2025年8月13日水曜日

技術資料 234グリッド付近の精細地山地形3Dモデル作成

 Technical Information: Creating a High-Detail 3D Model of Natural Terrain at Near-234 Grids


I developed a technique for creating a high-detail 3D model of natural terrain from a topographical map that uses terrain boundaries (terrain borders) rather than contour lines. This technique applies techniques for creating 3D models of pits and other structures (using Bézier curves in Blender).


等高線ではない地形境界線(地形縁取線)で表現された地山平面図(地形学図)から、精細な地形3Dモデルを作成する技術を開発しました。土坑等の3Dモデル作成技術(Blenderにおけるべジェ曲線利用)を応用したものです。

1 有吉北貝塚北斜面貝層234グリッド付近の地山地形3Dモデル

有吉北貝塚北斜面貝層234グリッド付近の地山地形3Dモデル

垂直比率:×1.0

Blenderでべジェ曲線から作成


地山平面図検討図

3DF Zephyr v8.017 でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像

2 作成方法

2-1 利用ツール

・Blenderでべジェ曲線から面を貼り、地形を表現する。

・ベジェ曲線描画はアドオン「Bezier Toolkit」(フリー)による。

・べジェ曲線の標高分布は自作アドオン「Bezier Z Interpolator」による。

2025.07.11記事「縄文遺構実測図の縁取線(地形変換線)の高度線形補間Blenderアドオン

・面貼り(メッシュ生成)はアドオン「Curves To Mesh」(有償)による

2-2 Blenderにおける手順

・地形境界線(地形縁取線)(=非等高線)をべジェ曲線でなぞる。べジェ曲線作成区間はメッシュ生成単位(地形面単位)に対応させる。

・アドオン「Bezier Z Interpolator」で2~3点の標高点で線形補間して、べジェ曲線の標高分布を滑らかなものとする。

・ほとんどのべジェ曲線は隣接する地形面との接合線となるので、同じものが2つ必要であることから、Shift+Dでコピーする。

・アドオン「Curves To Mesh」で、地形面単位毎に2本のべジェ曲線からメッシュ生成する。

・全ての地形面メッシュを三角面化し、ノーマルを揃えてから統合してメッシュオブジェクトとする。必要に応じて微細不都合等を調整する。

3 感想

土坑等の3Dモデル作成習熟活動の中で、自作アドオン「Bezier Z Interpolator」とアドオン「Curves To Mesh」が活躍していますが、同じことを地山平面図3Dモデル化に活用できることに気が付き、早速試してみました。その結果、とてもよい成果を得ることができました。

地山平面図に表現されている情報がそのまま、ありのまま精細3Dモデルにできるのでとても有用な技術開発ができたとうれしくなっています。

これまで公開DEM以外の資料から地形3Dモデルを作成する次の技術を試してきて、実用しています。

・等高線から3Dモデル作成(QGIS(GRASSプラグイン、v.surf.rstツール))

・ランダム標高点から3Dモデル作成(QGIS(GRASSプラグイン、v.surf.rstツール))

・複数断面線から3Dモデル作成(Blender(Bsurfaces機能、辺ループのブリッジなど))

・複数空中写真から3Dモデル作成(3DF Zephyr Lite)

空中写真を除き、これらの技術と比べると、今回の地形境界線(=非等高線)から3Dモデルをつくる方法がもっとも精度がよいと考えます。精度よいとは、資料情報をそのまま3Dモデルにできるという意味です。等高線やランダム標高点から作成する3Dモデルは「まるまっている」「空間平均的情報演算操作の中で微細凹凸が失われている」のです。


2025年8月11日月曜日

勝坂式土器(柏市大松遺跡)文様の観察

 Observing the Patterns of Katsusaka Pottery (Omatsu Site, Kashiwa City)


The Katsusaka pottery (Omatsu Site, Kashiwa City), on display at the special exhibition "Shining! Kashiwa's Jomon All-Stars" (Kashiwa City Local History Exhibition Room), features two distinct patterns. I observed the patterns on this pottery by comparing the GigaMesh Software Framework unfolded diagram with a 3D model.


