2025年6月1日日曜日

2025年5月ブログ活動のふりかえり

 A look back at blog activities in May 2025


I looked back on the activities of the blog "Walking the Hanami River Basin" in May 2025.

In the first half of May, I focused on Blender analysis techniques and creating add-ons, and in the second half of May, I worked on a detailed report on the Ariyoshikita Shell Mound study and the creation of a 3D model of Late Jomon pottery.


ブログ「花見川流域を歩く」の2025年5月活動をふりかえりました。

5月前半はBlender分析技術やアドオンづくりに集中し、5月後半は有吉北貝塚検討の詳細報告記事と縄文晩期土器3Dモデル作成にはげみました。

1 ブログ「花見川流域を歩く」

・2025年5月の記事数は37で過去最高レベルです。

・5月連休をつかった独自活動としてBlender操作技術向上の取組んだため、5月前半はBlender関連記事が多くなり、アドオンづくりにまで進みました。

・5月後半は有吉北貝塚北斜面貝層検討の詳細報告記事、千葉市埋蔵文化財調査センターで観覧した縄文晩期土器等の3Dモデル作成に取組みました。

2 ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」

・早朝散歩記事を1編書きました。

3 2025年5月活動の特徴

5月17日に西野雅人さんとの共同研究の発表を千葉縄文研究会で行いました。発表内容は好評でした。この日を境に、発表準備など普段は体験しない慣れない「重圧」がなくなったので、反動で記事数が急増しました。自分の心理状況はとても単純であることに気が付きました。

50年以上前の最初の会社で一緒だった中家さんから謹呈していただいたイラン関係特集雑誌の感想記事シリーズに取組み始めました。約束から2ヵ月遅れです。

4 2025年6月活動の展望

共同研究の後半取組みを6月からスタートすることにします。懸案事項である遺物分布図からの座標読取残作業に取り掛かります。頭脳を使わない単純パソコン作業であり、理屈なしに取組みを継続させます。午前中は単純作業、午後はブログ記事作成で午前中のきつい労働のうっぷん晴らしをする生活パターンになります。

参考

ブログ「花見川流域を歩く」2025年5月記事

ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」2025年5月記事


2025年5月 Sketchfabに投稿した3Dモデル


2025年5月 YouTubeに投稿した動画


2025年5月 ブログ「花見川流域を歩く」投稿記事に掲載した画像


2025年5月31日土曜日

大洞B-C式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

 3D model of observation record of Obora B-C type pottery (Kasori shell mound, Chiba city)


I created a 3D model of the observation record of Obora B-C type pottery from the late Jomon period excavated from the Kasori shell mound in Chiba city. Obora type pottery is a different type of pottery from the Kasori shell mound.


千葉市加曽利貝塚から出土した縄文晩期の大洞B-C式土器の観察記録3Dモデルを作成しました。大洞式土器は加曽利貝塚にとっては異系統土器です。

1 大洞B-C式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

大洞B-C式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

第14次調査85号住居跡(安行3b式期)出土

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター

撮影月日:2025年5月17日


展示の様子

3DF Zephyr v8.011 で生成 processing 75 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開(Non-Photorealistic Rendering)

3 メモ


202実測図

「連続した刻文の間が浮彫風になる202は大洞B-C式に対比できると考える。」(「特別史跡加曽利貝塚 第14次調査報告書」から引用)

晩期土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

 3D model of observation records of late pottery (Kasori Shell Mound, Chiba City)


I created a 3D model of the observation records of late pottery excavated from the remains of dwelling No. 85 at Kasori Shell Mound, Chiba City.


千葉市加曽利貝塚85号住居跡から出土した晩期土器の観察記録3Dモデルをつくりました。

1 晩期土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

晩期土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

85号住居跡(安行3b式期)出土

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター

撮影月日:2025年5月17日


展示の様子

3DF Zephyr v8.011 で生成 processing 91 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 メモ

この土器の型式や説明を聞き逃したので、詳しい情報を得次第この記事に追記します。第2次調査での出土物が参考で展示されたのではないかと推察します。胴部に孔が開いていて、発酵用の用途なのでしょうか。

イランルート砂漠のヤルダン地形と花見川地形の比較

 Comparison of the Yardang topography in the Lut Desert of Iran and the Hanami River topography


The Yardang topography (wind erosion topography) in the Lut Desert of Iran is the largest in the world. To get a sense of its scale, I compared it with the Hanami River topography using a 3D model under the same conditions. It's amazing that such a topography can be created by wind alone.


