縄文社会消長分析学習 23
千葉県多古町の一鍬田甚兵衛山南遺跡出土隆起線文土器及び有舌尖頭器等石器学習をしてきましたが、その地形をあらためて3Dモデルで観察してみました。
1 広域地形 3Dモデル
一鍬田甚兵衛山南遺跡付近 広域地形 地理院地図3Dモデル
地理院地図 数値地図25000(土地条件)+写真
垂直倍率:×9.9
赤丸:一鍬田甚兵衛山南遺跡
・一鍬田甚兵衛山南遺跡は太平洋水系の栗山川および古鬼怒湾水系の根木名川・木戸川の源流部に位置しています。つまり太平洋と古鬼怒湾の分水界台地に位置しています。
・隆起線文土器や有舌尖頭器が使われていた頃は現在よりも海水面がかなり低く、海岸線の位置が現在の台地縁よりもかなり沖合側に位置していて、台地面積が現在よりも大幅に広かった時期です。
・海岸線付近の土地の利用と台地における狩猟の双方を回帰するような活動における、狩猟生活の痕跡がこの遺跡から発見されたと想像します。
2 遺跡付近地形 3Dモデル
一鍬田甚兵衛山南遺跡付近地形 地理院地図3Dモデル
地理院地図 数値地図25000(土地条件)+写真
垂直倍率:×9.9
赤丸:一鍬田甚兵衛山南遺跡
・太平洋水系栗山川源流部の台地に遺跡が位置します。
・遺跡の立地は栗山川源流の水(泉)を飲料水として使っていたことを示していると考えます。
・住居は発見されていませんが、ある程度の長期間逗留をしていたに違いありません。
・旧石器時代遺跡集中域とは少しはなれた場所に一鍬田甚兵衛山南遺跡が位置していることから、この遺跡場所から狩場に出動するような定着的生活がしのばれます。
・現在は成田空港敷地内で、盛土された場所に位置しています。
参考 一鍬田甚兵衛山南遺跡付近の地形
旧版1/25000地形図「五辻」大正10年測図(大正14年発行)による
空色は谷津筋線、青色は凹地(閉じた等高線)
参考 隆起線文土器出土分布図
「成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21 -多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡(空港№12遺跡)-」(平成17年3月、成田国際空港株式会社・財団法人千葉県文化財センター)から引用追記
遺跡北端部に隆起線文土器出土域が限られ、D1-26グリッド(5m×5m)が最も集中出土している場所です。
参考 一鍬田甚兵衛山南遺跡の位置 赤色で表示
成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21(千葉県文化財センター調査報告第517集)から引用・加筆
「栗山川の支谷最奥部に面する台地北端部に立地し、標高は約41mである。根木名川・栗山川・木戸川などの水系の分水嶺となる地域である。」
2020年5月31日日曜日
2020年5月19日火曜日
縄文草創期石錐(103図-13)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文石器学習 11
千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、矢柄研磨器、尖頭器、石鏃、有舌尖頭器と一緒に出土した石錐(103図-13)の観察記録3Dモデルを作成しました。
1 縄文草創期石錐(103図-13)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文草創期石錐(103図-13)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
ホルンフェルス製、長さ3.4㎝、幅2.6㎝、厚さ05㎝(報告書挿図から計測)
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
実寸法付与
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 37 images
報告書挿図
(左画面は手違いで未完か)
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書から引用
撮影の様子
撮影の様子(裏面)
裏面の3Dモデルは作成していません。
動画
動画(テクスチャー画像なし)
2 感想
鈴木道之助著「図録石器入門事典縄文」(1991、柏書房)の石錐時期別図録と対比すると、一鍬田甚兵衛山南遺跡出土石錐(103図-13)は縄文草創期特有の錐部が短い形状のものであることがわかります。
石錐時期別図録
鈴木道之助著「図録石器入門事典縄文」(1991、柏書房)から引用加筆
千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、矢柄研磨器、尖頭器、石鏃、有舌尖頭器と一緒に出土した石錐(103図-13)の観察記録3Dモデルを作成しました。
1 縄文草創期石錐(103図-13)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文草創期石錐(103図-13)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
ホルンフェルス製、長さ3.4㎝、幅2.6㎝、厚さ05㎝(報告書挿図から計測)
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
実寸法付与
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 37 images
報告書挿図
(左画面は手違いで未完か)
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書から引用
撮影の様子
撮影の様子(裏面)
裏面の3Dモデルは作成していません。
2 感想
鈴木道之助著「図録石器入門事典縄文」(1991、柏書房)の石錐時期別図録と対比すると、一鍬田甚兵衛山南遺跡出土石錐(103図-13)は縄文草創期特有の錐部が短い形状のものであることがわかります。
石錐時期別図録
鈴木道之助著「図録石器入門事典縄文」(1991、柏書房)から引用加筆
縄文草創期有舌尖頭器(86図-5)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文石器学習 10
千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、矢柄研磨器、尖頭器、石鏃と共伴出土した有舌尖頭器(86図-5)の観察記録3Dモデルを作成しました。とても小ぶりの有舌尖頭器です。
1 縄文草創期有舌尖頭器(86図-5)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文草創期有舌尖頭器(86図-5)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
安山岩製、長さ2.5㎝、幅1.3㎝、厚さ0.5㎝(発掘調査報告書挿図から計測)
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 18 images
報告書挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書から引用
撮影の様子
撮影の様子(裏面)
裏面の3Dモデルは作成していません。
動画
動画(テクスチャー画面なし)
2 感想
