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2020年5月19日火曜日

縄文草創期有舌尖頭器(86図-5)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文石器学習 10

千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、矢柄研磨器、尖頭器、石鏃と共伴出土した有舌尖頭器(86図-5)の観察記録3Dモデルを作成しました。とても小ぶりの有舌尖頭器です。

1 縄文草創期有舌尖頭器(86図-5)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文草創期有舌尖頭器(86図-5)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
安山岩製、長さ2.5㎝、幅1.3㎝、厚さ0.5㎝(発掘調査報告書挿図から計測)
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 18 images

報告書挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書から引用

撮影の様子

撮影の様子(裏面)
裏面の3Dモデルは作成していません。

動画

動画(テクスチャー画面なし)

2 感想
・長さ2.5㎝、幅1.3㎝、厚さ0.5㎝と小ぶりであり、投げ槍としてのイメージは湧きません。同時に石鏃も出土していることと、矢柄研磨機に穴(アリジゴク穴のような凹み)があり、弓に弦を掛けた時に利用したと想定できることなどから、弓矢の矢先(石鏃)として使った可能性も否定できないと考えます。
・手持ちの弓ではなく、仕掛け弓(動物が通ると自動発射される固定式の罠としての弓)の矢の石鏃だったのかもしれません。
・有舌尖頭器だから全部機械的に投げ槍と判断するとは限らない検討例を最近、春成秀爾・小林謙一編「愛媛県上黒岩岩陰遺跡の研究」(2009、国立歴史民俗博物館研究報告154)で読みました。

2020年5月15日金曜日

縄文草創期有舌尖頭器(88図-30)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文石器学習 7

千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、矢柄研磨器と共伴出土した有舌尖頭器(88図-30)の観察記録3Dモデルを作成しました。

1 縄文草創期有舌尖頭器(88図-30)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文草創期有舌尖頭器(88図-30)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
安山岩製、長さ5.5㎝、幅2.4㎝
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
実寸法付与
 3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 42 images

報告書挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書から引用

撮影の様子

撮影の様子(裏面)
裏面の3Dモデルは作成していません。

動画

2 感想
投げ槍用の有舌尖頭器であると考えます。
この尖頭器の観察の仕方(観賞の仕方)がまだわかりません。この尖頭器の価値が直観できません。この尖頭器を使った人々の狩猟の様子を想像できません。
尖頭器観覧→3Dモデル作成を数多く行い、その間に尖頭器に関する知識を入手し、1年後くらいには尖頭器について素人うんちくを話せるようにしたいと思い、学習に励むことにします。

……………………………………………………………………
この記事は2019.06.17記事「参考 有舌尖頭器 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル」のリメイク版です。

2020年5月11日月曜日

縄文草創期有舌尖頭器(千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文石器学習 6

千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、矢柄研磨器と共伴出土した有舌尖頭器(96図-2)の観察記録3Dモデルを作成しました。

1 縄文草創期有舌尖頭器(千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文草創期有舌尖頭器(千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
報告書番号 96図-2、チャート
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
実寸法付与
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 47 images

報告書挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書から引用

撮影の様子

動画

2 感想
・3Dモデルで実寸法を付与して計測したところ、縦方向の長さ4.6㎝、最大幅2㎝となりました。弓矢用ではなく投槍器をつかった槍用でしょうか。
・刃先は鋭利で鋸のようなギザギザが付いていますが、表面は打ち欠いた生の状況ではなく、滑らかになっています。刃先以外は砂などで磨いてつるつるにして、槍先としての性能を高めているようです。
・有舌尖頭器の3Dモデルを作成はしてみましたが、尖頭器の観察の仕方、3Dモデルの作り方など基礎知識・基礎技術の蓄えがまったくありません。すこしズーズーしいと思いますので、旧石器時代、縄文時代の石器について泥縄式学習を今から始めることにします。
・土器の3Dモデルの場合、「置いた」状況で撮影してSfM-MVSにより3Dモデルをつくればそれで足ります。しかし石器の場合「置いた」面だけでなく、「裏の」面も合わせた360度完全3Dモデルを作成する必要があります。おそらく2つの重なる3Dモデルをソフトで統合する作業になると思いますが、現在は出来ません。

2019年7月17日水曜日

縄文草創期土器の分布

縄文土器学習 194

縄文土器形式別に出土遺跡分布図を作成しています。これまでに加曽利E式から晩期荒海式までの遺跡分布図を作成しました。この記事から草創期土器から時間を追って勝坂式土器までの遺跡分布図作成を順次行い、千葉県に関係する縄文土器形式全部の出土遺跡分布図作成を完成させることにします。

