ラベル 土偶 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 土偶 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2026年9月24日木曜日

土偶5点(千葉市小山遺跡)観察記録3Dモデル

 3D Models Documenting Observations of Five Dogū (Oyama Site, Chiba City)


I have created 3D models documenting my observations of five inverted-triangle-shaped dogū (clay figurines) from the Initial Jōmon period. One of these specimens retains attached breasts; it is a valuable artifact that unequivocally demonstrates these figures share the same conceptual basis as "violin-shaped" dogū. I surmise that they served as ritual objects used to pray for successful child-rearing and the prevention of infant starvation through breastfeeding.


縄文早期の逆三角形土偶5点の観察記録3Dモデルを作成しました。うち1点は乳房が添付残存していて、バイオリン形土偶と同趣旨の土製品であることが疑問の余地なく明らかとなっている貴重な資料であると感じました。母乳により乳児餓死を回避し、育児を成功させる祈願ツールであったと想像します。

1 土偶5点(千葉市小山遺跡)観察記録3Dモデル

土偶5点(千葉市小山遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代早期

撮影場所:加曽利貝塚博物館「令和8年度企画展 新千葉市指定文化財記念 ちばの宝物」

撮影月日:2026.09.02


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v9.013 processing 109 images


3Dモデル動画


3Dモデル画像

2 メモ


土偶解説

縄文早期の逆三角形土偶5点のうち1点は乳房が添付残存していて、バイオリン形土偶と同趣旨の土製品であることが疑問の余地なく明らかとなっている貴重な資料であると感じました。母乳により乳児餓死を回避し、育児を成功させる祈願ツールであったと想像します。

この土偶5点資料は2026.01.04に千葉市立郷土博物館で観察していますが、その時は撮影が不十分で観察記録3Dモデルは2点のみになってしまいました。今回5点全部を一括して観察記録3Dモデル作成ができました。縄文早期の逆三角形土偶を考察できる素晴らしい材料をつくることができました。

2026年1月11日 縄文早期土偶(千葉市小山遺跡)観察記録3Dモデル

関連記事 2021年6月14日 縄文早期前葉土偶(八千代市上谷遺跡)2点 観察記録3Dモデル



2025年8月28日木曜日

土偶(柏市石揚遺跡)観察記録3Dモデル

 3D Observation Record Model of a Clay Figurine (Ishiage Site, Kashiwa City)


I enjoyed creating and observing a 3D model of the observation records of a clay figurine believed to have been created in the first half of the Early Jomon period, which is currently on display at the "Shining! Kashiwa's Jomon All-Stars" historical exhibition (Kashiwa City Local History Exhibition Room). This is a rare clay figurine. It's upside down when displayed.


開催中の歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」(柏市郷土資料展示室)で展示されている縄文前期前半につくられたとされる土偶の観察記録3Dモデルをつくり、観察を楽しみました。珍しく希少な土偶です。展示では天地逆になっています。

1 土偶(柏市石揚遺跡)観察記録3Dモデル

土偶(柏市石揚遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」(柏市郷土資料展示室)

撮影月日:2025年7月29日


展示の様子

3DF Zephyr v8.017 で生成 processing 59 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 展示説明

「市内最古の土偶 -石揚遺跡-

石揚(いしあげ)遺跡は、手賀沼を北に臨む標高20~22メートルの平坦な台地上に位置します。石揚遺跡では、市内で最も古い縄文前期の土偶(どぐう)が見つかっています。

千葉県内で土偶が作られ始めるのは縄文時代早期からで、前期前半に作られたと考えられるこの土偶は、初期の土偶として特に珍しく希少なものです。

三角形の粘土板に少し手を加えた程度ですが、顔や体を表す文様が描かれ、乳房らしき突起が2箇所つけられています。」

3 観察メモ


観察メモ

大きな口を開けて歌を歌っている土偶であると想像しました。

これまでに観察記録3Dモデルを作成したことのある大きな口を開けた土偶の例として、時代は異なりますが、次のようものがあります。いずれも歌を歌っているのかもしれません。