企画展「輝く!柏の縄文オールスター」(柏市郷土資料展示室)で展示されている勝坂式土器(柏市大松遺跡)は2つの趣の違う文様を共存させて所持しています。この土器の文様をGigaMesh Software Framework展開図と3Dモデルを照らし合わせて観察しました。

1 勝坂式土器(柏市大松遺跡)展示の様子


勝坂式土器(柏市大松遺跡)展示の様子

観察記録3Dモデルを作成してGigaMesh Software Framework展開図を作成しました。

2025.08.10記事「勝坂式土器(柏市大松遺跡)観察記録3Dモデル


GigaMesh Software Framework展開図

2 GigaMesh Software Framework展開図による観察


GigaMesh Software Framework展開図による観察

三角区画文優勢範囲と渦巻文優勢範囲を図示しました。それぞれの文様優勢範囲の特徴が際立っていると感じた部分の色を濃くしました。

三角区画文優勢範囲には粘土紐のジグザグ配置による文様がありますが、これは渦巻文優勢範囲にはありません。

渦巻文優勢範囲には粘土紐表面を細かく刻む装飾があります。この装飾は三角区画文優勢範囲にはありません。また土器文様最下段の区画文をみると、渦巻文優勢範囲の直下だけに刻みがみられます。


三角区画文優勢範囲の装飾


渦巻文優勢範囲の装飾

3 感想

・土器の2つの半面にそれぞれ異なる趣の文様を、意図して、造形していることを確認できます。

・しかし、三角区画文と渦巻文はそれぞれの半面で使われています。三角区画文優勢かそれとも渦巻文優勢かという違いは程度の違いであるように感じます。

・縄文人社会の何らかの2つの集団の共存関係を表現したものかもしれません。例えば三角区画文はA集団をイメージしていて、渦巻文はB集団をイメージしていて、A集団とB集団の共存共和の象徴としてこの土器を作成したのかもしれません。より具体的にはA家とB家の婚姻関係成立を寿ぐツールだったのかもしれません。

・土器製作縄文人の心境は、文様の新しい組み合わせと装飾に関する創作意欲、創造意欲にあふれていたと想像します。


技術資料 有吉北貝塚北斜面貝層グリッドの遺物出土順番動画

 Technical Information: Video of the Order of Artifact Excavation in the Grid of Shell Layers on the North Slope of the Ariyoshikita Shell Mound


I created a 3D video showing the order of artifact excavation in the grid (2m x 2m), the unit of excavation work at the shell layer on the north slope of the Ariyoshikita Shell Mound. This video commemorates the hard work of the excavation work and may be useful for data checking.


有吉北貝塚北斜面貝層の発掘作業単位であるグリッド(2m×2m)における遺物出土順番動画を3D空間のなかで作成しました。発掘作業のご苦労をしのぶとともに、データチェックなどに使えそうです。

1 有吉北貝塚北斜面貝層227グリッドにおける遺物出土順番動画


有吉北貝塚北斜面貝層227グリッドにおける遺物出土順番動画

2 同 その2


同 その2(オルソ投影断面)

3 メモ

有吉北貝塚北斜面貝層の発掘作業はグリッド(2m×2m)単位で行われました。地表から順を追って遺物を発掘して遺物番号をふっています。

この動画はBlender3Dビューポートのなかで、遺物番号の若い順に0.1秒単位で累積的に遺物を表示した画面のキャプチャー動画です。

この動画は発掘作業のご苦労をしのぶとともに、データチェックなどの確認作業に使います。

Blenderにおける遺物番号順累積的遺物表示はChatGPT支援により、特製のBlenderPythonスクリプトを作成して、実行しました。


2025年8月10日日曜日

勝坂式土器(柏市大松遺跡)観察記録3Dモデル

 3D Observation Record Model of Katsusaka Pottery (Omatsu Site, Kashiwa City)


I created a 3D model of the observation record of Katsusaka pottery, which is currently on display at the historical exhibition "Shining! Kashiwa's Jomon All-Stars" (Kashiwa City Local History Exhibition Room). This is a rare piece of pottery, with spiral patterns and triangular compartment patterns covering half of each side. I was able to create a 3D model with minimal difficulty. I plan to analyze the GigaMesh Software Framework expansion diagram in the future.