・長さ2.5㎝、幅1.3㎝、厚さ0.5㎝と小ぶりであり、投げ槍としてのイメージは湧きません。同時に石鏃も出土していることと、矢柄研磨機に穴(アリジゴク穴のような凹み)があり、弓に弦を掛けた時に利用したと想定できることなどから、弓矢の矢先(石鏃)として使った可能性も否定できないと考えます。
・手持ちの弓ではなく、仕掛け弓(動物が通ると自動発射される固定式の罠としての弓)の矢の石鏃だったのかもしれません。
・有舌尖頭器だから全部機械的に投げ槍と判断するとは限らない検討例を最近、春成秀爾・小林謙一編「愛媛県上黒岩岩陰遺跡の研究」(2009、国立歴史民俗博物館研究報告154)で読みました。
千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、矢柄研磨器、尖頭器、石鏃と共伴出土した有舌尖頭器(86図-5)の観察記録3Dモデルを作成しました。とても小ぶりの有舌尖頭器です。
1 縄文草創期有舌尖頭器(86図-5)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文草創期有舌尖頭器(86図-5)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
安山岩製、長さ2.5㎝、幅1.3㎝、厚さ0.5㎝(発掘調査報告書挿図から計測)
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 18 images
報告書挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書から引用
撮影の様子
撮影の様子(裏面)
裏面の3Dモデルは作成していません。
2 感想
・長さ2.5㎝、幅1.3㎝、厚さ0.5㎝と小ぶりであり、投げ槍としてのイメージは湧きません。同時に石鏃も出土していることと、矢柄研磨機に穴(アリジゴク穴のような凹み)があり、弓に弦を掛けた時に利用したと想定できることなどから、弓矢の矢先(石鏃)として使った可能性も否定できないと考えます。
・手持ちの弓ではなく、仕掛け弓(動物が通ると自動発射される固定式の罠としての弓)の矢の石鏃だったのかもしれません。
・有舌尖頭器だから全部機械的に投げ槍と判断するとは限らない検討例を最近、春成秀爾・小林謙一編「愛媛県上黒岩岩陰遺跡の研究」(2009、国立歴史民俗博物館研究報告154)で読みました。
2020年5月17日日曜日
縄文草創期尖頭器(88図-41)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文石器学習 9
千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、矢柄研磨器、有舌尖頭器、石鏃と共伴出土した尖頭器(88図-41)の観察記録3Dモデルを作成しました。
1 縄文草創期尖頭器(88図-41)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文草創期尖頭器(88図-41)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
安山岩製、長さ7.5㎝
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 44 images
報告書挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書から引用
撮影の様子
撮影の様子(裏面)
裏面の3Dモデルは作成していません。
動画
動画(テクスチャー画面なし)
2 感想
・別に出土している有舌尖頭器は投げ槍用、石鏃は弓矢用で、この尖頭器は手持ち槍用であると理解します。この尖頭器が一鍬田甚兵衛山南遺跡出土尖頭器で最大のものです。
・縄文草創期一鍬田甚兵衛山南遺跡では有舌尖頭器出土が最も多いので投げ槍猟が最も盛んで、次いで手持ち槍猟が行われていたと推測します。石鏃の出土は少ないので弓矢の利用は限定されていたようです。
・この尖頭器がどの程度の太さ・長さの木製柄にどのような方法で装着されていたのかイメージできる知識が現在はありませんので、早急に知識を得たいと思います。
・また手持ち槍が使われる場面がどのようなものであるのかもわかるような資料を入手したいと思います。犬と共同で動物を追い詰め、手持ち槍で格闘的に動物を仕留める状況がイメージできるのでしょうか?罠や落し穴等で追い詰めて動けなくなった動物や、崖に追い詰め落として動きが鈍くなった動物にトドメを刺す道具でしょうか?
千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、矢柄研磨器、有舌尖頭器、石鏃と共伴出土した尖頭器(88図-41)の観察記録3Dモデルを作成しました。
1 縄文草創期尖頭器(88図-41)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文草創期尖頭器(88図-41)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
安山岩製、長さ7.5㎝
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 44 images
報告書挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書から引用
撮影の様子
撮影の様子(裏面)
裏面の3Dモデルは作成していません。
2 感想
・別に出土している有舌尖頭器は投げ槍用、石鏃は弓矢用で、この尖頭器は手持ち槍用であると理解します。この尖頭器が一鍬田甚兵衛山南遺跡出土尖頭器で最大のものです。
・縄文草創期一鍬田甚兵衛山南遺跡では有舌尖頭器出土が最も多いので投げ槍猟が最も盛んで、次いで手持ち槍猟が行われていたと推測します。石鏃の出土は少ないので弓矢の利用は限定されていたようです。
・この尖頭器がどの程度の太さ・長さの木製柄にどのような方法で装着されていたのかイメージできる知識が現在はありませんので、早急に知識を得たいと思います。
・また手持ち槍が使われる場面がどのようなものであるのかもわかるような資料を入手したいと思います。犬と共同で動物を追い詰め、手持ち槍で格闘的に動物を仕留める状況がイメージできるのでしょうか?罠や落し穴等で追い詰めて動けなくなった動物や、崖に追い詰め落として動きが鈍くなった動物にトドメを刺す道具でしょうか?
2020年5月15日金曜日
縄文草創期有舌尖頭器(88図-30)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文石器学習 7
千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、矢柄研磨器と共伴出土した有舌尖頭器(88図-30)の観察記録3Dモデルを作成しました。
1 縄文草創期有舌尖頭器(88図-30)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文草創期有舌尖頭器(88図-30)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
安山岩製、長さ5.5㎝、幅2.4㎝
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
実寸法付与
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 42 images