イランルート砂漠のヤルダン地形(風食地形)は世界最大規模です。その規模を実感するために花見川地形と同条件3Dモデルで比較してみました。風だけでこれだけの地形ができるのですから、感動します。

1 イランルート砂漠のヤルダン地形と花見川地形

イランルート砂漠のヤルダン地形と花見川地形

面積はどちらも約10000ha

垂直比率:×5

Attributions(どちらも)

Generator: DEM Net Elevation API - https://elevationapi.com

Digital Elevation Model: AW3D30 OpenTopography - https://opentopography.org/

Imagery: Esri World Imagery - https://services.arcgisonline.com/ArcGIS/rest/services/World_Imagery/MapServer

3DF Zephyr v8.011でアップロード 


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


画像の位置

2 メモ

イランルート砂漠のヤルダン地形(風食地形)は世界最大規模です。その規模を実感するために花見川地形と同条件3Dモデルで比較してみました。風だけでこれだけの地形ができるのですから、感動します。

ヤルダン地形の谷底と山頂の比高は100m前後のようです。花見川付近の谷底と台地面の比高は20~30mです。

なお、ヤルダン地形のテクスチャ画像をよく見ると谷底に水が貯まっている状況の写真になっています。砂漠で大雨が降った後の珍しい状況での撮影画像のようです。

ヤルダン地形の広大な領域は空から眺めるばかりで、その大部分は過去も現在も人跡未踏の地であると理解します。

DEM-Net Elevation API by Xavier Fischerが提供する素晴らしいサービスに感謝します。


イノシシ顎骨と狩猟道具3点の接近出土

 Close-by excavation of a boar jawbone and three hunting tools


In 3D space, we found a place where a boar jawbone and three hunting tools were found close together. The place is surrounded by a dense area of ​​bones and teeth. There is a possibility that a meaningful event will be discovered using the boar jawbone as a key. However, this one example may be a coincidence, so we will wait for the discovery of similar examples in the future.


3D空間の中で、イノシシ顎骨と狩猟道具3点が接近出土する場所を見つけました。その場所が骨・歯密集域に囲まれています。イノシシ顎骨をキーとする意味のある事象発見の可能性があります。しかしこの1例では偶然かもしれないので、今後の類例発見を待ちます。

1 イノシシ顎骨と狩猟道具3点の接近出土

イノシシ顎骨


イノシシ顎骨に接近して出土する遺物

イノシシ顎骨、石鏃、骨角歯牙製品、貝製品(装飾品)、人骨を集成した3D分布モデルを作成して子細に観察していたところ、イノシシ顎骨、刺突具(鹿骨)、釣針(海獣骨)、石鏃が接近出土する場所を発見しました。

2 イノシシ顎骨等4遺物と骨・歯3D分布との関連


イノシシ顎骨等4点内包球の作成


イノシシ顎骨等4点内包球の空間関係

イノシシ顎骨等4遺物接近出土の場所が骨・歯3D分布との関連で気になるので、4遺物を内包する球を3D空間に設定して、その球と骨・歯3D分布との関係を観察しました。結果、内包球が骨・歯3D分布における密集域の空白部にすっぽりと入ることを確認しました。骨・歯密集域の空白部は11断面のS3層の褐色部に対応します。

イノシシ顎骨は他の遺物と比べてその大きさが特段に大きく、象徴性があるので、それと狩猟道具等の接近出土は何らかの意味があるかもしれないと考えます。またそれらと骨・歯密集性との関係に何らかの意味があるかもしれないと考えます。しかし、今回例は単なる偶然の産物である可能性もあり、この1例だけでは結論が出ません。北斜面貝層全体のデータベースによる調査が進めば、イノシシ顎骨出土数が多い(99)ことから、イノシシ顎骨に関して何らかの有用情報を獲得できるかもしれないと期待しています。

