花見川流域の小崖地形 その12
1 花島小崖が断層崖である地質証拠
前報で芦太川谷底面を切る小崖地形を発見し、それが小崖地形が断層崖である証拠であると述べましたが、さらに同じ場所における地質証拠を提示します。
次の図はボーリング地点とそれを結んだ地形断面図作成線を示してあります。
ボーリング地点位置図
米軍空中写真で確認した芦太川谷底を切る小崖地形の上下に位置に対応するボーリング資料があります。
地形断面図にボーリング資料をプロットすると次のようになります。
小崖を横断する地質断面
柱状図は千葉県地質環境インフォメーションバンクによる
なお、表示されている地形断面では人工改変が進んでいて、小崖を明瞭に認めることはできません。
この地質断面図から小崖の上と下の芦太川谷底面で下末吉ローム基底面の高度に段差(比高約2.5m)があり、小崖地形と対応していることが確認できます。
花島小崖が断層崖であることをしめしています。
2 説明
地形断面線に地質柱状図を投影表示した図
柱状図は千葉県地質環境インフォメーションバンクによる
この図だけを考察の対象とするならば、地形と地質の双方に段差がある理由として断層の存在をあげるだけではなく、理論的には海食崖の存在とか下末吉ローム層堆積直前にできていた何らかの成因による地表の凹凸の存在などを疑う余地もないとは言えません。
しかし、このたび芦太川谷底を小崖地形が切っているという事実を発見し、その小崖地形が地層のずれと対応していることは、この小崖地形が下総上位面を削る谷が形成された後につくられたことを示しています。このため下総上位面が陸化した後に小海進があり、小崖はその時にできた海食崖であるという可能性を100%排除します。
花島小崖が最初に形成されたときのイメージは次の2枚のポンチ絵で示すことができます。
ポンチ絵A
下総上位面が陸化してしばらくたって、芦太川という必従谷津ができた時期を示しています。まだローム層は現在のように厚くはない時期です。(武蔵野ローム層や立川ローム層堆積前のイメージです。)
ポンチ絵B
ポンチ絵Aの時期に最初の断層活動があったと考えます。
断層活動により芦太川谷底は二分され、結局上流側(南側)の谷底は下流側(北側)と非連続になりました。
この後、時間経過とともに断層活動がさらに続いたのかどうかは、現在のところデータを入手していません。
この断層の時期は、たとえば10万年前とかという時期として空想していますが、検討は後日行う予定です。
ポンチ絵Bの時期以降、ローム層が数m積もったのですが、断層運動が継続していれば積もったローム層を切っているはずです。断層運動が継続していなければポンチ絵B以降に積もったローム層は切っていないはずです。
立川断層トレンチよりはるかに小さなトレンチを掘れば全てわかる可能性があります。
つづく
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