2025年7月31日木曜日

土坑3Dモデリングを楽しむ 2/3

 Enjoying 3D Pit Modeling, Part 2/3


I'm enjoying the 3D modeling of the Ariyoshikita Shell Mound pit. This time, I finished gluing the bottom surface. All that's left is to create the 10 holes.


有吉北貝塚の土坑3Dモデリング作業を楽しんでいます。今回は底面の面貼りをしました。残りは10箇所の穴表現です。

1 有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの斜面部分+底面部分の3Dモデリング

有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの斜面部分+底面部分の3Dモデリング


有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの斜面部分+底面部分の3Dモデリング


有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの検討図

2 作業メモ

斜面部分と底面部分ができましたので、残りは10箇所ある穴の表現です。穴はブーリアン合成で付加する予定です。

底面の面貼りは楽勝作業と思いきや、意外と苦労しました。

Blenderでの面貼り作業は、予期していたように確かに楽勝でした。

私はその結果を3DF Zephyr Liteにインポートして色塗りしたり、動画撮影(今回はまだしていない)したりしています。

Blender作業結果をいつものように3DF Zephyr Liteにインポートすると、今回はなぜか、三角化した面のどこかの部分が欠落してしまいます。Blender成果を3DF Zephyr Liteにインポートするというソフトの使い方は世の中でほとんどないので、参考になる情報がありません。試行錯誤の末、次のようなことが判りました。

Blenderでべジェ曲線からメッシュオブジェクトをつくり、面貼りする時、新たな辺を加えると、そのオブジェクトを3DF Zephyr Liteにインポートすると、必ず障害(面の欠落)が生じる。

Blenderでべジェ曲線からメッシュオブジェクトをつくり、面貼りする時、そのまま面を貼ると、障害は生じない。

3DF Zephyr Liteは色塗りと動画撮影に欠かせないツールなので、このツールが今後も使えることが判ったのでホッとしました。

2025年7月30日水曜日

歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」観覧

 Visiting the Historical Special Exhibition "Shining! Kashiwa's Jomon All-Stars"


I visited the historical special exhibition "Shining! Kashiwa's Jomon All-Stars," which opened at the Kashiwa City Local History Exhibition Room. The spacious venue displayed a comprehensive and systematic display of Jomon artifacts excavated in Kashiwa. The venue had a spectacular atmosphere, and I was deeply moved for the first time in a long time.


柏市郷土資料展示室ではじまった歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」を観覧しました。広い会場に柏市出土縄文遺物が総覧的でかつ体系的に展示されています。会場は壮観な雰囲気で、自分は久しぶりに感動をおぼえました。

1 歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」


企画展チラシ


会場の様子

遺物は展示室外周のショーケースに時代順に展示、説明されていて、とても判りやすい展示になっています。

多数の大形土器が会場中央に遮るものなく展示されていて、圧倒されます。

2 展示物観覧

今回訪問の主目的は、気になる遺物を見つけ、久しぶりに、カメラ撮影によりフォトグラメトリで3Dモデルを作成することでした。しかし、期待していたより実際の展示がはるかに充実しているので、じっくり展示物観覧を楽しみました。展示物を見ながら、頭に去来する縄文社会に関する感想・想像・妄想を楽しみました。

展示物観覧のなかで、多数の縄文土器や土偶等を見ながら、縄文人社会の生産力や技術力や社会複雑性のレベルをもう一度自分で学習して、社会の様子を覗き込むように知りたいという欲が強まりました。遺物そのものの情報、展示説明情報、刊行されている考古学図書などを、これまでの自分は充分に咀嚼していないことに気が付きました。このようないつもと違う感情が生まれたことは自分にとって特筆すべきことです。

なお、展示分量が多すぎて時間配分できないことに気が付き、再訪・再々訪することにし、最後にフォトグラメトリ用撮影を7遺物について行いました。

3 フォトグラメトリ用の撮影をした遺物


加曽利EⅡ式土器(柏市出山遺跡)

巨大な土器です。遮るものがない展示であり、質の高い3Dモデルができるかどうか、フォトグラメトリ作業が楽しみです。


焼町式土器(柏市大松遺跡)

ショーケースに入っていますが、全周できるので、質の高いフォトグラメトリがうまくできるか、楽しみです。

説明では「他地域の土器のことをよく知る人が、柏でこの土器をつくったのかもしれません。」と説明されています。


勝坂式土器(柏市大松遺跡)

