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2025年3月4日火曜日

テストグリッドの遺物別3D空間分布の比較

 Comparison of 3D spatial distribution by artifact in test grid


I observed and compared the 3D spatial distribution of 11 types of artifacts excavated from the 331 grid of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. Pottery and shell products were excavated from the middle and lower parts of the shell layer, and bones were excavated from the entire area, and it can be confirmed that the artifact types show different 3D spatial distribution patterns.


有吉北貝塚北斜面貝層の331グリッドから出土した11種類遺物の3D空間分布を観察して比較してみました。土器、貝製品は分層貝層の中下部から、骨は全域から出土し、遺物種で異なる3D空間分布様相を示すことが確認できます。

1 331グリッドにおける11種遺物の11断面オルソ投影


331グリッドにおける11種遺物の11断面オルソ投影

11種遺物の3D空間分布をBlenderで観察しました。3D空間分布の様子を直接画像で表現することは困難であるので、簡易的方法として各遺物を11断面にオルソ投影して、その画像で説明します。

1-1 分層貝層の中下部に主に分布する遺物

土器、土錘は主に分層貝層の中下部の分布します。朱塗土器、貝製品は分層貝層の中下部だけに分布します。これらの遺物の共通する分布がどうして形成されたか、今後の検討課題ですが、次の2つの可能性が考えられます。

1 分層貝層上部に投棄された遺物も多いが、多くの遺物が斜面に働く営力で下方に移動した。

2 分層貝層上部に投棄された遺物は少なく(あるはほとんどなく)、多くの遺物が分層貝層中下部を選択して投棄された。

貝製品(すべて貝刃)の分布は分層貝層上部のものがないので、1説は考えずらく、2説が妥当のように感じます。

今後検討グリッドを増やして行けば、結論がでると期待します。

1-2 分層貝層の上中下部に万遍に分布する遺物

骨は分層貝層の上中下部に万遍に分布する遺物と言えます。正確には上部の方が少しだけ高密になっています。魚骨、散乱人骨、石器は遺物数が少ないので断定できませんが、分層貝層の上下に偏った分布はしていません。

骨は分層貝層の上部にも、中部にも、下部にも投棄された可能性が濃厚であると考えます。主に上部から投棄され、それが下方に移動してほぼ均質な骨分布になったとは考えずらいです。今後情報を増やして検討を深めます。

1-3 石鏃とイノシシ、骨製品

石鏃2点とイノシシ顎骨1点が分層貝層上部から出土しています。骨製品(釣針、刺突具など)も分層貝層上部から出土するものが多くなっています。これらの情報だけから石鏃、イノシシ顎骨、骨製品の出土位置を一般化することはできません。しかし、石鏃やイノシシ顎骨、骨製品は狩猟に関係する遺物であり、それが分層貝層上部から出土していることに意味があるかもしれません。土器や貝刃という調理道具が分層貝層下部から出土していることと対比して、分層貝層斜面の使い分けがあったかもしれないという空想が刺激されてしまいます。つまり分層貝層上部は男に紐づく狩猟関係の祭祀や廃棄場所として使い、分層貝層中下部は女に紐づく調理や漁労関係の祭祀や廃棄場所として使ったという斜面使い分け仮説の想像が浮かびあがります。今後情報を増やして、検討します。

1-4 遺物の特別な隣接性の有無

イノシシ顎骨、散乱人骨、骨製品、朱塗土器など祭祀的意義があるかもしれない遺物相互に空間的関係があるかどうか、3D空間で観察しました。結果として特段の情報を見つけることができました。イノシシ顎骨と骨製品(骨製釣針)、骨製品(刺突具?)が近接(20㎝、30㎝、26㎝)して出土しています。偶然とは考えられない意味のある近接事象であると考えますが、類似の情報を多数収集してから検討を加えることにします。詳しい情報は次の記事で記述します。なお、同様事例検討のために、効率的な検討ツール開発が急務です。(例 2つの遺物種で近接するものだけを自動抽出プロットするBlenderPythonスクリプト)

2 メモ

・異なる遺物種の3D空間分布が似ている事例を見つけることができました。(土器と貝製品)

