2020年4月25日土曜日

縄文草創期の捉え方

縄文社会消長分析学習 10

4月は後期旧石器時代~縄文草創期を集中的に学習していますが、後期旧石器時代と縄文草創期の自分なりの時代イメージがだんだん明瞭になってきましたのでメモします。
考古歴史学習を進める上で時代イメージ(仮説的大局観)を自分なりに持つことは、学習意欲を駆りたて、学習の継続・加速上必須です。

1 後期旧石器時代後半のイメージ(仮説的大局観)
最終氷期クライマックス期となり寒冷化が強まり継続した
→寒冷化による生活困難が人社会で地球規模で進行した
→集団間の相互扶助の必要性が高まり、相互扶助が行われた
→集団間の交流が促進された
→集団間交流促進により人の言語能力が発達向上した
→言語能力発達により計画的思考能力が発達した
→計画的思考能力は発明的思考能力を向上させた
→発明的思考能力向上により各種発明が多発した(例 細石刃・弓・犬・竪穴住居…)
→集団間交流により発明共有・発明改良が広域現象となった
→集団間交流により発明が次の発明を触発する好循環が人社会に生まれた

後期旧石器時代後半の寒冷と激しい気候変動が人集団の交流を促し、言語を発達させ、それに伴い発明が多発して共有され、さらに発明が次の発明を呼ぶという好循環が発生したという人類進化的状況をイメージ(仮説)しました。
土器もこのような人類進化的状況のなかで東アジアの各所で同時的に発生したと考えます。

2 縄文草創期のイメージ(仮説的大局観)
温暖期と寒冷期が入れ替わるかつてない激しい気候変動に直面した
→前代までに手にすることができた発明資産(例 細石刃・弓・犬・竪穴住居…)を遠方の集団にまで普及させた
→普及した発明資産を地域の実情に合わせて改良をすすめ、生活困難克服に資した
→土器の普及が新たな食糧資源開発に結び付いた。(堅果類のアク抜き)
→集団間交流ネットワーク、交易ネットワークを一段と濃密に構築し、激しい気候変動に対応した
→呪文・神話などの言語が発達し、対応する「第二の道具」土偶が発明された


後期旧石器時代後半の東アジア人類社会進化の賜物を、縄文草創期列島人が地域の実情に合わせて発展させ、その道具やネットワークを使って激しい気候変動を乗り切ったという見立てです。

3 感想
1、2のように考えると、後期旧石器時代と縄文草創期は人類進化における一連で継続する歴史です。
縄文早期には温暖化がすすみ、海面も100m以上上昇して地形も大幅にかわり(海で列島が切り離され)、住みやすい環境が生まれることを考えると、後期旧石器時代と縄文草創期が一つの観察・思考単位であり、縄文早期~晩期が一つの観察・思考単位であると感じます。

参考 更新世/完新世の酸素同位体比変動(気温変動)と日本・ヨーロッパの遺跡の年代およびユーラシア大陸の考古学的区分
国立歴史民俗博物館研究報告第154集(2009)から引用

参考 ヨーロッパ・西アジアとの対比互換案
国立歴史民俗博物館研究報告第154集(2009)から引用

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