シリーズ 花見川地峡成立の自然史 -仮説的検討-
第3部 印旛沼筋河川争奪に遡る その16
1 印旛沼角崎付近における下総下位面形成時期(その末期が河川争奪時期)と地殻変動との時間的関係
印旛沼が大曲となっている角崎付近の下総下位面(A面、B面)の分布と地殻変動パターンとの関係を3D図で示すと、次のようになります。
印旛沼が大曲となっている角崎付近の下総下位面(A面、B面)と地殻変動パターンとの関係
下総下位面分布(下総下位面時代の鹿島川河床)は地殻変動の影響を受けていないことは明らかです。しかし、現在の印旛沼河床は地殻変動の影響を受けて大曲しています。
この事実から、鹿島川の流路は地史的にみて次のように変化したと考えることができます。
地史的にみた鹿島川流路の変化
この事実から、下総下位面(A面、B面)形成後つまり印旛沼筋河川争奪後に地殻変動が生じ、それにより鹿島川(印旛沼)の形状が大曲に変化していったことが判ります。
2 古平戸川付近における下総下位面形成時期(その末期が河川争奪時期)と地殻変動との時間的関係
次の図は、このブログで検討した変動地形パターンの把握結果です。
変動地形パターンの把握結果
この図のAのパターン(活撓曲関連地形)はBのパターン(活向斜(柏-佐倉)関連地形によって「切られて」います。
つまり、AパターンよりBパターンのほうが時間的に後である(新しい)ことを示しています。
1の検討で、Aパターンの地殻変動は下総下位面形成時期(その末期が河川争奪時期)の後であることが判明しています。
従って、Bパターンの地殻変動も下総下位面形成時期(その末期が河川争奪時期)の後であることが判明しました。
3 結論 印旛沼筋河川争奪後に顕著な地殻変動が生じた
1と2の検討から、結論として印旛沼筋河川争奪後、つまり下総下位面が全部形成された後に現在顕著な地形を残した地殻変動があったということが判りました。
顕著な地形パターンを現在に残す地殻変動が河川争奪を生起したのではなく、下総下位面の主要面(A面)が形成され、その末期頃に河川争奪があり下総下位面(B面)が形成され、その後に顕著な地殻変動があったという地史順番が判りました。
判ったという意味は、自分の思考において合理的作業仮説を得ることが出来たということですが、画期的だと思います。
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