・異なる遺物種の3D空間分布が異なる事例を見つけることができました。(土器・貝製品と骨)

・異なる遺物種の3D空間分布が棲み分け的であるかもしれない情報に接しました。(土器・貝製品と石鏃・イノシシ顎骨・骨製品)

3 事例調査

祭祀的意義があると考えられる遺物が出土しているグリッドを含む調査領域を設定して、引き続き事例調査を行うことにします。


2025年3月3日月曜日

テストグリッドの骨3D分布モデル作成

 Creating a 3D distribution model of bones in a test grid


A 3D distribution model of bones excavated from 331 grids in the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound was created. Bones are densely distributed in the shell layer on the slope. They are distributed with a nearly uniform density from the top to the bottom of the divided shell layer, which differs from the distribution of pottery and earthenware products, which are biased in the vertical direction.


有吉北貝塚北斜面貝層の331グリッドから出土した骨3D分布モデルを作成しました。骨は斜面貝層に密集して分布します。分層貝層の上部から下部までほぼ均一に近い密度で分布し、土器・土製品分布などの上下方向に偏った分布と異なります。

1 有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの骨3D分布モデル

有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの骨3D分布モデル

331グリッドから出土した骨を赤CUBE(5cm×5cm×5cm)で表示

グリッド枠は2m×2m×6m


331グリッド貝層大区分の3D分布


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 骨3D分布モデルの観察メモ

骨は崩落層から5、二次堆積崩落層Aから17、斜面貝層から1068出土しています。

斜面貝層の分布は、分層貝層の上部から下部までほぼ均一に近い密度で分布し、土器・土製品分布などの上下方向に偏った分布と異なります。

より詳しく、簡易的計測をすると、骨の割合は斜面貝層の上部と下部で5.5:4.5程度で斜面貝層上部の方が多くなっています。3Dモデルを詳しく観察すると、骨が団塊状になっている部分や分層貝層に沿って列状に並んでいる部分が多数存在しています。この事象は、食料残滓としての骨を投棄した1回の活動や、その1回投棄の骨が分層貝層に沿って下方に移動(流動)した様子を表現しているのかもしれません。

斜面貝層における骨分布密度がほぼ均一であるということは、骨と貝の分布がほぼ同じであるという大局観を持つことができます。この大局観から、骨投棄活動と貝殻投棄活動の原理が類似していたと仮説します。


骨分布の11断面オルソ投影

3 散乱人骨

遺物台帳データベースの骨には散乱人骨やイノシシ顎骨も含まれています。遺物台帳データベースには発掘調査報告書掲載全遺物リストもリレーションしてあり、ここでは発掘調査報告書掲載散乱人骨を抽出して331グリッドの3D分布モデルを作成しました。


331グリッドにおける散乱人骨3D分布モデル(画像)

3D座標のある散乱人骨データは4点あります。

4 イノシシ顎骨

331グリッドにおけるイノシシ顎骨3D分布モデル(画像)


イノシシ顎骨データは1点あります。


テストグリッドの貝製品・骨製品3D分布モデル作成

 Creation of a 3D distribution model of shell and bone products in a test grid


A 3D distribution model of shell and bone products excavated from grid 331 of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound was created. Shell products (shell blades) are distributed from the middle to lower part of the split shell layer, but not in the upper part. This is similar to the distribution of pottery and earthenware products.


有吉北貝塚北斜面貝層の331グリッドから出土した貝製品・骨製品3D分布モデルを作成しました。貝製品(貝刃)は分層貝層の中部から下部のかけて分布していて、上部には分布していません。土器・土製品の分布に似ています。

1 有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの貝製品3D分布モデル

有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの貝製品3D分布モデル

331グリッドから出土した貝製品(全て貝刃)を赤CUBE(5cm×5cm×5cm)で表示

グリッド枠は2m×2m×6m


331グリッド貝層大区分の3D分布


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの骨製品3D分布モデル


有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの骨製品3D分布モデル画像

3 貝製品3D分布モデルの観察メモ

貝製品(すべて貝刃)は22点出土していて、貝層大区分別内訳は崩落層0、二次堆積崩落層A1、斜面貝層21です。

貝製品は分層貝層の中部から下部のかけて分布していて、上部には分布していません。土器・土製品の分布に似ています。


貝製品分布の11断面オルソ投影図

4 骨製品3D分布モデルの観察メモ

骨製品(骨製装飾品)は分層貝層の中部付近から出土しています。


テストグリッドの石器・石3D分布モデル作成

 Creating a 3D distribution model of stone tools and stones on a test grid


A 3D distribution model of stone tools and stones excavated from 331 grids on the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound was created.