3 イノシシ顎骨の利用について

出土したイノシシ顎骨はいずれも「美しく」噛み跡や分解がほとんどありません。このことから、イヌの餌になった様子は皆無です。棒の上にイノシシ顎骨を刺して空中に展示して、トーテムなどとして利用した可能性が濃厚です。




骨・歯3D分布の特徴

 Characteristics of 3D distribution of bones and teeth


Looking at the 3D distribution of bones and teeth in the shell layer study space on the northern slope, the dense area is on the middle slope. In the 3D distribution of pottery, the dense area is on the lower slope. In other words, the 3D distribution characteristics of bones and teeth are different from those of pottery. This is the first example of identifying differences in distribution characteristics of different artifacts.


有吉北貝塚北斜面貝層検討空間における骨・歯3D分布をみると、その密集域が斜面中腹にあります。土器3D分布では密集域は斜面下方にあります。つまり骨・歯と土器では3D分布特性が異なります。遺物別分布特性が異なる様子を突きとめた最初例となります。

1 骨・歯の3D分布


斜面性貝層細区分別骨・歯件数


骨・歯3D分布


骨・歯3D分布 上からオルソ投影

骨・歯の3D分布をみると、密集域(※)が白色貝層でいずれも貝層形成時の斜面中腹の場所に該当します。分布域が土器分布と明らかに異なります。骨・歯は獣肉を食べた残滓が残されたものと捉え、斜面の中腹で野外飲食により投棄された跡であると想定します。骨・歯3D分布モデルを上からオルソ投影すると、斜面中腹部の11断面側に骨・歯密集域の空白部を観察できます。

※ 骨・歯の密集域:3D空間における骨・歯データ個々について、半径20㎝球空間に別の骨・歯が存在する数をカウントして、その数で分級して、密集度を算出し色分けしました。ここでは半径20㎝球空間に10個以上の他の骨・歯が存在する場合を赤表示し、「密集域」としました。

2 メモ

土器の3D分布特性と骨・歯の3D分布特性が異なることが判明しました。この事象把握は本研究における主要成果の一つです。

骨・歯密集域の空白部は次の検討項目「イノシシ顎骨と狩猟道具3点の接近出土」で意味が生まれます。


2025年5月30日金曜日

栄光の歴史 イラン

 Glorious History Iran


I have started studying the April 2025 issue of the magazine "Geography". This time, the editorial is "Glorious History and...". It summarizes the activities of the Silk Road Travelers Group, the relationship between travel in Iran and the magazine's special issue, and provides a comprehensive understanding of Iranian history. It also touches on the history of exchanges between ancient Japan and Iran.


雑誌「地理」2025.04号の学習を開始しています。今回は巻頭論説「栄光の歴史と・・・」です。シルクロード旅行家集団の皆さんのこれまでの活動総括と、イラン旅行と、雑誌特集号の関係と、イラン歴史の総括的理解が述べられています。古代日本とイランとの交流の歴史などにもふれられています。

1 巻頭論文「栄光の歴史と・・・」の要旨

今村遼平・高安克己「栄光の歴史と独自のイスラム国家建設」(雑誌「地理」2025.04)では、シルクロード旅行家集団の皆さんのこれまでの活動総括と、イラン旅行と、雑誌特集号の関係と、イラン歴史の総括的理解が述べられています。その具体的内容をこの記事で復唱しても余り意味がないので略します。

2 感想

この論説を読んで、自分が刺激を受けて、感想・思考が巻きあがった事項をメモします。

2-1 古代日本とイランとの交流の歴史

奈良正倉院にササン朝ペルシャのガラス製「白瑠璃椀」が収蔵されていますが、それと同時代の古代ガラス器をたくさん、イランのアゼルバイジャン博物館で私たちも見た、とのことです。

