New pottery classification and 3D spatial distribution of pottery fragments
Since the type identification of pottery excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound was partially different from the current information, a new classification was made. We have succeeded in restoring the 3D coordinates of 647 pottery fragments linked to this new classification. It is groundbreaking that the pottery type information is arranged in 3D space.
有吉北貝塚北斜面貝層から出土した土器の型式判別が現在情報と乖離している部分があるため、新たに再検討し新分類を行いました。この新分類に紐づく647土器片の3D座標復元に成功しました。土器型式情報が3D空間に配置されたことは画期的です。
1 発掘調査報告書土器分類の再検討
発掘調査報告書土器分類の再検討土器分類再検討結果の概要
発掘調査報告書(1998年刊行)の土器分類は報告書刊行から27年経ち、最新土器分類情報と乖離したところが見られます。そこで、第9群土器(加曽利EⅡ式古段階)~第12群土器(加曽利EⅢ式土器)について最新土器分類情報を踏まえ土器分類を再検討しました。再検討は前千葉市埋蔵文化財調査センター所長西野雅人さんが土器実測図1点1点の吟味を踏まえ行いました。再検討の結果、加曽利EⅢ式土器がなくなったほか、全面的ともいえる分類再配置となりました。再検討結果に基づく新分類をこの研究のベース情報とします。
2 土器新分類に基づく土器片の3D座標復元
発掘調査報告書掲載の土器片平面分布図(上)と立面分布図(下)
3D空間で土器片平面分布図と立面分布図から3D座標を復元している様子
発掘調査報告書には掲載土器の土器片立面分布図・平面分布図が掲載されています。この2種分布図をBlender3D空間に配置し、2種分布図で多数の土器片対応が確認できることから、その3D座標を復元しました。この資料には遺物番号の記載がないので、直接データベースにリンクしていません。しかし、土器分類番号から土器新分類情報と紐づきます。つまり土器新分類情報が3D空間に配置されたことになり、画期的です。
土器3D分布モデル
3D座標復元土器片数
3D座標が復元された土器型式を見ると加曽利EⅡ式中段階、同中~新段階が多くなっています。この土器型式はガリー浸食地形上流域で見られる特段の土器密集出土と対応するものです。
なお、加曽利EⅠ式の数が少なくなっています。一方有吉北貝塚集落のピークは竪穴住居数を指標とすると加曽利EⅠ式期になります。このギャップをどのように捉えるべきか、今後の課題です。集落ピークの時だけ北斜面貝層の利用が低調であったのか、それとも発掘調査報告書土器情報に大きなバイアスがかかっていて円満土器型式分布が復元されていないのか。
土器3D分布モデルと土器・土製品グリッド別分布
土器3D分布モデルと遺物データベースから作成した土器・土製品分布図(グリッド別平面分布棒グラフ)を較べると、土器3D分布モデルはガリー流路沿いから出土した土器(主に土器密集域の加曽利EⅡ式中、中~新の土器)に偏っていることが判ります。
3 土器新分類に紐づく土器片3D座標の画期的意義
土器新分類に紐づく土器片3D座標647件の復元は、貝層3Dモデルや遺物分布3Dモデルの時期を判定する指標として利用できるので、画期的意義があります。
今後、土器現物からそれを構成する土器片の遺物番号を読みとる作業を予定しているので、それが済めば、土器片3Dモデル座標データは遺物データベースの中に直接組み込まれることになります。
試行的に行った土器片遺物番号確認作業の様子
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