There were only two stone tools (stone arrowheads) found as products, but they were excavated from the upper part of the shell layer, which differs from the distribution and appearance of the pottery.


有吉北貝塚北斜面貝層の331グリッドから出土した石器・石3D分布モデルを作成しました。

製品としての石器(石鏃)は2点だけですが、分層貝層の上部から出土していて、土器分布と様相と異なります。

1 有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの石器・石3D分布モデル

有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの石器・石3D分布モデル

331グリッドから出土した石器(石鏃)赤CUBE(5cm×5cm×5cm)で、石(黒曜石、石、礫)をピンクCUBE(5cm×5cm×5cm)で表示

グリッド枠は2m×2m×6m


331グリッド貝層大区分の3D分布


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 石器・石3D分布モデルの観察メモ

331グリッドから23点の石器・石が出土しています。内訳は石鏃2、黒曜石9、石・礫12です。

崩落層から2点、二次堆積崩落層Aから2点、斜面貝層から19点の出土となっています。斜面貝層における分布を見ると分層の上部から出土しているものも、下部から出土しているものもあります。土器・土製品の分布と異なるように観察できます。製品としての石器(石鏃)は2点だけですが、分層貝層の上部から出土していて、土器分布の様相と異なります。この違いがテストグリッドだけなのか、より一般的な事象なのか、今後の観察課題です。


石器・石分布の11断面オルソ投影図



2025年3月2日日曜日

テストグリッドの土錘の3D分布モデル作成

 Creating a 3D distribution model of soil weights in a test grid


A 3D distribution model was created for soil weights excavated from grid 331 on the northern slope of the shell layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound. They were mainly excavated from the middle to lower part of the divided shell layer.


有吉北貝塚北斜面貝層の331グリッドから出土した土錘の3D分布モデルを作成しました。主に分層貝層中下部から出土しています。

1 有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの土錘3D分布モデル

有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの土錘3D分布モデル

331グリッドから出土した土錘を赤CUBE(5cm×5cm×5cm)で表示

グリッド枠は2m×2m×6m


331グリッド貝層大区分の3D分布


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 土錘3D分布モデルの観察メモ

土錘は全部で20点出土しています。

土錘は斜面貝層では主に分層貝層の中下部から出土しています。土錘という漁業道具の廃棄場所が分層貝層中下部(斜面の中下部)に限定されていたということでしょうか。問題意識が生まれます。


土錘の11断面オルソ投影

テストグリッドの朱塗土器の3D分布モデル作成

 Creating a 3D distribution model of vermilion-painted pottery in a test grid


A 3D distribution model was created for vermilion-painted pottery excavated from grid 331 on the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. It was excavated from the middle to lower part of the split shell layer.


有吉北貝塚北斜面貝層の331グリッドから出土した朱塗土器の3D分布モデルを作成しました。分層貝層中下部から出土しています。

1 有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの朱塗土器3D分布モデル

有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの朱塗土器3D分布モデル

331グリッドから出土した朱塗を赤CUBE(5cm×5cm×5cm)で表示

グリッド枠は2m×2m×6m


331グリッド貝層大区分の3D分布


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 朱塗土器3D分布モデルの観察メモ

朱塗土器は全部で12点出土しています。

朱塗土器は斜面貝層では分層貝層の中下部からのみ出土しています。朱塗土器という祭祀的に意義のある土器廃棄の場所が分層貝層中下部(斜面の中下部)に限定されていたということでしょうか。問題意識が生まれます。


朱塗土器の11断面オルソ投影

テストグリッドの土器・土製品3D分布モデル作成

 Creation of a 3D distribution model of pottery and clay products for the test grid


A 3D distribution model of pottery and clay products was created to comparatively observe the 3D spatial distribution of pottery and clay products, stone tools and stones, shell and bone products, and bones and fish bones excavated from 331 grids of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound.


