2021年11月16日火曜日

抽象絵画文有孔鍔付土器(箕輪町上の林遺跡)の3Dモデル観察

 箕輪町郷土博物館に展示されている抽象絵画文有孔鍔付土器(箕輪町上の林遺跡)を3DモデルとGigaMesh Software Frameworkにより観察しました。

1 抽象絵画文有孔鍔付土器(箕輪町上の林遺跡)Abstract painting pattern Earthenware with perforated collar

抽象絵画文有孔鍔付土器(箕輪町上の林遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文中期中葉

長野県宝

撮影場所:箕輪町郷土博物館常設展

撮影月日:2021.11.10


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影


撮影の様子

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 218 images

Abstract painting pattern Earthenware with perforated collar (Uenohayashi site in Minowa town) Observation record 3D model

Middle Jomon middle leaf

Nagano Prefectural Treasure

Photo location: Minowa Town Folk Museum Permanent exhibition

Shooting date: 2021.11.10

Shooting through a glass showcase

Generated by 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 218 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開図

3 観察メモ

・高さ32.1㎝、口径17.3㎝、底径21.9㎝を測ります。(展示パネルによる)

・底部がひろがり、底部が上げ底になり、小窓が付いているという変則的な形態になっています。

・抽象文2セットは似ている形の生き物になっています。動物か人間かカミかこの土器だけでは判りません。八千代市立郷土博物館「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」で展示されてる動物意匠文付土器(勝坂Ⅲ式)(船橋市ユルギ松遺跡)の「カエルといわれている」動物と手の位置が違うだけであとは似ているような気がします。


動物意匠文付土器(勝坂Ⅲ式)(船橋市ユルギ松遺跡)のGigaMesh Software Framework展開図

2021.11.04記事「動物意匠文付土器の3Dモデル観察」

・双方土器の生き物ともに手足を広げていますから、踊りを踊っているように想像します。

・有孔鍔付土器の使用目的は醸造説や太鼓説があるようですが、この土器は一目見て太鼓みたいだという印象を持ちました。生き物が踊っている文様も太鼓説に合います。醸造具としては小さすぎるような気がします。底部小窓は音響効果を考えて設置されたと想像します。


2021年11月15日月曜日

土偶型土鈴(箕輪町中山遺跡)の3Dモデル観察

 箕輪町郷土博物館令和3年度特別展「地味だけど推しの資料展」で展示された土偶型土鈴(箕輪町中山遺跡)を3Dモデルで観察しました。

1 土偶型土鈴(箕輪町中山遺跡) 観察記録3Dモデル

土偶型土鈴(箕輪町中山遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文時代中期

高さ4.3㎝

撮影場所:箕輪町郷土博物館令和3年度特別展「地味だけど推しの資料展」

撮影月日:2021.11.10


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 82 images


3Dモデルの動画

2 発掘調査報告書の記述

この土偶型土鈴は昭和30年統合中学校新築工事中に出土したもので出土状況等は不明のようです。以下、「中山遺跡緊急発掘調査報告書」(昭和60年、箕輪町教育委員会)の該当箇所を抜粋します。

「3も同じく中山遺跡出土の土製品である。大きさは高さ4.3㎝で、上部は顔面で、下部は土鈴になっている。頭部をつまんで振るとカラカラと小さな音がする。胴部には、全体に三叉文様がつけられており、時代的には縄文中期中葉と思われる。形は小さいが非常にととのったものであり、鳴る子は、胴部に数個入っており、小石でなく粘土と思われる。顔のつくりは簡単であるが、非常に写実的で、目・鼻・口が彫られ、頭部の沈線は髪を表していると思われる。顔の表情は、とても親しみやすく、見る人をひきつける。県下においてもこの種の土製品は例が少なく、使用目的なども推測し難い。土鈴の発見はかなりの数に上っているので、それらと共通のものと考えられるが、宗教的使用の匂いが感じられる。」


