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2026年9月14日月曜日

二枚貝殻偏位角分析のための予備活動

 Preliminary Work for Bivalve Shell Deviation Angle Analysis


I am currently analyzing the deviation angles (measured clockwise from the vertical-up position) of all bivalve shells found in the shell-layer profile section removed from the northern slope of the Ariyoshi-Kita Shell Midden. As a preliminary step, I examined the distribution patterns by categorizing the deviation angles into three groups: the 90°–110° range (where the highest frequency of occurrence is observed) and the ranges immediately preceding and following it. Observations suggest that these distribution patterns vary across the different stratigraphic units.


有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面の観察できる二枚貝殻全部の偏位角(鉛直上、時計回り)の分析に取組んでいます。予備活動として、偏位角を出現の多い90°~110°とその前後に3区分してその分布パターンを見ました。3区分分布パターンは分層単位毎に異なるように観察できます。

1 二枚貝殻偏位角の3区分


二枚貝殻偏位角の3区分

10°刻みでみると90°~110°の出現数が最も多く、全体の3割近くになります。偏位角90°~110°は貝殻が移動した斜面角度(概ね120°)に対応した最も一般的な偏位角であると想定します。この偏位角90°~110°とその前後で偏位角を便宜的に3区分して、その分布を見てみることにします。

2 二枚貝殻偏位角3区分の分布


0°~90°の分布


90°~110°の分布


110°~180°の分布


偏位角3区分の分布

ボロノイ多角形に次のように色塗り

0°~90°の分布…薄緑

90°~110°の分布…赤

110°~180°の分布…青

なんとなく偏位角分布の構造が浮かび上がってきましたので、次に分層(発掘時現場観察による貝層分層[セクション図])との関係を見てみました。

3 偏位角3区分と分層線のオーバーレイ図


分層線


偏位角3区分と分層線のオーバーレイ図

分層毎に偏位角3区分分布パターンが異なる様子が観察できます。例えば、A分層は斜面移動の様子が分布パターンに直接表れているように見えますが、B分層はそれとは異なるパターンです。これは分層毎に二枚貝殻移動の様子(挙動)が異なり、結果として異なる偏位角3区分分布パターンが表れている可能性があります。

また、画面の左では青が多く、右では薄緑が多い印象を受けます。これは斜面角度が左では急で、右では緩であることに関連しているのかもしれません。さらに画面下部は斜面との関係が少ないので、薄緑が多くなっています。

4 メモ

便宜的に偏位角を3区分してその分布パターンをみると、それが分層構造と関連している可能性が濃厚であるという直観(見立て)を得ることができました。


2026年9月6日日曜日

剥取断面における二枚貝殻偏位角の分析 その1

 Analysis of Bivalve Shell Deviation Angles in a Section Profile – Part 1


I have begun analyzing the deviation angles of bivalve shells (the angle at which the plane of the shell margin intersects the cross-section) within a shell-layer section profile from the northern slope of the Ariyoshi-Kita Shell Midden. A graph aggregating the data in 10-degree increments reveals that the 100–110° range is the most frequent, closely approximating the slope angle (angle of the stratigraphic layering) of approximately 120°.


有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面の二枚貝殻偏位角(二枚貝殻殻縁平面が断面と交差する角度)の分析に着手しました。10°刻み集計グラフを作ってみると、100~110°が最多となり斜面角度(分層線角度)の約120°に近似します。

1 二枚貝殻偏位角の10°刻み集計グラフ


二枚貝殻偏位角の10°刻み集計グラフ(2026.09.14訂正差し替え)


二枚貝殻偏位角の10°刻み集計グラフ(2026.09.14訂正差し替え)

10°刻み集計グラフを作ってみると、100~110°が最多となり斜面角度(分層線角度)の約120°に近似します

この偏位角集計グラフが剥取断面の二枚貝分布構造の一つの要約資料であると捉えます。斜面角度が変化すれば、このグラフも変化する関係にあると考えます。つまり、斜面移動結果の集約記録の一つがこのグラフであると考えます。

2 二枚貝殻偏位角の観察


二枚貝殻偏位角の分布(10°刻み色別総集)

10°刻み色別分布図を作成して眺めて、問題意識を醸成しました。


二枚貝殻偏位角(90°~120°)とボロノイ多角形との関係


二枚貝殻偏位角(90°~120°)とボロノイ多角形(面積階級区分別色塗り)との関係

出現の多い90°~120についてボロノイ多角形(密集性指標として用いる)との関係について眺めて、問題意識を醸成しました。

3 最初の分析予定項目

ボロノイ多角形面積階級区分(二枚貝殻密集性指標)を見ると、その構造が貝殻移動構造と強く関連していることが推察できます。

そこで、ボロノイ多角形面積階級区分と偏位角階級区分との関係資料を最初につくり、検討することにします。

2026年8月26日水曜日

貝層断面ファブリック分析の新指標 二枚貝殻の破損・磨耗

 A New Metric for Shell Midden Fabric Analysis: Bivalve Shell Breakage and Abrasion


I am currently conducting a fabric analysis using a 3D model of the shell midden on the northern slope of the Ariyoshi-Kita Shell Midden. I have identified a need for a new metric regarding bivalve shell breakage and abrasion, so I am noting it here. This metric differs from the fragmentation rate typically reported in excavation reports.