土偶(箕輪町丸山遺跡)中期


土偶(市原市根田祇園原貝塚)晩期


土偶(市原市根田祇園原貝塚)晩期


2024年9月26日木曜日

マメ圧痕多数土偶に関連したメモ

 Notes related to clay figurines with numerous bean impressions


I believe that the Middle Jomon clay figurines (Jorinji site, Ina City, Nagano Prefecture), where numerous bean impressions can be observed, are clay figurines praying for a good harvest in bean cultivation. In relation to this, I compared the distribution of bean excavations and clay figurines excavated in the middle Jomon period in the Japanese archipelago. I believe that it is no coincidence that the high-density distribution areas of beans and clay figurines coincide in the central highlands.


マメ圧痕が多数観察できる縄文中期土偶(長野県伊那市常輪寺遺跡)を、マメ栽培の豊作を祈願した土偶であると考えました。関連して、列島縄文中期のマメ出土分布と土偶出土分布を比較してみました。マメと土偶の高密度分布域が中央高地で一致することは偶然ではないと考えます。

1 マメ圧痕が多数観察できる縄文中期土偶

土偶上半身(長野県伊那市常輪寺遺跡)観察記録3Dモデル画像


主なマメ圧痕とマメ遺体


主なマメ遺体

2024.09.22記事「土偶上半身(長野県伊那市常輪寺遺跡)観察記録3Dモデル」

2 縄文時代のマメ科種子出土状況


中山誠二著「マメと縄文人」(2020、同成社)

中山誠二著「マメと縄文人」(2020、同成社)に、土器などに圧痕や遺存体で残されたマメ科種子の出土状況が表と分布で掲載されています。この資料から縄文中期のマメ分布(縄文人のマメ利用分布)を知ることができます。


縄文時代のマメ科植物分布図

中山誠二著「マメと縄文人」(2020、同成社)から引用


縄文時代のダイズ属・アズキ亜属の時期別分布

中山誠二著「マメと縄文人」(2020、同成社)から引用

この資料から縄文中期のマメ分布(縄文人のマメ利用分布)を知ることができます。

3 縄文時代の土偶分布


「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992、土偶特集号)

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992、土偶特集号)に当時の土偶悉皆調査結果が掲載されています。32年前の情報です。その後土偶出土例は大幅に増えています。しかし、土偶の地域相対的分布状況に大きな変化はないものと考え、この情報を使って、列島の土偶分布を把握することにします。


時期別土偶数

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992)から作成


土偶の分布(全時期県別分布)

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992)から作成


早期土偶分布

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992)から作成


前期土偶分布

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992)から作成


中期土偶分布

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992)から作成


後期土偶分布

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992)から作成


晩期土偶分布

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992)から作成

2020.07.08記事「1992年全国土偶集成情報の分析」

4 縄文中期マメと土偶の分布


縄文中期マメと土偶の分布

長野県伊那市でマメ栽培豊作祈願と考えられる土偶が出土したのは縄文中期です。その縄文中期のマメと土偶の分布図を並べてみると、高密度分布域が中央高地で一致します。マメ栽培と土偶が密接に関連していることの一つの有力材料です。土偶がマメや他の栽培植物の豊作祈願道具であった可能性が浮かび上がります。

2024年9月25日水曜日

土偶(愛称「つきミン」)(長野県伊那市月見松遺跡)観察記録3Dモデル

 3D model of the observation record of the clay figurine (nicknamed "Tsukimin") (Tsukimimatsu site, Ina City, Nagano Prefecture)


I created a 3D model of the observation record of the clay figurine (nicknamed "Tsukimin") (Tsukimimatsu site, Ina City, Nagano Prefecture) on display at the Ina City Creative Center. It has a cute face, but the snout sticks out, making it look like an animal. There is a large hole in the back of the head.