実測図


写真

3 観察メモ

・例えば、「胴部を細長い葉などを丸めて作り、頭を乗せた手製おもちゃ」を模してつくった土偶型土鈴であるように想像します。

・顔つきが柔和であり、こどもがいる場面でつかう製品としてつくられたと想像します。

・顔は土偶や顔面把手付土器の顔面と同じ女神(母神)を表現していると想像します。

・乳児の高い死亡率を乗り越えて育つことを祈願する節目祭祀などで使われた「楽器」であると想像します。


顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)文様の解釈

 顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)について3DモデルやGigaMesh Software Frameworkによる展開図を作成して観察しました。

2021.11.13記事「顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)の観察記録3Dモデル」

この中で土器文様に関する伊那市創造館展示パネルの説明をそのまま展開図に書き込み学習しました。

その後、類似土器として顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)について同様の学習を行い、文様意味について独自に考察(想像)しました。

2021.11.14記事「顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)の3Dモデル観察」

この記事では箕輪町土器考察にならい、顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)文様についても独自の考察(想像)を行いました。

1 顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)文様の解釈(想像)


顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)文様の解釈(想像)

ア 土器を正面からみた場面

把手の顔面を母神と考え、土器全体が妊娠した母神を表現していると考えます。この考えは伊那市創造館パネル説明と同じです。

土器に双眼把手とその下に丸い小突起があります。これを母神から(土器から)生まれ出た子神の顔と子神の産道とそこから出る孫神の頭であると考えます。子神の両側には半円と三叉文が描かれていますので、それが母神の産道です。正面からみると母神、母神の産道、産道から出た子神、子神の産道から頭を出した孫神を見ることができると考えます。

イ 土器を裏からみた場合

把手上部の双眼把手を祖母神の顔、その下の丸い突起(渦巻が描かれている)を(祖母神の)産道から出た母神の頭であると考えます。土器胴部には子神の頭(双眼把手)と子神の未成熟な産道出口が描かれていると考えます。子神の両側には子神が出てきた母神産道が描かれています。

ウ 胴部の2つの双眼把手の間にある丸い小突起

胴部の2つの双眼把手の間にある丸い小突起を子神と考え、その回りを母神の子宮と考えます。


顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)文様

2 伊那市創造館展示パネル説明との違い


伊那市創造館展示パネル説明による解釈

展示館説明では母神が赤ちゃん(子神)を産んでいるかもしれないという説明ですが、母神の産道が大きく描かれているので、丸い小突起は子神が産んでいる孫神と考えた方がよいと考えました。(ヘソは論外だと考えます。)

また二つの丸い小突起が乳房であるとの展示館説明は、母神の子宮とその中の子神と考えた方が、この土器全体が表現している世界(妊娠-出産による命の継続)に合う解釈だと考えます。

3 顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)文様解釈との関係


顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)文様の解釈(想像)

伊那市月見松遺跡出土土器の解釈は箕輪町丸山遺跡出土土器の解釈とほぼ同じになります。土器文様の基本構造が同じなので、それに起因して同じ解釈(想像)になるのだと思います。

双方ともに祖母神が母神を、母神が子神を、子神が孫神を産むというストーリーが描かれています。妊娠、出産により命が代々継続していくという社会原理が土器文様に描かれています。また顔面把手正面の顔面は母神、土器自体も母神の妊娠した様子という点も同じです。

4 メモ

女性が親から子へと代々命をつなげていくという点では、男との継続的性交(結婚)、妊娠、出産、育児という場面が大事になります。この土器では妊娠と出産が描かれています。したがって、この土器を使った祭祀は妊娠と出産の場面で使われたと想像します。性交(結婚)に関する祭祀は石棒を使って行われたのではないだろうかと想像します。育児に関する祭祀も別の道具で行われたと想像します。土鈴機能のある土偶をみるとその表情が柔らかく、子ども用を感じさせます。土鈴機能付土偶や育児土偶などが育児祭祀道具の一つであったのかもしれません。