報告書挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書から引用
撮影の様子
撮影の様子(裏面)
裏面の3Dモデルは作成していません。
動画
2 感想
投げ槍用の有舌尖頭器であると考えます。
この尖頭器の観察の仕方(観賞の仕方)がまだわかりません。この尖頭器の価値が直観できません。この尖頭器を使った人々の狩猟の様子を想像できません。
尖頭器観覧→3Dモデル作成を数多く行い、その間に尖頭器に関する知識を入手し、1年後くらいには尖頭器について素人うんちくを話せるようにしたいと思い、学習に励むことにします。
千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、矢柄研磨器と共伴出土した有舌尖頭器(88図-30)の観察記録3Dモデルを作成しました。
1 縄文草創期有舌尖頭器(88図-30)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文草創期有舌尖頭器(88図-30)(多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
安山岩製、長さ5.5㎝、幅2.4㎝
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
実寸法付与
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 42 images
報告書挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書から引用
撮影の様子
撮影の様子(裏面)
裏面の3Dモデルは作成していません。
2 感想
投げ槍用の有舌尖頭器であると考えます。
この尖頭器の観察の仕方(観賞の仕方)がまだわかりません。この尖頭器の価値が直観できません。この尖頭器を使った人々の狩猟の様子を想像できません。
尖頭器観覧→3Dモデル作成を数多く行い、その間に尖頭器に関する知識を入手し、1年後くらいには尖頭器について素人うんちくを話せるようにしたいと思い、学習に励むことにします。
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この記事は2019.06.17記事「参考 有舌尖頭器 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル」のリメイク版です。
2020年5月11日月曜日
縄文草創期有舌尖頭器(千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文石器学習 6
千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、矢柄研磨器と共伴出土した有舌尖頭器(96図-2)の観察記録3Dモデルを作成しました。
1 縄文草創期有舌尖頭器(千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文草創期有舌尖頭器(千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
報告書番号 96図-2、チャート
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
実寸法付与
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 47 images
千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、矢柄研磨器と共伴出土した有舌尖頭器(96図-2)の観察記録3Dモデルを作成しました。
1 縄文草創期有舌尖頭器(千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文草創期有舌尖頭器(千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
報告書番号 96図-2、チャート
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
実寸法付与
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 47 images
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書から引用
2 感想
・3Dモデルで実寸法を付与して計測したところ、縦方向の長さ4.6㎝、最大幅2㎝となりました。弓矢用ではなく投槍器をつかった槍用でしょうか。
・刃先は鋭利で鋸のようなギザギザが付いていますが、表面は打ち欠いた生の状況ではなく、滑らかになっています。刃先以外は砂などで磨いてつるつるにして、槍先としての性能を高めているようです。
・有舌尖頭器の3Dモデルを作成はしてみましたが、尖頭器の観察の仕方、3Dモデルの作り方など基礎知識・基礎技術の蓄えがまったくありません。すこしズーズーしいと思いますので、旧石器時代、縄文時代の石器について泥縄式学習を今から始めることにします。
・土器の3Dモデルの場合、「置いた」状況で撮影してSfM-MVSにより3Dモデルをつくればそれで足ります。しかし石器の場合「置いた」面だけでなく、「裏の」面も合わせた360度完全3Dモデルを作成する必要があります。おそらく2つの重なる3Dモデルをソフトで統合する作業になると思いますが、現在は出来ません。
2020年5月10日日曜日
縄文草創期矢柄研磨器(一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文石器学習 5
千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、有舌尖頭器と共伴出土した矢柄研磨器の観察記録3Dモデルを作成し詳しく観察しました。
1 縄文草創期矢柄研磨器(一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文草創期矢柄研磨器(一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 42 images
発掘調査報告書挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書より引用
撮影の様子
動画
2 観察
観察図1
メインの溝は若干カーブしています。カーブした篠竹を温めて逆カーブでしごいてまっすぐにするとか、節や篠の残葉を削ぎ取るのに利用したと推測します。
各所にアリジゴクのような穴があります。弓の一方をここに添えて固定し弦を張るのに利用したのではないかと推測します。
観察図2
篠竹をしごいたと思われる溝が各所にあります。また篠竹の断面を擦って断面を平滑にしたと推測できる円形凸形が大小3つ並んでいます。
3 感想
矢柄研磨器は縄文草創期のこの時期にしか出土せず、弓矢が発達すると姿を消したといわれています。もしそうだとすると次のようなことが考えられると想像します。
1 矢羽根が発明されるまで投げやりと弓矢の矢柄調整に矢柄研磨器が使われた。
2 矢柄研磨器を利用しない、より合理的な矢柄調整方法が発明された。
3 弓威力向上の開発が進み、微妙な矢柄調整は不必要となった。