1 千葉県 隆起線文土器出土遺跡分布図

千葉県 隆起線文土器出土遺跡分布図
9遺跡がプロットされています。

2 千葉県 爪形文土器出土遺跡分布図

千葉県 爪形文土器出土遺跡分布図
2遺跡がプロットされています。

3 千葉県 多縄文土器出土遺跡分布図

千葉県 多縄文土器出土遺跡分布図
4遺跡がプロットされています。

4 参考 千葉県 有舌尖頭器出土遺跡分布図
早期~晩期遺跡の時期区分はほとんどすべて出土土器を指標に行われていると考えられます。しかし草創期遺跡は土器が出土しないものも多くあります。土器だけを指標にして草創期遺跡を見つけることはできません。
草創期特有の石器として有舌尖頭器がありますので、その分布図を作成しました。これらの遺跡は草創期遺跡であると言えます。

千葉県 有舌尖頭器出土遺跡分布図
30遺跡がプロットされています。
なお、草創期特有の出土物として矢柄研磨機がありますが、データベースには矢柄研磨機の記載はありませんでした。

5 千葉県 縄文草創期遺跡分布図
草創期土器出土と有舌尖頭器出土等を指標にして縄文草創期遺跡分布図を作成しました。

千葉県 縄文草創期遺跡分布図
48遺跡がプロットされています。
草創期遺跡における土器出土状況は次の通りで土器を指標に草創期遺跡としたものは全体の1/3です。まだ土器が十分に普及していなかったために遺跡では必ず土器が出土する状況が生れていなかったと考えます。どの縄文人グループも定住的生活を送り土器を作って使っていたけれども、その数が少なかったと解釈しておくことにします。

草創期遺跡における土器出土状況


千葉県 縄文草創期遺跡分布ヒートマップ
遺跡密集域が成田市の成田空港付近に出現します。
この付近を千葉県縄文時代幕開けの地と呼んでよいのかもしれません。
この幕開けの地を次の記事で詳しく観察することにします。

6 参考 千葉県縄文土器形式別等出土遺跡数

千葉県縄文土器形式別等出土遺跡数

2019年6月17日月曜日

参考 有舌尖頭器 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル

隆起線文土器と共伴出土する有舌尖頭器の観察記録3Dモデルを作成しました。

有舌尖頭器(88図-30) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27

有舌尖頭器(88図-30) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土
千葉県教育委員会所蔵

有舌尖頭器(88図-30)反対面 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土
千葉県教育委員会所蔵

有舌尖頭器(88図-30) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 発掘調査報告書挿図

有舌尖頭器は投げ槍用の槍先尖頭器ということでよいのでしょうか?学習を深めたいと思います。一緒に矢柄研磨機も出土しているので、弓矢以前の投槍に関わると想定します。

土器片と異なり石器は360度どこからでも観察できる3Dモデル作成が望まれるところですが、まだ台の上に置いて片面のみ3Dモデル化できるテクニックしか所持していません。

2019年3月29日金曜日

隆起線文土器と共伴出土石器の観察

縄文土器学習 78

一鍬田甚兵衛山南遺跡出土隆起線文土器と共伴出土石器を閲覧しました。

1 閲覧した隆起線文土器と石器

閲覧した隆起線文土器と石器
隆起線文土器と石器は千葉県教育委員会所蔵
これらの土器及び石器はD1-26グリッド(5m×5m)付近から集中出土した遺物です。
隆起線文土器と有舌尖頭器が共伴して出土しています。
隆起線文土器と共伴石器の出土状況は2019.01.27記事「一鍬田甚兵衛山南遺跡遺物出土状況」で既に説明しました。

2 隆起線文土器の観察

隆起線文土器 1
隆起線文土器は千葉県教育委員会所蔵

隆起線文土器1挿図
「成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21 -多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡(空港№12遺跡)-」(平成17年3月、成田国際空港株式会社・財団法人千葉県文化財センター)(以下発掘調査報告書と略称します。)から引用

隆起線文土器 1
隆起線文土器は千葉県教育委員会所蔵

隆起線文土器1は口縁部を有する2つの破片からなり、口縁部に平行に4条の波型隆起線が平行しています。土器の厚さは6~8mmで比較的明るい褐色で、黒あるいは白く光る鉱物多数を含んでいます。土器片の質感は硬く締まった様相を呈していて、ボロボロ崩れるような質感とは正反対の様相です。長年月の風化に耐えてきたという質感とは異なります。

