2024年10月19日土曜日

技術資料 千葉市人形塚古墳の後円部地割線の立体空間表示

 Technical data: Three-dimensional spatial display of the circular mound land division lines of Ningyozuka Tomb in Chiba City


The circular mound land division lines (inner circle, outer circle) shown in the Chiba City Ningyozuka Tomb project drawing (design principle restoration drawing) created by Yutaka Numazawa are displayed in three dimensions together with a 3D model of the tomb. It shows that the land division lines projected on the project drawing (plan view) are circular contour lines located in three dimensions.


沼澤豊氏作成の千葉市人形塚古墳企画図(設計原理復元図)に表現された後円部地割線(内円、外円)を古墳3Dモデルと一緒に立体空間表示しました。企画図(平面図)に投影された地割線が立体空間に位置する円周等高線であること示しています。

1 千葉市人形塚古墳の後円部地割線の立体空間表示

千葉市人形塚古墳の後円部地割線の立体空間表示

千葉市人形塚古墳企画図3Dモデルの垂直比率:×3.0

後円部地割線内円の高さは37.2m

後円部地割線外円の高さは36.2m

出土物としての後円部地割線内円、外円は旧地表面(高さ36.5m)に描かれている。(このモデルでは非表示)

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像(地中から地表方向を見た場合)


3Dモデルの動画

2 後円部地割線内円、外円の意味

後円部地割線内円、外円は旧地表面(高さ36.5m)に描かれています。

沼澤豊氏により後円部地割線外円は古墳大きさを設定する基準円であり、その大きさ(直径)は24.7m(=18歩)であることがわかりました。地割線外円に与えられた高さは次の内円高さ(37.2m)から1単位下の36.2mであると捉えることができます。

後円部地割線内円は後円部第2段墳丘の裾線(法尻線)を指示する円周です。裾線(法尻線)は原地形が残っているのでその高さ(37.2m)が内円に与えられた高さであることが判明しました。

3 後円部地割線内円、外円の立体空間表示とその投影

後円部地割線内円と外円を与えられた高さで表示すると、上記3Dモデルでわかるように、古墳地形の上に出て空中から見える部分もありますが、古墳地形の下に隠れて空中からは見えない部分もあります。これは盛土掘削による造形が地割線の指示と完全に一致していないために生じている現象です。沼澤豊氏作成企画図では地割線内円、外円が平面に投影して表示されています。

なお、外円、内円ともに、古墳先端方向で古墳地形の下に隠れます。これは内円、外円が指示する造形とくらべて、実際の施工による造形が先端方向に少しだけ膨らんでいるからです。

[注意]

この事情により、企画図(平面図)の外円は先端付近で古墳等高線の36.5mと平行的になる部分もあります。たまたまそうなっただけです。企画図(平面図)における外円は投影したものですから様々な等高線の上に表現されています。

しかし、外円が先端付近で古墳等高線の36.5mと平行的になることをもって、外円に与えられた高さは36.5mであるという誤認識が生まれる可能性があります。これは36.5mという高さが旧地表面の高さ(外円が描かれた高さ)に一致するからです。

沼澤豊氏は旧地表面をもって施工基準面としていますが、これは外円が指示する高さを上記理由から36.5mと誤認し、その36.5mが旧地表面の高さであることから生まれた発想です。この発想は間違いであると考えます。

(もし、外円が指示する高さが36.5mと仮定すると、沼澤理論では内円が指示する高さは1単位上の37.5mになります。しかし、実際に造形された地形から判明した内円の高さは37.2mですから、外円が指示する高さを36.5mとすることは間違いであるとわかります。)

4 感想

沼澤豊氏作成企画図(平面図)には古墳等高線図と円周等高線図(地割線図)が同時に描かれています。この2種等高線の立体関係を平面図で理解することはほとんど不可能であることを理解しました。著作者までもが消化不良になっています。

2種等高線の立体関係を理解するためにはそれを立体空間に表現することが必須です。その意味で、この記事で作成した3Dモデル「千葉市人形塚古墳の後円部地割線の立体空間表示」は意義があります。

造形物としての古墳理解には3Dモデル技術が必須となります。


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