有吉北貝塚北斜面貝層の331グリッドから出土した土器・土製品、石器・石、貝製品・骨製品、骨・魚骨の3D空間分布を比較観察するために、土器・土製品3D分布モデルを作成しました。

1 有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの土器・土製品3D分布モデル

有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの土器・土製品3D分布モデル

331グリッドから出土した土器・土製品を赤CUBE(5cm×5cm×5cm)で表示

グリッド枠は2m×2m×6m


331グリッド貝層大区分の3D分布


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 土器・土製品3D分布モデルの観察メモ

331グリッドから226点の土器・土製品(全て土錘)が出土しています。

崩落層から39点の土器・土製品が出土し、そのうち基底層からの出土は28点となっています。崩落層基底層から出土した土器・土製品は、ガリー侵食により土器・土製品を含む貝層が崩落し、その中の土器・土製品だけがガリー水流で運ばれてきたものと考えることができます。崩落層基底層より上から出土した土器・土製品は、土器・土製品を含む貝層がブロックとなって崩落堆積したものに含まれているものです。

二次堆積崩落層A(K層)から32点の土器・土製品が出土し、そのほとんどが二次堆積崩落層Aの最上部に分布しています。

斜面貝層から155点の土器・土製品が出土しています。3D分布をみると、分層貝層(このブログでは発掘現場で分層された貝層を分層貝層を呼びます。)それぞれの下部に土器・土製品出土が多くなっています。分層貝層の下部とは、その分層貝層がアクティブであった時期(分層貝層に貝殻が投棄されていた時期)にガリー流路に近かった場所です。常時の水流はなかったと考えますが、水辺的環境(湿地など)が存在していた可能性はあります。土器はそのような斜面下部に好まれて投棄されたと考えることができるか、今後検討を深めます。

(以前の記事で、土器が台地面端から投棄され、斜面利用営力により、斜面下部に移動したと考えましたが、そのような状況を示すデータがある一方、分層貝層の分布をみると斜面を下ってその下部で貝殻投棄が行われた証拠もあるので、土器がどこにどのように投棄され、それがどのように移動したか、今後データを増やすなかで、じっくり思考検討することにします。)


土器・土製品分布の11断面オルソ投影図


2025年2月23日日曜日

テストグリッドの土器3D分布モデル作成 その3斜面貝層

 Creation of a 3D distribution model of pottery in a test grid, Part 3: Sloping shell layer


A 3D distribution model of pottery and earthenware related to the 331 grid slope shell layer of the Ariyoshi Kita Shell Mound north slope shell layer was created.

The pottery excavations are concentrated exactly halfway down the slope shell layer. A major feature is that the boundary line intersects with the shell layer division line. Why this is the case is an important issue to consider.


有吉北貝塚北斜面貝層の331グリッドの斜面貝層に関わる土器・土製品の3D分布モデルを作成しました。

斜面貝層のちょうど半分下に土器出土が密集しています。そして、その境界線が貝層区分線と交差していることが大きな特徴となています。なぜそうなのか重要な検討課題となります。

1 有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの斜面貝層における土器3D分布モデル

有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの斜面貝層における土器3D分布モデル

斜面貝層から出土した土器・土製品を赤CUBE(5cm×5cm×5cm)で表示

グリッド枠は2m×2m×6m


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 観察


観察メモ画像

貝層断面図(XZ象限)に土器をオルソ投影した画像をみると次の4つの分布特性に気が付きます。

1 斜面貝層のほぼ上半分と下半分で土器密度が全く異なり、下半分で土器が密集して出土しています。

2 土器密集域を分ける境界線(図では点線)と貝層区分線(貝層分層線)が交差していて、平行になっていません。

3 土器の密集性に着目すると明らかにクラスタリングできる分布をしています。土器はお互いに等間隔で配置分布しているのではなく、クラスター(凝集)になって分布しています。図では投影していますから、立体空間における実際のクラスターと異なりますが、3D空間で見ると土器分布はクラスターとして分布していることを確認できます。