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この矢柄研磨器はすでに2019.06.17記事「参考 矢柄研磨器 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル」で観察していますが、この度3Dモデルを調整し直すとともに、より詳細な観察を行いました。
千葉県多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡から隆起線文土器、有舌尖頭器と共伴出土した矢柄研磨器の観察記録3Dモデルを作成し詳しく観察しました。
1 縄文草創期矢柄研磨器(一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
縄文草創期矢柄研磨器(一鍬田甚兵衛山南遺跡) 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 42 images
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書より引用
撮影の様子
2 観察
観察図1
メインの溝は若干カーブしています。カーブした篠竹を温めて逆カーブでしごいてまっすぐにするとか、節や篠の残葉を削ぎ取るのに利用したと推測します。
各所にアリジゴクのような穴があります。弓の一方をここに添えて固定し弦を張るのに利用したのではないかと推測します。
観察図2
篠竹をしごいたと思われる溝が各所にあります。また篠竹の断面を擦って断面を平滑にしたと推測できる円形凸形が大小3つ並んでいます。
3 感想
矢柄研磨器は縄文草創期のこの時期にしか出土せず、弓矢が発達すると姿を消したといわれています。もしそうだとすると次のようなことが考えられると想像します。
1 矢羽根が発明されるまで投げやりと弓矢の矢柄調整に矢柄研磨器が使われた。
2 矢柄研磨器を利用しない、より合理的な矢柄調整方法が発明された。
3 弓威力向上の開発が進み、微妙な矢柄調整は不必要となった。
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この矢柄研磨器はすでに2019.06.17記事「参考 矢柄研磨器 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル」で観察していますが、この度3Dモデルを調整し直すとともに、より詳細な観察を行いました。
2019年6月22日土曜日
隆起線文土器に関する興味 まとめ
縄文土器学習 158
一鍬田甚兵衛山南遺跡出土物を閲覧し、主要なものについて3Dモデルを作成するなかで次のような興味を憶えましたのでメモしておき、今後の学習に備えることにします。
1 隆起線文土器の器形
一鍬田甚兵衛山南遺跡の発掘調査報告書では隆起線文土器片の記載はありますが、器形復元は行われていません。発掘された土器片が少量でかつ小型であるため器形復元できなかったのだと思います。どのような土器器形であったのか興味が湧きます。
小林達雄編「総覧縄文土器」では次の図が掲載されていて説明がありますので、この図書から一般的な隆起線文土器器形をイメージすることはできます。
隆起線文土器の器形
小林達雄編「総覧縄文土器」から引用
今後千葉県の遺跡で器形復元された隆起線文土器があれば注目したいと思います。
2 隆起線文土器の隆起線の意義
小林達雄著「縄文土器の研究」第7章第1節「縄文土器の文様」によれば草創期縄文土器の文様は無文→豆粒文→隆起線文→爪形文・円孔文→多縄文と変遷し、豆粒文と隆起線文では施文具はなく、爪型文・円孔文ではより複雑な模様がつくられ、多縄文になると施文原体の多様性とともに手法が発達し文様要素の多様化が大幅に増加したことが述べられています。単純から複雑へという文様変化プロセスはよくわかりますが、もう少し詳しく豆粒文、隆起線文がなぜ最初なのか知りたいという興味を抑えられません。更に詳しく関係図書を読んでみたいと思います。また網籠などの他の材料の容器の模様やしつらえのイメージを土器に投影したという上図書の説明も説得力があり、さらに詳しく学習を進めたいと思います。
3 出土する隆起線文土器破片はなぜ小さいのか
2019.02.02記事「隆起線文土器の出土遺物が小さい理由」ですでに検討している興味ですが、土器専門家は興味を感じていないような印象を受けるテーマであり、ますます興味が深まります。
小林達雄著「縄文土器の研究」では大きな項目「第6章第2節縄文世界における土器の廃棄について」を設け12ページにわたって土器廃棄について詳述しています。
土器廃棄パターンの時代的変遷模式図
小林達雄著「縄文土器の研究」から引用
この中で土器廃棄をA、B、C1、C2、D、Eの6パターンに分け、意図的あるいは意図的でない場合という区分を軸に詳細な検討を行っています。この小論文はあらためて詳しく分析的に学習するつもりです。
しかし、自分の視点からみるとこの小論文では廃棄が意図的であるか否かという点に焦点があります。廃用土器を破壊する(粉々にしてばら撒く)という意識的行動に焦点は当たっていません。
なぜ隆起線文土器破片が小さいのか、検討を深めることにします。
4 隆起線文土器片と石器が共伴出土する「その区画」の状況推察
隆起線文土器片と有舌尖頭器などが共伴出土する場所は特定の区画とその周辺です。この場所からは住居祉などは見つかっていません。この区画付近が住居に近いような使われた方をした場所であると推察してよいのかどうか、発掘調査報告書掲載情報からそのような推察の根拠がどのように導かれるのか、機会があれば専門家のご意見を伺いたいと思います。
縄文時代草創期遺物出土状況(石器・土器)
一鍬田甚兵衛山南遺跡の発掘調査報告書から引用
5 土器量が時代とともにどのように変化しているか
隆起線文式の時代とその後の早期の時代では土器がどのように増加するのか、一例として一鍬田甚兵衛山南遺跡の統計をとりたいと思います。「土器量(土器破片数?)/石器量(石器片数?)」のような指標を設定して統計をとってみて、縄文人1人当たりが残した土器量が草創期と早期では確かに違うことを統計的知りたいと思います。
1人が一生に使う土器量(に比例した指標値)の違いがどれだけであるのかによって、土器利用の場面なども違ってくるはずです。土器がどれだけ貴重品であるのか、あるいはどれだけ日常的な用具であるのか知りたいということです。
6 尖頭器の大きさの違いが意味することがら
出土有舌尖頭器・尖頭器の大きさにかなりの開きがあります。大きなものは槍としてつかわれたと考えられますが小さなものは弓の矢先であるような印象も受けます。専門家によればそうした判別が確立しているものであるのかどうか、知りたいと考えています。書物からの学習ではなく、ヒアリングが必要です。
投槍器は発見されていませんがその存在の確実視がどの程度のモノであるのか、矢柄研磨器で研磨した柄は何の柄であるのか、考古学の最先端がどこまで解明しているのか、知りたいと思います。
参考 2019.06.17記事「参考 矢柄研磨器 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル」
7 土器と石器種別のセットのタイプが時代とともにどのように変化しているか
特に草創期~早期~前期あたりまでを最初の興味対象にして、土器の器種や大きさ・量、石器の器種や素材・大きさ・出土量など組み合わせセットが時代とともにどのように変化したのか、学習を深めたいと希望しています。
一鍬田甚兵衛山南遺跡出土物を閲覧し、主要なものについて3Dモデルを作成するなかで次のような興味を憶えましたのでメモしておき、今後の学習に備えることにします。
