2016年12月9日金曜日

上谷遺跡 竪穴住居覆土層タイプの分類

1 竪穴住居の覆土層タイプ

上谷遺跡の学習(検討)を進めてきて、竪穴住居の覆土層のタイプがいくつかあり、そのタイプの学習を含めることが遺物出土の意義を考える上で重要であると思い知らされてきています。

そこで、全6冊の発掘調査報告書をその観点から読み直し、竪穴住居覆土層タイプの分類をしてみました。

この記事ではタイプ分類を説明します。

覆土層タイプは次のように4つに分類しました。

竪穴住居覆土層タイプ区分のイメージ

自然堆積タイプは廃絶竪穴住居が当初「穴」であり、それがある程度の長時間をかけて徐々に埋まっていったと考えられるものです。

覆土層が色や材質で細かく区分され、「穴」が徐々に埋まっていく様子を層位線が表現しています。

人為堆積タイプは廃絶竪穴住居跡の「穴」を一気に埋め立てたものです。層位が細かく区分されません。

人為堆積後自然堆積タイプはある程度一気に埋め立て、その後その「穴」が放置され徐々に埋まっていった様子がわかるものです。

自然堆積後人為堆積タイプは、最初自然堆積が進んだけれど、ある時点でその「穴」が一気に埋め立てられたものです。

このタイプ区分の分布や遺物出土状況等との関係を今後検討してみることにします。

なお、現時点の大ざっぱな想定では、自然堆積の期間(つまり穴であった期間)、その空間は祭祀が行われていた場所であると考えています。

人為堆積タイプでは一気に埋め戻す時1回だけ祭祀があったと考えます。

人為堆積後自然堆積タイプでは、穴が埋められ、つまり区切りをつけてのですが、その後何らかの事情で祭祀が復活した場所であると考えます。

人為堆積の覆土を掘り返してその場所が自然堆積の場になっている竪穴住居跡がかなりあります。

自然堆積後人為堆積タイプは、祭祀を行っていた場所を何らかの理由で、「閉めた」のだと考えます。

祭祀空間であることを止めるために、「穴」を埋めたのだと考えます。

このような当初想定がどの程度当たっているか、今後詳しく検討します。

覆土層タイプ区分をカウントすると次のようになります。

上谷遺跡 竪穴住居覆土層タイプ

2 焼土・炭化材観察状況

覆土層タイプとともに、焼土・炭化材がどのように観察されているかという情報も竪穴住居跡における祭祀を考察するうえで重要なものとなります。

この情報も作成しました。

発掘調査報告書では全ての焼土・炭化材について「不用材の焼却」という表現を使っていますが、私は「不用材の焼却」説に大いに疑問を持っています。

覆土層タイプと合わせて、情報を詳しく分析すれば、それが「不用材の焼却」なのか、祭祀に関係するのか、判断するに参考となる情報を得ることができると期待しています。

この情報をカウントすると次のようになります。

上谷遺跡 竪穴住居の焼土・炭化材観察状況


覆土層タイプ、焼土・炭化材観察状況を使った分析を次の記事から行います。

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