開催中の歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」(柏市郷土資料展示室)で展示されている勝坂式土器の観察記録3Dモデルを作成しました。渦巻文と三角区画文が半面ずつ占める珍しい土器です。難の少ない3Dモデルができました。GigaMesh Software Framework展開図を今後分析予定。

1 勝坂式土器(柏市大松遺跡)観察記録3Dモデル

勝坂式土器(柏市大松遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」(柏市郷土資料展示室)

撮影月日:2025年7月29日


展示の様子

3DF Zephyr v8.011 で生成 processing 207 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの動画(カラー無効化バージョン)


3Dモデルの画像(渦巻文がメインの面)


3Dモデルの画像(渦巻文がメインの面、カラー無効化)


3Dモデルの画像(三角区画文がメインの面)


3Dモデルの画像(三角区画文がメインの面、カラー無効化)

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開1


GigaMesh Software Frameworkによる展開2


GigaMesh Software Frameworkによる展開(カラー無効化)

3 資料 西川博孝著「柏市小山田・大松遺跡の縄紋中期土器-多様で華麗な紋様を楽しもう-」(2023.02.19講演会資料)抜粋

「2番目に感動したのが今回展示している大松遺跡SK096から出土した土器です。高さは道訓前と同じ62㎝で、重くて一人で持てない重量があります。上記、縄紋土器の三つの特徴で見ると、

  ①口縁部、体部の2帯に分かれ、最下段にも狭い区画帯がある

  ② 見る位置でまったく紋様が異なる二面性を持つ。一面は多数の渦巻紋様が目立つ(13 ~15個)が、その裏面は三角形を基調とした区画紋様が際立つ。

  ③ 個々の紋様、三角形区画は勝坂式の特徴だが、口縁部・体部とも紋様区画は不統一で、そうした構成を持つ勝坂式は西関東にはない。だが、見ていて違和感はない。 

 ②のとおり、この土器は異なった角度から見るとまったく別の土器に見えるのです。しかし、ぐるりと回りながら見ると、渦巻が基調となる紋様から三角基調へと次第に移り変わっていることが理解できます。いわば、一つの土器で二度楽しめ、かつ二つの世界を回り灯篭のように見ることができるすぐれた作品と言えるでしょう。また、③の特徴によりこの土器を制作したのは大松遺跡の縄紋人と考えられます。袋状土坑内に完形品として立った状態で埋納されていたので、当時の縄紋人もこの土器を特別なものと見ていたに違いありません。」(webからダウンロード引用)

4 メモ

4周をガラスで覆うショーケースに展示されているので周回撮影が可能で、難の比較的少ない3Dモデルができました。


カメラ配置の様子

一部ガラス面反射がテクスチャに焼き付いてしまっています。

引用資料のとおり、この土器は1面は渦巻文がメインで、1面は三角区画文がメインという珍しい文様となっています。

別記事でGigaMesh Software Framework展開図に色をつけて塗り絵を楽しむことにします。さらに別記事で、3Dモデルそのものの色塗りにチャレンジして遊んでみることにします。

3Dモデル色塗り技術の記事 2023.01.25記事「縄文土器3Dモデルの色塗り遊び」など




2025年8月8日金曜日

加曽利EⅡ式土器(柏市出山遺跡)観察記録3Dモデル

 3D Model of Observation Records of Kasori EⅡ Pottery (Deyama Site, Kashiwa City)


I created a 3D model of the observation records of the large Kasori EⅡ pottery currently on display at the "Shining! Kashiwa's Jomon All-Stars" historical exhibition (Kashiwa City Local History Exhibition Room). Because there were no obstructions, the 3D model was relatively easy to create.The GigaMesh Software Framework also allowed for complete internal development.


