2023年4月12日水曜日

断面線を使った地形の簡易3Dモデル作成法メモ

 Simple 3D model creation method memo of terrain using cross-section line


Using the Blender add-on Bsurfaces GPL Edition, I took notes on how to create a simple 3D model of ruins (buried) terrain using multiple cross-section lines. It is effective not only for the topography of ruins (buried) but also for creating simple 3D models of archaeological remains and relics.


BlenderアドオンBsurfaces GPL Editionを利用して、複数断面線を利用した遺跡(埋没)地形の簡易3Dモデル作成法をメモしました。遺跡(埋没)地形だけでなく考古遺構や遺物の簡易3Dモデル作成にも有効です。

1 遺跡(埋没)地形の簡易3Dモデル作成法

1-1 用意するもの

・Blender(v3.2以降)、アドオンBsurfaces GPL Edition、アドオンBezier Toolkit

・複数断面図

1-2 べジェ曲線による断面線の描画

Blenderの所定位置に断面図を表示し、アドオンBezier Toolkitで断面線をべジェ曲線で描画します。操作は点をクリックしてつないでいくだけですから1つの断面線描画の操作自体は簡単です。描いた断面線を3D空間の正しい位置に移動します。

ここで次図のように、断面線描画の始点→終点の方向は全部同じにしなければなりません。また描画の順番は始めの端(1)から終わりの端まで(31)順序を正しく描かなければなりません。


作業の順番

1-3 描画した断面線の統合とグリースペンシル変換

描画した断面線を描画順番とは逆の順番(31→1)で一つ一つ選択指定します。全部選択したら、オブジェクト→統合で統合します。次にオブジェクト→変換→グリースペンシルでグリースペンシルに変換します。

1-4 グリースペンシルの曲面オブジェクト化

グリースペンシルが選択されている状態でサイドバー→編集→Bsurfacesの画面をひらき、その中の「Initialize(Add BSurface mesh)」をクリックします。


サイドバー「編集」のBsurfaces画面

さらに(下の)Guide strokesのグリースペンシルをクリックするとその下に枠ができてスポイトが表示されます。そのスポイトをつまんでアウトライナー(オブジェクト一覧表示)のグリースペンシルをクリックします。

最後にすぐ下の「Add Surface」をクリックします。この操作で画面に地形3Dモデルが生成します。

1-5 地形3Dモデルの調整

地形3Dモデルが生成した直後に、画面左下に生まれる小窓「Bsurfaces add surface」でモデルの精細さを調整します。「クロス」、「追従」に数値を入力して確かめながら決定します。


最初に作成される地形3Dモデル(クロス5、追従1)


クロス100、追従1の例


今回実用した調整(クロス100、追従5)

1-6 マテリアル・テクスチャの追加とUV展開

地形3Dモデルに好みのマテリアル・テクスチャを追加し、UV展開して作業終了です。

2 断面線長さを均一にするためのダミー情報の付加

今回の事例(有吉北貝塚北斜面貝層)では発掘調査範囲形状が不正形ですから断面線の長さも不定です。その不定の断面線長さを使って作成した3Dモデルは次のようになります。


不定の断面線による3Dモデル

この場合、断面線長さが変化するところでは、3Dモデルがよじれたような形状になり精度が落ちます。従って、断面線の長さを均一にするためにダミー情報(もっともらしい断面情報)を加えて断面線長さを均一にして3Dモデルを作成すると3Dモデルの精度が向上します。


今回作業でダミー情報を加えた範囲(緑色部分)

3 感想

遺跡地形あるいは遺跡埋没地形など、あるいは住居とか土坑などの遺構、さらには土器や石器などの遺物でも複数断面図があれば、Blenderで簡易3Dモデルを作成することができます。断面図はなくても、平面図から想定断面図を描けば、それにより想定3Dモデルを簡易につくることができます。Blenderが考古学習の有力ツールであることに確信を深めています。

同時に等高線情報から3Dモデルをつくる方法についても検討を深めたいと思います。既にQGISとGRASSを利用した方法を使ったことがあります。

参考 2021.06.13記事「有吉北貝塚北斜面貝層 基底面高度分布図3Dモデルの作成

しかしこの方法はQGISを実際の地理空間とは別に使うという点や操作が複雑であるというで違和感があります。Blenderで汎用性のある等高線情報の3Dモデル化ができれば、その有用性は大きなものであると考え、今後取り組みたいと思います。

※この記事は次の記事の改訂版です。

2022.10.29記事「貝層形成前地形3Dモデル復元の技術メモ



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