2020年4月27日月曜日

八ヶ岳で出土した加曽利EⅡ式土器似土器

縄文土器学習 403

長野県茅野市の尖石縄文考古館で観覧した「周辺地域から運ばれてきた土器」について3Dモデルを作成しました。

1 加曽利EⅡ式土器似土器

縄文中期「関東地方の土器の特徴を示す土器」 観察記録3Dモデル
約5000~4500年前
撮影場所:尖石縄文考古館
撮影月日:2020.03.13
ガラス越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 72 images

展示の状況

3Dモデル作成舞台裏を含めた加曽利EⅡ式土器似土器の動画
加曽利EⅡ式土器似土器をターゲットに撮影した画像から作った3Dモデルと、そこから不用な部分をカットして作成した加曽利EⅡ式土器似土器3Dモデルの動画です。

2 1以外の土器

縄文中期阿玉台式土器(茅野市長峰遺跡(須栗平~芹が沢)) 観察記録3Dモデル

縄文中期「伊那谷から運び込まれた土器」 観察記録3Dモデル

縄文中期「各地から運び込まれた土器」(茅野市各遺跡) 観察記録3Dモデル

3 感想
加曽利EⅡ式土器似土器は加曽利貝塚博物館などで見慣れている房総の加曽利EⅡ式土器と比べると何か次のような違和感を覚えます。

1 全体のフォルムが「ダサい」
口縁部と胴部の連続性がなく、また胴部曲線が「この曲線が美しい」になっていません。ふくらみが下に移動していて垂れ下がった尻のようです。
2 キャリパー形といは言い難い
キャリパー形というよりもラッパ形です。
3 口唇部が内面に凸になっている
口唇部が内面に凸になっています。おそらくキャリパー形の意義が判らないために、無理してキャリパー形に近づけようとしたのだと推察します。
4 基本波状は4単位ですが、子細に観察すると8単位であると見立てることができます。このような角ばった口縁部鉛直投影面は房総では私は見ていません。

同時に垂下する磨消文、垂下する波状沈線、口縁部の渦巻文・区画文、口縁部と胴部の縄文方向の差異などはこの土器が加曽利EⅡ式土器であることを物語っています。
この土器が東京など西関東で作られた土器であるのか、山梨で作られた土器であるのか、それとも八ヶ岳で「真似て」つくられた土器であるのか、専門家にいつか質問してみたいと思います。

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