大いに興味が巻きあがります。

2-2 千夜一夜物語

ペルシャ文化の記述のなかで「千夜一夜物語」(アラビアンナイト)に言及しています。私は大学生の時に岩波文庫版「千夜一夜物語」(全13冊)を「読破」して自己満足したおぼえがあります。また日本とは異なる砂漠異世界を興味津々で読書体験したおぼえがあります。

「そうだったのか、千夜一夜物語の世界がイランの歴史なんだ。」

2-3 ゾロアスター教の聖地

ゾロアスターが創始した拝火教はとても興味を持っています。その聖地がイラン高原東北部にあるとのことです。シルクルード旅行家集団の皆様が持ち帰った情報を引き金にして、学習を深めることができるよにしたいです。

2-4 ローマや西欧諸国がイラン高原を越えることは一度もなかった

東西交易の財を一人占めしようとするローマや西欧諸国がイラン高原を越えることは一度もなかったとのことです。このような「地政学的観点」から中東歴史を俯瞰したことがなかったので、これからの雑誌「地理」2025.04号学習が楽しみです。

2-5 素晴らしい付図

記事に掲載されている2つの地図「イランの地勢」と「イランの主な都市と交通路」はとても秀逸です。これから学習の主要ツールにしていきたいと思います。


地図「イランの地勢」


地図「イランの主な都市と交通路」

2025年5月29日木曜日

大洞B-C式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

 Observation record 3D model of Obora B-C type pottery (Kasori shell mound, Chiba city)


I created a 3D model of the observation record of Obora B-C type pottery, which is a different type of pottery from the Kasori shell mound. The pottery is in a brittle state due to secondary heating. Since the pattern is difficult to see at a glance, I made some adjustments to the observation, such as adding color gradations to a textureless 3D model.


加曽利貝塚にとっては異系統土器にあたる大洞B-C式土器の観察記録3Dモデルを作成しました。二次被熱で脆い状態の土器です。一瞥の観察では文様の様子がよくわからないので、テクスチャなし3Dモデルに色グラデーションを加えるなどの工夫をして観察しました。

1 大洞B-C式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

大洞B-C式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

第14次調査85号住居跡(安行3b式期)出土

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター

撮影月日:2025年5月17日


展示の様子

3DF Zephyr で生成 v8.007 processing 133 images


3Dモデルの動画(通常バージョン)


3Dモデルの画像(通常バージョン)

2 文様観察をしやすくする工夫

大洞B-C式土器(千葉市加曽利貝塚)テクスチャ無しグラデーション付加3Dモデル


3Dモデルの動画(テクスチャ無し3Dモデルに色グラデーション付加)


3Dモデルの画像(テクスチャ無し3Dモデルに色グラデーション付加)


3Dモデルの画像(テクスチャ無し3Dモデル)


3Dモデルの画像(テクスチャ無し3Dモデル)

「羊歯状文を作出する196~198…は、大洞B-C式土器に対比できると考える。」(特別史跡加曽利貝塚 第14次調査報告書から引用」


196~198実測図(発掘調査報告書から引用)

196~198は口縁部が外傾する皿形の土器で、接合しないが同一個体である。二次被熱のため脆い状態で、197・198を含めて口縁部約1/2強、上げ底の底部は3/4程が遺存する。(発掘調査報告書から引用)


2025年5月28日水曜日

土器3D分布の特徴

 Characteristics of pottery 3D distribution


Looking at the 3D distribution of pottery, we were able to observe a notable feature that the dense area exists at or near the lower tip of the white shell layer. This can be observed in the actual cross section of the peeled pottery. Why this is the case is an interesting topic for future investigation.