伊那市創造館に展示されている土偶(愛称「つきミン」)(長野県伊那市月見松遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。愛らしい顔つきですが、吻が出ていて動物のように見えてしまいます。後頭部に大きな穴があります。

1 土偶(愛称「つきミン」)(長野県伊那市月見松遺跡)観察記録3Dモデル

土偶(愛称「つきミン」)(長野県伊那市月見松遺跡)観察記録3Dモデル

縄文中期初頭

撮影場所:伊那市創造館

撮影月日:2024.07.15


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 83 images


3Dモデル画像


3Dモデル動画

2 メモ

この土偶は愛称「つきミン」として親しまれています。


つきミンのポスター


展示説明

愛らしい顔つきですが、吻が出ていて動物のように見えてしまいます。後頭部に大きな穴があり、何かを差し込んで使っていたのかもしれません。

この土偶が半獣半人像である可能性があるのかないのか疑問が浮かびます。もっと詳しく、背後なども観察したくなります。


2024年9月23日月曜日

中期農耕説と土偶

 谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習 20


The Middle Agricultural Theory and Clay Figurines


Study 20 “DOGU & SEKIBOU: Rituals and the Domestication of Society in Prehistoric Jomon” by Yasuhiro Taniguchi


I learned about the relationship between the Middle Agricultural Theory and the interpretation of clay figurines, as described in “DOGU & SEKIBOU” by Yasuhiro Taniguchi. I am pleased that the destruction of clay figurines based on the Hainuwere myth, which I have hypothesized, is being reexamined due to the results of field research and archaeobotanical studies.


谷口康浩著「土偶と石棒」で記述されている中期農耕説と土偶解釈との関係ついて学習しました。自分が仮説してきたハイヌヴェレ神話にもとづく土偶破壊活動が、領域研究や植物考古学成果により再び検討俎上に上がりつつあることは喜ばしいことです。

第1章 縄文時代の儀礼と社会

3 土偶と石棒-異質なシンボルと儀礼-

(2)中期農耕説と土偶

【要約・抜粋】

・中期になると土偶の造形は急に具体的な容姿をもち始め、東日本各地で個性的な土偶型式が生み出される。

・具体的で明確な神観念が各地域で確立し、神霊への信仰が体系化された可能性が高い。

・中期土偶伝統の一つに「勝坂系土偶伝統」がある。

・勝坂系土偶の用途について土偶を破壊して破片を撒く、あるいは配布する行為が土偶祭祀の中心であるとする解釈(水野1974・1979)が出され、磯前順一も「死」が生の更新・再生としての意味を持つことを指摘して、故意破壊行為の解釈を補強した(磯前1987)。

「藤森栄一や吉田敦彦は、こうした土偶の破壊行為が、死体化生型作物発生神話に類似する点を指摘する(藤森1968、吉田1986)。死体化生型作物発生神話とは、AD.イェンゼンが「ハイヌヴェレ型」として類型化したものである。イェンゼンは、殺された女神の死体から作物が発生したとする神話要素が世界各地に分布することに注目し、主として根菜・果樹栽培をおこなう初期農耕民の原初的な神観念「デマ神」として類型化した(イェンゼン1977)。デマ神とは、神話的原古における偉大な存在であり、その社会にとって重要なすべてのものをもたらし、世界の秩序を基礎づけたと信じられている。藤森と吉田は、土偶の意図的破壊を女神殺しの神話と結びつけて、その意味を解釈したのである。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

・土偶の意図的破壊を前提としたこの学説には批判が多い。

「しかし、中期の社会背景の中で考えると、再評価に値する重要な問題提起を含んでいたのは確かである。

周知のとおり、勝坂系土偶伝統を保持した地域では集落の増大ぶりが著しく、拠点的な環状集落が多数出現した。集落の分布密度も高まり、内陸の台地・丘陵に広く展開して均等分布の傾向を強める。こうした地域的動向は生業形態や領域構造の大きな変化を表すものである。狭く密集した領域構造の出現は、集落周辺でおこなう生産の重要性を強く示唆しており、クリ・イモ類などの栽培が集落の周辺でおこなわれていた可能性が高い(谷口2003)。