開催中の歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」(柏市郷土資料展示室)で展示されている巨大な加曽利EⅡ式土器の観察記録3Dモデルを作成しました。遮るものがないので難の少ない3Dモデルができました。GigaMesh Software Frameworkでは内面も完全に展開できました。

1 加曽利EⅡ式土器(柏市出山遺跡)観察記録3Dモデル

加曽利EⅡ式土器(柏市出山遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」(柏市郷土資料展示室)

撮影月日:2025年7月29日


展示の様子

3DF Zephyr v8.011 で生成 processing 323 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像(内面 上から)

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開(内面)


GigaMesh Software Frameworkによる展開(Non-Photorealistic Rendering)

3 メモ

遮るものがない展示なので、難の少ない3Dモデルができました。

底部が欠損しています。(廃用段階で意図して底部を壊したものと想像します。※)


カメラ配置の様子

4 超空想

縄文女性が亡くなると、その女性が使っていた(所有していた)土器を全て廃用にする。土器自体がこの世で再利用されないように破壊する。底部を壊せば容器としての再利用は出来なくなるから、確実な破壊行為である。この世での物質としての土器を確実に破壊することで、亡くなった女性は土器(の魂)を安心してあの世に持っていける。あの世で女性はいつも使っていた土器で調理して幸福に暮らせる。


2025年8月6日水曜日

有吉北貝塚北斜面貝層の遺物分布図座標入力作業日誌(2025.08.06)

 Artifact Distribution Map Coordinate Input Log for the Shell Layer on the North Slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound (August 6, 2025)


We are continuing our efforts to acquire 3D coordinates for all artifacts in the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. To date, 30,477 artifacts have been plotted in 3D space. The 3D distribution of artifacts allows for the identification of specific dumping sites and stratification. Analysis will begin once all artifacts have been plotted.


有吉北貝塚北斜面貝層の全遺物3D座標取得活動を継続しています。これまでに3D空間にプロットした遺物は30477になります。遺物の3D分布をみると特定の投棄場所や成層構造が確認できます。分析活動は全遺物プロット後に開始します。

1 有吉北貝塚北斜面貝層の遺物分布図データ(2025.08.06現在)

有吉北貝塚北斜面貝層の遺物分布図データ(2025.08.06現在)

30477遺物データ

3DF Zephyr v8.017でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像(上から、オルソ投影)

2 メモ

遺物の3D分布をみると特定の投棄場所や成層構造が確認できます。分析活動は全遺物プロット後に開始します。

原票(遺物分布図)からの座標読取活動とその後のデータ調整は、諸段階におけるPythonを活用した自動化により、当初と較べるとかなり効率化しています。


Blender画面(30477オブジェクトがプロットされている様子)


2025年8月5日火曜日

土坑3Dモデリングを楽しむ モデルの改良

 Enjoying 3D Pit Modeling: Model Improvements


I enjoyed improving the 3D models of the Ariyoshikita Shell Mound Pit SK657A/B/C/D. This included removing the border between the pit wall and the hole. While I'm still in the early stages of technically mastering 3D modeling of actual measurements, my interest in 3D modeling is growing.


有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの3Dモデル改良作業を楽しみました。土坑壁と穴の間にあった縁取面を削除するなどの改良です。実測図3Dモデリングが技術的にままならない初歩段階ですが、3Dモデリングに対する興味は増しています。

1 有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの3Dモデル(改良バージョン)

有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの3Dモデル(改良バージョン)