ショーケースに入っていますが、全周できるので、質の高いフォトグラメトリがうまくできるか、楽しみです。

説明では「他地域の土器のことをよく知る人が、柏でこの土器をつくったのかもしれません。」と説明されています。


3系統キメラ土器(柏市小山台遺跡)

展示説明はありませんが、2021年開催「らくがく縄文館」(於:八千代市郷土博物館)で阿玉台式・勝坂式・七郎内Ⅱ群の3系統キメラ土器として説明されました。

この土器は過去に1回3Dモデルを作成しています。

https://skfb.ly/owLPG


土偶(柏市大室小山台遺跡)

この土偶は過去に1回3Dモデルを作成しています。

https://skfb.ly/pzECF


土偶(柏市石揚遺跡)

縄文時代早期から前期前半につくられた初期の土偶として特に珍しく希少なものとして説明されています。


鳥形把手(柏市寺下前遺跡)

説明はありませんが、鳥の顔が直接表現されていて興味が深まります。


2025年7月28日月曜日

土坑3Dモデリングを楽しむ 1/3

 Enjoying 3D modeling of a pit 1/3


I'm enjoying 3D modeling the pit at Ariyoshi Kita Shell Mound (a pit with four cuts in between). 3D modeling of the sloped part is finished. The arrangement of pits A, B, and C cannot be considered a coincidence.


有吉北貝塚の土坑(4つが切りあっている土坑)の3Dモデリング作業を楽しんでいます。斜面部分の3Dモデリングが終わりました。なお、A土坑、B土坑、C土坑の配置は偶然とは考えられません。

1 有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの斜面部分3Dモデリング


有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの斜面部分3Dモデリング


有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの斜面部分3Dモデリング


有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの斜面部分3Dモデリング


有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/Dの検討図

2 作業メモ

3Dモデリング作業は斜面部分→底面付加→穴付加(ブーリアン合成)という3段階作業で進めています。この記事では斜面部分だけの作業結果を示しています。

斜面部分は作業区域分割→分割部分毎に検討図から3D形状読み取り(イメージ)→3Dイメージのべジェ曲線に基づくモデリング(面貼り)というステップを踏んでいます。

平面図(検討図)で2本のべジェ曲線が完全に重なり、さらにその内の1本が立面図で見ると分岐する場合があります。あるいはべジェ曲線が垂直線になる場合があります。そうした状況を即座に理解できる能力が、慣れがないので、とても虚弱で手こずっています。

3 感想メモ


斜面部分3Dモデリング(上から、オルソ投影)


土坑の平面配置

現在は土坑を事例に、3Dモデリング習熟活動をしています。まだ、考古学的観点からの検討に入れる状況ではありません。しかし、否が応でも、考古学的観点からの問題意識が生まれてしまいます。

A土坑とB土坑は図面で判断すると、切りあっています。A土坑とB土坑は特別な関係があったに違いないと想像を刺激されます。姻戚関係があるような2家族の土坑でしょうか。A土坑とB土坑はつながっている大きな空間だったのでしょうか。

C土坑はA土坑とB土坑の交差部分を中心に、それぞれの土坑の面積を均等に使うように掘られています。とても偶然とは考えられません。A土坑とB土坑の背後に姻戚関係が感じられるように、C土坑とA・B土坑にも世代を経た血縁関係を感じてしまいます。A家族とB家族の双方に血縁のある後代のC家族がC土坑をわざと廃A・B土坑の土地につくったということでしょうか。



2025年7月27日日曜日

有吉北貝塚北斜面貝層の遺物分布図座標入力作業日誌(2025.07.27)

 Log of inputting coordinates for artifact distribution map of shell layer on north slope of Ariyoshi Kita Shell Mound (2025.07.27)


We are promoting the activity of acquiring 3D coordinates for all artifacts in the shell layer on the north slope of Ariyoshi Kita Shell Mound. So far, the 3D distribution of 21,760 artifacts has been clarified. Several disposal (burial) flow routes of artifacts have emerged. We look forward to the further information and analysis in the future.