1 隆起線文土器の器形
一鍬田甚兵衛山南遺跡の発掘調査報告書では隆起線文土器片の記載はありますが、器形復元は行われていません。発掘された土器片が少量でかつ小型であるため器形復元できなかったのだと思います。どのような土器器形であったのか興味が湧きます。
小林達雄編「総覧縄文土器」では次の図が掲載されていて説明がありますので、この図書から一般的な隆起線文土器器形をイメージすることはできます。
隆起線文土器の器形
小林達雄編「総覧縄文土器」から引用
今後千葉県の遺跡で器形復元された隆起線文土器があれば注目したいと思います。
2 隆起線文土器の隆起線の意義
小林達雄著「縄文土器の研究」第7章第1節「縄文土器の文様」によれば草創期縄文土器の文様は無文→豆粒文→隆起線文→爪形文・円孔文→多縄文と変遷し、豆粒文と隆起線文では施文具はなく、爪型文・円孔文ではより複雑な模様がつくられ、多縄文になると施文原体の多様性とともに手法が発達し文様要素の多様化が大幅に増加したことが述べられています。単純から複雑へという文様変化プロセスはよくわかりますが、もう少し詳しく豆粒文、隆起線文がなぜ最初なのか知りたいという興味を抑えられません。更に詳しく関係図書を読んでみたいと思います。また網籠などの他の材料の容器の模様やしつらえのイメージを土器に投影したという上図書の説明も説得力があり、さらに詳しく学習を進めたいと思います。
3 出土する隆起線文土器破片はなぜ小さいのか
2019.02.02記事「隆起線文土器の出土遺物が小さい理由」ですでに検討している興味ですが、土器専門家は興味を感じていないような印象を受けるテーマであり、ますます興味が深まります。
小林達雄著「縄文土器の研究」では大きな項目「第6章第2節縄文世界における土器の廃棄について」を設け12ページにわたって土器廃棄について詳述しています。
土器廃棄パターンの時代的変遷模式図
小林達雄著「縄文土器の研究」から引用
この中で土器廃棄をA、B、C1、C2、D、Eの6パターンに分け、意図的あるいは意図的でない場合という区分を軸に詳細な検討を行っています。この小論文はあらためて詳しく分析的に学習するつもりです。
しかし、自分の視点からみるとこの小論文では廃棄が意図的であるか否かという点に焦点があります。廃用土器を破壊する(粉々にしてばら撒く)という意識的行動に焦点は当たっていません。
なぜ隆起線文土器破片が小さいのか、検討を深めることにします。
4 隆起線文土器片と石器が共伴出土する「その区画」の状況推察
隆起線文土器片と有舌尖頭器などが共伴出土する場所は特定の区画とその周辺です。この場所からは住居祉などは見つかっていません。この区画付近が住居に近いような使われた方をした場所であると推察してよいのかどうか、発掘調査報告書掲載情報からそのような推察の根拠がどのように導かれるのか、機会があれば専門家のご意見を伺いたいと思います。
縄文時代草創期遺物出土状況(石器・土器)
一鍬田甚兵衛山南遺跡の発掘調査報告書から引用
5 土器量が時代とともにどのように変化しているか
隆起線文式の時代とその後の早期の時代では土器がどのように増加するのか、一例として一鍬田甚兵衛山南遺跡の統計をとりたいと思います。「土器量(土器破片数?)/石器量(石器片数?)」のような指標を設定して統計をとってみて、縄文人1人当たりが残した土器量が草創期と早期では確かに違うことを統計的知りたいと思います。
1人が一生に使う土器量(に比例した指標値)の違いがどれだけであるのかによって、土器利用の場面なども違ってくるはずです。土器がどれだけ貴重品であるのか、あるいはどれだけ日常的な用具であるのか知りたいということです。
6 尖頭器の大きさの違いが意味することがら
出土有舌尖頭器・尖頭器の大きさにかなりの開きがあります。大きなものは槍としてつかわれたと考えられますが小さなものは弓の矢先であるような印象も受けます。専門家によればそうした判別が確立しているものであるのかどうか、知りたいと考えています。書物からの学習ではなく、ヒアリングが必要です。
投槍器は発見されていませんがその存在の確実視がどの程度のモノであるのか、矢柄研磨器で研磨した柄は何の柄であるのか、考古学の最先端がどこまで解明しているのか、知りたいと思います。
参考 2019.06.17記事「参考 矢柄研磨器 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル」
7 土器と石器種別のセットのタイプが時代とともにどのように変化しているか
特に草創期~早期~前期あたりまでを最初の興味対象にして、土器の器種や大きさ・量、石器の器種や素材・大きさ・出土量など組み合わせセットが時代とともにどのように変化したのか、学習を深めたいと希望しています。
2019年6月21日金曜日
一鍬田甚兵衛山南遺跡 出土物観察記録サイトの開設
一鍬田甚兵衛山南遺跡縄文草創期出土物の観察記録に関してサイトを開設してまとめました。
一鍬田甚兵衛山南遺跡 縄文草創期出土物の観察記録
現在隆起線文土器片5点、有舌尖頭器2点、尖頭器1点、石錐1点、矢柄研磨器1点の観察記録3Dモデルを掲載しています。
今後写真撮影した他の出土物の観察記録、一鍬田甚兵衛山南遺跡あるいは縄文草創期に関連する興味について資料を追加していく予定です。
隆起線文土器観察が主目的の遺物観察ですが、土器観察だけで遺跡の意義を円満に学習できるはずもないので、土器と石器を一緒に学習する補助サイトを開設した次第です。
一鍬田甚兵衛山南遺跡 縄文草創期出土物の観察記録
現在隆起線文土器片5点、有舌尖頭器2点、尖頭器1点、石錐1点、矢柄研磨器1点の観察記録3Dモデルを掲載しています。
今後写真撮影した他の出土物の観察記録、一鍬田甚兵衛山南遺跡あるいは縄文草創期に関連する興味について資料を追加していく予定です。
隆起線文土器観察が主目的の遺物観察ですが、土器観察だけで遺跡の意義を円満に学習できるはずもないので、土器と石器を一緒に学習する補助サイトを開設した次第です。
2019年6月17日月曜日
参考 矢柄研磨器 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル
隆起線文土器、有舌尖頭器と共伴出土した矢柄研磨器の観察記録3Dモデルを作成しました。
矢柄研磨器(123図-1) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
矢柄研磨器(123図-1) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土
千葉県教育委員会所蔵
矢柄研磨器(123図-1) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3DモデルにおけるMatcap表示 メモ追記
矢柄研磨器(123図-1) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 発掘調査報告書挿図
1 矢柄研磨器の利用目的
矢柄研磨器は縄文草創期のこの時期にしか出土していません。弓矢が発達した段階では矢柄研磨器は出土しません。
矢柄研磨器がどのような目的で使われたのか、専門的知識を入手したいと思いますが、次のような状況のどれかであると推察します。
1 手で持って使う弓矢が既に使われていたが、矢羽根の発明前であり、矢柄の調整が命中率向上に重要であったので矢柄研磨器が存在した。
2 手で持つ弓矢はまだ存在していなかったが、仕掛弓が存在していて、その矢柄を出来るだけ直線状に調整する必要があったため。