2021年11月14日日曜日

顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)の3Dモデル観察

 箕輪町郷土博物館常設展に展示されている顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)を3DモデルとGigaMesh Software Framework展開図で観察し、その文様の意味について想像しました。

1 顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡) 観察記録3Dモデル

顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文時代中期中葉

長野県宝

撮影場所:箕輪町郷土博物館常設展

撮影月日:2021.11.10


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 184 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開図


GigaMesh Software Frameworkによる6面図


GigaMesh Software Framework作業風景

3 観察とメモ

顔面把手を正面から見た時の吊り目で吻が出ている顔面を母神と考えると、次のような祖母神-母神-子神-孫神の顔が描かれていると想像しました。


顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)文様の解釈(想像)

ア 把手顔面を正面から見た時

母神だけが具象的顔で表現されていて、母神の体が即ち土器そのものであると想像します。母神の対向位置に子神が描かれていて、子神の顔は双眼把手として抽象的に表現されています。子神は背中を土器表面に貼り付けているように表現されています。子神はその乳房、手(指4本)、胴、足が人風に描かれています。さらに子神の腹には双眼把手があり、これは子神から生まれた孫神の顔であると考えます。

なお、母神の顔の上に双眼把手があります。これは母神を今産んでいる祖母神の顔であると考えます。

つまりこの場面では祖母神が母神を産み、母神が子神を産み、子神が孫神を産んでいる様子を一挙に表現していると考えます。しかし母神の顔だけ具象的なので、母神が子神を産んでいる様子がメインテーマになっていると考えます。

イ 把手を裏から見た時

展示では視線が到達できないので把手裏面の様子が不明瞭ですが、発掘調査報告書写真で確認すると把手裏面の母神顔面に相当する場所には大きな丸い穴が存在します。この穴が母神顔の抽象表現であると想像します(注)。その上に双眼把手があり祖母神の顔と考えます。


発掘調査報告書掲載写真 

丸山遺跡発掘調査報告書から引用

子神の様子はアの子神とほとんど同じように表現されています。

つまり把手を裏から見た時も祖母神が母神を産み、母神が子神を産み、子神が孫神を産んでいる様子を一挙に表現していると考えます。しかし母神の顔は双眼把手とは異なる抽象表現となっています。この場面でも母神が子神を産んでいる様子がメインテーマになっていると考えます。

注)大きな穴は祖母神の産道を表現していて、ここから母神の顔が出てくることを想像させる趣向であると想像します。


2021年11月13日土曜日

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)の観察記録3Dモデル

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)の3Dモデルが完成しましたので、それにより観察しました。 
1 顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡) 観察記録3Dモデル 
顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡) 観察記録3Dモデル 
縄文時代中期中葉 
撮影場所:伊那市創造館 
撮影月日:2021.11.08 

展示の様子 
ガラス面越し撮影 
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 187 images 

3Dモデルの動画 
2 GigaMesh Software Frameworkによる展開図及び6面図作成 

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)観察記録3DモデルのGigaMesh Software Frameworkによる展開図 

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)観察記録3DモデルのGigaMesh Software Frameworkによる6面図 
3 観察とメモ 
3-1 展示館の説明 
伊那市創造館展示パネルの説明をそのまま展開図に書き込むとつぎのようになります。 

伊那市創造館展示パネル説明による解釈 
3-2 興味と疑問 
・乳房と「ヘソか生まれ出る赤ちゃん」が同じ丸い突起で象徴されていますが、何故同じなのか、理解できるようで理解できない事柄です。 
・他遺跡の類似同様土器で「生まれ出る赤ちゃん」の例があるので、ヘソではないと思います。 
・類似同様土器で乳房表現の例があるのかどうか調べたいです。 
・顔、乳房、妊娠して膨らんだ腹、性器あるいは出産風景が土器に表現されているとすれば、表現要素はほとんど土偶と同じです。この土器と一緒に土偶が出土しているのかどうか、調べることにします。この土器が使われる祭祀と土偶祭祀がどのような関係にあるのか、知りたくなります。 
・把手顔面は女神の顔ということになりますが、なぜこのような吊り目で顔が尖っているのか、その理由を知りたくなります。縄文のビーナスの顔と同じ顔です。

