2013年4月6日土曜日

「立川断層トレンチ公開のお粗末」記事の海老川乱歩さんコメントに寄せて


2013329日記事「立川断層トレンチ公開のお粗末」に海老川乱歩さんからコメントをいただきました。このコメントに寄せて私の感想等を述べます。
以下海老川乱歩さんコメントは色文字

●「トレンチ公開現場の説明パネル」を読むと非常に分かりに難い文章ですね。一番言いたい事が一番最後に書かれています。
北西から南東方向に走る断層に対して、トレンチが南西から北東の方向に1本しか掘らないというのも不十分としか言えません。
この調査になんと2千万円もの大金がかかったという記事をどこかで見て驚いています。
調査内容の明細書を見たいですね。何に一番カネがかかっているのか。

●白い「断層粘土層」の写真ですが、コンクリート杭と言われている物体ですが、鉄筋が1本も見えないのが気になります。
杭からこぶ状に溢れ出たものなのでしょうか。
WEBを調べるとこの現場周辺の段差を確認できる写真がヒットします。

私が撮った「断層粘土」の拡大写真は次の通りです。

「断層粘土」の拡大写真

東大謝罪報告では次のように、コンクリート円柱の断面を断層粘土と見誤ったとのことです。

コンクリート円柱を断層粘土と誤った状況

コンクリート円柱は無筋のようです。地下水で風化して粘土状になったようです。

この初歩的なミスが「2万人の見学」「東大教授」「調査費2000万円」「首都に未曾有の災害をもたらす活断層」「原発敷地の断層調査」などのキーワードで増幅され、誰しも強い感情を持たされたのです。
捏造とは別とわかっていても、捏造(旧石器の捏造や古くは化石の捏造)世界の想起を禁じ得ない状況にもあります。科学的調査に大きなダメージを与えています。

さて、立川礫層を切った断層が無かったという今回の結果に対して、新たな疑問が生まれます。
1 今回の調査結果(小崖地形の直下で、立川礫層を切った断層は無かった)は本当に正しいのかという疑問(不信感)
基礎杭を断層粘土と見誤るとういう考えられないようなミスを犯した調査陣に最低限の露頭観察技術が備わっているという保証はありません。
最低限の露頭観察技術が備わっていないからこのようなミスをおかしたのであり、立川礫層を切っている断層が存在していても、それを見落とした可能性があります。ミスを指摘され浮足立った調査陣に冷静で沈着な調査をする状況があったかどうかも疑問です。

(花見川流域の小崖地形では、そのまま「断層地形」様に見えるところもありますが、崖下縦断方向に谷津が発達してしまい現在の地形は谷津地形となっているところ[いわば断層性谷津斜面]のように見える場所も多くあります。このように断層崖は縦断方向に水蝕を受けやすい場所です。このような断層崖の特性を本当に理解して調査したのか、不信感が増大するばかりです。)

2 仮に、小崖地形の下で礫層を切る断層が無いことが事実とすると、これまた大問題です。
もともとここにあった小崖地形が立川断層の存在を発想させ、証明する根源的地物だったからです。
そのような立川断層存在の最大の証拠物件を否定したうえで、どのように立川断層の存在、さらにそれが活断層であることが証明されるのか知りたいところです。
素人として考えると、立川礫層(2万年前~1万年前?)を切った断層が無いならば、それはいままで多くの人が立川断層に抱いていた「活断層」のイメージを大きく損ないます。
謝罪した調査者は「今回の調査結果で活断層の存在を否定したことにならない」と叫びますが、「今回の調査結果で活断層の存在を証明できなかった理由」についても大きな声で説明してもらいたいと思います。

●元荒川断層帯について
海老川乱歩の素人研究家の意見として関東平野の断層の特徴は、概ね北西から南東方向に走っていると睨んでいます。
立川断層、元荒川断層、小崖1、2、3も、方向的にはほぼ一致します。
また、大河の利根川や多摩川も方向的にはほぼ一致しますので断層起因と睨んでいます。

●東京湾北縁断層
習志野市のHPを見ると、「国道14号に沿って存在が推定されております」とあります。
国道14号は、旧海岸線付近なので評価が難しいですね。
提唱者の説明を聞いてみたいものです。
あると言われたり無いと言われたり都市伝説状態になっていると感じています。

このブログで扱っている花見川流域の小崖地形の分布イメージを広域の地図で示すと次のようになります。

花見川流域の小崖地形分布イメージ

この小崖地形地形分布イメージを関東地方の断層分布図にプロットしてみました。

関東地方の断層分布と花見川流域の小崖地形
産業技術総合研究所 活断層・地震研究センターホームページの「活断層データベース起震断層・活動セグメント検索」画面による
荒川断層及び東京湾北縁断層は活断層ではないとされている。

