいと考えています。

竪穴住居の類型区分案
●自然堆積タイプ-焼却無し
●自然堆積タイプ-焼却有り
●人為堆積タイプ-焼却無し
●人為堆積タイプ-焼却有り
●人為堆積後自然堆積-焼却無し
●人為堆積後自然堆積-焼却有り
●自然堆積後人為堆積-焼却無し
●自然堆積後人為堆積-焼却有り
●覆土層記述欠

0 件のコメント:

コメントを投稿