2021年2月21日日曜日

加曽利EⅠ式深鉢とその器形模造品 3Dモデル

 縄文土器学習 549

加曽利EⅠ式土器の器形模造品3Dモデルを作って見ました。観察記録3Dモデルの「補修」ツールとして使えるかもしれないなどの期待感に基づいています。

1 加曽利EⅠ式深鉢とその器形模造品 3Dモデル

加曽利EⅠ式深鉢とその器形模造品 3Dモデル

加曽利EⅠ式深鉢:加曽利EⅠ式深鉢(No.37)(野田市東亀山遺跡) 観察記録3Dモデル

加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」展示

https://skfb.ly/6YZMI

器形模造品:加曽利EⅠ式土器断面の回転体(72ステップ)(Blenderスピン機能で作成)


動画作成用に3DF Zephyr Liteにセットした様子


3Dモデルの動画

2 器形模造品の作り方概要

ア 土器断面図作成

illustratorに加曽利EⅠ式深鉢観察記録3Dモデルのオルソ投影(正面から)図像を取り込み、トレースして土器断面図を作成し透明pngファイルに書き出します。

イ 土器断面図のWabefront(.obj)ファイル作成

Photoshopに透明pngファイルを投入し、3D機能で新規3Dオブジェクト作成→深度マップからのメッシュ→平面→作成で3Dモデルを作成する。次に3DモデルをWabefront(.obj)で書き出します。

ウ 回転体作成

Blenderに土器断面図のWabefront(.obj)ファイルを投入し、スピン機能で回転体を作成します。今回は72ステップで作成しました。(土器断面図の頂点数をデシメートモディファイアーで削減してから回転体を作成すると3Dモデルが軽くなります。)

エ 回転体の色塗り

回転体にテクスチャ(今回は単色)を貼り付けて回転体を完成させます。

3 器形模造品の使い方

ア 観察記録3Dモデルの補修ツール

展示土器観察記録3Dモデルは前面のみの3Dモデルで後面は画像が欠如し、見苦しい状況です。この見苦しい状況を器形模造品でカバーすることが可能であると考えています。


器形模造品を補修ツールとして使った例(イメージ)3Dモデルの動画

この例はやっつけ仕事で作ったもので、時間をかければ効果的な補修が出来る可能性を確認したものです。補修部分を半透明にするなどの工夫もこれから楽しむことにします。

イ 器形の数量的分析材料

実際土器の回転体模造品を作ることにより、テクスチャ(文様)が捨象され、純粋で単純な器形・大きさになるため、器形比較を「キャリパー形」などの感覚的な分類から数量分析する道が開けるかもしれないと夢想します。

また、回転体と実際の土器形状との差異(円に対するゆがみ)を求めれば、一つの指標になり、土器群とか、地域差とかの比較に使えるかもしれません。

ウ 土器断片資料の位置推定・表示ツール

土器断片資料の曲率等から仮想回転体の中に土器断片資料を埋め込む作業を行うことにより、その土器断片の土器における位置を推定する作業が効率化します。また、回転体に埋め込んだ土器断片は展示などの表現技術として使えると考えます。土器断片資料に新しい価値をもたらすかもしれません。

4 感想

今回は実際の土器断面を使った回転体をつくりました。しかし、実際の土器断面は隆帯や沈線での微細な凸凹が生まれます。その凸凹で回転体をつくると違和感のある回転体になってしまいます。隆帯や沈線の凸凹を平均化したような仮想断面(平均断面)を作って、それで回転体をつくる必要があるかもしれません。

回転体を半透明にしたり、質感や色を工夫したいと思います

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