信仰と儀礼の体系は、集団存続の基盤となる主要な生業とも密接に結びついていたはずである。中期農耕論の中で土偶の性格を考えようとした藤森らの仮説は、集落や領域構造の変化という生態的な見地からみても蓋然性があり、再検討に値する。儀礼行為の観点から土偶の取り扱いやこわれ方を再検討する必要がある。この問題については、近年の植物考古学的な研究成果も踏まえて、第7章であらためて考察することにしたい。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)


勝坂系土偶とこわされた破片 谷口康浩著「土偶と石棒」から引用

【感想】

・自分は、中期土偶の意義は吉田敦彦が指摘した死体化生型作物発生神話を参考にすると理解しやすい考えてきました。

・この死体化生型作物発生神話による中期土偶解釈が、近年の領域研究発展や植物考古学的成果で見直される気運が高まっていることは、これまでの自分の学習が生きることになり、喜ばしいことです。

・古田敦彦の指摘は、死体化生型作物発生神話のみならず、関連する神話でもとても参考になると考えます。

2019.03.24記事「顔面付釣手形土器と吉田敦彦「縄文の神話」」

・[余談]作物の栽培が中期の中部山地で行われ、それに対応して汎世界的に分布する神話の分派が存在していたと考えるならば、結局は日本海を通じて富山・新潟あたりに大陸から作物栽培技術と神話が伝来したのだと考えることになります。

2024年9月21日土曜日

土偶と石棒の異質さ

 谷口康浩著「土偶と石棒 儀礼と社会ドメスティケーション」学習 19


The difference between clay figurines and stone rods


Study 19 “DOGU & SEKIBOU: Rituals and the Domestication of Society in Prehistoric Jomon” by Yasuhiro Taniguchi


I learned about the difference between clay figurines and stone rods described in “DOGU & SEKIBOU” by Yasuhiro Taniguchi. I intend to follow the pages and digest the author's idea that clay figurines are objects of prayer related to production and food, while stone rods show a connection to ancestral spirits and ancestral worship.


谷口康浩著「土偶と石棒」で記述されている土偶と石棒の異質さについて学習しました。土偶は生産や食に関連した祈りの対象であり、石棒は祖霊観念や祖先祭祀との関連性が窺えるという筆者の考えを、今後ページを追って、咀嚼するつもりです。

第1章 縄文時代の儀礼と社会

3 土偶と石棒-異質なシンボルと儀礼-

(1)土偶と石棒の異質さ

【抜粋】

「土偶は第二の道具の中でも出現期がもっとも古く、草創期末ないし早期初頭に出現し(原田1997)、それ以後、縄文時代を通じて多様な系統と型式を派生しながら発達した(原田2010)。近畿地方の大川・神宮寺式系押型文期や関東地方の撚糸文期に出現した発生期の土偶は、抽象的かつ小型ながらも女性をイメー

ジして作られている(図4)。現在のところ最古例となる滋賀県相谷熊原遺跡と三重県粥見井尻遺跡出土の土偶(草創期後半)にも乳房の表現があり、明らかに女性をイメージした造形である。豊穣や多産への祈りから生み出されたシンボルという解釈があるのも、女性の性徴を表現するその造形による。

「土偶」とはひとがたの土製品を総称する考古学上の分類であり、多様な型式・系統の違いを無視して縄文時代の土偶の性格や用途を一律に考えることはできないが、女性的な造形表現は土偶の根源的なイメージを読み取る重要な手がかりとなる。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

