2023年12月15日金曜日

香印盤形土器(市原市川焼第遺跡)の展示状況素3Dモデル作成

 Creation of a 3D model of the exhibition situation of incense seal board-shaped earthenware (Ichihara City,Kawayakidai Site)


I have created a 3D model of the display situation of the incense seal board-shaped earthenware exhibited at the special exhibition "Praying for Happiness" at the Chiba City Folk Museum. It is a Buddhist altar tool that burns incense in the shape of a single stroke, with the motif of a swastika (manji).

千葉市立郷土博物館の特別展「幸福を祈る」で展示されている香印盤形土器の展示状況素3Dモデルを作成しました。卍(まんじ)をモチーフにした、一筆書き状に香を焚く仏具です。

1 香印盤形土器(市原市川焼第遺跡) 展示状況素3Dモデル

香印盤形土器(市原市川焼第遺跡) 展示状況素3Dモデル

千葉県教育委員会所蔵

撮影:千葉市立郷土博物館平成5年度特別展示「幸福を祈る -古代人の願いと造形-」

撮影月日:2023.12.13


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3DF Zephyr v7.507 processing 126 images


3Dモデル画像


3Dモデル動画

2 展示説明

「香印盤は、灰の上に粉末状の香を一筆書き状に盛って焼香する香道具です。梵字などの複雑な文様を「香印」と呼び、香の燃える速度が一定なので時計(香時計)としても使われました。ルーツは不明ですが、中国の隋の時代には使われています。日本で古い事例は正倉院宝物の3点の資料です。史料の記載から当初は阿弥陀悔過で使われたことがわかっています。」

川焼台遺跡出土の香印盤は8世紀後半頃の住居床面から出土し、復元径26.0cm、重さ4.9kgほどです。上総国分寺か、国府の祭祀場である稲荷台遺跡でおこなわれた悔過法要で使用されたと考えられます。

3 展示状況素3Dモデルについて

展示現場で展示物を周回撮影して、その写真から作成した素3Dモデル(不都合を調整していない出来立ての3Dモデル)を展示状況素3Dモデルと呼ぶことにします。

今後は次の理由から展示状況素3Dモデルを多用することにします。

・展示状況素3Dモデル作成は短時間で作業が終わります。

・展示状況素3Dモデルは結像が不十分であったり、穴が開いていたりしていますから、完成度という点からみると低レベルです。しかし展示状況を立体的に伝える手段としては写真よりはるかに威力のある材料となります。3Dモデル作成が目的ではなく、3Dモデルを活用して考古遺物の理解を深めることが目的ですから、展示状況素3Dモデルを活用する意味は大きいと考えます。

・展示状況素3Dモデルから対象物を切り取って調整して作成する3Dモデル(観察記録3Dモデル)はその作成労力の割りには、得られる品質は満足できないものばかりです。


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