2019年1月27日日曜日

一鍬田甚兵衛山南遺跡遺物出土状況

縄文土器学習 11

一鍬田甚兵衛山南遺跡の隆起線文土器と有舌尖頭器等石器の共伴出土状況を発掘調査報告書の記述により学習しました。

1 層序と遺物のイメージ

隆起線文土器出土場所付近の層序と遺物のイメージ
隆起線文土器出土場所は遺跡域の北端附近に限られていますが、その付近では旧石器時代遺物(ナイフ形石器等)の出土層と縄文時代遺物(隆起線文土器等、有舌尖頭器等)の出土層が異なっています。

2 縄文時代草創期遺物の出土状況

隆起線文土器出土分布図
「成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21 -多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡(空港№12遺跡)-」(平成17年3月、成田国際空港株式会社・財団法人千葉県文化財センター)から引用追記
遺跡北端部に隆起線文土器出土域が限られ、D1-26グリッド(5m×5m)が最も集中出土している場所です。

C1-26グリッド付近の土器・石器出土状況
「成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21 -多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡(空港№12遺跡)-」(平成17年3月、成田国際空港株式会社・財団法人千葉県文化財センター)から引用追記

C1-26グリッド付近の全石材出土状況
「成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21 -多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡(空港№12遺跡)-」(平成17年3月、成田国際空港株式会社・財団法人千葉県文化財センター)から引用追記

C1-26グリッド付近のⅡc層から集中的に隆起線文土器と有舌尖頭器を含む石器群が出土している状況を発掘調査報告書では次のように記述しています。
「第1群土器草創期隆起線文系土器(第35図)
草創期は調査区の関係から北側の大グリッドのC1区を中心に土器は第1群土器(隆起線文土器)が100点余り出土している。C1-13~C1-58グリッド付近に広く拡散している。特にC1-26・27グリッド付近に多く検出されている。特にC1-26グリッドでは密集している状況が見られるためこれらの土器群と石器群は伴うものとして考えても良いと思われる。土器群に伴って有舌尖頭器を伴う草創期の石器群が出土している。」

隆起線文土器と有舌尖頭器
「成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21 -多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡(空港№12遺跡)-」(平成17年3月、成田国際空港株式会社・財団法人千葉県文化財センター)から引用

3 メモ
・旧石器時代遺物と縄文時代遺物は出土層準が異なることから区別されています。
・隆起線文土器の平面分布域の特別な集中域(数m×数m程度)と有舌尖頭器を含む石器群の分布域がほぼ重なり、かつ出土層準が同じであることから、草創期土器と石器が共伴するものであることが結論づけられています。

0 件のコメント:

コメントを投稿