縄文土器学習 535
有吉北貝塚出土加曽利EⅠ式土器の学習を始めました。土器学習の効率化を図るため観察学習用縄文土器カードを作成しましたのでメモします。
1 観察学習用縄文土器カードの作成
発掘調査報告書掲載土器実測図及び写真を詳しく観察するために、実測図及び写真をパソコン画面に大写しにすることにしました。またその特徴や考察事項、疑問等をその場でメモできるようにする必要があります。そのような学習ニーズを満たすためにFileMakerをつかって次のような縄文土器カードを作成しました。
土器カード画面 例1 (FileMaker画面)
中峠式と加曽利EⅠ式の間?
土器カード画面 例2 (FileMaker画面)
加曽利EⅠ式土器
土器カード画面 例3 (FileMaker画面)
加曽利EⅠ式土器
カード項目は現在は番号(竪穴住居番号-土器番号)、分類(土器群分類)、メモ、実測図、写真です。今後必要に応じて項目を追加することにします。
現在は竪穴住居から出土した第6群~第8群の土器のうち、器形や文様がよくわかるものだけを抽出して50例ほどをカード化しました。今後土坑や斜面貝層出土土器及び第9群~第12群のデータを追加することにします。
土器カード一覧表 (FileMaker画面)
2 縄文土器カードを使った感想
発掘調査報告書(紙版)を見ている時とパソコン画面に拡大した実測図・写真を見る時では、土器観察の詳しさが全く違うことを実感しました。図と写真は全く同じですが、小さいものとして見るのと、拡大してみるのでは、脳内に発生する気づき・感想・疑問の量と質が全く違います。拡大図・写真をみると、そもそも、より詳しく観察したくなる欲望が発生します。「(情報を)見つけてやろう」という能動性が生まれます。
発掘調査報告書をスキャンして画像を切り出す手間はかかりますが、その手間以上に発生する知的効果が、今の自分には、大きいことが判りました。
3 予察的感想
50事例のカードを何回も見て次のような予察的感想が生まれましたのでメモします。
・加曽利EⅠ式土器特徴が意外と捉え難い
これまで阿玉台式土器、中峠式土器の学習を進めてきていて、その標準的器形や文様等と出土土器片の対応がなんとなく判っていたように感じていました。その続きで加曽利EⅠ式土器の特徴を把握しようとするのですが、胴部沈線垂下のない土器があり、自分の予想以上にEⅠ式特徴が捉え難く感じます。文様等が多様で変異の幅が広いような印象を受けます。
より多数の第6群(中峠式)~第7群・8群(加曽利EⅠ式)データを観察して、自分なりの加曽利EⅠ式イメージを獲得できるようにしたいと思います。
・大木8式の影響がかなりみられる
大木8a式の優品搬入品があったり、文様で影響を受けたものがあり社会が北方から濃厚な影響を受けている印象を受けます。西方からの影響(中峠式)の後、北方からの影響(大木8a式)が加曽利EⅠ式期に重なったのかもしれません。
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