有吉北貝塚北斜面貝層の全遺物3D座標取得活動を推進しています。これまでに21760遺物の3D分布が明らかとなりました。遺物の投棄(埋納)流動ルートが幾つか浮かび上がってきました。今後の情報充実とその分析が楽しみです。

1 有吉北貝塚北斜面貝層の遺物分布図データ(2025.07.27現在)

有吉北貝塚北斜面貝層の遺物分布図データ(2025.07.27現在)

21760遺物データ

3DF Zephyr v8.017でアップロード


3Dモデリングの動画


3Dモデリングの画像


3Dモデリングの画像

2 メモ

遺物分布図データをみると、遺物の投棄(埋納)流動ルートが幾つか浮かび上がってきました。今後の情報充実とその分析が楽しみです。

3 技術メモ

これまでに作業対象とした遺物は全部で25653遺物(全体の40%)で、そのうち3D座標が揃った遺物は21760遺物です。これまでのところでは、遺物の約85%について3D座標を取得できています。残りの15%遺物は、その多くが遺物台帳で「一括」として扱われ、高さ情報(Z座標)はありますが、平面座標(XY座標)はありません。

将来の検討課題として、「一括」扱い遺物の3D座標仮想付与があると考えています。発掘活動のなかで、ある一定活動(一区切りの活動)の結果得た後、その活動で生まれた「個別記録に値しない遺物群」を「一括」扱いで記録しています。従って「一括」扱いの遺物群はそれが記録される前の「一定活動」に対応しています。その「一定活動」は当該「一括」扱いの前の「一括」遺物群以降の活動であることが判ります。一方、遺物台帳から、「一括」に対応する「一定活動」の遺物範囲が判ります。従って、「一括」遺物のXY座標範囲をかなり絞り込むことができます。

「一括」遺物群のドンピシャの位置は判りませんが、ある程度の誤差を容認すれば、「一括」遺物のXY座標の仮想付与が可能であると考えます。分析内容によっては「一括」遺物の仮想3D座標を含んだデータを分析に使うことも有効であると考えます。


2025年7月24日木曜日

土坑部分の概略3Dモデリング

 Rough 3D modeling of the pit section


I did a rough 3D modeling of the small overhanging part of the Jomon pit where four pits cut each other. By doing the rough 3D modeling, I was able to correct my misunderstanding.


4つの土坑が切りあっている縄文土坑のオーバーハング小部分について、概略3Dモデリングをしました。概略3Dモデリングをすることにより、自分の勘違いを訂正できました。

1 有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/D部分の概略3Dモデリング


吉北貝塚土坑SK657A/B/C/D実測図の検討図をBlenderにプロットした画面


有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/D実測図の検討図をBlenderにプロットした画面(部分3Dモデリング結果表示)


3Dモデリングのために描画したべジェ曲線


作成した3Dモデル


作成した3Dモデル


作成した3Dモデル


作成した3Dモデル

2 メモ

当初作成した3Dモデルは間違っていました。


当初作成した間違った3Dモデルと訂正して3Dモデル

この土坑は当初土坑2つを新たな土坑が切っている部分にオーバーハング部分があるのですが、最初作成した3Dモデルは当初土坑裾線の定高性が保たれていませんでした。この初歩的なミス・勘違いは、自分は、3Dモデルを実際に作成してはじめて気が付くことができました。


2025年7月23日水曜日

縄文遺構の3Dモデリング基礎取組み日誌(2025.07.23)

 Basic Initiative Diary for 3D Modeling of Jomon Remains (2025.07.23)


I am working on mastering the basic techniques for 3D modeling of Jomon remains. I attempted to do a rough 3D modeling of a part of a case that was difficult for me.


縄文遺構の3Dモデリング基礎技術の習熟に取組んでいます。自分にとって難易度の高い事例の部分について概略3Dモデリングを試みました。

1 有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/D部分の概略3Dモデリング


有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/D実測図の検討図をBlenderにプロットした画面


有吉北貝塚土坑SK657A/B/C/D実測図の検討図をBlenderにプロットした画面(部分3Dモデリング結果表示)


3Dモデリングのために描画したべジェ曲線

Blenderで、3Dモデリングのために描画したべジェ曲線は全部で6本です。このべジェ曲線をコピー(Shift+D)して、高さを変化させるなどして使いまわして、3Dモデリングを作成しました。


作成した3Dモデル


作成した3Dモデル


作成した3Dモデル


作成した3Dモデル

2 感想

2-1 空間識の虚弱さは場数を踏むことで挽回するしかない

実測図から空間の状況を思い浮かべ、べジェ曲線をどのように描いたら、思い浮かべた3Dモデリングができるかという認識力を空間識と呼ぶことにします。その空間識が、自分はとても虚弱であることを思い知らされました。空間の様子を漠然と思い浮かべることはできます。しかし、それをべジェ曲線の3D配置で的確に表現できないのです。平面図(地図など)は得意だけれども、立面図は分析対象にしてこなかったことの跛行性を思い知らされます。嘆いていてもらちが空きませんから、3Dモデリングの場数を踏むことにします。縄文遺構には複雑なものがあるといっても形状そのものは「たかが知れている」ことは明白です。従って、3Dモデリングの場数を踏めば、なんとかなると楽観します。

