2021年7月2日金曜日

有吉北貝塚北斜面貝層谷頭部は縄文時代災害防止工事遺構

縄文時代社会消長分析学習 107 

有吉北貝塚北斜面貝層の各種分析と写真カラー化による観察のなかで、思考のための材料が揃い、北斜面貝層谷頭部は縄文時代災害防止工事遺構であるという見立てを裏付け材料を整えて設定することができました。この記事ではその見立てをメモします。詳細解説資料は追って作成することにします。

1 有吉北貝塚北斜面貝層谷頭部は縄文時代災害防止工事遺構(見立て)


有吉北貝塚北斜面貝層谷頭部は縄文時代災害防止工事遺構(見立て)


見立ての裏付けとなる主な材料

2 メモ

断面図データから標高を拾い作成した基底地形を発掘状況写真、完掘写真で直接確認することができました。分析的データだけではなく、現場写真という直接データで確認できました。この情報からガリー浸食地形の実態が明白になりました。

また断面図情報からこのガリー浸食地形(遷急点を内蔵するV字谷)を下から順番に大形土器片、混土貝層・混貝土層、純貝層、混土貝層・混貝土層が覆って埋め尽くしている(地形を充填している)ことも明らかとなりました。

谷頭部にこのような人工充填作業を行うことは一般的廃棄作業では不可能です、意識的組織的活動によりつくられたと考えられます。状況からこの充填作業は集落中央部にせまる地形崩壊危機を回避するための土木工事、災害防止工事であると見立てました。

大形土器片層設置は流路の下方浸食防止のために設置されたと考えます。現代工法でいえば床固工です。混土貝層・混貝土層、純貝層の充填は難浸食材を使うことによる浸食防止です。現代工法でいえば土嚢による埋め立て、あるいはセメントを利用した埋め立てです。

なお現代土木工事でも貝殻を砕いて舗装材と混ぜて締め固めたり、コンクリート用骨材として利用しますから、貝殻を砕いて土と混ぜ、一段と締固められた土木空間を創造した縄文人の知恵の深さに感動します。混土貝層・混貝土層とは縄文人が意図して作成した土木空間埋め立て工事用材料です。


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