2024年8月30日金曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 骨分布とイノシシ顎骨分布

 Bone distribution and wild boar jawbone distribution at the northern slope shell layer of the Ariyoshi Kita shell mound


A distribution map of bones excavated from the northern slope shell layer of the Ariyoshi Kita shell mound was created. The data was compiled from the artifact register. There are three peaks of bones, two of which correspond to the peaks of wild boar jawbone distribution and seem to indicate the location of ritual activities. The remaining one does not correspond to the distribution of wild boar jawbone, so it seems to be a disposal site unrelated to ritual activities.


有吉北貝塚北斜面貝層から出土した骨分布図を作成しました。データは遺物台帳を集計したものです。骨のピークは3箇所あり、2箇所はイノシシ顎骨分布ピークと対応し、儀礼活動の場を示しているようです。残る1箇所はイノシシ顎骨分布と対応しないことから、儀礼活動と無関係の廃棄場所のようです。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 骨分布

有吉北貝塚北斜面貝層 骨分布

データ:遺物台帳集計によるグリッド別骨出土件数(総計37089件)

3DF Zephyr v7.531でアップロード


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2 有吉北貝塚北斜面貝層の骨の動物別内訳


有吉北貝塚北斜面貝層 同定資料数と最小個体数


同定資料数100以上

遺物台帳集計による骨出土件数の動物別内訳イメージは種別同定資料数で把握することができると考えます。

なお、この表でイヌは埋葬されたものと考えられます。埋葬遺構として発掘したものも含まれます。

ネズミ類とモグラ類は貝層に生息していた自然生のものがメインであると考えられます。

イヌ、ネズミ類、モグラ類以外の種は食料をメインとする用途で集落に搬入され、最終的に北斜面貝層に投棄されたものと考えます。

3 骨分布とイノシシ顎骨分布の比較

イノシシ顎骨分布はイノシシ頭部を祭壇に飾るなどの活動を含む儀礼の場、イノシシ肉を含む御馳走を食べた場所の指標になるのではないかと作業仮説しています。死者をあの世に送る儀礼活動とイノシシ顎骨分布は関連していると作業仮説しています。この作業仮説による興味に基づいて、イノシシ顎骨分布と骨分布(全ての骨分布=動物を食べた残滓(骨)の全分布)との関連を見てみました。


骨分布とイノシシ顎骨分布


骨分布ピークとイノシシ顎骨分布ピークの関連図

骨が多数出土するピークは3箇所あります。このうち2箇所はイノシシ顎骨分布ピークとほぼ対応しています。ピークの位置が近似しています。この2箇所は儀礼活動の場を示していると仮説します。残る1箇所はイノシシ顎骨分布と全く対応していません。この場所は台地集落からみて、ガリー谷に突き出した半島状地形の影にあたる場所であることから、儀礼活動とは無関係であり、台地集落で生まれた食料残滓を投棄して廃棄した場所と考えることができそうです。


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