2-2 3Dモデリングのステップ

実測図として表現された縄文遺構に複雑な3D形状がある場合、その部分だけ概略3Dモデリングして、3D形状の確認を行うことは、空間識が虚弱な自分の現状では、大切であると考えます。

概略3Dモデリング→本3Dモデリングとステップを踏み、空間識を高めることが大切であると考えます。

2-3 3Dモデリングのより高度な取組み展望

現在の自分の取組みは、発掘調査報告書実測図に表現された3D形状を、そのままいかに効率的に3Dモデリングするかということです。それは大切で基本的なことです。

しかし、縄文遺構の3D形状はそれぞれ縄文人が所定の機能を得るために造形したものです。従って3Dモデリングは、より本質的には、実測図そのものを表現するのではなく、縄文人が利用した機能を的確に表現する3Dモデル復元でなければなりません。つまり、遺構の利用・機能について深い知識が、3Dモデリング実務者に求められます。

また、実測図と発掘写真を照合すると、実測図を金科玉条のもとして扱うことは適切でない場合があることにも気が付きます。


2025年7月20日日曜日

ドイツ考古学切手 国家的考古学的出土品

 German Archaeological Stamps - National Archaeological Finds


I enjoyed obtaining the archaeological stamps issued in Germany as part of the Europe 2025-Archeological Discoveries series. They feature designs of Paleolithic finds from 40,000 years ago, such as Venus statues, lion man, and bird-bone flutes, and are endlessly fascinating.


ヨーロッパ2025-考古学的発見シリーズとしてドイツで発行された考古学切手を入手して楽しみました。ヴィーナス像、ライオンマン、鳥骨製笛など4万年前旧石器時代出土品がデザインされていて、興味が尽きません。

1 ドイツの考古学切手 国家的考古学的出土品


ドイツの考古学切手 国家的考古学的出土品

ヨーロッパ2025-考古学的発見シリーズ

ユネスコ世界遺産「Höhlen und Eiszeitkunst der Schwäbischen Alb」(シュヴェービッシェ・アルプの洞窟と氷河期芸術)


ヴィーナス像(マンモス牙製)


ヴィーナス像写真(https://www.weltkultursprung.de/から引用)


ライオンマン(マンモス牙製)


ライオンマン写真(https://www.weltkultursprung.de/から引用)


鳥骨製笛(シロエリハゲワシ骨製)


鳥骨製笛写真(https://www.weltkultursprung.de/から引用)

2 感想

これが「考古学切手だ!」と声を出したくなるような切手です。デザインされた遺物はどれもこれも興味が尽きないものばかりです。

いずれも洞窟から出土した製品で、約3万5千年前から約4万年前の旧石器時代遺物です。

ヴィーナス像は乳房と陰部が強調され、頭部は極端な省略形です。

ライオンマンは、ライオンを祖先として崇めたトーテム信仰の具象形でしょうか。

鳥骨製笛は人類最古の楽器といわれています。



2025年7月19日土曜日

技術メモ べジェ曲線を使った単純モデリング

 Technical memo: Simple modeling using Bezier curves


I made a note of the steps to model simple shapes such as pits. Draw the border line with a Bezier curve, and reuse it to create individual unit terrain surfaces using the add-on Curves To Mesh function.


土坑等の単純形をモデリングする際の手順をメモしました。縁取線をべジェ曲線で描き、それを使いまわしながら、アドオンCurves To Mesh機能により単位地形面を個別に造形します。

1 単位地形面を2本のべジェ曲線で造形する

全ての単位地形面を2本のべジェ曲線の間を面張りすることによって表現することにします。面張りの実務はアドオンCurves To Meshにより行うものとします。

べジェ曲線の平面座標は資料平面図から、高さ座標は資料断面図から補間により獲得します。

2025.07.11記事「縄文遺構実測図の縁取線(地形変換線)の高度線形補間Blenderアドオン

2 縁取線をべジェ曲線で描く

全ての単位地形面の縁取線をべジェ曲線で描きます。


べジェ曲線による縁取線描画結果

作業の順番は、斜面造形を優先して行うことにします。斜面造形がしやすいようにべジェ曲線描画を工夫します。


べジェ曲線の描画単位

土坑を巡る斜面はべジェ曲線abに、段差斜面はべジェ曲線cdに対応します。

3 単位地形面の造形


造形結果


造形結果(単位地形面)