「女性的造形を土で表現する土偶に対して、男性の性徴を石で表す石棒がある(図5)。二つの異質な象徴は、形態や大きさが対照的であるだけでなく、出現年代がかけ離れている。石棒が出現するのは中期初頭であり、草創期に出現した土偶に比べると約5,000年も後出である。土偶の起源が古く縄文文化の形成期にさかのぼるのは、生命維持に直結する豊穣や多産への祈りが古くから先行しておこなわれていたからであろう。それに対し石棒の出現時期が新しいのは、後から発達してきた神観念や儀礼に関係していることを意味するものと考えられる。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

「土偶と石棒は、土と石という素材の物質性、女性と男性という性徴表現、サイズと重量の違いのいずれにおいても、異質さが際立つている。石棒には祖霊観念や祖先祭祀との関連性が窺え、家族や親族集団がおこなう集団的儀礼の性格が読み取れるが、土偶にはそうした性格は認めがたい。土偶の出現年代の古さからみても、人間生活にとってより基本的な祈りに関係したシンボル、とりわけ生命と生活を維持していくうえで欠かせない生産や食に関連した祈りの対象と考えるのが、やはりもっとも妥当であろう。」(谷口康浩著「土偶と石棒」から抜粋引用)

土偶の遷移 谷口康浩著「土偶と石棒」から引用

石棒の諸形態 谷口康浩著「土偶と石棒」から引用

【感想】

・土偶は草創期に出現し、多様な型式・系統の違いがあるが、人間生活にとってより基本的な祈りに関係したシンボル、とりわけ生命と生活を維持していくうえで欠かせない生産や食に関連した祈りの対象であるという筆者の考えがよく理解できます。

・石棒には祖霊観念や祖先祭祀との関連性が窺え、家族や親族集団がおこなう集団的儀礼の性格が読み取れるという筆者の考えを今後咀嚼していくつもりです。


2024年7月26日金曜日

土偶(市原市西広貝塚)観察記録3Dモデル

 Clay figurine (Saihiro Shell Mound, Ichihara City) Observation Record 3D Model

This clay figurine is smaller than the Mimizuku Clay Figurine and has a very simple design.The eyes and mouth are made by piercing with a thin stick.It may have been a tool used in a small ritual with a different meaning from the Mimizuku Clay Figurine.


この土偶はみみずく土偶とくらべて大きさも小さく、造形はとても簡素です。目と口は細い棒で刺突して表現しています。みみずく土偶などとは別の意義の小さな儀礼に使われていた道具かもしれません。

1 土偶(市原市西広貝塚)観察記録3Dモデル

土偶(市原市西広貝塚)観察記録3Dモデル

縄文時代後期~晩期

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.07.18


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 100 images


3Dモデル画像


3Dモデル動画

2 メモ

この土偶は山形土偶やみみずく土偶とくらべて大きさも小さく、造形はとても簡素です。目と口は細い棒で刺突して表現しています。耳(耳飾り)の表現もありません。同時代のみみずく土偶などの儀礼とは別の意義の小さな儀礼に使われていた道具であると想像します。


2024年7月14日日曜日

土偶(千歳市美々4遺跡)観察記録3Dモデル

 3D model of the observation record of the clay figurine (Bibi 4 site, Chitose City)


I created a 3D model of the observation record of the clay figurine (Bibi 4 site, Chitose City) exhibited at the Chiba Prefectural Museum's special exhibition “Excavated Japanese Archipelago 2024”. The clay figurine's face is a prayer face that looks up to the sky and has a non-stylized facial expression. I imagined that this clay figurine was a tool to pray for the repose of family members in heaven (the afterlife).


