2013年4月21日日曜日

旧版1万分の1地形図に表現されている小崖地形


花見川流域の小崖地形 その10

1 旧版1万分の1地形図に表現されている小崖地形
 次の地図は旧版1万分の1地形図にそれから読図できる小崖地形を書き込んだものです。同時に、1960年に作成された航測写真測量地図(千葉都市図14)から読図した小崖地形分布も書き込んであります。

旧版1万分の1地形図から読図できる小崖地形
旧版1万分の1地形図「大久保」「三角原」(各部分)大正6年(1917年)測量

参考までに、同じ小崖分布図を千葉都市図をベースに作成してみました。

旧版1万分の1地形図から読図できる小崖地形(基図は千葉都市図)

2 小崖地形分布の相違理由
この二つの地図から読図できる小崖地形の分布図は異なりますが、その理由は大きくみて3つあります。

ア 等高線表示システムの違い
● 旧版1万分の1地形図の等高線表示システムは次の通りです。
計曲線(実線) 25m
主曲線(破線) 2.5m
第一次補助曲線(点線) 1.25m
第二次補助曲線(点線) 0.625m
● 千葉市都市図の等高線表示システムは次の通りです。
計曲線(太実線) 10m
主曲線(実線) 2m
補助曲線(破線) 1m

緩傾斜斜面では上記等高線表示システムの違いによって、等高線が書き込まれる場所が違ってしまうのは当然です。従って、それから読図した小崖地形分布が異なるのも当然です。

イ 測量精度の違い(航空測量地図の優位性)
現地測量だけの旧版1万分の1地形図より、航空測量地図の千葉都市図の方が一般論として精度が高いことは論を待ちません。

ウ 樹林下微地形測量の存否(現地測量地図の優位性)
航空測量地図では樹林下の微地形は測量されません。(現在では航空レーザ測量により樹林下の地形も把握できるようになりました。2012.09.30記事参照
このため千葉都市図の等高線表示は樹林地では不正確です。樹林下の微地形はなにも表現されていないと言っても間違いではありません。
一方現地測量だけで地図を作成する場合、徹底して現地を歩きますから、樹林の存否に係らず微地形が表現されます。測量者が観測した微地形が等高線として記録されます。

3 旧版1万分の1地形図読図から得られる貴重情報
上記3つの理由により2つの地図から判読できる小崖地形分布が異なるのであり、一方的に航空測量地図である千葉都市図が正確であるという訳ではありません。
そうした観点から旧版1万分の1地形図の小崖地形分布から次の2つの貴重情報を引き出すことができます。

ア 小崖地形がより東に拡がっている。
千葉都市図と比べて、小崖地形をより東に追跡でいます。小崖地形の連続性の情報を得られます。この付近は樹林地です。

イ 小崖下に凹地の存在を確認できす。
小崖下に凹地の等高線表示があります。極めて特徴的な微地形表現です。この付近も樹林地です。
この凹地は、もともと下総上位面に存在していた芦太川支川谷津が小崖(断層崖)によって切られた跡であると解釈します。この解釈の直接証拠はいまのところありませんが、花見川をまたいだ東の地区(花島小崖D検討区)にこのような谷津が沢山存在していますので、間違いのないところだと思います。

説明図

つづく

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