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2025年5月26日月曜日

北斜面貝層の貝層大区分

 Major division of shell layers on the northern slope


A major division of shell layers was made from the cross-sectional view of the shell layers in the northern slope shell layer study area. Since we were able to distinguish between slope shell layers and channel shell layers, the basis for shell layer division was established. In a word, the slope shell layers are the original shell layers, and the channel shell layers are the shell layers deposited secondarily.


有吉北貝塚北斜面貝層検討空間の貝層断面図から貝層大区分を行いました。斜面性貝層と流路性貝層の弁別ができたので、貝層区分の基礎がかたまりました。一言で言えば、斜面性貝層はオリジナル貝層、流路性貝層は二次的に堆積した貝層です。

1 貝層大区分

貝層断面図(セクション図)に記載された情報から、貝層を大区分しました。大区分の視点は、斜面性貝層(斜面に投棄され堆積した貝層)と、流路性貝層(水流営力により浸食・運搬を経て投棄場所から離れた流路に堆積した貝層)の抽出です。

11 断面では斜面性貝層、流路性貝層とともに、崩落層、二次堆積層、流路性土層が弁別観察されました。


貝層大区分


斜面性貝層と流路性貝層のベクトルの違い

斜面性貝層は斜面に投棄された貝殻・遺物が移動はしていますが、当該斜面に留まっている状態の貝層です。従ってオリジナル貝層として認識できます。一方、流路性貝層は離れた場所の貝層がガリー浸食され、ガリー流路で運搬されてきて堆積したものです。従って流路性貝層は二次的に堆積した貝層です。考古学的遺物の出土環境という視点でみると、斜面性貝層の方が投棄環境保持の割合が大きいという意味で、流路性貝層より価値があります。

断面全体構成から、斜面性貝層は崩落層と二次堆積層形成後に形成されたことが読みとれます。流路性貝層は崩落層、二次堆積貝層、斜面性貝層のそれぞれの形成に対応して形成されています。

流路性貝層と流路性土層は同時異相の関係にあります。

2 崩落層基底部の貝層ブロック


崩落層基底部の貝層ブロック

崩落層はガリー浸食作用の跡ですが、貝層ブロック、土器片等を含んでいて、これらはガリー浸食作用前の前代貝層の痕跡であると考えられます。剥ぎ取り断面でその現物を観察できます。

3 二次堆積層


二次堆積層層相

二次堆積層の層相は剥ぎ取り断面該当層で湖成堆積環境を示しています。崩落層形成後、一時的にダムアップ現象があったと推察できます。

4 貝層大区分3Dモデル作成


貝層大区分3Dモデル

貝層大区分3Dモデル(各区分空間の3Dモデル)を作成しました。なお、視認性をよくするため画像では断面線における面は非表示としています。

3Dモデル作成方法は、11断面と10断面の2つの大区分断面線をBlenderの「辺ループのブリッジ」機能により3Dモデル造形しました。


2025年3月23日日曜日

3D空間における貝層大区分と遺物分布

 Shell layer divisions and artifact distribution in 3D space


The shell layer divisions and artifact distribution in the study space (3D space) of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound were observed using a 3D model. The artifacts excavated from the slope shell layer are prominent. The artifacts excavated from the collapsed layer indicate the existence of a shell layer containing artifacts from a previous era that was lost due to gully erosion.


有吉北貝塚北斜面貝層の検討空間(3D空間)における貝層大区分と遺物分布の様子を3Dモデルで観察しました。斜面貝層からの遺物出土が突出します。崩落層から遺物が出土している様子から、ガリー浸食で失われた前代の遺物含有貝層の存在を知ることができます。

1 貝層大区分と遺物3D分布モデル

貝層大区分と遺物3D分布モデル

場所:有吉北貝塚北斜面貝層検討空間(10断面と11断面に挟まれた空間)

貝層大区分境界:青平面メッシュ

遺物:赤CUBE(5㎝×5㎝×5㎝)

10断面(手前)と11断面(奥)の間隔は2m


参考 貝層大区分

3DF Zephyr v8.003でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 検討


検討メモ図

・崩落層から遺物(ほとんど土器)が出土していることから、ガリー浸食でその本体が失われた前代の土器含有貝層が存在していたことを知ることができます。崩落層からはブロックとなって崩落した貝層が数多く観察されています。

・崩落層の中央部からの遺物出土がないことから、ガリー浸食で前代の貝層が浸食流出し、さらに台地構成層(成田層)の浸食が続いたことが想定できます。この事実からガリー浸食発生以前に貝層が存在していたことがわかります。

・発掘調査報告書では崩落が始まった頃から土器投棄が始まった旨記述していますが、土器を含む貝層がガリー浸食以前に存在していたことが遺物3D分布から確認できます。

・崩落層から出土した土器の型式がわかれば、この付近のガリー浸食がいつ頃生起したのか、おおよその見当がつきそうです。

・二次堆積崩落層A(現場ではK層)からの遺物出土がとても少なくなっています。二次堆積崩落層Aの連続層を剥取断面(千葉県立中央博物館展示)で現物観察すると、水成堆積の様子を確認できます。現状では二次堆積崩落層Aは湖成堆積層の可能性が濃厚であると考えています。(ガリー侵食空間における一時的ダムアップ現象の想定。)

・二次堆積貝層(ガリー流路の運搬による堆積層)は遺物分布の粗密から、基底層(崩落層に連続)、遺物出土の少ない堆積層(二次堆積崩落層Aに連続)、遺物出土の多い堆積層(S2とS3の間の時期の堆積層)に3区分出来そうです。

・斜面貝層の遺物は貝層の細区分(S1、S2、S3)3Dモデルを作成して、別途詳しく観察します。