3DF Zephyr v8.017でアップロード


3Dモデル(改良バージョン)の動画


3Dモデル(改良バージョン)の画像


3Dモデル(改良バージョン)の画像

2 メモ

ブーリアン合成における特異点の存在が判ったのでブーリアン失敗がなくなり、改良作業は順調に進みました。


縁取面を生じさせないブーリアン合成の様子

3 参考 改良必要箇所


改良必要箇所

改良必要箇所の対応は全て行いました。

4 感想メモ

現在行っている3Dモデリング作業は土坑形成プロセスとは無関係の、単なる実測図の3Dモデリング作業です。

また、特定のBlenderツール特性に左右されていて、できた3Dモデルは大雑把な3Dモデル「もどき」に過ぎません。

自分がつくりたい3Dモデルは、実測図に合わせた3Dモデルではなく、縄文人が作成した形状そのものの3D復元です。そのように考えると、3Dモデリングには次の技術、プロセスが大切なような気がします。

●3Dモデリングの多様な技術(技能)の獲得。現在は1つの形状をつくる技術(技能)を1つしか知らないレベルです。1つの形状をつくる技術(技能)を3つも4つも知って、その特性を理解しておきたいです。

●遺構(例 土坑)は縄文人による形成プロセスを経て最終的な形状になっています。従って、形成プロセスを追って3Dモデリングを進めれば、最も合理的な3Dモデルができます。実測図を忠実に表現しようとするのではなく、実測図から読みとれる(想定できる)形成プロセスの順番に従って3Dモデリング作業を行うことができれば、それにより最も的確な3Dモデルをつくることができると考えます。


2025年8月4日月曜日

土坑3Dモデルの改良作業(縁取面削除)

 Improving the 3D pit model (removing borders)


The details of the 3D pit model I created were insufficient, so I began work on improving it. I worked on removing the borders, but I kept encountering hidden obstacles, making it difficult to complete.


作成した土坑3Dモデルの細部が不十分であり、改良作業に着手しました。縁取面削除に取組みましたが、伏兵が次々に現れ、難渋しています。

1 土坑3Dモデルの改良必要箇所


土坑3Dモデルの改良必要箇所

吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの3Dモデルにおける改良必要箇所です。

2 縁取面削除

土坑壁の底面に掘られた穴と土坑壁に間には縁取したような面はありませんが、これまで作成した3Dモデルには縁取面ができています。それを削除しました。


縁取面削除前


縁取面削除前


縁取面削除後


縁取面削除後

3 メモ

土坑3Dモデルの改良事項は3つあり、解決イメージが出来ていたので丸1日作業で全部できるとタカを括りました。しかし実際の作業に突入すると大いに難渋しました。

縁取面削除では次の2点で難渋しました。

3-1 Blender作成3Dモデルの3DF Zephyr Liteへの移植不調

Blenderで土坑3Dモデル(穴のブーリアン合成前)を短縮手順で作成し直し、試しに3DF Zephyr LiteにWabefront(.obj)ファイルで移植したところ、面が欠けてしまいます。


3DF Zephyr Liteで面が欠けた様子

前日までの作業では、同じ障害が発生した時、BlenderからWabefront(.obj)を書き出す条件で「三角面で出力」をチェックして書き出し、それを3DF Zephyr Liteにインポートすれば障害を防ぐことができました。しかし、今回はそれができません。べジェ曲線から面を貼る時の詳細状況が影響しているようですが、解決できる道筋をみつけていません。

しかたなく、Blenderからglbファイルで書き出し、それを3DF Zephyr Liteにインポートすると障害発生がないことにたどりつき、それを利用することにします。(3DF Zephyr Liteでは極最近のバージョンアップでglbファイル入力ができるようになりました。)

3-2 Blenderのブーリアン合成の特異点に遭遇

土坑に穴を埋め込む方法としてブーリアン合成を使っています。土坑壁と穴の間に縁取面を生じさせないために、壁と底面の傾斜変換線に穴の形状を合わせる必要があります。(あるいは壁を少し削って穴を埋め込む必要があります。)この操作をする中でブーリアン合成の失敗が連続しました。試行錯誤のなかで、穴の形状によってブーリアン合成が失敗する特異点があることに気が付きました。微細な移動で特異点を避けることができることも判りました。


ブーリアン合成の結果

2025年8月3日日曜日

土坑3Dモデリングを楽しむ 3/3

 Enjoying 3D Pit Modeling - Part 3


I'm enjoying 3D modeling the Ariyoshikita Shell Mound pit. I've completed the model, consisting of the slope and bottom, by filling in 10 holes using Boolean compositing. There are still many issues with the details, but I'll leave it for future work.


