2021年12月19日日曜日

加曽利貝塚博物館 縄文講座 「祇園原貝塚」の受講

 Attendance of a lecture on "Gionbara Shell Mound"


I attended a lecture on "Gionbara Shell Mound". The instructor is Mr. Narumi Shinobusawa of the Ichihara City Board of Education.

I became interested in topics such as the topographical characteristics of the shell mound village, graveyards and human bone accumulation, Jomon people's food, stone tools for making shell rings, and the origin of obsidian, which differs depending on the water system of the village.


加曽利貝塚博物館第2回縄文時代研究講座「市原市指定史跡祇園原貝塚-千年続いた縄文のムラ-」(講師 市原市教育委員会博物館準備室長 忍澤成視)を12月18日に受講しました。抽選で30名のみ参加という超難関(?)を無事通過してのうれしい参加です。講演参加者には9月に開催された祇園原貝塚シンポジウムの資料が配られました。


講演風景

加曽利貝塚博物館特別展「市原市指定史跡祇園原貝塚-千年続いた縄文のムラ-」の展示はこれまで3回観覧し、多数の遺物について3Dモデルを作成して観察してきました。その観察で祇園原貝塚について興味が深まっていますので、この講演は自分にとって学習意義がとても大きいものです。

講演では市原市祇園原貝塚の調査経緯、調査で判った主な特性、今後開館する市原歴史博物館での展示方法などについて、興味深い話題が次から次へと披露されました。この記事では自分が特段に面白いと感じた項目だけをメモします。

1 浅い窪地をとりまく居住地と貝塚

もともとの浅い谷地形を取り囲み居住地が形成されたとのことです。興味深いことはその浅い窪地は長い年月で埋まることが考えられるが、実際は浅い窪地を削って埋まらないようにしていたことが確認されたとのことです。窪地を削った様子の情報は表示されませんでしたが、現場で確認されているとこのことです。今後発掘調査報告書等でその確認データをみつけて学習したいと思いました。加曽利貝塚北貝塚、南貝塚も同じように中央に窪地がありますから、祇園原貝塚と同じように削られていたのか、興味が湧きます。

また年代が新しくなるに従って竪穴住居の位置が中央広場中心に近づく様子や、竪穴住居の入り口が中央広場方向につくられている様子の説明がありました。


集落の様子

講演映像から引用

2 墓地と人骨集積

人骨、多遺体埋葬(合葬)、土器棺葬(幼児)が集中する場所が5箇所にあり、それらが時代別の居住地近くであるとの説明がありました。また、再葬を示す「人骨集積」があり、後期前半の葬送儀礼との説明があり、興味が湧きます。


葬送の違いを説明する写真

講演映像から引用

3 祇園原縄文人の食

祇園原縄文人の食について詳しい説明がありました。一言で要約すると陸上動物、魚貝類ともに特定の種にあまりこだわらないで多様な種を幅広く食べていたことが判ってきたとのことでした。陸上動物ではシカやイノシシに偏ることなく、ウサギやタヌキ、…ヘビやカエル…などを。魚貝類ではイボキサゴを貝類のメインとし、魚ではクロダイやスズキだけでなく、小形のイワシ、アジあるいは淡水のコイ、フナなども幅広く食べていたとこのことです。イボキサゴは旨味成分として活用し、ドングリなどのでんぷんを美味しく食べるために使っていたようです。このような柔軟性ある食生活が縄文社会継続の背景にあるとの説明でした。


魚類の説明

講演映像から引用

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祇園原貝塚からゴカイ棲管製垂飾が出土しています。この講演で祇園原縄文人の食性の柔軟性が強調されました。それにより、祇園原縄文人はゴカイを食べていたとの自分の想定の確からしさが高まったと感じました。

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4 貝輪づくり用石器

貝輪づくり用石器発見というとても興味深い話がありました。最初何に使う石器であるか不明だったのですが、貝輪づくりイベントでヒントを得て、その石器が貝輪づくりに使われていたことが判ったとのことです。銚子付近だけで採れる固い砂岩だそうです。


貝輪づくり用石器

講演映像から引用

5 近隣集落で異なる黒曜石原産地

祇園原貝塚の近隣の同時代集落で水系が異なる遺跡の黒曜石産地が全く異なっているという興味深い話がありました。水系が移動経路になっていて、それが異なると交易が大きく異なっていたという地理的ネットワーク的にきわめて興味い事象です。


遺跡と水系の様子

講演映像から引用



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