3 投槍器を使って投槍する際の槍棒を出来るだけ直線にして命中率を高める必要があり、そのための調整道具として矢柄研磨器を使った。
いずれにしても矢羽根発明前の飛び道具としての矢・槍の棒を出来るだけ直線状に調整するための道具であると考えます。
2 矢柄研磨器の形状観察
発掘調査報告書挿図では矢柄研磨のための凹部は直線状にスケッチされています。しかし3Dモデルで観察するとわずかに湾曲しています。
曲がった矢柄を矯正するためには湾曲の反対方向の力で強制する必要がありますから、凹部が湾曲していることは合理的です。
また凹部がかなりデコボコしていてダイナミックに矯正した様子を推察できます。
この矢柄研磨器の上に矢柄を乗せ、その上に別の石を当てて押しつけ、矢柄をしごいたのではないかと想像します。
矢柄研磨器(123図-1) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
矢柄研磨器(123図-1) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土
千葉県教育委員会所蔵
矢柄研磨器(123図-1) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3DモデルにおけるMatcap表示 メモ追記
矢柄研磨器(123図-1) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 発掘調査報告書挿図
1 矢柄研磨器の利用目的
矢柄研磨器は縄文草創期のこの時期にしか出土していません。弓矢が発達した段階では矢柄研磨器は出土しません。
矢柄研磨器がどのような目的で使われたのか、専門的知識を入手したいと思いますが、次のような状況のどれかであると推察します。
1 手で持って使う弓矢が既に使われていたが、矢羽根の発明前であり、矢柄の調整が命中率向上に重要であったので矢柄研磨器が存在した。
2 手で持つ弓矢はまだ存在していなかったが、仕掛弓が存在していて、その矢柄を出来るだけ直線状に調整する必要があったため。
3 投槍器を使って投槍する際の槍棒を出来るだけ直線にして命中率を高める必要があり、そのための調整道具として矢柄研磨器を使った。
いずれにしても矢羽根発明前の飛び道具としての矢・槍の棒を出来るだけ直線状に調整するための道具であると考えます。
2 矢柄研磨器の形状観察
発掘調査報告書挿図では矢柄研磨のための凹部は直線状にスケッチされています。しかし3Dモデルで観察するとわずかに湾曲しています。
曲がった矢柄を矯正するためには湾曲の反対方向の力で強制する必要がありますから、凹部が湾曲していることは合理的です。
また凹部がかなりデコボコしていてダイナミックに矯正した様子を推察できます。
この矢柄研磨器の上に矢柄を乗せ、その上に別の石を当てて押しつけ、矢柄をしごいたのではないかと想像します。
参考 有舌尖頭器 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル
隆起線文土器と共伴出土する有舌尖頭器の観察記録3Dモデルを作成しました。
有舌尖頭器(88図-30) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
有舌尖頭器(88図-30) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土
千葉県教育委員会所蔵
有舌尖頭器(88図-30)反対面 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土
千葉県教育委員会所蔵
有舌尖頭器(88図-30) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 発掘調査報告書挿図
有舌尖頭器は投げ槍用の槍先尖頭器ということでよいのでしょうか?学習を深めたいと思います。一緒に矢柄研磨機も出土しているので、弓矢以前の投槍に関わると想定します。
土器片と異なり石器は360度どこからでも観察できる3Dモデル作成が望まれるところですが、まだ台の上に置いて片面のみ3Dモデル化できるテクニックしか所持していません。
有舌尖頭器(88図-30) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
有舌尖頭器(88図-30) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土
千葉県教育委員会所蔵
有舌尖頭器(88図-30)反対面 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土
千葉県教育委員会所蔵
有舌尖頭器(88図-30) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 発掘調査報告書挿図
有舌尖頭器は投げ槍用の槍先尖頭器ということでよいのでしょうか?学習を深めたいと思います。一緒に矢柄研磨機も出土しているので、弓矢以前の投槍に関わると想定します。
土器片と異なり石器は360度どこからでも観察できる3Dモデル作成が望まれるところですが、まだ台の上に置いて片面のみ3Dモデル化できるテクニックしか所持していません。
隆起線文土器片(爪形文付) 観察記録3Dモデル
縄文土器学習 157
一鍬田甚兵衛山南遺跡出土の縄文草創期隆起線文土器片のうち、爪形文が付いているピースの観察記録3Dモデルを作成しました。
隆起線文土器片(45図-29) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
隆起線文土器片(45図-29) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土
千葉県教育委員会所蔵
白い小点は光っている鉱物(石英)です。
隆起線文土器片(45図-29) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3DモデルにおけるMatcap表示
隆起線文土器片(45図-29) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 発掘調査報告書挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡出土遺物の最初の観察では3Dモデル作成に失敗してのですが、その時撮影した通常写真ではこの土器片の爪形文の形状をリアルに確認できることができませんでした。そのような経緯があり、千葉県教育委員会に再度3Dモデル作成のための閲覧申請をお願いしてこの3Dモデルを作成した次第です。
写真ではわかりにくい爪形の凹みを3Dモデルで確認観察することができます。特に写真を消してMatcap表示すると確実な観察になります。
観察記録3Dモデルを作成することにより千葉県出土縄文土器の最初期のものの意匠の一部を自分の目でシッカリと観察できました。この結果次のような問題意識をもつことができました。
・隆起線文と爪形文がどのような意味を持っているのか。具象物の象徴であるのか、抽象模様と言い切れるのか。機能から生れたのか(滑り防止、煮沸後の放熱促進、・・・)。
・最初期の縄文土器になぜ隆起線文と爪形文が使われたのか。(模様だけなら沈線でも自由に書けるはず。)
一鍬田甚兵衛山南遺跡出土の縄文草創期隆起線文土器片のうち、爪形文が付いているピースの観察記録3Dモデルを作成しました。
