2019年6月12日水曜日

安行1式・2式土器の観察

縄文土器学習 153

縄文土器を形式別に観察しています。
この記事では安行1式、2式土器を観察します。

1 安行1式土器

曽谷~安行1式の深鉢
八千代市佐山貝塚出土
八千代市立郷土博物館展示

安行1式深鉢
内野第1遺跡出土
加曽利貝塚博物館展示
観察記録3Dモデルを2019.06.09記事「安行1式深鉢 内野第1遺跡出土 観察記録3Dモデル」に掲載しています。

佐山貝塚出土深鉢と加曽利貝塚出土深鉢の形状と模様がよく似ています。双方とも口縁部に対向する孔があいています。

2 安行2式土器

安行2式深鉢
加曽利貝塚出土
加曽利貝塚博物館展示

安行2式注口土器
加曽利貝塚出土
加曽利貝塚博物館展示

3 安行式土器について 日本土器事典抜粋
「関東地方の縄紋時代後期後半から晩期中葉にかけての型式で、1式・2式・3a式・3b式・3c式・3d式に細分され、1式と2式は後期に、3a式~3d式は晩期に属する。
埼玉県安行村領家猿貝貝塚(当時)の資料をもとに、山内清男が設定し、埼玉県真福寺貝塚・同泥炭層遺跡、茨城県岩井貝塚などの資料に従って1式・2式と亀ケ岡式土器に共存する3式に細分され、その後埼玉県奈良瀬戸遺跡、茨城県広畑貝塚などの資料から3a式から3d式に至る区分が確定したが、細部においてはなお議論があり、とくに3b式から3c式にかけてその傾向が著しい。
安行1式(図1-1~5)は後期後半、曽谷式直後で、形態装飾上似たものを含み、加曽利B式以来の伝統も続く。
安行2式(図1-6~17)は後期終末に位置し、安行1式から多くを踏襲する一方で、次式へと続く新たな形態も登場する。」

安行1式土器

安行2式土器

4 安行1式土器、安行2式土器の較正年代

安行1式土器、安行2式土器の較正年代
小澤政彦先生講演「東関東(千葉県域)の加曽利E式」資料(2019.02.24)では後期安行式の較正年代が3370~3220年前calBPとなっています。

5 安行式土器出土遺跡の分布

安行式土器出土遺跡分布
私家版千葉県遺跡データベースによる
安行1・2・3式を含む

安行式土器出土遺跡分布 ヒートマップ
私家版千葉県遺跡データベースによる
安行1・2・3式を含む

参考
加曽利B式土器出土遺跡分布
私家版千葉県遺跡データベースによる
加曽利B1・2・3式を含む

加曽利B式土器出土遺跡分布 ヒートマップ
私家版千葉県遺跡データベースによる
加曽利B1・2・3式を含む

安行式土器出土遺跡数(400)は加曽利B式土器出土遺跡数(874)から半減しています。半減の様子は特定地域で減少するのではなく千葉県全域で満遍なく現象しているように観察できます。人口減少によりこれまで存在していた子集落・孫集落が廃され親集落に集約された様相を推察します。
より詳しい土器形式細分別遺跡分布図は縄文全期について追って作成し項目を立てて検討します。

……………………………………………………………………
学習チェックリスト

0 件のコメント:

コメントを投稿