アドオンCurves To Meshにより、斜面1はべジェ曲線abから、斜面2はべジェ曲線cdから直接造形できます。

平坦面3はべジェ曲線bの一部とべジェ曲線cから造形します。

なお、べジェ曲線を使いまわす際、そのコピーはShift+Dで行います。(コピー元とコピー先にリンク関係が生じないようにするため。)

べジェ曲線の分離は編集モードで分離したい部分を指定してからPで行います。

平坦面4の造形はべジェ曲線d、bの一部(2箇所)、eを2本のべジェ曲線に整理してから、造形します。

ここではべジェ曲線bの一部(2箇所)とeを1本に統合しました。


造形結果

4 感想

斜面と平坦面という単位地形面毎に一つ一つ造形する手間をかけないと、結局望むレベルのモデリングができないことを認識しました。

なお、土坑の中の穴については、Blender合成により対応できます。

2025.07.15記事「土坑SK773A/B(千葉市有吉北貝塚)3Dモデル



2025年7月15日火曜日

土坑SK773A/B(千葉市有吉北貝塚)3Dモデル

 Pit SK773A/B (Ariyoshikita Shell Mound, Chiba City) 3D Model


I created a 3D model of two pits that are cut one after the other. As a beginner in Blender 3D modeling, this was a slightly more difficult task for me. When I observed the completed 3D model, I was reminded of the possibility of using A/B simultaneously, which was not possible from the planar and cross-sectional data.


切った切られたの関係にある2つの土坑の3Dモデルを作成しました。Blender3Dモデリング初心者の自分にとって少し難易度が上がった作業となりました。完成3Dモデルを観察すると、平面・断面資料からは生まれなかった、A/B同時利用の可能性を想起しました。

1 土坑SK773A/B(千葉市有吉北貝塚)3Dモデル

土坑SK773A/B(千葉市有吉北貝塚)3Dモデル


発掘調査報告書資料

3DF Zephyr v8.013でアップロード


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像

2 モデリング技術メモ

2-1 モデリングの順番

土坑周辺の地面(a)、切った土坑概形(b)、切られた土坑概形(c)、土坑に掘られた穴5箇所(d)のパーツに分け次の順序でモデリング作業を行いました。

b→c→bとcの統合→d(5つ)→bとcの統合モデルとdの合成(5回)→a→bcd合成モデルとaの統合

2-2 ブーリアン合成(ユニオン)

段階的に下に凸形状で構成される土坑、陥穴、竪穴住居、炉穴などの縄文遺構ではブーリアン合成(ユニオン)が有用性あるツールになります。


ブーリアン合成イメージ


参考 資料の分析

3 メモ

「土器1~3はAに、土器4~6はBに帰属する。土器は両土坑ともに磨消文成立前後の加曽利EⅡ式がまとまっている。両土坑とも9群~10群土器の範囲でとらえる。ただし、遺物の出土状況はAよりBの方が新しい様相を呈している。」(発掘調査報告書から引用)

「遺物の出土状況はA(切った土坑)よりB(切られた土坑)の方が新しい様相を呈している。」との記述が具体的に何を指しているのか、断面図を見ても判りません。もしかしたら、覆土層の中に上下関係が観察され、B覆土層がA覆土層の上に乗っているように観察されたのかもしれません。

発掘調査報告書のこの記述を信じると、自分が抱いていた次のイメージが崩れます。

●資料から自分が抱くイメージ。

・土坑Bが掘られ、使われ、廃用となり、覆土で覆われた。

・覆土で覆われた土坑Bの近くで土坑Aが掘られ、土坑Aが利用された。土坑Aの壁の一部は土坑Bの覆土層である。

・土坑Aが廃用となり、覆土で覆われた。

発掘調査報告書記述から、次のような状況も検討する必要があると考えます。

●土坑A/Bの利用イメージ例

・土坑Bが掘られ、使われた。

・ある時期に土坑Aが掘られ、空間的に土坑Bと連結して、土坑A・B空間が同時に使われた。

・土坑A/Bが廃用になり、深い土坑A部分が先に覆土で覆われ、その後、浅い土坑Bが覆土で覆われた。この様子が覆土層に表現され、発掘調査者は、A覆土層の上にB覆土層が乗っているように観察した。