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2025年5月20日火曜日

安行3b式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

 Angyo 3b pottery (Kasori shell mound, Chiba city) observation record 3D model


A 3D model of the observation record of Angyo 3b pottery from the late Jomon period excavated from the Kasori shell mound, Chiba city, was created. The crest of the 5-unit wavy rim has two clay strings that look like hoods, two spoon-shaped protrusions, and a clay string wrap, which is distinctive. This feature seems to have degenerated over time.


千葉市加曽利貝塚から出土した縄文晩期の安行3b式土器の観察記録3Dモデルを作成しました。5単位の波状口縁の波頂部には頭巾形に見える2つの粘土紐貼付と2つの匙状突起貼付及び粘土紐巻があり、特徴的です。時代を経るとこの特徴は退化するようです。

1 安行3b式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

安行3b式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

加曽利貝塚第14次調査85号住居跡(安行3b式期)出土

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター

撮影月日:2025年5月17日


展示の様子

3DF Zephyr で生成 v8.007 processing 55 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開(画像)


GigaMesh Software Frameworkによる展開(Non-Photorealistic Rendering)

3 メモ


発掘調査報告書実測図

発掘調査報告書(※)におけるこの土器の記載は次の通りです。

「2)(4・6〜8) 突起を付した五単位の大波状口縁で頸部に三角形区画文を持つ深鉢形土器。体部の装飾は最大径付近に横帯区画を基本に充填縄文手法で施すものと推測できる。4の口頸部はほぼ直立するが、波底部は僅かに内傾・波頂部は外傾気味である。断面図に表現しきれていないが、頸部中程の内面にわずかに稜があり全周している。口縁外側は区画線が深く幅広いため明瞭ではないが、平坦面を作出した隆起帯縄文であり、頸部の三角形区画文の縄文帯もわずかに隆起している。波頂部上端は中央を窪ませて両端が尖る頭巾状で、この端部に短い粘土紐を内側から、波頂部基部は外側から巻き付けている。波頂部正面に上下二連に匙状の貼付文を加えるが、窪んだ部分に後述C種に見られるような短い抉りは無い。体部最大径付近に長円形文と横長貼付文を交互に五単位配置し、下側に横位区画線を巡らせて長円形文との間に縄文を充填する。更に間を開けてもう一本区画線を配置し、この間はミガキを加えて光沢を持つが、区画線より下は磨かずに調整痕を残している。」

発掘調査報告書における舐めるように精緻な土器観察に一種の感動を覚えます。どんな微細な特徴も決して見逃さない観察達人の世界がそこにあります。

上記記載を念頭に今回作成3Dモデルを見ると、この土器の特徴を体験的に実感できます。

※ 「特別史跡加曽利貝塚 第14次調査報告書」(2024、千葉市教育委員会・千葉市埋蔵文化財調査センター)


2020年6月23日火曜日

縄文晩期安行3b式土器外1点(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル

縄文土器学習 411

加曽利貝塚博物館企画展「特別史跡加曽利貝塚令和元年度発掘調査速報展」で展示されている縄文晩期安行3b式土器外1点の観察記録3Dモデルをつくりました。

1 縄文晩期安行3b式土器外1点(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル

縄文晩期安行3b式土器外1点(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル
右:縄文晩期安行3b式土器、85号竪穴住居跡出土
左:縄文後期安行2式土器
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「特別史跡加曽利貝塚令和元年度発掘調査速報展」
撮影月日:2020.06.17
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 98 images

展示の様子

展示の様子 加工グラフィック

動画

2 メモ
・縄文後期安行2式土器は黒色土層出土(平成29年度調査)で2019.06.12記事「安行1式・2式土器の観察」で写真を紹介しました。
・縄文晩期安行3b式土器(85号竪穴住居跡出土)は5単位波状把手が王冠のように見える深鉢で、この個体も前の企画展でも展示されていて、2019.06.14記事「安行3a式・3b式土器の観察」で写真掲載しています。

3 安行式土器出土千葉県遺跡数について
安行式土器出土千葉県遺跡数の統計を取ると次のようになります。

千葉県安行式土器細分情報別出土遺跡数

千葉県安行3式土器細分情報別出土遺跡数
安行式土器は安行1式→2式→3式と遺跡数が減少しますが、細分情報でも3a式→3b式→3c式→3d式と減少します。このことから安行式期の社会の縮小が継続的かつ定常的に進行したことが判ります。
安行3b式期は社会崩壊の過程のなかでもまだ踏ん張っていた最後の時期です。