土器の3D分布をみると、密集域が白色貝層の下方先端あるいは先端付近に存在するという際立った特徴が観察できました。その様子は剥ぎ取り断面で実物観察できます。なぜそうなのか、今後の興味ある検討課題です。

1 土器3D分布の特徴

斜面性貝層細区分別土器・土製品件数

斜面性貝層細区分別土器・土製品件数をみると、同じ白色貝層でもS2層の土器・土製品件数がS1層、S3層より多くなっています。

土器3D分布の特徴

土器の3D分布をみると、密集域(※)が白色貝層の下方先端あるいは先端付近に存在するという際立った特徴が観察できます。その様子は剥ぎ取り断面のS1層下方先端、S2層下方先端で実物観察できます。

※ 土器の密集域:3D 空間における土器(ここでは土製品を除いている)データ個々について、半径20㎝空間に別の土器が存在する数をカウントして、その数で分級して、密集度を算出し色分けしました。ここでは半径20㎝空間に3個以上の他の土器が存在する場合を赤表示し、「密集域」としました。

土器密集域が白色貝層下方先端付近に形成されている様子の検討・解釈は、北斜面貝層全体の観察データ蓄積を踏まえ行うことにします。


剥ぎ取り断面の土器片

2 斜面性貝層における貝殻・遺物の挙動


斜面性貝層における貝殻・遺物の挙動

斜面性貝層では、土器や貝殻は投棄された当初、重力や浸透水、霜柱、踏圧などの影響で下方に移動していると考えられます。しかし、その移動量は現状では不明です。本研究では遺物3D分布の諸状況から、平均的下方移動量はさほど大きなものではないとイメージし、分析では考慮していません。


斜面性貝層細区分別の遺物3D分布分析

 3D distribution analysis of artifacts by slope shell layer subdivision


When counting the number of artifacts by slope shell layer subdivision, the number of artifacts is greater in the white shell layer than in the brown shell layer. It is worth further consideration as to how this phenomenon should be interpreted in relation to the rise and fall of settlement activity and environmental changes (changes in sedimentary environment).


斜面性貝層細区分で遺物件数を集計すると、白色貝層の方が褐色貝層より件数が多くなっています。この事象を集落活動消長や環境変化(堆積環境変化)との関わりでどのように解釈すべきか、今後検討を深める価値があります。

1 斜面性貝層細区分別の遺物件数


斜面性貝層細区分と遺物分布


斜面性貝層細区分別遺物件数 表


斜面性貝層細区分別遺物件数 グラフ

6層に分層された斜面性貝層の細区分3Dモデルに内包される遺物のリストをBlenderPythonで取得し、統計処理して遺物件数表とグラフを作成しました。遺物件数トータルでみても、後述する土器・土製品でみても白色貝層(S1層、S2層、S3層)の方が褐色貝層(R1層、R2層、R3層)より値が大きく、密度(単位貝層量当り遺物件数)で見ても同じ傾向です。この様子から検討空間では白色貝層の時期の方が褐色貝層の時期より遺物投棄活動が活発であったといえます。このデータを集落活動や堆積環境変化との関わりでどのように解釈することができるのか、今後検討を深める価値があると考えます。

2 遺物3D分布の移動


斜面性貝層6分層別遺物分布

6分層別に遺物分布を正面から、左から、上からそれぞれオルソ投影して見てみると、遺物分布自体が当初斜面に対して移動している様子を観察できます。当初斜面の利用がR1層やS1層では上から始まり、S3層では下に移動したように観察できます。また、遺物分布の当初斜面全長に占める割合が小→大→小と変化していることも観察できます。貝殻投棄と遺物投棄活動のあり方が時期によって変化している様子が投影されている可能性があります。今後検討を深める価値のある事象です。


すばらしい最新イラン体験記(雑誌「地理」2025年4月号特集)の学習を始める

 Start studying the wonderful latest Iran experience (feature in the April 2025 issue of the magazine "Geography")


Iran is an interesting country, but I have not been there yet. The author sent me a magazine in which a group of geography experts traveled to Iran and summarized their experiences in numerous articles. Although I am two months late, I will start studying Iran and enjoy it.


