2021年7月8日木曜日

土はどこから 補遺

 縄文社会消長分析学習 111

2021.07.07記事「有吉北貝塚北斜面貝層成立メカニズム 土はどこから」の裏付けとなるような情報を4点について補遺としてメモしておきます。

1 土を採取した場所


土を採取した場所

混土貝及び混貝土作成材料として、及び埋め立て材料として土を採取した場所を想定しました。ガリー主流路右岸側の地山が不自然に凹み、まるでミニ河岸段丘のようになった場所もあります。この場所以外に土を採取した場所は見つかりません。

2 混土貝層から出土する多様な遺物


第2断面 純貝層直下の混貝土層から出土する多様な遺物

第2断面で、純貝層に覆われた混貝土層から多様な遺物が出土しています。多様な土器片とともにほぼ完形で器台が出土しています。器台は祭具です。この混貝土でつくられたテラスが祭場として機能していたのでしょうか。(なお、器台出土の記述は発掘調査報告書では見つかりません。)イノシシ頭骨、イタボガキ貝輪と磨製石斧の共伴出土なども否が応でもこの場所が祭祀的場所である可能性を物語ります。

写真左上の多数土器片写真の右端の土器片は発掘調査報告書では第4群土器に分類されています。阿玉台Ⅲ式期に比定される勝坂様式の資料で藤内Ⅱ式の縦帯区画文土器です。隆線による三角形区画文が縦帯し、内部には彫刻的手法による三叉文が充填されると記述されています。この古い土器片が11群土器片(加曽利EⅡ式最終段階)と一緒に出土することに興味を持ちます。11群土器片と4群土器片が11群土器の時代に一緒にこの場に持ち込まれたことは確実です。11群土器時代に4群土器片が台地集落内に保存されていたことと、それをわざわざ祭祀的な場所に持ち込むことから、一種の記念品として保存されていた土器片が重要な祭祀に際して持ち込まれたと想像します。

3 縦断面との対比

第1断面(縦断面)を色塗りしました。


第1断面(縦断面)


第1断面(縦断面)の位置

この第1断面(縦断面)と第2断面が交差する線分で標高26.9mのポイントに着目してみます。


第1断面(縦断面)と第2断面の対応

第1断面(縦断面)では標高26.9mポイントから左上に地層境界面が直線状につづき、ガリー地形埋め立て概成時の地形面であると想定ができます。一方、同点を第2断面(横断面)でみると混貝土層と純貝層の間の境界線に通じる位置にあります。この位置関係から、第2断面の純貝層形成直前にはガリー地形が混貝土層をメインにしてほぼ埋め立てられていたことがわかります。ガリー地形特有の基底急崖が埋め尽くされ無くなっています。

ガリー地形の埋め立てが盛んに行われたり、概成したりした時期に、工事成就祈願の祭祀がたびたび行われ、その結果が第2断面混貝土層に残ったと考えることができます。またそれらの祭祀跡を工事完成(概成完成)を記念して、純貝層で覆い、後世に向かって保存保全したと考えても矛盾は生まれません。

4 第2断面の砂層・土層混在について


第2断面 検討図

第2断面のオ(砂層・土層混在)について、その混在状況が自然堆積物(崩落物)と考えると不自然であり、人工埋め土であると想定します。次の資料の通り、下流の横断面では左岸に砂層と土層が観察できますが、それらの混在はなく自然崩落物(崖錐など)と観察できます。


横断面における左岸砂層・土層の様子


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