2021年11月12日金曜日

完形で出土した縄文中期土笛の観察

 長野県上伊那郡箕輪町郷土博物館を訪問した際、開催中特別展に縄文中期土笛が展示されていました。予期しない幸運として縄文土笛実物を観察し、3Dモデル作成用撮影を行うことができました。土偶祭祀などで使われる楽器として土笛に興味をもっている最中の出来事です。この記事では土笛の3Dモデルを作成して観察しました。ところが模様をよく観察すると思わぬ展開が・・・。

1 土笛(縄文時代中期、箕輪町御射山遺跡) 観察記録3Dモデル

土笛(縄文時代中期、箕輪町御射山遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:箕輪町郷土博物館令和3年度特別展「地味だけど推しの資料展」

撮影月日:2021.11.10


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 65 images


3Dモデルの動画

2 観察メモ

2-1 土笛としての機能

この遺物が音を出すための土笛であることは専門家の間で確定しているようです。

「長野県箕輪町から出土した縄文中期後半頃のラグビー・ボール型の土製品や・・・は「土笛」とみなすことができる。」(笠原潔「楽器の考古学」日本音響学会誌62-8、2006)

丸い穴から息を吹き込み、スリットから音がでる仕組みになっています。スリットに指を当ててスリットの幅を調整することで異なる音階を出すことが可能であると考えられます。現在の音楽とは比較にならないほどの素朴なものであるにちがいありませんが、メロディーやリズムを備えた楽曲を奏でていたに違いありません。土偶祭祀などでの音楽演奏に使われたと想像します。

2-2 模様

3Dモデルをくるくる廻しながら子細に観察すると動物を表現しているように見えてきます。

上からみるとスリットの先にある三角形が顔面で右目も表現されています。(左目もあるように見えますが、保護コーティングの下になっています。)また吻(鼻先)もあるように見えますがこれも保護コーティングの下になっています。

横から見ると展示正面とその裏面でともに口と体模様の表現がありますが、その様子が異なります。体の左右で別の動物、あるいは同じ動物の雄雌などの違いを表現しているように見えます。

土笛の音、あるいはそれを奏でる場所、あるいはそれを使う儀式内容などとこの動物が関わっていると考えますが、その詳細は今は判りません。


動物を思わせる模様

あるいはこの土笛は狩猟に使う動物を呼び寄せる笛かもしれません。鹿笛、鳥笛などであり、実用道具の可能性もあり得ます。

一度この土笛の音を聞けば、祭祀用楽器なのか、狩猟用笛なのか見当がつくかもしれません。

3 参考 発掘調査報告書の記述

次の情報は「御射山遺跡 -御射山遺跡第Ⅰ調査報告書-」(昭和54年、箕輪町教育委員会)の主な記述です。

「土笛(第25図5)

第3号住居址覆土中から出土したものである。出土時には長軸に添って二つに割れていた。長形71㎜、胴部最大径39㎜で、胴部中央に径4㎜の穴が一つある。中空で器厚は6~7㎜である。穴の周囲は直線の沈線で不定形の文様が施されている。穴の裏側には二本の沈線で円が描かれているが何を表現しているのかは不明である。土笛の出土例は全国的にみても数はそう多くないと考える。この土笛について石守氏(注)によると2種7形態に分類し、箕輪町福与大原出土のものを「箕輪タイプ」としている。本出土例もほぼこれと同じタイプであり、ラグビーボール状のものである。今回の出土により同じタイプのものがあまり離れていないところから二つ出土したことは意味あることであり、今後使用目的などについて研究したい。」(注1、長野県考古学会誌1980・6、原始古代楽器の考古学的一研究より)


添付図 (残念ですがこの図にはスリットが表現されていません)