隆起線文土器 2
隆起線文土器は千葉県教育委員会所蔵

隆起線文土器2挿図
発掘調査報告書から引用

隆起線文土器2は波型隆起線の下にハの字状の爪形文を付加するものです。

この遺跡から隆起線文土器は約100点出土し、口縁部の破片から、最低でも11個体以上あったと推定されています。

3 有舌尖頭器の観察

有舌尖頭器 94-1
有舌尖頭器は千葉県教育委員会所蔵

有舌尖頭器94-1挿図
発掘調査報告書から引用

有舌尖頭器 96-2
有舌尖頭器は千葉県教育委員会所蔵

有舌尖頭器96-2挿図
発掘調査報告書から引用
有舌尖頭器はこの遺跡から44点出土していて、その数は全国屈指のものです。

4 感想
・隆起線文土器片を実際にまじかで観察することによって、その質感(材質感)がその後の縄文前期~晩期の土器と全く異なり、固く締まっていて、色も明るいことを知ることができました。また薄手です。さらに微細な鉱物が沢山入っており、所々で光っています。このような印象は書物で何回もみた写真からでは決してわからないことです。
・隆起線文土器が簡単には風化しないようなつくりであることから、それが実用品であるにも関わらず素材入手や焼き方の工夫に惜しみの無い時間をかけたことがしのばれます。隆起線文土器は生活における特別な高級品であり、丁寧に扱われたことが感得できます。粗雑な作り方、粗雑な扱い方とは正反対の作り方、扱われ方がされたモノであると推察します。

2019年2月14日木曜日

隆起線文土器現物閲覧が叶う

縄文土器学習 25

一鍬田甚兵衛山南遺跡出土隆起線文土器9点と共伴出土石器12点の閲覧が叶いました。

現物を観察するのと、書物のなかの写真を見るのとでは、そこから得られる情報量と質が全く異なります。
隆起線文土器現物を目の当りにみて、最初に浮かんだ感想はそれが当時貴重物、宝物であったに違いないということです。
現物をみるまでは草創期土器は粗雑で壊れやすいにちがいないと想像していたのでしたが、全く正反対でした。草創期土器は材質も焼きも整形もすべてしっかりしていて、丁寧に使われたにちがいないという印象を受けました。
今後閲覧土器、石器の写真を詳しく観察して考察を深めることにします。

一鍬田甚兵衛山南遺跡出土隆起線文土器閲覧の様子(千葉県教育委員会所蔵)

隆起線文土器(千葉県教育委員会所蔵)

一鍬田甚兵衛山南遺跡隆起線文土器と共伴出土した石器(有舌尖頭器)閲覧の様子(千葉県教育委員会所蔵)

土器、石器ともに3Dデータ化を意識してミニ台に乗せて360度で多様な角度から多数写真を撮影しました。

隆起線文土器(千葉県教育委員会所蔵)

尖頭器(千葉県教育委員会所蔵)

今後検討結果を随時記事にします。

2019年1月27日日曜日

一鍬田甚兵衛山南遺跡遺物出土状況

縄文土器学習 11

一鍬田甚兵衛山南遺跡の隆起線文土器と有舌尖頭器等石器の共伴出土状況を発掘調査報告書の記述により学習しました。

1 層序と遺物のイメージ

隆起線文土器出土場所付近の層序と遺物のイメージ
隆起線文土器出土場所は遺跡域の北端附近に限られていますが、その付近では旧石器時代遺物(ナイフ形石器等)の出土層と縄文時代遺物(隆起線文土器等、有舌尖頭器等)の出土層が異なっています。

2 縄文時代草創期遺物の出土状況

隆起線文土器出土分布図
「成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21 -多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡(空港№12遺跡)-」(平成17年3月、成田国際空港株式会社・財団法人千葉県文化財センター)から引用追記
遺跡北端部に隆起線文土器出土域が限られ、D1-26グリッド(5m×5m)が最も集中出土している場所です。

C1-26グリッド付近の土器・石器出土状況
「成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21 -多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡(空港№12遺跡)-」(平成17年3月、成田国際空港株式会社・財団法人千葉県文化財センター)から引用追記

C1-26グリッド付近の全石材出土状況
「成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21 -多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡(空港№12遺跡)-」(平成17年3月、成田国際空港株式会社・財団法人千葉県文化財センター)から引用追記

C1-26グリッド付近のⅡc層から集中的に隆起線文土器と有舌尖頭器を含む石器群が出土している状況を発掘調査報告書では次のように記述しています。
「第1群土器草創期隆起線文系土器(第35図)
草創期は調査区の関係から北側の大グリッドのC1区を中心に土器は第1群土器(隆起線文土器)が100点余り出土している。C1-13~C1-58グリッド付近に広く拡散している。特にC1-26・27グリッド付近に多く検出されている。特にC1-26グリッドでは密集している状況が見られるためこれらの土器群と石器群は伴うものとして考えても良いと思われる。土器群に伴って有舌尖頭器を伴う草創期の石器群が出土している。」