隆起線文土器片(45図-29) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
隆起線文土器片(45図-29) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土
千葉県教育委員会所蔵
白い小点は光っている鉱物(石英)です。
隆起線文土器片(45図-29) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3DモデルにおけるMatcap表示
隆起線文土器片(45図-29) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 発掘調査報告書挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡出土遺物の最初の観察では3Dモデル作成に失敗してのですが、その時撮影した通常写真ではこの土器片の爪形文の形状をリアルに確認できることができませんでした。そのような経緯があり、千葉県教育委員会に再度3Dモデル作成のための閲覧申請をお願いしてこの3Dモデルを作成した次第です。
写真ではわかりにくい爪形の凹みを3Dモデルで確認観察することができます。特に写真を消してMatcap表示すると確実な観察になります。
観察記録3Dモデルを作成することにより千葉県出土縄文土器の最初期のものの意匠の一部を自分の目でシッカリと観察できました。この結果次のような問題意識をもつことができました。
・隆起線文と爪形文がどのような意味を持っているのか。具象物の象徴であるのか、抽象模様と言い切れるのか。機能から生れたのか(滑り防止、煮沸後の放熱促進、・・・)。
・最初期の縄文土器になぜ隆起線文と爪形文が使われたのか。(模様だけなら沈線でも自由に書けるはず。)
2019年6月16日日曜日
隆起線文土器片 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル
縄文土器学習 156
幅5~7mmの隆起線を口縁に平行して多条に貼り付けています。
一鍬田甚兵衛山南遺跡出土の縄文草創期隆起線文土器片の観察記録3Dモデルを作成しました。
隆起線文土器片(44図-1) 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:千葉県教育庁文化財課森宮分室
撮影月日:2019.05.27
幅5~7mmの隆起線を口縁に平行して多条に貼り付けています。
観察記録3Dモデルとしての出来栄えは満足感のあるものになっています。
参考
2019.01.13記事「隆起線文土器」
2019.01.22記事「一鍬田甚兵衛山南遺跡 隆起線文土器出土遺跡」
2019.01.25記事「一鍬田甚兵衛山南遺跡付近の地形」
2019.01.27記事「一鍬田甚兵衛山南遺跡遺物出土状況」
2019.02.02記事「隆起線文土器の出土遺物が小さい理由」
2019年5月28日火曜日
縄文草創期隆起線文土器片の3Dモデル化成功
縄文土器学習 138
縄文草創期隆起線文土器のかけらに観察される微細な模様・凹凸を3Dモデルにすることができました。2月の観察では初歩的なミスで失敗したのですが、5月27日の資料閲覧での撮影写真でようやく3Dモデル化に成功しました。
一鍬田甚兵衛山南遺跡出土隆起線文土器片の3Dモデル 44図-5土器 (千葉県教育委員会所蔵)
44図-5土器の挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書から引用
土器片の大きさは大よそ3.5cm×3.5cmです。
隆起線文と口唇部の微細な刻みを3Dモデルで表現することができました。自分の技術レベルでは「快挙」です。
ボーっとしながら撮った写真を見返すだけではこれらの模様・凹凸を観察できるとは限りません。
閲覧した隆起線文土器片5点と共伴出土尖頭器5点・矢柄研磨機1点の3Dモデルを作成して順次観察考察できることは素晴らしい学習体験となります。
一鍬田甚兵衛山南遺跡出土資料の閲覧を2回にわたり許可していただいた千葉県教育委員会に感謝します。
縄文草創期隆起線文土器のかけらに観察される微細な模様・凹凸を3Dモデルにすることができました。2月の観察では初歩的なミスで失敗したのですが、5月27日の資料閲覧での撮影写真でようやく3Dモデル化に成功しました。
一鍬田甚兵衛山南遺跡出土隆起線文土器片の3Dモデル 44図-5土器 (千葉県教育委員会所蔵)
44図-5土器の挿図
一鍬田甚兵衛山南遺跡発掘調査報告書から引用
土器片の大きさは大よそ3.5cm×3.5cmです。
隆起線文と口唇部の微細な刻みを3Dモデルで表現することができました。自分の技術レベルでは「快挙」です。
ボーっとしながら撮った写真を見返すだけではこれらの模様・凹凸を観察できるとは限りません。
閲覧した隆起線文土器片5点と共伴出土尖頭器5点・矢柄研磨機1点の3Dモデルを作成して順次観察考察できることは素晴らしい学習体験となります。
一鍬田甚兵衛山南遺跡出土資料の閲覧を2回にわたり許可していただいた千葉県教育委員会に感謝します。
2019年5月21日火曜日
神子柴遺跡
3月に伊那市創造館で神子柴遺跡出土大型黒曜石尖頭器などを観覧し、巨大な刺激を受けました。縄文時代学習と旧石器時代学習を自分の頭の中で結びつけることができる有力な材料だと直観しました。
取組中土器学習における草創期土器に共伴出土する尖頭器との比較や関連づけを経由して神子柴遺跡出土物情報を咀嚼したいと考えていました。しかし諸般の事情によりそのチャンスを逸していました。しかしこの度草創期遺跡である一鍬田甚兵衛山南遺跡出土遺物の再度閲覧が近づき、旧石器時代と縄文時代の境目付近にも再び時間資源の一部を投入する運びになりましたので、そのウォーミングアップを兼ねて、神子柴遺跡出土物を観察してみます。
この記事では出土物観覧の様子をメモします。
1 神子柴遺跡出土物
尖頭器(凝灰質頁岩 国重要文化財) 尖頭器(下呂石 長径25㎝ 国重要文化財)
尖頭器(下呂石 国重要文化財) 尖頭器(黒曜石 国重要文化財)
尖頭器(黒曜石 国重要文化財) 尖頭器(黒曜石 国重要文化財)
尖頭器(黒曜石 国重要文化財) 尖頭器(黒曜石 国重要文化財)
掻器展示の様子
石器の巨大さに圧倒されます。草創期土器と共伴出土する同形尖頭器と較べるとその大きさは雲泥の違いとなります。その違いに関わる時間、空間、狩猟対象方法などの要因をぜひとも詳しく知りたくなります。
参考 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土尖頭器(千葉県教育委員会所蔵)
尖頭器の長径は7.5㎝。3Dモデル作成用写真(3Dモデル作成は初歩的ミスで失敗)
2 関連展示物
石器出土状況実物大配置パネル
石器の配置説明ポスター
石器は7×3mの範囲から87点出土しています。石器貯蔵保管施設を掘り当てたようです。
3 感想
観覧時は神子柴遺跡に関わる情報を即時にかつ深く咀嚼できる状況にはありませんでしたが、おそらく再びこの施設を訪れるであろうことを予感しつつ、今後の本格的学習に備えて小冊子や大冊図書を購入しました。
購入した大冊図書
伊那市創造館は顔面付釣手形土器、唐草文土器、神子柴遺跡出土物などが観覧できて、まことに刺激あふれる施設です。
伊那市創造館 2019年3月撮影