4 土器クラスターの見かけの分布は斜面方向に連なって分布しているように見えます。

3 メモ

土器密集域を分ける境界線(図では点線)と貝層区分線(貝層分層線)が交差している事実は貝層と土器との関係について、自分が気が付いていない重要な事柄を物語っていると直観しますので、今後検討を深めます。

3D空間のなかで土器破片がクラスターで分布していることが、土器投棄の実際の様子と対応している可能性があるので、その点も検討を深めます。土器破片を投棄するとき、手で持てる程度の量(破片数でいえば数十?)を一度に投棄し、その土器が貝層と一緒に下方流動して、その一度の投棄量に関連する土器クラスターが生まれるという仮説です。

投影断面におけるクラスターではなく、3D空間における立体的土器クラスターを抽出表現する方法を開発しなければなりません。

4 参考


遺物台帳データベースの情報


貝層大区分

テストグリッドの土器3D分布モデル作成 その2二次堆積崩落層A

 Creation of a 3D distribution model of pottery in a test grid, Part 2: Secondary deposit collapse layer A


A 3D distribution model of pottery and earthenware products related to secondary deposit collapse layer A in 331 grids of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita shell mound was created. Pottery excavations are almost exclusively limited to the surface of secondary deposit collapse layer A. It is assumed that for most of the period during which secondary deposit collapse layer A was formed, there was little use of this site by the Jomon people.


有吉北貝塚北斜面貝層の331グリッドの二次堆積崩落層Aに関わる土器・土製品の3D分布モデルを作成しました。土器出土は、ほぼ二次堆積崩落層Aの表層近くだけに限定されます。二次堆積崩落層Aの形成期間中のほとんどの時期に、この場所の縄文人利用はほとんどなかったと推察します。

1 有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの二次堆積崩落層Aにおける土器3D分布モデル

有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの二次堆積崩落層Aにおける土器3D分布モデル

二次堆積崩落層Aから出土した土器・土製品を赤CUBE(5cm×5cm×5cm)で表示

グリッド枠は2m×2m×6m


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 観察

土器出土はほぼ二次堆積崩落層Aの表層近くに限定されます。このことから、二次堆積崩落層A形成期間中のほとんどの時期には、その場所では縄文人の利用(土器や貝殻投棄)がなかったが判明します。たまたまその場所だけ縄文人の利用がなかったと考えることもできますが、むしろその時期にその付近一体で利用がなかったと考える方が合理的であるように感じます。別の断面での情報を含めて検討を深める価値のある事柄です。

このような状況を踏まえた記述だと推察しますが、セクション図の注記ではK層(二次堆積崩落層Aの主要構成層)について「比較的短期間の堆積」との記述があります。(短期間と考えた根拠記述はありません。)


遺物台帳データベース情報の「土器・土製品」・「二次堆積崩落層A出土」検索画面(一部)


参考 331グリッド 貝層大区分の3D分布

2025年2月22日土曜日

テストグリッドの土器3D分布モデル作成 その1崩落層

 Creation of a 3D distribution model of pottery in a test grid, Part 1: Collapsed layer


A 3D distribution model of pottery and earthenware products related to the collapsed layer of 331 grids of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound was created. Many pottery fragments excavated from the base layer of the gully erosion topography can be observed. The formation of the erosion topography is synchronized with the dumping of pottery and shells.


