花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討>3.4.31 玄蕃所遺跡発掘調査報告書を閲覧するまでの顛末
玄蕃所という地名は古代に官施設(玄蕃寮の施設)があったことを暗示していますから、その場所の遺跡の発掘調査報告書は是非とも目を通しておきたくなります。
貴重な情報があるかもしれないと期待が膨らみます。
ただ、一筋縄でこの遺跡の発掘調査報告書を閲覧することが出来なかったので、あえて、ここにそれを閲覧するまでの顛末をメモしておきます。
1 ふさの国文化財ナビゲーションの記述情報
WEBサイト「ふさの国文化財ナビゲーション」(千葉県)で玄蕃所遺跡を検索すると次のような記述情報を得ることができます。
玄蕃所遺跡の記述情報
(ちなみに名称の読みが「ゲンバンショ」となっていますが、正確には「ゲンバショ」だと思います。)
文献として「抄H6、文247」が掲載されています。
残念ですが、このWEBサイト内ではこの文献名称を確かめることができません。
この文献名を確かめるために次の大判印刷図書が置いてある遠方の図書館に出向き、閲覧しました。
2 「千葉県埋蔵文化財分布地図(3)」の閲覧
「千葉県埋蔵文化財分布地図(3)-千葉市・市原市・長生地区(改訂版)-」(平成11年3月、千葉県教育委員会)で「抄H6、文247」を調べました。
「千葉県埋蔵文化財分布地図(3)-千葉市・市原市・長生地区(改訂版)-」(平成11年3月、千葉県教育委員会)の表紙
次の文献名称を特定できることができました。
抄H6…「埋蔵文化財(市内遺跡)報告書 平成6年度」
文247…「千葉市西唐沢遺跡 かずさアカデミアパーク代替用地埋蔵文化財調査報告書」
3 図書館での文献閲覧
早速それらの図書を置いてある別の図書館に出かけ、調べてみました。
「埋蔵文化財(市内遺跡)報告書 平成6年度」に玄蕃所遺跡の記述はありませんでした。前後の年次の同名報告書を見ましたが、このシリーズ報告書には記述がありません。
「千葉市西唐沢遺跡 かずさアカデミアパーク代替用地埋蔵文化財調査報告書」は玄蕃所遺跡と全く無関係の報告書です。
情報を全く得ることができませんでした。
ここまでの出来事は2013年8月のことです。
この時は別の興味が勝っていたので、玄蕃所遺跡報告書探しはこれであきらめました。
4 「千葉県埋蔵文化財分布地図(3)」の再度閲覧
最近になり、玄蕃所遺跡報告書を何としてでも閲覧したくなりました。関係機関に問い合わせることも考えましたが、ひょっとしたら玄蕃所遺跡報告書が文献リストのどこかに出ている可能性があることに気がつきました。
再度「千葉県埋蔵文化財分布地図(3)」を閲覧してみました。
(「千葉県埋蔵文化財分布地図(3)-千葉市・市原市・長生地区(改訂版)-」(平成11年3月、千葉県教育委員会)は図書館で館外帯出禁止となっています。しかし、日曜日の営業終了間際から火曜日の営業始業時までなら館外帯出できるという一般には広報されていない制度を利用して自宅に持ち帰り、自宅で必要な部分をスキャンしました。ですから、今では自分のパソコンでいつでも閲覧できます。)
関係すると思われる次の文献名称を探すことがでてきました。
「東京大学構内調査研究年報1」(東京大学埋蔵文化財調査室、平成8)
5 探した文献の図書館蔵書検索
「東京大学構内調査研究年報1」がどの図書館にあるか千葉県立図書館のWEBサイトにある千葉県内図書館横断検索を使って調べました。
この横断検索は県内図書館だけでなく、国会図書館や大学・類縁機関、国立情報学研究所などの図書・資料も横断的に検索できて、とても便利です。
しかし、うんともすんとも文献がヒットしません。
あきらめかけたのですがなにかの拍子に、この文献名称が間違っていることがわかりました。
正しい文献名称は「東京大学構内遺跡調査研究年報1」でした。「遺跡」が「千葉県埋蔵文化財分布地図(3)」のリストで抜けていたのです。
この文献は千葉県内図書館にはなく、国会図書館に蔵書されています。
早速、年末のあわただしい中で、国会図書館に出かける予定を考えはじめました。
生活時間上厳しい状況になります。あるいは当座文献閲覧をあきらめることも視野に浮かびます。
6 文献のpdf入手
最後に何気なく、WEB検索にこの文献名をいれて検索してみました。
そうしたところ、な・な…なんと、この文献がPDFで入手できたのです!
東京大学埋蔵文化財調査室というWEBサイトがあり、東京大学敷地内の埋蔵文化財調査報告書を紹介しているサイトで、この報告書全文がpdfで紹介されているのです。
「さすが東大」と思わず声が出てしまいました。
時間を大幅に節約することができました。
7 文献の閲覧
文献の内容そのものは期待していたようなことはありませんでした。
しかし、この文献を見たか、見てないかで自分の思考の自信の程度が大きく変わってきます。
1年半がかりで、いろいろなハードルを乗り越えて、やっとこの文献を見ることができてよかったと思います。
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