取組中土器学習における草創期土器に共伴出土する尖頭器との比較や関連づけを経由して神子柴遺跡出土物情報を咀嚼したいと考えていました。しかし諸般の事情によりそのチャンスを逸していました。しかしこの度草創期遺跡である一鍬田甚兵衛山南遺跡出土遺物の再度閲覧が近づき、旧石器時代と縄文時代の境目付近にも再び時間資源の一部を投入する運びになりましたので、そのウォーミングアップを兼ねて、神子柴遺跡出土物を観察してみます。
この記事では出土物観覧の様子をメモします。
1 神子柴遺跡出土物
尖頭器(凝灰質頁岩 国重要文化財) 尖頭器(下呂石 長径25㎝ 国重要文化財)
尖頭器(下呂石 国重要文化財) 尖頭器(黒曜石 国重要文化財)
尖頭器(黒曜石 国重要文化財) 尖頭器(黒曜石 国重要文化財)
尖頭器(黒曜石 国重要文化財) 尖頭器(黒曜石 国重要文化財)
掻器展示の様子
石器の巨大さに圧倒されます。草創期土器と共伴出土する同形尖頭器と較べるとその大きさは雲泥の違いとなります。その違いに関わる時間、空間、狩猟対象方法などの要因をぜひとも詳しく知りたくなります。
参考 一鍬田甚兵衛山南遺跡出土尖頭器(千葉県教育委員会所蔵)
尖頭器の長径は7.5㎝。3Dモデル作成用写真(3Dモデル作成は初歩的ミスで失敗)
2 関連展示物
石器出土状況実物大配置パネル
石器の配置説明ポスター
石器は7×3mの範囲から87点出土しています。石器貯蔵保管施設を掘り当てたようです。
3 感想
観覧時は神子柴遺跡に関わる情報を即時にかつ深く咀嚼できる状況にはありませんでしたが、おそらく再びこの施設を訪れるであろうことを予感しつつ、今後の本格的学習に備えて小冊子や大冊図書を購入しました。
購入した大冊図書
伊那市創造館は顔面付釣手形土器、唐草文土器、神子柴遺跡出土物などが観覧できて、まことに刺激あふれる施設です。
伊那市創造館 2019年3月撮影
2019年3月29日金曜日
隆起線文土器と共伴出土石器の観察
縄文土器学習 78
一鍬田甚兵衛山南遺跡出土隆起線文土器と共伴出土石器を閲覧しました。
1 閲覧した隆起線文土器と石器
閲覧した隆起線文土器と石器
隆起線文土器と石器は千葉県教育委員会所蔵
これらの土器及び石器はD1-26グリッド(5m×5m)付近から集中出土した遺物です。
隆起線文土器と有舌尖頭器が共伴して出土しています。
隆起線文土器と共伴石器の出土状況は2019.01.27記事「一鍬田甚兵衛山南遺跡遺物出土状況」で既に説明しました。
2 隆起線文土器の観察
隆起線文土器 1
隆起線文土器は千葉県教育委員会所蔵
隆起線文土器1挿図
「成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21 -多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡(空港№12遺跡)-」(平成17年3月、成田国際空港株式会社・財団法人千葉県文化財センター)(以下発掘調査報告書と略称します。)から引用
隆起線文土器 1
隆起線文土器は千葉県教育委員会所蔵
隆起線文土器1は口縁部を有する2つの破片からなり、口縁部に平行に4条の波型隆起線が平行しています。土器の厚さは6~8mmで比較的明るい褐色で、黒あるいは白く光る鉱物多数を含んでいます。土器片の質感は硬く締まった様相を呈していて、ボロボロ崩れるような質感とは正反対の様相です。長年月の風化に耐えてきたという質感とは異なります。
隆起線文土器 2
隆起線文土器は千葉県教育委員会所蔵
隆起線文土器2挿図
発掘調査報告書から引用
隆起線文土器2は波型隆起線の下にハの字状の爪形文を付加するものです。
この遺跡から隆起線文土器は約100点出土し、口縁部の破片から、最低でも11個体以上あったと推定されています。
3 有舌尖頭器の観察
有舌尖頭器 94-1
有舌尖頭器は千葉県教育委員会所蔵
有舌尖頭器94-1挿図
発掘調査報告書から引用
有舌尖頭器 96-2
有舌尖頭器は千葉県教育委員会所蔵
有舌尖頭器96-2挿図
発掘調査報告書から引用
有舌尖頭器はこの遺跡から44点出土していて、その数は全国屈指のものです。
4 感想
・隆起線文土器片を実際にまじかで観察することによって、その質感(材質感)がその後の縄文前期~晩期の土器と全く異なり、固く締まっていて、色も明るいことを知ることができました。また薄手です。さらに微細な鉱物が沢山入っており、所々で光っています。このような印象は書物で何回もみた写真からでは決してわからないことです。
・隆起線文土器が簡単には風化しないようなつくりであることから、それが実用品であるにも関わらず素材入手や焼き方の工夫に惜しみの無い時間をかけたことがしのばれます。隆起線文土器は生活における特別な高級品であり、丁寧に扱われたことが感得できます。粗雑な作り方、粗雑な扱い方とは正反対の作り方、扱われ方がされたモノであると推察します。
一鍬田甚兵衛山南遺跡出土隆起線文土器と共伴出土石器を閲覧しました。
1 閲覧した隆起線文土器と石器
閲覧した隆起線文土器と石器
隆起線文土器と石器は千葉県教育委員会所蔵
これらの土器及び石器はD1-26グリッド(5m×5m)付近から集中出土した遺物です。
隆起線文土器と有舌尖頭器が共伴して出土しています。
隆起線文土器と共伴石器の出土状況は2019.01.27記事「一鍬田甚兵衛山南遺跡遺物出土状況」で既に説明しました。
2 隆起線文土器の観察
隆起線文土器 1
隆起線文土器は千葉県教育委員会所蔵
隆起線文土器1挿図
「成田国際空港埋蔵文化財調査報告書21 -多古町一鍬田甚兵衛山南遺跡(空港№12遺跡)-」(平成17年3月、成田国際空港株式会社・財団法人千葉県文化財センター)(以下発掘調査報告書と略称します。)から引用
隆起線文土器 1
隆起線文土器は千葉県教育委員会所蔵
隆起線文土器1は口縁部を有する2つの破片からなり、口縁部に平行に4条の波型隆起線が平行しています。土器の厚さは6~8mmで比較的明るい褐色で、黒あるいは白く光る鉱物多数を含んでいます。土器片の質感は硬く締まった様相を呈していて、ボロボロ崩れるような質感とは正反対の様相です。長年月の風化に耐えてきたという質感とは異なります。
隆起線文土器 2
隆起線文土器は千葉県教育委員会所蔵
隆起線文土器2挿図
発掘調査報告書から引用
隆起線文土器2は波型隆起線の下にハの字状の爪形文を付加するものです。
この遺跡から隆起線文土器は約100点出土し、口縁部の破片から、最低でも11個体以上あったと推定されています。
3 有舌尖頭器の観察
有舌尖頭器 94-1
有舌尖頭器は千葉県教育委員会所蔵
有舌尖頭器94-1挿図
発掘調査報告書から引用
有舌尖頭器 96-2
有舌尖頭器は千葉県教育委員会所蔵
有舌尖頭器96-2挿図
発掘調査報告書から引用
有舌尖頭器はこの遺跡から44点出土していて、その数は全国屈指のものです。
4 感想
・隆起線文土器片を実際にまじかで観察することによって、その質感(材質感)がその後の縄文前期~晩期の土器と全く異なり、固く締まっていて、色も明るいことを知ることができました。また薄手です。さらに微細な鉱物が沢山入っており、所々で光っています。このような印象は書物で何回もみた写真からでは決してわからないことです。
・隆起線文土器が簡単には風化しないようなつくりであることから、それが実用品であるにも関わらず素材入手や焼き方の工夫に惜しみの無い時間をかけたことがしのばれます。隆起線文土器は生活における特別な高級品であり、丁寧に扱われたことが感得できます。粗雑な作り方、粗雑な扱い方とは正反対の作り方、扱われ方がされたモノであると推察します。
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