千葉県立中央博物館特別展「発掘された日本列島2024」に展示されている土偶(千歳市美々4遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。土偶の顔は天空を見つめ、顔つきも様式化されていない祈りの顔です。この土偶は天界(あの世)にいる家族の冥福を祈る道具であると想像しました。

1 土偶(千歳市美々4遺跡)観察記録3Dモデル

土偶(千歳市美々4遺跡)観察記録3Dモデル

高さ20㎝

撮影場所:千葉県立中央博物館特別展「発掘された日本列島2024」

撮影月日:2024.06.27


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 112 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 土偶(千歳市美々4遺跡)観察記録3Dモデル テクスチャ画像調整

この3DモデルはテクスチャのレベルをPhotoshopで調整して(白くして)、テクスチャを見やすくしたものです。

土偶(千歳市美々4遺跡)観察記録3Dモデル テクスチャ画像調整

高さ20㎝

撮影場所:千葉県立中央博物館特別展「発掘された日本列島2024」

撮影月日:2024.06.27


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 112 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

3 展示説明


展示説明

土偶は土坑墓床面からベンガラ(酸化鉄)に覆われてうつ伏せの状態で出土しました。副葬品と考えられます。墓の中から完全な形で土偶が出土することは大変珍しく貴重な事例です。

4 観察メモ

この土偶を観察して生まれた感想を後日のためにメモしておきます。

4-1 顔が天空を見つめている

この土偶は顔が天空を見つめています。顔が上向く土偶は数少ないです。この土偶の最大の特徴が上向く顔にあると直観します。


天空を見つめる土偶

4-2 祈っている顔であり、様式化していない

この土偶の顔の様子は様式化していません。ミミヅク土偶とか、山形土偶とか一目でわかるキャラクターではありません。現実の縄文人の顔を造形したような印象を受けます。また祈っているような印象を受けます。

4-3 乳首が表現されている

この土偶の乳房の先端に竹管文が刻印されていて、乳首が表現されています。これまで私が見たことのある土偶で乳房が強調表現されているものは沢山ありましたが、乳首が表現されたものは一度も見たことがありません。祈りに使う土偶に乳首という授乳器官細部が強調表現されていることに違和感を感じます。

4-4 竹管文文様の意味が直観しづらい

竹管文(丸い輪)文様が肩-首下付近1列と膨らんだ腹付近に横5列ほどあります。衣服表現であると想像しますが、どのような衣服であるのか直観しづらいです。(肩-首ラインがポンチョ風衣服の上端線を、腹部文様が下履きを表現しているのかもしれません。)

4-5 手足表現、妊娠腹、耳輪、髪結などは一般的表現

簡略な手足表現、膨らんだ妊娠腹、耳輪、髪結などは土偶一般の表現であるように感じます。

4-6 土坑墓床面からうつ伏せの状態で出土

この土偶が土坑墓床面からうつ伏せの状態で出土している状況は、この土偶の意義を考える上で重要です。

5 考察(想像)

・土偶の顔が天空を見つめ、顔つきが祈っているような印象を受けるので、この土偶は天界(あの世)に向かって祈っている様子を造形した土偶であると考えます。

・乳首が表現されている様子から授乳経験があり、かつその授乳活動が全うできなかった(愛する子どもが死亡してしまった)女性がこの土偶をつくったと考えます。

・土偶が墓床面からうつ伏せ状態で出土した様子から、この土偶は遺体に抱かれて埋葬されたと考えます。遺体は消失し、抱かれた土偶がそのまま埋葬面に残ったと考えます。

以下は想像に想像を重ねた超想像です。

・ある女性が子どもを産んで授乳して育てたが、途中で子どもは死亡した。女性はとても悲しみ、子どもの冥福を祈る道具としてこの土偶をつくった。この土偶は天界(あの世)にいる子どもの冥福を祈る女神の姿をしている。この土偶をそばに置いて、女性は子どもの冥福を祈っていた。

・その女性が死亡した。家族は女性の胸にこの土偶を抱かせて埋葬した。

6 参考 天空を見つめる土偶


群馬県郷原出土「ハート形土偶」を図案にした切手


仮面の女神 https://skfb.ly/oorzv

7 参考 鳥が飛ぶ空を見ている弥生時代の顔


人頭土製品 (西川津遺跡出土、島根県教育庁埋蔵文化財調査センター所蔵)

設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)から引用

2021.09.15記事「鳥が飛ぶ空を見ている弥生時代の顔」ブログ「芋づる式読書のメモ」


2024年4月22日月曜日

ガラスケース入り 土偶(飯田市大明神原遺跡)観察記録3Dモデル

 Clay figurine in a glass case (Iida City,Daimyojinbara site) observation record 3D model


I enjoyed creating a 3D model of a clay figurine in a glass case (Iida City,Daimyojinbaru site) exhibited at the Iida City Archaeological Museum. I also tried to express the glass case in the 3D model.