図版

4 参考 土笛の読み

展示では土笛(ドテキ)とルビがふってあります。考古学用語では「ドテキ」と読むようです。「汽笛(キテキ)一声新橋を・・・」の歌と同じ読みです。しかしドテキと発音しても即座にそれが土笛と理解できる人は少ないように感じます。自分は当面「ツチブエ」と発音してコミュニケーションすることにします。


2021年11月11日木曜日

箕輪町郷土博物館観覧

 箕輪町郷土博物館の観覧が実現しました。Twitterでどなたかが紹介していた記事が気になっていた縄文土器展示館です。期待していた以上の知的収穫がありました。特に縄文中期土笛の展示に巡り会えたのはラッキーでした。

1 箕輪町郷土博物館常設展

長野県上伊那郡箕輪町郷土博物館を2021年11月10日訪問観覧しました。特別展「地味だけど推しの資料展」が開催中とのことで入場料は無料でした。

総合博物館であり民俗展示室、自然展示室、考古・歴史展示室があります。考古歴史展示室は縄文、弥生、古墳の遺物が特に充実しているようでした。展示物はそれぞれ興味深いものばかりですが、自分の興味が縄文にあることから、今回は縄文土器・土製品のなかのさらに興味深いモノだけを集中的に観覧し、3Dモデル作成用撮影をしました。

考古・歴史展示室入り口に展示されている顔面把手付土器(縄文時代中期中葉 丸山遺跡)は現在3Dモデルを途中まで作成している顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)と類似の土器であり、興味が深まります。


長野県宝 顔面把手付土器(縄文時代中期中葉 丸山遺跡)

展示土器はどれもこれも興味深いものばかりですが、特に次の3点には視線が釘付けになります。


長野県宝 抽象絵画文有孔鍔付土器(縄文時代中期 上の林遺跡)


長野県宝 唐草文深鉢形土器(縄文時代中期後葉 上の林遺跡)


双口土器(縄文時代前期 荒城遺跡)

箕輪町郷土博物館はこれから2度、3度と訪問して展示土器の学習を深めたい展示施設です。


展示の様子


展示の様子

2 特別展「地味だけど推しの資料展」

開催中の特別展では縄文時代遺物として草創期尖頭器、荒城遺跡出土尖頭器、土偶型土鈴、土笛などが展示されています。このうち土笛は自分は現物を初めて見ました。穴とスリットがあり、穴から息を吹き込み、スリットに指を当てて音階を調整する楽器であることが一目で判ります。土偶祭祀の中で4~5音階の出る土笛による音楽が使われた可能性を指摘した研究論文を学習したことがありますが、まさにそのような土笛を実見できたことは感動です。


土笛(縄文時代中期 御射山遺跡)

長さ7.1㎝、最大径3.9㎝でラグビーボール形をしています。


2021年11月9日火曜日

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)の未調整素3Dモデル

 懸案だった顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)の展示様子を3Dモデルにすることができました。未調整素3Dモデルをみると背後まで一応結像しています。今後ゴミを取り除き観察記録3Dモデルに仕立て上げる予定です。


顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)の未調整素3Dモデル動画

伊那市創造館展示

撮影枚数187

顔面が「縄文のビーナス」と同じようになぜこのようになっているのかなど興味が尽きない土器です。

以前、長野県立歴史館でこの土器のレプリカの観察記録3Dモデルを作成したことがあります。

縄文中期中葉顔面把手付深鉢形土器(複製)(伊那市月見松遺跡)外3点S4 観察記録3Dモデル

左から縄文中期後葉初台付鉢形土器(塩尻市上木戸遺跡)[中空の円文とコイル状の飾りが極度に発達し、台をつけて目立つようにしている。このような土器は、県中部・北部の大規模なムラから、ごく少数だけ見つかる。]、縄文中期中葉顔面把手付深鉢形土器(複製)(伊那市月見松遺跡)[長野県宝]、縄文中期中葉「土偶装飾の付く有孔鍔付土器」(複製)(南箕輪村久保上ノ平遺跡)、縄文中期前葉「雲母片を混ぜ、キラキラしている土器」(千曲市屋代遺跡群)

