第3部 印旛沼筋河川争奪に遡る その14
1 これまでの検討のまとめ
印旛沼筋河川争奪に関するこれまでの主な検討を次にまとめてみました。
2 河川争奪の主因
この仮説では、河川争奪の主因を古平戸川流域の利根川出口付近の地殻変動(隆起)としています。
モデルの「地殻変動が生じた頃の様子」として、古平戸川流域は「隆起による流域閉塞」を挙げ、そのために古平戸川流域は営力上孤立・湖沼化したと考えました。一方、鹿島川流域はそのような流域閉塞が無かったので、下方浸食が進んだと考えました。
つまり、この時期に古平戸川流域の河床高は下がることはなかったが、鹿島川流域の河床高は下がったと考えました。この河床高の違いは2つの流域が接する場所では侵蝕力の違いになりますから、河川争奪が生じたと考えました。
この考えに、次に示すような脆弱性が含まれていることに気がつきました。
3 河川争奪仮説に関する脆弱性
2014.06.06記事「印旛沼筋河川争奪成因モデルに関する思考実験」および2014.06.07記事「Illustratorを使った思考実験(追試)」で示したように、この仮説では、河川争奪後に激しい地殻変動があったのですが、その地殻変動の影響を除去してもともとの地形を復元すると、河川争奪発生を合理的に説明できることを示しています。
しかし、河川争奪の主因として、古平戸川の利根川出口の地殻変動(隆起)を挙げています。
これは今から考えると、筋が悪い考えだと思います。
地殻変動の一部を河川争奪の主因と考え、地殻変動の大部分を河川争奪後の現象と考えています。自分勝手な論理になってしまっています。
地殻変動が河川争奪の前後にどのように生じたのか、私に情報はないのですが、特段の情報(証拠)が無いならば、地殻変動の影響は仮説において単純に関与させるべきであると考えます。
地殻変動について、ある時は河川争奪の主因として扱い、ある時は河川争奪後の影響として扱うことが、この仮説の脆弱性となっていると思います。
河川争奪の主因は地殻変動以外の別に求め、地殻変動は思考実験で示したように河川争奪後の地形変化要因として扱いたいと思います。
仮説をそのように説明できれば、きれいな仮説になると思います。
仮説から、地殻変動を根拠なく都合よく利用するという脆弱性を除去したいと思います。
つづく
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