飯田市考古博物館に展示されているガラスケース入り土偶(飯田市大明神原遺跡)の観察記録3Dモデル作成を楽しみました。3Dモデルはガラスケースも表現してみました。

1 ガラスケース入り 土偶(飯田市大明神原遺跡)観察記録3Dモデル

ガラスケース入り 土偶(飯田市大明神原遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:飯田市考古博物館常設展示

撮影月日:2024.03.24


展示の様子

3DF Zephyr v7.517 processing 114 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 5面図


5面図

GigaMesh Software Frameworkで作成

3 感想

土偶製作者が立体的に強調しようとした部位は出っ張った尻と乳房、正中線であると感じました。頭部は後がえぐられていて、顔は確かに立体ですが、お面としてつくられていると感じました。

3Dモデルはガラスケースも表現しました。ガラスケースや土偶添具を削除すると貧相な3Dモデルになってしまいます。


2023年2月25日土曜日

土偶(東金市鉢ヶ谷遺跡) 観察記録3Dモデル

 Clay figurine (Hachigaya Site, Togane City) Observation record 3D model


I created a 3D model of a clay figurine excavated from the Hachigaya site in Togane City, which has features similar to the national treasure Jomon Venus. I was lucky enough to see the back. What is the donut shape on the back?


国宝縄文のビーナスに似た特徴をもつ東金市鉢ヶ谷遺跡出土の土偶の3Dモデルを作成しました。運よく背面も観察できました。背面ドーナツ状形状は何でしょうか。

1 土偶(東金市鉢ヶ谷遺跡) 観察記録3Dモデル

土偶(東金市鉢ヶ谷遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター令和4年度特別展「遺物から見える地域文化の発達 縄文時代前期後葉~末葉」

撮影月日:2023.02.16


展示の様子


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v6.513で生成 processing 201 images

Clay figurine (Hachigaya site,Togane City) Observation record 3D model

Location: Chiba Buried Cultural Property Research Center Reiwa4 Special Exhibition "The development of local culture seen from relics: the latter half of the early Jomon period to the final period of the early Jomon period" 

Shooting date: 2023.02.16

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.513 processing 201 images


3Dモデルの動画

3Dモデルの画像

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 展示説明

展示では次の説明が掲示されています。

「土偶・深鉢・鉢

県指定文化財

東金市教育委員会所蔵

出土遺跡 鉢ヶ谷(はちがや)遺跡

(千葉県東金市小野)

現在の東金インターチェンジ近くにある遺跡。縄文時代中期の土坑(どこう)から出土した。土坑の底面付近から土偶(どぐう)が1点、ミニチュアの深鉢(ふかばち)1点(五領ヶ台Ⅱ式)、鉢が2点まとまった状態で出土。土偶のお腹付近は何かで突いたとおもわれ、器面が荒れている。一緒に出土した鉢の中には白色の塗膜(とまく)が残っており、同色の液体が入っていたと考えられる。このことから、鉢で土偶のお腹を突く行為がおこなわれたと想定される。これほど雄弁(ゆうべん)に土偶を用いた儀式の内容をしることができる資料は大変貴重である。出土した土偶の形は国宝縄文のビーナスに代表される長野方面の土偶とよく似ており、胎土も地元のものとは異なるので、交流により持ち込まれた可能性もある。」

・観察検討メモは次の記事に掲載します。

4 参考 撮影ポイント


撮影ポイント

3Dモデルは運よく背面も結像しました。