花見川流域の小崖地形を一足飛びに元荒川断層帯と関連付けるのは飛躍のし過ぎかもしれません。しかし、関東地方の断層分布の方向が一定方向となっていて、花見川流域の小崖地形も大局的にはその方向と似ています。
東京湾北縁断層と花見川流域の小崖地形との関係も気になるのが当然のことだと思います。

さて、現在、都市防災の世界は「活断層」「直下型地震」などがキーワードとなり、強い社会要請と結びついています。
当面は、こうした都市防災の世界とは一歩離れて、趣味の地学学習として花見川流域の小崖地形について調査したいと思っています。いつか、有用な情報を得ることができた暁には、それを社会還元したいと思います。

●花見川流域の小崖地形(天戸町)の写真について
この写真を見ても恐らくどこに段差があるのか殆どの人が分からないと思います。
1.最初に Google 国土地理院の空中写真をのせ写真の位置が分かるようにする
2.段差の境界付近の道路から畑を見下ろす写真か、その逆の畑から道路を見上げる写真をのせる
3.道路と畑の境界付近の段差がある拡大写真をのせると段差の位置と段差が分り易いと思います。

次に花見川区天戸町付近の地図と地形断面図を示しまた。

花見川区天戸町付近の地図と地形断面図。

小崖は比高3m程あります。

しかし、写真に撮ると「どこに崖があるの?」という状況です。

花見川区天戸町の小崖地形

説明すると次のようになります。現場では(地形の観察を意識すれば)地形の段差を誰でも確実に体感できます。

小崖地形の説明

小崖地形という言葉とともに撓曲地形という言葉もあります。視覚的には「地形がなだらかにたわんでいる」と言ってもいいと思います。

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4 件のコメント:

  1. 「小崖1の写真について」
    前回のものより分かりやすくなりました。
    この天戸町の段差は、同じ小崖1でも千種町のものに比べるとなぜか、
    段差を感じづらいものになっています。
    小生も小中学生の頃に、この畑を南北に走る道(当時はぢゃり道)を通って犢橋橋の下、
    京葉道路の下、総武線と京成線近くの橋までよく釣りに出かけていました。
    その当時は段差に気付かず、このブログを見てからそういえばここは
    小崖1だなぁと気づいたほどです。
    小生は、この写真の近くの花3小と花2中の出身ですので、ここの風景は頭に焼き付いています。
    (花3小は東京から転入後2ヶ月だけ通い、その後学区変更で旧花5小に通学)
    近くにゴルフ練習場ができ、すぐそばの花島の谷津に花島公園ができたこと以外は、
    30年前と殆ど風景が変わっていません。
    この写真の奥が、花3小付近の芦太川源流(旧印旛沼水系、現東京湾水系)で、
    写真の手前(東側)が花島の谷津(今は東京湾水系)なので、
    弁天橋から小崖1の一帯は不思議なところです。
    このブログを見るまで全然気が付きませんでした。

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  2. 海老川乱歩さん
    コメントありがとうございます。

    この付近は海老川乱歩さんがよく知っているテリトリーなのですね。

    このようななだらかな斜面も地図に落とすと、連続するので戦前から地形学者に小崖として知られてきています。

    海老川乱歩さんもそうであったことから、この場所を通るだけならこの斜面は人にほとんど意識されないことがわかりました。

    話は脱線しますが、最近、無人飛行体による空中写真撮影を個人趣味で行いたいという希望を持っています。夢想にしかすぎないのですが、このような場所で数十mから100m上空から斜め写真を撮影すればなだらか斜面が連続して、わかりやすい「小崖」のイメージ画像を得ることができるかもしれないと思っています。
    空想はタダなので、小崖地形の表現に関してあれこれ考え楽しみました。

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  3. 海老川乱歩さん

    前の私のコメントで脱線して無人飛行体による斜め空中写真撮影の話をしました。
    しかし、良く考えてみると、擬似的に同じことを既にできる技術を保持していることに気がつきました。
    カシミール3Dによる地形の3D表現です。既にこのブログで何十回も使ってきました。
    早速、この天戸付近の小崖を対象に地形の3D表現をしてみます。

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  4. 海老川乱歩です。

     斜め空中写真は、最近 Google earth に、45°View が追加されました。
    南から北方向を45°で見られます。
    今後4方向から見られるようになれば面白いですね。

     「カシミール3Dによる地形の3D表現」楽しみにしています。

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