隆起線文土器と有舌尖頭器
「成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21 -多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡(空港№12遺跡)-」(平成17年3月、成田国際空港株式会社・財団法人千葉県文化財センター)から引用

3 メモ
・旧石器時代遺物と縄文時代遺物は出土層準が異なることから区別されています。
・隆起線文土器の平面分布域の特別な集中域(数m×数m程度)と有舌尖頭器を含む石器群の分布域がほぼ重なり、かつ出土層準が同じであることから、草創期土器と石器が共伴するものであることが結論づけられています。

2019年1月16日水曜日

南原遺跡 隆起線文土器出土遺跡

縄文土器学習 4

千葉県出土縄文土器の形式学習を始めていて、その最初として隆起線文土器について取り組んでいます。この記事から隆起線文土器出土遺跡を「千葉県の歴史 資料編 考古1(旧石器・縄文時代)」(千葉県発行)掲載事例により学習を始めることにします。最初は市原市南原遺跡です。

1 南原遺跡の位置

南原遺跡の位置
養老川左岸標高約80mの台地縁辺部に位置します。
→地形をよく見ると小櫃川から延びる支谷の最上流部に遺跡が位置していて、この付近が台地平坦面の狭窄部になっていることがわかります。台地面を移動する獣を待伏せして捕獲するにはうってつけの場所です。

2 隆起線文土器

「出土層位はソフトローム層上部の暗褐色土層で、ソフトローム層中からの遺物出土はほとんど無かった。」

出土土器
「千葉県の歴史 資料編 考古1(旧石器・縄文時代)」(千葉県発行)から引用
「出土した隆起線文土器には、貼付した粘土紐をキザミによって短く分断したもの(図2-1)、 貼付した粘土紐を指頭圧により波状にしたもの(2~6)、 きわめて細い粘土紐がジグザグ状を呈するもの(7・8)、 口縁端部のつまみあげによる盛り上がり部分か波状を呈するもの(9)、 粘土紐の上に刺突・キザミを施すもの(10~13)がある。このほかに、粘土粒を貼り付けたもの(14・15)もある。なお、5については胎土中に獣毛もしくは人間の毛が混入されている可能性がある。」

→図版の模様を説明文により理解することが、残念ながらほとんどできませんでした。肝心要の情報を直観レベルで感得できません。写真や実物を見る機会を設けたいと思います。

追記 2019.01.19
市原市埋蔵文化財調査センターに問い合わせたところ、出土土器現物は南山大学(名古屋)が所蔵していて、センターでは写真もないとのことです。残念ですが、この遺跡の土器閲覧はとりあえず諦めます。

→記述を読むと少なくとも6種の異なる模様の作り方があるようです。それだけ多種の模様の土器が同じ時間断面で使われていたことがどのような意味があるか、着目して学習を進めます。6種の異なる模様土器が異なる個人(あるいは集団)の作で、それがこの場所にそろった(集合した)ということであるのか、6種の異なる模様は流行の時間差を表現していて、ある程度の長期間その場所に廃用土器のかけらが継続して捨てられたということなのか…、多様な推測が成り立ちます。

→出土土器片が小片ばかりです。全国の遺跡でも草創期土器はほとんど小片ばかりの出土のようです。小片ばかりが出土することにどのような意味があるか、今後着目して学習をすすめます。廃用土器は徹底して破壊したという特別な行為があったのではないだろうかと、後代縄文人の土器破壊行為から、憶測します。

3 有舌尖頭器

出土石器
「千葉県の歴史 資料編 考古1(旧石器・縄文時代)」(千葉県発行)から引用
「出土した石器(写真1)には,有舌尖頭器・尖頭器・石鏃・削器・石錐・石斧・彫器・楔形石器などがある。有舌尖頭器(写真1)は18点が出土している。石材は黒色緻密質安山岩が最も多く、ついで細粒砂岩・珪岩が若干ある。大きさは、最小のもので約2cm、 大きなものでも約7~ 8cm程度、主体となるものは約4~5cmの小型のものである。扶りの入る狭長の逆三角形の舌部を有するもの、舌部両側縁が緩やかに内湾して裾広がりの形態を示すもの、一側縁のみ湾曲する非対称な形態のものがある。」

4 まとめ
「南原遺跡の調査時点では、隆起線文士器の調査事例は少なく、隆起線文土器群と有舌尖頭器の出土は、草創期土器群の研究の進捗に大きく寄与するものとなった。」

5 参考 千葉県の隆起線文土器出土遺跡

千葉県隆起線文土器出土遺跡

千葉県隆起線文土器出土遺跡