この遺跡数減少=社会崩壊の理由について遺構の状況とか出土遺物の種類・量等から推定できることはないか、じっくり検討したいと考えています。
この社会崩壊(人口減少)が「気温低下による食糧不足」であるのか、それとも別の理由によるものであるのか明らかにできるよう学習を進めることにします。
安行3b式頃の加曽利貝塚出土物をみると食糧生産にかかわらない品が多く、食料不足に悩む集落の様子は伝わってきません。逆に豊かな様子が伝わってきます。

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追記(2020.06.26)

右:縄文晩期安行3b式土器、85号竪穴住居跡出土の展開図
上記3DモデルからGigaMesh Software Frameworkで作成

左:縄文後期安行2式土器の展開図
上記3DモデルからGigaMesh Software Frameworkで作成

2019年8月11日日曜日

安行3b式注口土器 馬場遺跡 観察記録3Dモデル

縄文土器学習 230

印西市馬場遺跡第5地点第241号土坑出土の安行3b式土器の観察記録3Dモデルを作成しました。

安行3b式注口土器 馬場遺跡第5地点第241号土坑 観察記録3Dモデル

安行3b式注口土器 馬場遺跡第5地点第241号土坑 展示の様子

ガラス面越し撮影は光線のガラス面反射が極端に強く、難のある3Dモデルとなりました。

難の様子
3Dモデルに難はありますが、写真では把握が困難な立体性を確実に観察できるので学習資料しとして3Dモデルはとても有用であると感じています。
なお、撮影写真の全てに多大な有害反射があるにもかかわらずこれだけの質を確保した3Dモデルを作成できるというプラス面の方に大いに感動しています。

この安行3b式注口土器は土坑の垂直方向中ほどに正位で置かれていて、土坑を舞台とする祭祀の重要なアイテムであったことは間違いないものです。今後この土坑の意義について詳しく学習したいと考えています。

印西市立木下交流の杜歴史資料センター訪問

縄文土器学習 229

印西市立木下交流の杜歴史資料センターを訪問して縄文土器5点を観察させていただき、3Dモデル作成用写真撮影を行いました。

印西市立木下交流の杜歴史資料センター展示 縄文土器
馬場遺跡第5地点第241号土坑出土物が詳しく展示説明されていて、土器は4点展示されています。
馬場遺跡第5地点第241号土坑は深さ約5.5mの円筒形をしていて安行3b式注口土器が正位で、またその下からイノシシ頭骨が正位で出土するなど祭祀面で大きな意義がある可能性のある遺構です。
また出土土版も展示されていて、その模様からどのような感想を導くことが出来るか、興味が湧きます。
詳しい説明や土器以外の出土物が多数展示されています。

馬場遺跡第5地点第241号土坑の説明

馬場遺跡第5地点第241号土坑出土物の展示

この土坑については強い興味をもちましたので関連資料を入手しました。後日詳しく学習することにします。祭祀における完形土器の埋納と土器破壊して投げ込む姿が同時に観察できる遺構のようです。

馬場遺跡とは別に、表採された加曽利E式巨大土器も展示されています。

加曽利E式土器
加曽利EⅡ式期の集団で保存食をつくった「業務用鍋」であると推測します。

2019年7月15日月曜日

安行3式土器細分の分布

縄文土器学習 190

土器形式別出土遺跡分布図を作成しています。この記事では安行3式土器細分の分布図を作成しました。

1 安行3式土器細分毎の統計
安行3式土器出土遺跡103のうち70(68%)遺跡が細分情報として記載されています。

千葉県 安行3式土器出土遺跡 細分情報の有無
この細分情報をグラフにすると次のようになります。

千葉県安行3式土器細分情報別出土遺跡数
安行式土器は安行1式→2式→3式と遺跡数が減少しますが、細分情報でも3a式→3b式→3c式→3d式と減少します。このことから安行式期の社会の縮小が継続的かつ定常的に進行したことが判ります。

