A New Metric for Shell Midden Fabric Analysis: Bivalve Shell Breakage and Abrasion
I am currently conducting a fabric analysis using a 3D model of the shell midden on the northern slope of the Ariyoshi-Kita Shell Midden. I have identified a need for a new metric regarding bivalve shell breakage and abrasion, so I am noting it here. This metric differs from the fragmentation rate typically reported in excavation reports.
有吉北貝塚北斜面貝層の3Dモデルを対象にファブリック分析を行っていますが、二枚貝の破損・磨耗に関する新指標の必要性を感じましたので、メモします。発掘調査報告書における破砕率とは異なる指標です。
1 有吉北貝塚と加曽利貝塚のハマグリ純貝層の破損・磨耗の違い
有吉北貝塚剥取断面のハマグリ純貝層
加曽利貝塚北貝塚断面のハマグリ純貝層
2つの画像を子細に観察すると、有吉北貝塚のハマグリは欠け、割れ、ヒビ、破片化が目立ちます。加曽利貝塚のハマグリは小さな欠けがあるものがありますが、割れ、ヒビ、破片化は目立ちません。有吉北貝塚のハマグリは剥取断面作成時に外力で生じた破砕が含まれていると考えられますが、剥取断面作成時外力とは無関係に本来存在していたと考えられる欠け、割れ、ヒビ、破片化が多いと判断できます。
2 有吉北貝塚と加曽利貝塚のハマグリ純貝層の破損・磨耗の違いの理由
縄文人がハマグリを食して、その貝殻を捨てる直前までにその貝殻に生じる破砕の程度はどの集落でもほぼ同じであったと想定します。つまり、イボキサゴ破砕とは異なり、ハマグリなど二枚貝の貝殻を意識して破砕したことは縄文時代に無かったと過程します。この仮定を踏まえると、有吉北貝塚と加曽利貝塚の違いは次のようなものであったと想定します。
【有吉北貝塚】
崖上から貝塚に投棄されたハマグリは数回の重力性移動現象を経て斜面に最終堆積した。この数回にわたる重力性移動現象の中でハマグリに欠け、割れ、ヒビ、破片化が生じた。
【加曽利貝塚】
平場の貝塚に投棄されたハマグリのほとんどはそのまま最終堆積した。(貝塚の改変工事が縄文時代にあった場所を除く。)
3 二枚貝殻の破損・磨耗がファブリック分析の新指標となる可能性
北斜面貝層形成仮説のイメージ
2026.07.22記事「有吉北貝塚北斜面貝層と地考古学(Geoarchaeology) その2」から引用
有吉北貝塚における二枚貝殻の破損・磨耗が重力性移動現象に起因しているとするならば、二枚貝殻の破損・磨耗の程度が重力性移動現象を知る新指標(手がかり)になる可能性があります。
欠け、割れ、ヒビ、破片化など肉眼観察可能な破損状況だけでなく、写真や現場観察では把握できない微細なキズ、スレなど顕微鏡的磨耗状況まで含めれば、重力性移動現象程度を知る手がかりになる可能性があります。
二枚貝殻の破損・磨耗が重力性移動現象に起因しているとするならば、斜面上部では(移動が少ないので)破損・磨耗が少なく、斜面下部では(移動が多いので)破損・磨耗が多くなると想定できます。その想定に合った情報が一般的に得られるならば、二枚貝殻の破損・磨耗がファブリック分析の新指標となる可能性がより高まります。
4 発掘調査報告書の指標「破砕率」との違い
有吉北貝塚発掘調査報告書では貝層観察の指標の一つに貝殻の破砕率を使っています。この破砕率はハマグリなど二枚貝とイボキサゴなど巻貝を含めて貝殻一般の破砕率を求めています。イボキサゴは投棄される前に人為的に破砕される場合と破砕されない場合の双方があることが知られています。従って、発掘調査報告書の指標「破砕率」では破砕イボキサゴが含まれる貝層では、二枚貝殻の状況にかかわらず破砕率が高まります。「破砕率」は今回検討している「二枚貝殻の破損・磨耗の程度」とは異なる指標です。


