2021年11月20日土曜日

2021年度山梨県考古学協会研究集会「曽利式土器とその周辺」1日目にzoomで参加

Participated in the 2021 Yamanashi Prefectural Archaeological Association Research Meeting on the first day at zoom

I don't know about myself, but I participated in the 2021 Yamanashi Prefectural Archaeological Association Research Meeting "Sori-style pottery and its surroundings" on the first day (2021.11.20) at zoom.

Lecturers are Ryuzaburo Takahashi, Yasuhiro Taniguchi, and Tetsuya Toda.

I was deeply interested in the story of Ryuzaburo Takahashi's circular village and totemism, and was drawn into it. At the same time, I was skeptical about the deer bone waist decoration bird expression theory.

身の程知らずですが、2021年度山梨県考古学協会研究集会「曽利式土器とその周辺」1日目(2021.11.20)にzoomで参加しました。

演目は次のとおりです。

開会挨拶(山梨県考古学協会会長 末木 健)・趣旨説明(櫛原功一)

基調講演1 「土器装飾からどのようなストーリーを描くか-社会史復元に向けての試み-」(山梨県立考古博物館、早稲田大学 高橋龍三郎)

基調講演2 「縄文土器型式の概念と実体-曽利式土器の多型と変異-」(国学院大学 谷口康浩)

基調講演3 「曽利式土器の伝播に見る土器型式の諸問題」(玉川文化財研究所 戸田哲也)


事前に郵送されてきた研究集会資料

それぞれの演目ともにとても興味深いものですが、自分の興味の深さの程度に基づいた順番で感想をメモします。

1 高橋龍三郎先生講演

・次の項目のお話がありました。

「中期環状集落の構造の説明、環状集落の解体の理由説明、後期分散型集落への移行、後期集落の特性としての氏族制とトーテミズム、(ふりかえって)中期動物形象とプロト・トーテミズムの説明」

・現在自分が実施している有吉北貝塚学習とか、興味を持っているトリの意義とか、半獣半人の事例などについて「それが知りたかったのです」と口に出したくなるような興味深い話を聞き、情報を得ることができました。有吉北貝塚学習については、今回の話で自分にとっての学習意義が一挙に深まり、学習を深めるきっかけになりそうです。

・土製品や土器貼付の動物造形が氏族制やトーテミズムという観点で観察すべきことがわかりました。これまで観察してきた遺物や今後観察する遺物から得られる情報・思考が豊かになりますから、ワクワクします。

・草刈遺跡出土の鹿骨製腰飾についてそれがトリ表徴であるとして半族の話が進んでいました。草刈遺跡環状集落を考える上でそれがトリ表徴であるということは重要なポイントとなっています。トリ表徴である根拠は、東北の〇〇先生(聞き取れず)とか春成先生もこれをトリ表徴であるとしているからだとのお話でした。出っ張っている部分がクチバシで、丸い穴が目であるという説明です。


草刈集落の半族のレガリア

研究集会資料集から引用

しかし、この鹿骨製腰飾りは西野雅人(2012)「縄文中期腰飾出現の背景」(千葉県縄文研第49回例会資料)では勝坂式土器の蛇体文との比較でヘビ表徴として考えられています。


勝坂式土器の蛇体文との比較

西野雅人(2012)「縄文中期腰飾出現の背景」(千葉県縄文研第49回例会資料)から引用

西野雅人先生鹿骨製腰飾りヘビ表徴説は資料を読むとその根拠が強いように感じます。一方高橋龍三郎先生トリ表徴説は「〇〇先生や春成先生の言説」を根拠としているという点で虚弱であるように感じました。縄文時代とトリの関係に興味をもっているので、特に気になりました。

・高橋龍三郎先生の研究にとても強い興味を持ち、また素人ながら共鳴・共感するところが多いので、先生の著作をよく読み、機会をみつけてお話を聞き、学習を深めたと思います。

2 谷口康浩先生講演

今年の3月に「土器から探る縄文社会-2002年度研究集会資料集」(2002、山梨県考古学協会)を入手し、「谷口康浩(2002):縄文土器型式情報の伝達と変形-関東地方に分布する曽利式土器を例に-」を学習したので谷口康浩先生講演はとても興味がありました。

2021.03.31記事「曽利式土器情報伝達と変形の学習

先生のお話もよく理解できました。2002年論文とくらべて先生の思考がバージョンアップしている様子が素人ながら感じることができました。

お話の最後で「展望 縄文土器型式研究のこれから」と題して「土器の多型・変異に潜在する情報」として次の4点をあげられ、そうした分野での研究が進むとのべられました。

・土器製作者に関する情報(性別・世代・分業・熟練度など)

・技術の社会化に関する情報(技術の共有・教育・伝承など)

・コミュニケーションシステムに関する情報(情報交換・集団関係など)

・物質文化と社会に関する情報(流行・集団表象・文化伝統など)

これらのテーマは興味深いものばかりであり、無味乾燥なイメージ感のある土器研究がより豊かなものに変身していく可能性を感じました。それにより自分の縄文土器学習モチベーションが高まるような気持ちになりました。

3 戸田哲也先生講演

・曽利式土器区分、加曽利E式土器区分、大木式土器区分の対比を地域別に行い、各地域でどのような問題があるのか現場から検討し、話題提供するという趣旨の講演でした。

・長野県棚畑遺跡では加曽利E3式土器が多出し、それは荒川源流部などを通じて埼玉・群馬方面からもたらされたというお話は印象に残りました。

・自分には加曽利E式土器区分は別にして、曽利式土器区分、大木式土器区分などの詳細をイメージできる知識がありません。したがってお話のほとんどが実感を持って理解することができませんでした。資料も土器実測図版だけでした。多少なりともメモがあれば良かったと思います。




 

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