2 安行3式土器細分情報毎の遺跡分布

安行3a式土器出土遺跡分布図

安行3a式土器出土遺跡分布ヒートマップ
Bエリアに遺跡密集地があります。

安行3b式土器出土遺跡分布図

安行3b式土器出土遺跡分布ヒートマップ
最大の遺跡密集地はAエリアになります。
安行3c式土器出土遺跡分布図

安行3c式土器出土遺跡分布ヒートマップ
最大の遺跡密集地はAエリアとなります。

安行3d式土器出土遺跡分布図

安行3d式土器出土遺跡分布ヒートマップ

安行3a式土器から3c式土器に遺跡密集地がBエリア→Aエリアに移動した様子が判ります。

3 分布重心の変化
安行3a式から3d式の遺跡分布重心をプロットすると次のようになります。

安行3a,3b,3c,3d式土器出土遺跡分布重心の西遷
安行3a式から3d式土器にかけて出土遺跡分布重心が西遷する様子が確認できます。
安行1式→3式では遺跡密集域が東遷し、3a式→3c式で西遷し、3a式→3d式では遺跡分布重心が西遷します。つまり安行式期内で遺跡分布密集域が振り子のように移動しています。
この分布変化は武蔵野台地や相模野台地を主部とする関東地方全域における縄文社会分布域拡大縮小というダイナミックな変動があり、そのダイナミック変動の千葉県域だけを切り取って見ているのだと想定します。

2019年6月14日金曜日

安行3a式・3b式土器の観察

縄文土器学習 155

縄文土器を形式別に観察しています。
この記事では加曽利貝塚出土、縄文晩期安行3a式・3b式土器を観察します。

1 安行3a式土器

安行3a式浅鉢
加曽利貝塚出土
加曽利貝塚博物館展示

2 安行3b式土器

安行3b式深鉢
加曽利貝塚出土
加曽利貝塚博物館展示
観察記録3Dモデルを2019.06.13記事「安行3b式深鉢 加曽利貝塚出土 観察記録3Dモデル」に掲載しています。

安行3b式深鉢
加曽利貝塚出土
加曽利貝塚博物館展示

参考 大洞式注口土器
加曽利貝塚出土
加曽利貝塚博物館展示

3 安行3a式、安行3b式土器の図録 日本土器事典から抜粋

安行3a式土器

安行3b式土器

4 安行3a式、安行3b式土器の較正年代

安行3a式、安行3b式土器の較正年代
安行3a式、安行3b式土器の詳しい較正年代は追って調べることにします。
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学習チェックリスト

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●縄文土器観察活動1巡目の区切りに際してのメモ
2019.01.09「縄文土器学習の開始」から縄文土器土器形式別学習を始め学習チェックリストにある62形式のうち40形式に色を塗ることができました。近隣博物館等で観察できた全ての土器形式をブログ記事にすることができました。ここまでの活動を1巡目として一旦区切ることにします。
縄文土器基礎知識ゼロからはじめて縄文土器の観察に目が少し慣れてきた段階に至ることができたのが1巡目観察です。

なお当座活動として、一鍬田甚兵衛山南遺跡出土物等の3Dモデル作成等を行い、仕掛学習材料在庫をゼロにしたいと思います。同時に、1巡目活動をまとめる意味で私家版千葉県遺跡データベースによる縄文土器形式別遺跡分布図作成検討を行います。

学習チェックリストを埋めるような「縄文全土器形式観察」は引き続き2巡目観察として行いたいと思います。
2巡目活動では訪問博物館等を千葉県域全体に拡大して、場合によっては千葉県外に「遠征」して観察土器のバリエーションを増やしたいと思います。
下総で普通に見られる縄文土器全形式の深鉢について3Dモデルを作成することと、土器形式に含まれる主要器種の写真撮影を2巡目観察の目標にしたいと思います。
また3Dモデルや写真の3D整理(WEB私設3D展示)についても検討したいと思います。

また2巡目観察に併行して次の活動も行いたいと思います。
・西根遺跡発掘調査報告書の縄文土器関連分析のデータによる追体験
・大膳野南貝塚発掘調査報告書掲載土器情報のデータによる追体験
・総覧縄文土器のデータを意識した通読による知識習得(あるいはそれと同じことをより効率的に行う活動)