イランは興味深い国ですが、自分はまだ行ったことがありません。そのイランを地理専門家集団が旅行して、その体験を多数の論説にまとめた雑誌を著者から贈っていただきました。2ヵ月遅れとなってしまいましたが、イラン学習を開始し、楽しむことにします。

1 雑誌「地理」2025年4月号特集ペルシャからイランへ


雑誌「地理」2025年4月号特集ペルシャからイランへの表紙


雑誌の裏表紙(イラン地図と旅行ルート図になっている)


雑誌の目次(特集部分)

シルクロード旅行家の中家惠二さんから雑誌を3月末に贈っていただきました。4月5月と貝塚研究に熱中していたため、学習開始が2ヵ月遅れとなってしまいましたが、これから期間限定で大いにイラン学習を楽しむことにします。

中家惠二さんとは50年以上前に、日本最初の応用地理を主要技術とする建設コンサルタント会社で一緒でした。これまでも中国西方辺境域旅行記である図書「シルクロード1万5000キロを往く」(上下)やウズベキスタン旅行記(地理別刷り多数)をいただき、自分の学習材料にさせていただいています。

ウズベキスタンは自分も旅行したことがあるので、ブログ記事を8編書いて、楽しみました。

この度贈っていただいた雑誌には中家さんはじめとする旅行団の論説が全部で13編掲載されています。

イランは自分にとって興味深い国であるので、全部の論説について学習を深め、それぞれの感想を独立記事に書き楽しむことにします。この活動は熱中している貝塚研究とは異質なので、頭の硬直性を揉みほぐるような効果も秘かに期待することにします。

この記事ではイラン地形3Dモデルをつくり、イランの地理地形を頭に叩き込み、その過程を楽しむことにします。同時に、自分が過去にイランの地形について興味をもったことがあるので、それを思い出すことにします。読書感想は次の記事から始めることにします。

2 イラン地形3Dモデル

イラン地形3Dモデル

地理院地図3D機能で作成

垂直比率:×30

国境線はGADMからKMLファイルとして取得して表示


地理院地図作業画面


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

3 イランのヤルダン地形

2018.07.09ブログ世界の風景を楽しむ「イランにある地球最大規模のヤルダン地形

ヤルダン地形とは乾燥地帯の風食地形です。イランのルト砂漠のヤルダン地形は世界最大規模です。


Geomorphology from spaceの画像


ヤルダン地形の様子

4 イランの砂海

2018.07.13ブログ世界の風景を楽しむ「イランの砂海


Geomorphology from spaceの画像


イランの砂海の様子


ヤルダン地形と砂海の位置

5 感想

イラン地形3Dモデルを作成して、また過去の自分のイラン興味から、イランに対する自分の印象は複雑な地形をなす山岳地域と乾燥地形など過酷な自然環境を強く意識します。

このような自然環境と人々がどのように関わって生活しているのか、これから雑誌地理4月号を紐解いて読んで、頭に浮かぶ感想や思考を楽しむことにします。



2025年5月27日火曜日

石剣5点(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

 Five stone swords (Kasori shell mound, Chiba city) Observation record 3D model


I created a 3D model of the observation record of five stone swords excavated from the late Jomon period remains at the Kasori shell mound in Chiba city. The three stone swords excavated from the remains of dwelling No. 85 were excavated in a heated state from the burnt soil layer directly above the floor.


千葉市加曽利貝塚の縄文晩期遺構から出土した石剣5点の観察記録3Dモデルを作成しました。85号住居跡から出土した石剣3点は床面直上の焼土層から被熱した状態で出土しています。

1 石剣5点(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

石剣5点(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

上3点:第14次調査85号住居跡(安行3b式期)出土

下左:第14次調査遺構外出土

下右:第14次調査140号住居跡(大洞C1併行期)出土

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター

撮影月日:2025年5月17日


展示の様子

3DF Zephyr で生成 v8.007 processing 66 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 メモ

85号住居跡から、「床面直上の焼土層から被熱した完形に近い頁岩製石剣1本と緑色片岩製石剣2本がスコリア粒と共に出土し、廃屋時の儀礼の可能性が考えられた」(松田光太郎「千葉県特別史跡加曽利貝塚における縄文時代晩期の調査」(考古ジャーナル、2024)から引用)


85号住居跡石剣出土状況(発掘調査報告書掲載写真をトリミングして引用)