有吉北貝塚北斜面貝層の331グリッドの崩落層に関わる土器・土製品の3D分布モデルを作成しました。ガリー侵食地形基底層から出土する土器片が多数観察できます。侵食地形形成と土器投棄・貝殻投棄が同期しています。

1 有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの崩落層における土器3D分布モデル

有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの崩落層における土器3D分布モデル

崩落層から出土した土器・土製品を赤CUBE(5cm×5cm×5cm)で表示

グリッド枠は2m×2m×6m


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 観察

崩落層の基底層に土器出土が集中しています。

基底層とは北斜面貝層が収まるガリー侵食地形がアクティブだったその時に生成された地層です。つまり、ガリー侵食が盛んだった頃、台地端から縄文人によって土器が投棄されていたことがわかります。この地層からは貝殻が微量出土していることが記載されていますから、土器と同時に貝殻も投棄されていたことが確認できます。ガリー侵食地形形成と土器投棄・貝殻投棄が同期していると断定できます。

ガリー侵食地形形成(あるいは衰退)と土器投棄・貝殻投棄に因果関係があるのか、それとも単なる同時代の無関係の出来事なのか、興味ある検討課題になります。

崩落層から出土した土器型式を推察できる情報は現状ではありません。


遺物台帳データベース情報の「土器・土製品」・「崩落層出土」検索画面(一部)


参考 331グリッド 貝層大区分の3D分布


2025年2月21日金曜日

テストグリッドの遺物3D分布モデル作成

 Creating a 3D distribution model of artifacts in a test grid


I have come up with the creation of a 3D distribution model of artifacts in a test grid of shell layers on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. For the first time, the relationship between artifact distribution and shell layer distribution in 3D space has been visualized. You can observe the artifact distribution characteristics right before your eyes, which can never be understood by artifact ledger data alone.


有吉北貝塚北斜面貝層のテストグリッドの遺物3D分布モデル作成にたどり着きました。3D空間における遺物分布と貝層分布の関係がはじめて可視化されました。遺物台帳データだけでは決してわからない遺物分布特性が目の前で観察できます。

1 有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの土器等遺物3D分布モデル

有吉北貝塚北斜面貝層331グリッドの土器等遺物3D分布モデル

出土遺物のうち、土器・土製品、石器・石、骨角歯牙製品、貝製品を赤CUBE(5cm×5cm×5cm)で表示

グリッド枠は2m×2m×6m


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 全遺物3Dモデルと土器等遺物3Dモデルの比較


全遺物3Dモデルと土器等遺物3Dモデル


XZ象限オルソ投影


YZ象限オルソ投影


XY象限オルソ投影

XZ象限、YZ象限、XY象限はBlenderにおける象限です。

詳しい観察検討は追って行います。

・斜面貝層における土器等及び全遺物の分布は斜面に沿った分布をしていて、貝層とともに流下移動した様子を反映しています。

・斜面貝層上部は混土率の低い貝層(純貝層に近い貝層)ですが、その場所に土器等遺物出土が少ないことが大きな特徴となっています。

・二次堆積崩落層A(K層)から出土した土器等はほとんどその表層近くから出土しています。この層が形成されている途中に人為の影響が少なかったことがわかります。

・崩落層の基底層から多数の土器等が出土していて、注目に値します。北斜面貝層が収まるガリー侵食谷がアクティブだった時代に土器が投棄された証拠です。


2025年2月18日火曜日

テストグリッドの遺物統計

 Test grid artifact statistics


I created and examined artifact statistics for a test grid (2m x 2m, elevation difference approx. 3.5m) set in the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. 1,456 artifacts have been excavated. I was surprised to find that the artifact density, excluding food remains such as bones, in the slope shell layer is only about twice as high as that in the collapsed layer.


有吉北貝塚北斜面貝層に設定したテストグリッド(2m×2m、標高差約3.5m)の遺物統計を作成・検討しました。1456遺物が出土しています。遺物から骨など食料残滓を除いた遺物密度でみると、斜面貝層は崩落層の2倍程度の遺物密度にすぎないことは、自分にとって意外でした。

1 331グリッドの貝層大区分の3D分布


331グリッドの貝層大区分の3D分布

遺物台帳データベースから331グリッド出土遺物データを抽出して、貝層大区分を基礎単位として検討します。

遺物台帳データベースのデータをみると、10断面分層区分を採用しているものと、11断面分層区分を採用しているものが混在しています。10断面と11断面の分層区分の詳細を対応させることは不可能(※)です。そのため遺物統計は貝層大区分を基礎単位として行います。