有吉北貝塚の土坑3Dモデリング作業を楽しんでいます。斜面部分と底面部分からなるモデルに10箇所の穴をブーリアン合成で埋め込んで一応の完成としました。詳細部分は問題山積ですが、今後の課題とします。

1 有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの3Dモデル

有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの3Dモデル


有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの実測図(検討図)

3DF Zephyr v8.017でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像

2 3Dモデリング技術メモ

2-1 楽しいドタバタ その1

斜面部分と底面部分からなる3Dモデル(A)と穴3Dモデル(B)(10箇所ある)をブーリアン合成により合成しました(穴を埋め込みました)。Aが見かけは完成しているけれども、実体がオブジェクトの寄せ集めであったことに気が付かない時間が数時間あり、その時間では「ブーリアン合成ができない、できない」と大騒ぎになりました。

2-2 楽しいドタバタ その2

ブーリアン合成ができて、その3Dモデルを3DF Zephyr Liteにインポートすると、またしても面欠落が生じます。1時間ほど、青い顔になりましたが、結果として、BlenderでWabefront(.obj)ファイル出力するとき、「三角面化する」をチェックすると、出力ファイルを正常に3DF Zephyr Liteにインポートでき、問題解決しました。

要するに、上記Aがまだ完全に三角面化していなかったということを強制的に認知させられたのです。(3DF Zephyr は三角面しか表現できないを数年前にイタリアの事務局から教えてもらいました。)

この過程で、Blenderから他のファイル形式(glbなど)で出力して、3DF Zephyr Liteにインポートできることを知りました。

2-3 クリーンアップなど

Blenderでクリーンアップ→距離でマージで接近した頂点、辺をマージできることを知りました。頂点のマージも知りました。重要な基本技術です。

2-4 ブーリアンの挙動

ブーリアンの挙動について自分はまだ充分に理解していません。成功する状況を体験的に知っているだけです。理解をもっと深めることにします。

3 検討メモ

3Dモデリングにヒーヒー言っている状況であり、考古学的観点からの思考にいたる時間的余裕がありません。しかし、3Dモデリング作業のなかで、10箇所の穴が壁(斜面)に近い場所が多いことに気が付きました。穴の形状も壁(斜面)にオーバーハングしていたり、それに近い形状がほとんどです。これらの状況から、穴は地表環境から少しでも離れて、地下環境(例 地中温度など)にできるだけ近づこうとしている様子を読みとれます。地下の常温環境(常湿環境)を利用する施設だったような想像が頭をよぎります。


2025年8月1日金曜日

2025年7月ブログ活動のふりかえり

 July 2025 Blog Activity Review


I reflected on my July 2025 blog activities for "Walking the Hanami River Basin."

Almost every morning in July, I worked hard inputting coordinates for shell layer artifacts on the northern slope of the Ariyoshikita Shell Mound, and in the afternoon, I enjoyed learning how to use Blender to 3D model Jomon pits.


ブログ「花見川流域を歩く」の2025年7月活動をふりかえりました。

7月はほぼ毎日、午前中は有吉北貝塚北斜面貝層遺物の座標入力作業に励み、午後は縄文土坑3Dモデリング技術習得活動(Blender操作技術習得活動)を楽しみました。

1 ブログ「花見川流域を歩く」

・2025年7月の記事数は18です。

・ほぼ毎日午前中は有吉北貝塚北斜面貝層の遺物平面図から遺物の平面座標読取デジタル化作業に励みました。作業日誌記事を2編書きました。

・64000遺物の座標入力作業が終われば、遺物の3D空間分析が可能となります。極端に言えば、その分析活動は本邦貝塚研究活動の新基軸を形成するものです。そのような活動意義を絶えず自分い言い聞かせて、つらい入力作業を継続活動として展開できるようにしています。(つらい単純入力作業の長期継続(趣味活動としての継続活動)は千葉県小字データベース入力作業(約8万件)などで既に耐性を獲得しています。従って、今回途中でズッコケル可能性はほとんどゼロです。)