撮影場所:長野県立歴史館 

撮影月日:2020.02.14 

整理番号:S4 

実寸法付与 

ガラス面越し撮影 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 164 images

2021年11月7日日曜日

エジプト切手 ネフェルティティ胸像

 1953年発行エジプト切手ネフェルティティ胸像を見つけました。見つけた場所は自分の66年前のストックブックです。66年前に切手収集に熱中したことがあり、その時のストックブックが奇跡的に残っていたのです。海外考古学切手収集を始めて4ヵ月程経ちましたが、小学5年生の時収集した切手をこのブログで情報発信することになるとは思いもよらないことです。その意味があまりよくわかりませんが、自分のことながら、なにか感動的です。


エジプト切手(1953年、ネフェルティティ胸像)


エジプト切手(1953年、ネフェルティティ胸像)

以前BSでネフェルティティ胸像の発掘とドイツへの流出についてのドキュメンタリー番組を見たことがありますので、興味が湧きます。

ネフェルティティは黄金のマスクで有名なツタンカーメンの義母です。


ネフェルティティ胸像

「TUTANKHAMEN」(BONECHI)から引用


トーゴ切手(2013年、ネフェルティティ胸像発見100年小型シート)

ネフェルティティはエジプト新王国時代の第18王朝のファラオであったアクエンアテンの正妃です。アクエンアテンは太陽神アテンの一神崇拝で有名です。


エジプト切手(1977、アクエンアテン像)

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参考 ネフェルティティ、アクエンアテンの頃

ネフェルティティ、アクエンアテンの頃をイメージ的に加曽利貝塚博物館展示年表に落としてみました。紀元前14世紀の前半から中ば頃の人物です。日本では縄文晩期初頭頃になります。


2021年11月6日土曜日

十三菩提式土器顔面突起の3Dモデル観察

 八千代市立郷土博物館で開催中の「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」で展示されている顔面突起(十三菩提式)(八千代市赤作遺跡)を3Dモデルを作成して観察しました。

1 顔面突起(十三菩提式)(八千代市赤作遺跡) 観察記録3Dモデル

顔面突起(十三菩提式)(八千代市赤作遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:八千代市立郷土博物館「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」

撮影月日:2021.11.02


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 33 images


3Dモデルの動画

2 観察

パンフレット説明をもとに観察しました。数値は3Dモデルから計測した略値です。

・前期末葉(十三菩提式)の顔面で、顔面発生期のものであり、千葉県ではこの1例だけのようです。

・沈線と沈刻で顔の輪郭を表現しています。顔面の大きさは縦約2.8㎝×横約3.8㎝になります。

・沈線と沈刻の様子は展示パネル写真で、光線の当たり方が適切なので、今回展示よりもよくわかります。


展示パネルの写真

・目の上から鼻筋にかけて幅約6㎜の黒い部分が眉弓を表現していて、隆起線の剥落跡のようです。眉毛と鼻筋を一緒に表現しています。

・目と口はえぐられた表現され、縦約5㎜、横8-9㎜、目の深さ2.5㎜、口の深さ4㎜となっています。

・前期土偶では顔の表現はほとんどありません。また、あっても点4つだけで表現するなどきわめて抽象的です。しかしこの顔面突起は具象的な顔で、前期末葉のものです。土偶よりも一足早く土器突起として具象顔面造形があらわれたということでしょうか。

・顔面は縄文人が人に模してイメージした(擬人化した)カミの顔であると想像します。さらに想像を深めれば、顔が平面でつくられていて、上下が沈線と沈刻で境されている様子から、顔面とは仮面である可能性があります。シャーマンが仮面をつけてカミに憑依して演舞する様子にカミをイメージしたのだと想像します。


3Dモデル画面


3Dモデル画面(ソリッドモデル)