有吉北貝塚北斜面貝層の3Dモデルを対象にファブリック分析を行っていますが、二枚貝の破損・磨耗に関する新指標の必要性を感じましたので、メモします。発掘調査報告書における破砕率とは異なる指標です。

1 有吉北貝塚と加曽利貝塚のハマグリ純貝層の破損・磨耗の違い


有吉北貝塚剥取断面のハマグリ純貝層


加曽利貝塚北貝塚断面のハマグリ純貝層

2つの画像を子細に観察すると、有吉北貝塚のハマグリは欠け、割れ、ヒビ、破片化が目立ちます。加曽利貝塚のハマグリは小さな欠けがあるものがありますが、割れ、ヒビ、破片化は目立ちません。有吉北貝塚のハマグリは剥取断面作成時に外力で生じた破砕が含まれていると考えられますが、剥取断面作成時外力とは無関係に本来存在していたと考えられる欠け、割れ、ヒビ、破片化が多いと判断できます。

2 有吉北貝塚と加曽利貝塚のハマグリ純貝層の破損・磨耗の違いの理由

縄文人がハマグリを食して、その貝殻を捨てる直前までにその貝殻に生じる破砕の程度はどの集落でもほぼ同じであったと想定します。つまり、イボキサゴ破砕とは異なり、ハマグリなど二枚貝の貝殻を意識して破砕したことは縄文時代に無かったと仮定します。この仮定を踏まえると、有吉北貝塚と加曽利貝塚の違いは次のようなものであったと想定します。

【有吉北貝塚】

崖上から貝塚に投棄されたハマグリは数回の重力性移動現象を経て斜面に最終堆積した。この数回にわたる重力性移動現象の中でハマグリに欠け、割れ、ヒビ、破片化が生じた。

【加曽利貝塚】

平場の貝塚に投棄されたハマグリのほとんどはそのまま最終堆積した。(貝塚の改変工事が縄文時代にあった場所を除く。)

3 二枚貝殻の破損・磨耗がファブリック分析の新指標となる可能性


北斜面貝層形成仮説のイメージ

2026.07.22記事「有吉北貝塚北斜面貝層と地考古学(Geoarchaeology) その2」から引用

有吉北貝塚における二枚貝殻の破損・磨耗が重力性移動現象に起因しているとするならば、二枚貝殻の破損・磨耗の程度が重力性移動現象を知る新指標(手がかり)になる可能性があります。

欠け、割れ、ヒビ、破片化など肉眼観察可能な破損状況だけでなく、写真や現場観察では把握できない微細なキズ、スレなど顕微鏡的磨耗状況まで含めれば、重力性移動現象程度を知る手がかりになる可能性があります。

二枚貝殻の破損・磨耗が重力性移動現象に起因しているとするならば、斜面上部では(移動が少ないので)破損・磨耗が少なく、斜面下部では(移動が多いので)破損・磨耗が多くなると想定できます。その想定に合った情報が一般的に得られるならば、二枚貝殻の破損・磨耗がファブリック分析の新指標となる可能性がより高まります。

4 発掘調査報告書の指標「破砕率」との違い

有吉北貝塚発掘調査報告書では貝層観察の指標の一つに貝殻の破砕率を使っています。この破砕率はハマグリなど二枚貝とイボキサゴなど巻貝を含めて貝殻一般の破砕率を求めています。イボキサゴは投棄される前に人為的に破砕される場合と破砕されない場合の双方があることが知られています。従って、発掘調査報告書の指標「破砕率」では破砕イボキサゴが含まれる貝層では、二枚貝殻の状況にかかわらず破砕率が高まります。「破砕率」は今回検討している「二枚貝殻の破損・磨耗の程度」とは異なる指標です。


2026年5月9日土曜日

二枚貝殻偏位角分布の見える化作業 2

 Visualization of Bivalve Shell Deviation Angle Distribution, Part 2


I also attempted to visualize the distribution of bivalve shell deviation angles using exfoliated cross-sections from the South Shell Mound of the Kasori Shell Mound.


二枚貝殻偏位角分布の見える化作業を加曽利貝塚南貝塚の剥取断面でも試行してみました。

この記事は2026.05.08記事「二枚貝殻偏位角分布の見える化作業」の補足です。

1 加曽利貝塚南貝塚剥取断面の試行範囲


加曽利貝塚南貝塚剥取断面の試行範囲

2 偏位角計測-偏位角空間分布-偏位角頻度分布


偏位角計測-偏位角空間分布-偏位角頻度分布

3 参考 有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面試行範囲の見える化作業


有吉北貝塚北斜面貝層剥取断面試行範囲の見える化作業