・毎日の午後は、縄文土坑の3Dモデリング活動を展開しています。具体的にはBlender操作技術習得活動です。縄文遺構の実測平面図・断面図から遺構3Dモデルを作成するのですが、入門者・初心者には時間がかかる作業です。実測平面図では表現されていない状況(例 垂直断面で、面が分岐する状況など)を、べジェ曲線で表現する技術などはこれまでの数十年の職業生活では獲得して来なかったので、苦労します。

・考古学切手記事を1編書きました。

2 ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」

・早朝散歩記事を2編書きました。

3 2025年7月活動の特徴

3-1 平面座標入力作業のルーチン化

有吉北貝塚北斜面貝層の平面座標入力作業は、現状ではルーチン化することに成功しました。普通の社会状況では、高齢個人活動として、ほとんどその取組みがあり得ない状況と推察します。しかし、それが「本邦貝塚研究の新機軸を形成する」かもしれないと、その活動意義を考えると、自分のエネルギー湧出を際限なく招きます。

3-2 縄文遺構3Dモデリング活動

土坑等の3Dモデリング活動が面白くなっています。Blender3Dモデラー(CGデザイナー)の初歩の初歩の活動を始めています。何事にも最初があるので、初歩であることを嘆くことはないと自分に言い聞かせています。べジェ曲線の頂点番号表示と高さ線形補間に関するBlenderアドオンを作成し、3Dモデリングが大いに捗っています。このアドオンがなければ、土坑等の正確な3Dモデリング作業はほぼできません。

2025.07.11「縄文遺構実測図の縁取線(地形変換線)の高度線形補間Blenderアドオン

4 2025年8月活動の展望

8月は7月活動を継続します。なお、柏市郷土資料室で開催されている歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」で撮影した遺物の3Dモデルを作成し、楽しむことにします。

参考

ブログ「花見川流域を歩く」2025年7月記事

ブログ「花見川流域を歩く 自然・風景編」2025年7月記事


2025年7月 Sketchfabに投稿した3Dモデル


2025年7月 YouTubeに投稿した動画


2025年7月 ブログ「花見川流域を歩く」投稿記事に掲載した画像


2025年7月31日木曜日

土坑3Dモデリングを楽しむ 2/3

 Enjoying 3D Pit Modeling, Part 2/3


I'm enjoying the 3D modeling of the Ariyoshikita Shell Mound pit. This time, I finished gluing the bottom surface. All that's left is to create the 10 holes.


有吉北貝塚の土坑3Dモデリング作業を楽しんでいます。今回は底面の面貼りをしました。残りは10箇所の穴表現です。

1 有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの斜面部分+底面部分の3Dモデリング

有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの斜面部分+底面部分の3Dモデリング


有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの斜面部分+底面部分の3Dモデリング


有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの検討図

2 作業メモ

斜面部分と底面部分ができましたので、残りは10箇所ある穴の表現です。穴はブーリアン合成で付加する予定です。

底面の面貼りは楽勝作業と思いきや、意外と苦労しました。

Blenderでの面貼り作業は、予期していたように確かに楽勝でした。

私はその結果を3DF Zephyr Liteにインポートして色塗りしたり、動画撮影(今回はまだしていない)したりしています。

Blender作業結果をいつものように3DF Zephyr Liteにインポートすると、今回はなぜか、三角化した面のどこかの部分が欠落してしまいます。Blender成果を3DF Zephyr Liteにインポートするというソフトの使い方は世の中でほとんどないので、参考になる情報がありません。試行錯誤の末、次のようなことが判りました。