※ 10断面の斜面貝層分層区分の記述がセクション図に記載されていないので、10断面と11断面の分層区分対応ができません。仮に記載があったとしても斜面貝層の変化は激しいので、意義を確認できる対応関係を見つけることは困難です。

2 331グリッドの遺物統計

2-1 貝層大区分別遺物数・体積・密度


表 貝層大区分別遺物数・体積・密度


グラフ 貝層大区分別遺物数

出土遺物数は斜面貝層が1351、二次堆積崩落層Aが57、崩落層が48で、斜面貝層が圧倒的多くなっています。


グラフ 貝層大区分別体積

斜面貝層が6.25㎥、二次堆積崩落層Aが3.55㎥、崩落層が2.26㎥です。

体積はIllustrator画面で貝層大区分別面積を10断面と11断面で求め、その平均値に2を乗じたものです。

Illustratorでの面積測定は次のJavaScript(1行)で行いました。

alert(app.selection[0].area)


グラフ 貝層大区分別遺物密度

1㎥当り遺物数をみると、斜面貝層216.2、二次堆積崩落層A16.1、崩落層21.2となり、斜面貝層は崩落層の約10倍の密度になります。

2-2 貝層大区分別に見た遺物内訳


斜面貝層から出土した遺物

骨・歯の出土が1111でとびぬけて多くなっています。


二次堆積崩落層Aから出土した遺物

土器・土製品の出土が34で一番多く、斜面貝層のように骨・歯が特段に多いという様子はありません。

(「貝」1点出土がありますが、ここでの「貝」は特別に大型のハマグリ(非貝製品)が出土した場合などに遺物として扱われたものです。)


崩落層から出土した遺物

土器・土製品の出土が40で一番多く、斜面貝層のように骨・歯が特段に多いという様子はありません。

2-3 貝・歯等を除いた遺物による遺物密度

骨・歯、貝、魚骨・鱗は動物性食料残滓であると捉え、それを除いた遺物数を対象に遺物密度をみてみました。


骨・歯等を除いた遺物密度

斜面貝層が37.3、二次堆積崩落層Aが10.4、崩落層が18.6となり、斜面貝層は崩落層の約2倍程度です。食料残滓を除くと斜面貝層の密度は崩落層の約2倍程度に過ぎなくなります。

3 考察

崩落層と二次堆積崩落層Aには貝殻が微量ふくまれています。崩落層には混貝土層として記録された分層もあります。しかし、斜面貝層と較べると崩落層と二次堆積崩落層Aからの貝殻出土は圧倒的に少ないです。この状況と上記遺物出土状況を対比すると次の事象が判明します。

1 貝層発達(貝殻の大量投棄)と骨・歯出土量は比例する。

貝層が発達する斜面貝層には骨・歯等出土が多く、貝層が少ない、あるいはほとんどない崩落層と二次堆積崩落層Aには骨・歯燈出土は少なくなっています。このことから、貝層発達(貝殻の大量投棄)と骨・歯出土量は比例すると捉えることができます。食料残滓として貝層に投棄したのは貝殻だけではなく、動物骨も多量に投棄したことがわかります。

2 貝層発達(貝殻の大量投棄)と土器等遺物量の比例関係は意外に弱い

歯・歯等を除いた場合でも、斜面貝層の方が崩落層や二次堆積崩落層Aより土器等遺物の出土量は多く、遺物密度も高くなっています。しかし、貝層発達状況(貝殻投棄量)を考慮すると、貝層発達(貝殻の大量投棄)と土器等遺物量の比例関係は意外に弱いということができます。もし「投棄貝殻量当たり出土土器等遺物量」という指標があれば、その値は崩落層や二次堆積崩落層Aの方が斜面貝層より圧倒的に大きくなります。つまり、結論して、貝殻投棄(食料残滓投棄)と土器等遺物投棄とはあまり密接に関係していないということです。

思考は飛躍しますが、この様子から、貝層発達(貝殻や骨・歯等の食料残滓投棄)を促進する活動と土器等遺物投棄活動は、舞台(場所)は同じですが、別種活動であったと推測します。貝殻や骨を投棄する活動のその時に土器等遺物を投棄する活動も一緒におこなわれていなかったと想像します。