2015年4月5日日曜日

千葉市小字データベースのプロトタイプ完成

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2015.03.25記事「予報 千葉市小字データの電子化」で紹介した千葉市小字データの電子化が終わり、その情報をExcelに流し込んでデータベースのプロトタイプをつくりましたので報告します。

1 千葉市小字データベースの姿
千葉県地名大辞典(1984、角川書店)附録の小字一覧の千葉市分を電子化して、ルビも含めてほぼそのままExcelに流し込んだファイルです。

出典と違う点は区別にデータを揃えた(集め直した)だけです。区内の大字(町丁目)の順番は現行行政使用のものではなく、出典記載順になっています。

(なお最近干拓された土地である美浜区には小字情報は存在しません。)

千葉市小字データベース画面
ルビに●をつけた地名は大字(町丁目)、それ以外の地名が小字

このデータベースからカウントして、出典記載(1984年時点)の大字(町丁目)は170、小字は3656であることがわかりました。

2 千葉市小字データベースの使用感
千葉市小字データベースは検索(ピックアップ)することを主目的に作成したデータベースです。

2-1 検索の使用感 1
例えば、「古墳時代の鍛冶遺跡-妙見信仰-秦氏」(2015.02.08記事)という問題意識から、「ハタ地名検討の重大な意義に気がつく」(2015.02.12記事)ことになり、「Illustratorによる千葉県全域小字(10万件)の簡易データベース完成」(2015.02.09記事)によりハタ地名を抽出したことがあります。

ハタ地名の抽出作業は次の図でおこない、チェックした小字(赤塗色)を手持ちカウンターでカチャカチャ数えて、その数を数えました。

小字リストにハタ地名をチェックした様子

見落としを最小限にするために、リストを見ながら多様な条件を絶えず考えるという、神経を緊張させた解読作業を膨大な時間にわたって行う必要があります。非効率的作業を強要されてしまい、あまりしたくない作業です。

ところが、千葉市小字データベースをExcelの機能で検索すれば、読み「ハタ」「バタ」「ワダ」「ワタ」なり、漢字「旗」「畑」「秦」「和田」なりが含まれる小字を一瞬のうちに検索できます。

Excelによるハタ地名検索例

検索されたものから不適切な例を除去して重複等を整理すれば、ハタ地名の基礎資料をつくることができます。

データベース作成により、千葉市小字3656を逐一検討する作業から解放されました。

「ハタ」15+「バタ」57+「畑」55+「幡」16+…=多くても200弱くらい の地名を検討すればハタ地名の基礎資料をつくることができます。

地名検討で大効率化、大時間節約が実現できる条件が生れました。

2-2 検索の使用感
例えば、古代鍛冶遺跡に関係すると考えられる「カナクソ」などのカネ(カナ)地名があります。この地名がどの程度あるのか、正確にはわかりませんでした。

しかし、データベースを検索すると、「カネ」16、「カナ」16、「金」23の地名がピックアップできます。これらの地名から不適切なものを除き、重複を整理すれば、カネ(カナ)地名の基礎資料をつくることが出来ます。

これまで興味を持ってきた地名を検索すると次のような地名がヒットします。
ハナ地名…「ハナ」40、「バナ」7、「花」39、「鼻」9、「端」6、「塙」2

戸地名…「戸」144

マク(マキ)地名…「マク」1、「マキ」8

ブログ記事で話題にした地名…犢橋の「コテ」3、検見川の「ケミ」7、奈良熊の「ナラ」5

これまで「この地名はもしかしたら他の場所にもあるのではないか?」と調べたくなったことが何度もありましたが、よほど強い動機がある場合以外はその調査はいつも断念していました。
しかし、千葉市という限られた範囲ですが、それが可能となりました。

3 千葉市小字データベースの活用可能性
データベース検索により作成したリストの分布図は、手作業により時間がかかりますが、「絵にみる図でよむ千葉市図誌 上下巻」(千葉市発行)等の資料を利用して正確なものが出来ます。

短時間で分布概要を知りたいなら、GIS機能を使ったアドレスマッチングという手法があります。(近々、検索した地名のアドレスマッチング結果を紹介します。)

小字データベースが考古歴史を考える際の貴重なヒント源として使えるという活用可能性が、自分の前に大きく浮かび上がってきました。

自分の興味に合わせて、小字地名基礎資料を必要に応じていくらでも作れるということは、古代に関する発想力を強化するうえで重要な役割を果たすことになりそうです。

小字データベースを活用すれば、古代社会の様子に関する土地勘を豊かにすることができると思います。

原始社会に興味を移動させれば、縄文語起源地名(例 ハナ地名)を検索検討することにより、原始社会の様子に関する土地勘を豊かにすることができると思います。

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【お知らせ】

現在取り組んでいるテーマ(花見川-平戸川筋=古代東海道水運支路)とともに、今後、小字データベース作成領域を千葉市以外に拡げて、その活用方法を高度化させるプロジェクトに取り組みます。
その経過は逐一記事にしていきます。
その記事(データベース作成関連記事)は、今後は「花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討」シリーズとは別立ての新たなシリーズ記事とします。

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