Blenderでべジェ曲線からメッシュオブジェクトをつくり、面貼りする時、新たな辺を加えると、そのオブジェクトを3DF Zephyr Liteにインポートすると、必ず障害(面の欠落)が生じる。

Blenderでべジェ曲線からメッシュオブジェクトをつくり、面貼りする時、そのまま面を貼ると、障害は生じない。

3DF Zephyr Liteは色塗りと動画撮影に欠かせないツールなので、このツールが今後も使えることが判ったのでホッとしました。

2025年7月30日水曜日

歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」観覧

 Visiting the Historical Special Exhibition "Shining! Kashiwa's Jomon All-Stars"


I visited the historical special exhibition "Shining! Kashiwa's Jomon All-Stars," which opened at the Kashiwa City Local History Exhibition Room. The spacious venue displayed a comprehensive and systematic display of Jomon artifacts excavated in Kashiwa. The venue had a spectacular atmosphere, and I was deeply moved for the first time in a long time.


柏市郷土資料展示室ではじまった歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」を観覧しました。広い会場に柏市出土縄文遺物が総覧的でかつ体系的に展示されています。会場は壮観な雰囲気で、自分は久しぶりに感動をおぼえました。

1 歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」


企画展チラシ


会場の様子

遺物は展示室外周のショーケースに時代順に展示、説明されていて、とても判りやすい展示になっています。

多数の大形土器が会場中央に遮るものなく展示されていて、圧倒されます。

2 展示物観覧

今回訪問の主目的は、気になる遺物を見つけ、久しぶりに、カメラ撮影によりフォトグラメトリで3Dモデルを作成することでした。しかし、期待していたより実際の展示がはるかに充実しているので、じっくり展示物観覧を楽しみました。展示物を見ながら、頭に去来する縄文社会に関する感想・想像・妄想を楽しみました。

展示物観覧のなかで、多数の縄文土器や土偶等を見ながら、縄文人社会の生産力や技術力や社会複雑性のレベルをもう一度自分で学習して、社会の様子を覗き込むように知りたいという欲が強まりました。遺物そのものの情報、展示説明情報、刊行されている考古学図書などを、これまでの自分は充分に咀嚼していないことに気が付きました。このようないつもと違う感情が生まれたことは自分にとって特筆すべきことです。

なお、展示分量が多すぎて時間配分できないことに気が付き、再訪・再々訪することにし、最後にフォトグラメトリ用撮影を7遺物について行いました。

3 フォトグラメトリ用の撮影をした遺物


加曽利EⅡ式土器(柏市出山遺跡)

巨大な土器です。遮るものがない展示であり、質の高い3Dモデルができるかどうか、フォトグラメトリ作業が楽しみです。


焼町式土器(柏市大松遺跡)

ショーケースに入っていますが、全周できるので、質の高いフォトグラメトリがうまくできるか、楽しみです。

説明では「他地域の土器のことをよく知る人が、柏でこの土器をつくったのかもしれません。」と説明されています。


勝坂式土器(柏市大松遺跡)

ショーケースに入っていますが、全周できるので、質の高いフォトグラメトリがうまくできるか、楽しみです。

説明では「他地域の土器のことをよく知る人が、柏でこの土器をつくったのかもしれません。」と説明されています。


3系統キメラ土器(柏市小山台遺跡)

展示説明はありませんが、2021年開催「らくがく縄文館」(於:八千代市郷土博物館)で阿玉台式・勝坂式・七郎内Ⅱ群の3系統キメラ土器として説明されました。

この土器は過去に1回3Dモデルを作成しています。

https://skfb.ly/owLPG


土偶(柏市大室小山台遺跡)

この土偶は過去に1回3Dモデルを作成しています。

https://skfb.ly/pzECF


土偶(柏市石揚遺跡)

縄文時代早期から前期前半につくられた初期の土偶として特に珍しく希少なものとして説明されています。


鳥形把手(柏市寺下前遺跡)

説明はありませんが、鳥の顔が直接表現されていて興味が深まります。